「変身!」「変身!」
 戦闘態勢に入る綾乃と若菜。病室を移動し、試験場のような場所に来ていた。
 病室では戦いたくないとのことだが、思う存分暴れたいバルバロスもそれを了承、場所を変えたのである。
「じゃあ始めるかぁ……ウオオオオオオオ!>
 大男も肉体を変容させる。そして、錠剤をひとつ口に放り込んだ。
<見せてやるぜ……プロフェッサーから貰った新薬、ドーピングコンソメバイアズラだ!>
 肉体が更に膨れ上がる。血管が浮き出、目が血走り、逸物も天を衝く。
<フゥ〜…フゥ〜…クワッ。覚悟しろよ青のメイガス…犯して、殺して、そしたらもう一回犯してやるぜぇ>
 綾乃も若菜も、眉一つ動かさない。
 若菜の戦闘衣と武装は幾分シンプルなものになっている。というか、武器は刀が一振り、それだけだ。
 綾乃は前回と同じ。吹雪を周囲に展開させている。
<行くぜぁああ!!>
 地響きをあげながら突進してくるバルバロス。
「氷哲」
『おう』
 吹雪が綾乃を包む。
<この吹雪がやばい。変幻自在に襲ってくる!>
 右腕から触手が伸びる。幾本もの槍となり、綾乃を狙う。
「たぁあああっ!!」
 気合一閃、若菜が横合いから斬りかかり、次々叩き落していった。
 身のこなしはバルバロスが予想したよりもいい。
<……実戦で著しく成長するタイプか。面白ぇ!>
 最後に残った擬似魔法少女は雑魚ではないらしい。バルバロスが歓喜に震える。

 一人の青年が無人の廊下を歩いていた。共周りは連れていない。
 プロフェッサーには「急襲は少数精鋭でするものだ」と説明したが、別の意図もあった。
「非戦闘員まで無闇に殺すのは些か興が乗らないからな」
 魔物の王としての立場から、部下に無差別虐殺を禁じてはいない。士気の向上という点での有効性を認めてもいる。
 しかし彼自身の好みとしては、純粋に敵対勢力の抵抗を潰す以上のことはやりたくないようである。
 とりあえず、魔力反応がある方へ向かっている。
 大きなものが二つ、幾分小さなものが一つ。もう一つ、ごく微弱な反応がその近くにある。
「バルバロスめ……また青のメイガスにつっかけたのか。知らんぞ」
 王は呆れたような溜息をついた。
 ふと、立ち止まる。開いた扉の向こうに人の気配。魔力反応は無い。
「……無駄に殺すこともないか」
 横目に見ながら通り過ぎようとする、その足が、止まった。

 中にいる女性と目が合う。向こうも、硬直している。
「……裕子、さん」
「竜仁さん、なんで、ここに」
 その部屋は何かの研究室のようになっていて、白衣を着た滝川裕子がそこにいた。
 難しい顔をした竜仁は扉をくぐる。まじまじと部屋の中を観察。
「何を、しているのです」
 裕子はまだ混乱していた。
「……君が、マギアをつくったのか」
 竜仁のその言葉を、彼女は信じられないといった表情で聞いていた。
「なんで、マギアを知ってるの」
 彼女にもわかりかけていた。普通の人間がこんなところを歩いているはずがない。だが、信じたくなかった。
「残念だ」
 竜仁のその言葉は本心からである。
「冗談、ですよね……そ、そうですよ!あいつらに脅されて無理矢理従わされてるんでしょ!?だったら私達と一緒に」
「いや、それも違う」
 はっきりと否定する。
「私が、彼等の王なんだ。そして、私自身も半分は魔物だ。残り半分は人間だが」
 その表現が、彼の葛藤をギリギリの所で顕にしている。表情こそは冷徹そのものでも、彼にも動揺はあった。
「そんな……嘘よ……だって、あなたはあんなに優しくて……」
 竜仁よりも動揺の激しい裕子には、そこまで読み取れなかった。
 彼は、微かに眉を歪めた。
「裕子さん、ここはもうすぐ陥ちる。……こんな形では言いたくなかったが、頼みがある」
 静かに語りかける。プロフェッサーがこの場にいたら止めただろう。
「どうか……私と一緒に、来て欲しい。君を失いたくない。私が、一生をかけて君を護ってみせる。だから」
 真っ直ぐな視線だった。裕子も落ち着きを取り戻していく。
「私と共に生きて欲しい」
 嘘偽りない本心だった。例え誰に止められたとしても、成し遂げる覚悟もあった。
 彼女は。
「……魔物にも、貴方のような優しい方がいるんですね」
 それは明確な拒絶の言葉。
「私達は多くの仲間を殺されました。自分だけ貴方の庇護の下で生きていくことは、できません」
「待て……恐らくは、君も、死ぬぞ」
 搾り出すような声。彼が人間らしさを見せるのは、これが最後になってしまう。
 裕子は静かに首を振り、そして微笑んだ。
「ありがとう。さようなら、竜仁さん」
 駆け出して行く。
 後姿が扉の向こうに消えた。
「……やはり私は、魔物としてでしか生きていけないのか」
 どうしようもない現実が横たわっていた。

