ニア心が折れる
怪人が片足を上げるのを見て、逃れようと身を起こした理利のわき腹が
ずきりと痛み思わず動きが止まる。しまった、と思ったときは手遅れだった。
理利の右足を怪人の足が踏み潰しそのままぐりぐりと踏みにじられる。
頭の中が焼き切れる様な痛みに絶叫を上げて転げまわる理利。
「やかましい」
怪人はそう吐き捨てるようにいうと、何度も理利を蹴り転がした。
血反吐を吐きながら転がる少女の体が怪物の死体にぶつかって止まり、
ぐったりと横たわる。
「やっと静かになったか、だがこのまま死んでもらってはつまらんな」
怪人はそうつぶやくと動かなくなった理利の体を抱え上げた。
(中略)
ひんやりとした感触で意識をとりもどした理利は身じろぎをしようとして、
自分の四肢が拘束されていることに気づく。拘束されていない
首を動かしてみたところ自分が手術台のようなものの上で大の字になっており、
踏み潰されたはずの右足になぜか外傷はなく、籠手とプロテクターは
外されていたことがわかった。
(そっか、私負けちゃったんだ……)
そんな実感とともに、これからどうなるのだろうかという不安に襲われる。
何もしないというのはどうも安心できない、とりあえず脱出は可能だろうかと
考えをめぐらせ始めた時、部屋に何者かが入ってきた。
首を動かしてそちらに目をやると、例のイソギンチャクの怪物を小さくしたような
物が複数ひたひたと這いずりながらこちらに迫ってくる。
怪物がおもむろに触手を伸ばす。
(自白剤でも分泌してくるのかしら)
思わず身を硬くして目をつぶった。
「ひゃっ」
襟元から侵入した触手が二つのなだらかなふくらみを這い回り、
その肌が粟立つようなおぞましい感触に短い悲鳴を漏らしてしまう。
(早く……逃げ出さないと……)
首筋や脇、胸の二つの突起を蹂躙されながらも唇を血が出るほどかみ締めて
脱出の方策を練る。素手で拘束を破るのは不可能で、武器は両手が使えない。
ならば発想を転換しよう“手を使わずに武器を使えばよい”いかなる理由か
変身そのものは解けていない。
(拘束具がある位置で剣を形成するか、剣を遠隔操作するか、とにかくやってみないと)
だが彼女の精神集中は外的な要因であっけなく途切れた。
内腿の辺りを伝っていた触手が股間に達し、ふいに彼女の後ろのすぼまり
に侵入を始めたのだ。もう限界だった、彼女は自分の感情の赴くまま叫び
必死で逃れようと暴れだした。無論拘束はびくともしない、皮膚が破れ
血が滲んでも、それでももがき続ける。
そんなことは意に介さずに怪物が次に標的としたのは彼女の尿道だった
触手の先端による刺激を繰り返しながら、やや細い触手が強引に
尿道を押し広げていく。度重なる刺激に膀胱が決壊してちろちろと
液体が流れ出し、湯気が立ちのぼる。いつしか理利は助けを求め哀願していた。
泣き叫ぶ理利の姿をモニターで観賞していたバムはこみ上げる笑いを
こらえきれずに居た。忌々しい小娘が悲鳴を上げるのを聞くためにかれは
魔法生物に決して口と鼻には触手を入れないよう命じておいたのである。
だが徐々に小娘の動きと悲鳴が弱弱しくなっているようだ。
体力の限界が近づいているのだろう。
そろそろ最後の楽しみに取っておいた秘所を蹂躙させようと考えたとき
部下が入室してきた。一応捕らえた際にさまざまな検査はされており、
その結果がでたようだ。調査結果を読み進めるバムの視線がある一点にとまる。
立ち上がると魔法生物に動きをもっと激しくするよう指示し、小娘を
捕らえている部屋に向かった。
バムが理利のいる部屋に入ってきたときにはすでに彼女は精根尽き果てて
ぴくぴくと痙攣している状態であった。バムがこ煩げに手を振ると
怪物はいっせいに触手を引き抜きその場を離れ、少女のからだが
ピクリと反応する。バムは少女の下半身を汚す小水に僅かに目を顰めたが
やがて荒々しく少女の下着を引き剥がした。隠されていた陰毛と秘裂
が露になる。そしてバムは少女の秘めやかな部分にためらいもなく
腕を突っ込んだ。ぐったりとしていた少女がかすかに身をよじり、
口からは蚊の鳴くような声で悲鳴と許しを請う声が漏れる。
少女の膣はすでに自身を守るために湿り気を帯びていたが、丸太のような
腕の侵入には無力だった。如何に赤子が通るとはいえ出るのと入るのと
では大違いだ。筋肉が引き裂かれ抗議の悲鳴をあげる中、少女の子宮に達した
バムの手が何かを探るように動きついにそれを発見する。
子宮と癒着していたそれを強引に引き剥がす。
血のついた腕が引き抜かれ、掌中の血に塗れた物体を確認したバムの口から
狂ったような哄笑が起こった。“それ”が彼らの捜し求める
奇跡の石だったからだ。そして少女の衣服が変化していく、変身が解けたのだ。
石を誰に――政治的に――高く売りつけようかと思案しつつ
バムは部屋を出て行った。
のこされた少女のうつろな眼から涙が溢れ、口が僅かに動いた。
石に別れを告げるかのように。