 斬り落としても斬り落としても次々生えてくる。
「あながち根拠のない自信でもなかったようですね。キリがない」
『どーするご主人?あんまり派手な魔法は使えないぜ』
 綾乃が腕を振る。吹雪が部屋全体に広がった。
 バルバロスの右腕が膨れ、そしてまた無数の触手が弾けた。
<鬱陶しい吹雪なんざ吹き飛ばしてやるぜァ!>
 振り回す。直に吹雪に触れた部分が凍りつくが、自ら千切り捨てる。
<突撃ぃあああああ!>
 そして、突進。生やした触手を盾にして凍る側から使い捨てる無茶苦茶な戦法。だが、確かに止められない。
「お嬢様!」
<もう少しだぜ魔法少女オオオ!!>
 左手を伸ばすバルバロス。もう少しで綾乃に届く。その瞬間。
「くっ…キャストオフ!」
 綾乃のプロテクターと一部の戦闘衣が弾けた。一瞬で視界から離脱する。
<チョロチョロしやがって!>
 僅かな間、視線を左右させた。
 刹那に。
 若菜が後方に機動している。斬り込む。
 奇襲。
<と、思ったか?>
 笑うバルバロス。右肩が膨れ、また触手。
「しまっ……」
 たちまち若菜が絡め取られた。両腕をきつく戒められる。刀こそ落としていないが、動けない。
「若菜さん!」
「くっ……放せ、この野郎!」
<メインデッシュは後でいいか……まずはお前から頂くぜ……>
 股間にそそり立つ凶器の直上に持ち上げられた。明日香の悲劇が思い起こされる。
「な!…よせ……キサマ……!」
「放しなさい!」
 綾乃が攻撃態勢で跳躍する。しかし、バルバロスは捕らえた若菜を前面に突きつけた。
<こいつに当たるぜ?>
 動きが止まった。
 バルバロスはニヤリと笑い、
<そらよ!>
 めりブチぼこっ。
「あっぎ……!う、ぐ、あが……うが……」
 そのままインナーをずらしもせず、若菜の中へ無理矢理捻じ込んだ。
 これ以上ない苦痛と共に処女を奪われたにも関わらず、叫び声をあげなかっことが若菜の強靭な精神力を示してしているが、それがバルバロスには喜ばしい。
<前菜だと思ったがなかなか楽しめそうじゃねーか!>
 身体の前で若菜を抱き抱えたまま、綾乃に近づいていく。
「若菜さん……」
<さぁどうする魔法少女、撃つか?それとも一緒に犯してやろうか?>
「……う……ぁがっ……お嬢……ひぁっ…様……わた、に……ぎっ!……構わず……」
 歩く度に振動が伝わり、擬似魔法少女が呻く。
 綾乃は。
「……わかりました。若菜さん、許してください」
 据えた目で綾乃が言い放った。

 バルバロスの背筋に冷たいものが走る。
「加減はできません」
<……は?>
 右手を掲げる綾乃。吹雪の勢いが増す。
<お、おいちょっと待てよ、コイツ見捨てるのか?>
 綾乃は答えない。
<俺がその気になれば、子宮を突き破って殺すこともできるんだぜ!?>
 若菜の胎内の密度が急激に増す。
「…が……あが、が、が、はがああ、あがああ!!……お、おじょ……はや、ぐぅっ!!!」
 数本の触手がボコボコと暴れるのがわかった。目を背けたくなるぐらいお腹が波打っている。
<もういい!コイツは殺してテメエを>
「遅い」
 一瞬で半身が凍りついていた。
<な、こんな力を隠して……>
 若菜を串刺しにしていた凶器が砕ける。
 戒めから解き放たれた擬似魔法少女。
「……く……ぅあ……」
 床に座り込むが、すぐ立ち上がった。
 刀を構える。刀身を吹雪が包む。
「氷刃」
<ちくしょおおお!!>
 バキバキと凍らせた身体を砕きながら身を翻そうとするバルバロス。
「一閃!」
<グァッ……!!>
 ぼとり、と左腕が根元から落ちた。それでもなんとか間合いを取ったのはさすがとしか言いようが無い。
「……はぁ、はぁ……」
 下腹部を押さえ、刀を突きながらなんとか立っている若菜。
 かばうように、綾乃が前に出た。
<てめえら……一度ならず二度までも……ゆるさねぇ!!>
「貴様こそ、です」
 綾乃が止めを刺そうとした時、また、あの時の強大な魔力を感知した。

「バルバロス、何度目だ」
 王がゆっくりと歩いてくる。
「帰れ。後は私がやる」
 静かだが、有無を言わさぬ物言い。既に身体の一部が再生をはじめているバルバロスだったが、恐縮した風だ。
<も、申し訳ありません、我等が王>
「三度目は許さぬ」
 そそくさと退散する。
 一方、魔法少女サイドも動いた。
「若菜さん、下がって治療を受けて下さい」
「しかし、お嬢様お一人では!」
「その状態で戦えますか?」
 犯されたダメージが抜け切っていない。
「……お願い、退いて」
 小声で懇願する綾乃に、若菜は頷いた。やがて少し覚束ない足取りで退室する。
 対峙する綾乃と竜仁。
「……」
 魔法少女は閉じられた扉を氷で封印した。一対一である。

 王は、綾乃を指差した。
「絶滅しろ、魔法少女」
 身震い。
 前回見た時も圧倒的なものを感じたが、今回はまた何かが違う。
「氷哲!」
 マギアが光る。キャストオフの状態から、元の状態に戻った。
 その刹那、指差していた王の手が開かれる。
「!!!!」
 衝撃。飛ばされる。背中から壁に叩きつけられた。
「……がっは……!」
 装甲を戻していなければ、今ので行動不能になっていた。
 そう知覚する間もなく、目の前で王が拳を繰り出している。
 危ういところで避けたが、暴風でまた吹き飛ばされる。
(……捕らえて犯す気さえない、迷いなく殺すつもり……!)
『まずいぜ、まずいぜご主人!』
「氷哲、あれをやりますよ……!」
 立ち上がった。
 マギアのダイヤルを回す。
『アレしかないよな、おっしゃ任せろ!』
 氷哲が青く輝いた。
 一気に広がった吹雪が砕け、白く輝く静かな粒子へと変貌する。
「……」
 王はただ見てる。表情に変化はない。
『余裕かよ、だが好都合だぜ!』
 マギアが点滅しているが、白い粒子は乱れない。
 綾乃が両手を突き出した。
「──エンジェル・ダスト」
 白い粒子が王に集中する。たちまち、その姿が埋没していった。
(たとえ外側を凍らせることはできなくても、気管から体内を凍らせていく!いかに竜王といえども……)
「これが切り札か」
 白い輝きの中心から冷たい声がした。
 直後、あっけなく振り払われた。
 魔力弾が飛来する。
 被弾、また壁まで吹き飛ばされてしまう。
「……お…ご…………」
 衝撃でマギアが外れ、変身が解ける。
「……なんて…化……物……」
 人間体のままで、この圧倒的な差。
「私には触れることすらできなかったな」
 勝つ見込みのなくなった魔法少女を処分しようと近づく王。
 その歩みが止まる。
 視線が部屋の片隅を射抜くように見ていた。
「……?」
 予想された止めが来ないことを奇異に思った綾乃もそちらを見る。
「……須藤さん」
 枯れ木のような男が、ひっそりとそこにいる。
「微弱な魔力は貴様だったか。で、貴様は、誰だ?」
 王の質問には答えない。男はただ綾乃を見つめている。
 口を開いた魔法少女。

「……戦いなさい」
 少女は命じる。
「御意に、我が主」
 男は受諾する。
 部屋の空気が止まった。
 男の影が広がる。
 やがてそれが、男自身を呑み込みはじめた。
「やはり、魔物だったか」
 言いながら、王は生まれて初めての緊張感を自覚している。
 深く黒い影が、爆ぜた。
「!!!」
 影が伸びる。王は叩き落そうとしたが、力負けした。
 右手を取られそうになり、危うい所で後ろに飛ぶ。
「貴様、名はなんだ。王である私に迫れる程の魔物が何故こんなところにいる?」
 影は、ただこう言った。
<小僧、教育してやろう。本当の魔王の力というものを>
 竜王の表情が変わる。瞳が赤く輝いた。
 そして、彼の肉体も竜のそれへと変貌する。

 森林を駆け抜ける魔物が一匹。
 満身創痍だが、身体の再生は相当に進んでいる。
<ちくしょうちくしょう、あの魔法少女、絶対ゆるさねえ!!>
 逆上しているのはバルバロスだった。彼の頭の中は復讐しかない。
 だから、不意打ちを察することもできなかった。
<!!!>
 背後から連続の衝撃。思いっきり飛ばされ、前のめりに地を滑る。
<だ、誰だこの野郎!!>
 振り返った視界を炎が塞ぐ。
「いや、俺達は弱小勢力だからな。こういう機会を逃すわけにはいかなくてね、脳筋野郎」
<てめえは、姫君の魔導師!!!>
 炎に焼かれながらも立ち上がる。
「さすがはバルバロス、出来合いのインスタント魔法じゃ殺しきれないか」
<汚ねえぞ人間がああアアアアア!!!!>
「誉め言葉と受け取っておく。……折角の機会だ、俺の術でも試させてくれ」
 両手をパンと合わせる。
「 焔麓 」
 右手を突き出す。炎が凄まじい勢いで渦巻く。
<て、てめええ!!これで勝ったと、思……>
「 天落 」
 天を駆け上がった火炎がバルバロスめがけて逆落としに落ちる。
<わ、我が魂は、我等が王と>
「 浄陸 」
<共に在りィイイイイイイ!!!…………>
 右手を横に振る。火炎が消え、黒い炭となったバルバロスだったモノが残されていた。
 灰と化して少しずつ崩れていく。
「……まずは一体。問題は次だな、ヴァルキナスは多分俺と互角ぐらいだろうし……」
 ぼやきながらさっさと姿を消す魔導師。
 破焔は去り、後には灰だけが残っていた。
 ……。
「やれやれ……手のかかる方ですねえ。王は今頃魔法少女達を倒しているでしょうに」
 誰もいなくなった焼け跡に、いずこかに潜んでいた痩身眼鏡の男が一人。
「こんなこともあろうかと、核を移植しておいてよかったですよ。もう一回甦れますよ、バル殿」
 ホウキとチリトリでバルバロスだった灰をかき集めるプロフェッサー。その中から赤く光る石のようなものを見つけると、笑みを浮かべながら姿を消した。

 綾乃は自分が見ている情景が信じられない。
 同様に、竜王も驚きを隠せないでいた。既に余裕の表情は無い。
 竜人体である彼が、敵対者を倒しきれないのははじめてのことだった。いや、倒しきれないどころか押されてさえいる。
 影が四方から迫る。
 竜王のブレス。影が一瞬だけ止められる。
 王は腕に魔力を溜め、解き放った。光に呑まれた影が消滅する。
 しかし、半瞬後には再び這うように広がっている。
 部屋中の半分以上を覆う影の中に、爛々と光る二つの白い球体が王を見据えていた。
<認めよう。貴様…いや、貴方が相手では、今は分が悪い>
 見切りをつけると王の行動は早い。
<二度までも潰し切れないとは予想外だったぞ、青のメイガス>
 壁を砕き、捨て台詞を残してあっという間に撤退に移っていた。
 後に残されたのは、黒崎綾乃と深く広い影の魔物。
 影が綾乃に伸びる。触れる寸前で止まった。
「いいんですよ」
 少女は微笑んだ。マギアを広い、装着する。
『……俺ぁ、フリーズ状態になっとくよ』
 変身した。
「この状態なら……乱暴にして下さっても多分耐えられます。それに、はじめてではないですから」
 かつて一度だけ魔物に敗北した記憶が甦り、自嘲気味に言った。それでも影は躊躇うように動かない。
 綾乃はそっと影の先端に触れる。
「貴方の衝動は私が受け止める、そういう契約だったでしょう?」
 影が弾けた。少女を飲み込む。
 『彼』は一度この姿で戦うと、魔物としての本能を抑えられなくなり、触れるもの全てに被害を及ぼす。
 故に、綾乃はその時に自らの身体を差し出すことで、須藤を使役するという契約を結んでいた。履行はこれが初めてである。
 視界は深い闇で塗り潰されている。ただ二つだけの光点が少女を見つめていた。
 両手を頭上で拘束された。服の下に影が入り込み、控え目な胸や、瑞々しい下腹部をまさぐっている。
 下半身で影が寄り集まって逞しい螺旋となった。
 そして、濡れてもいない秘所を抉りはじめる。
「…………っ…!!!」
 耐える。
 その表情を見て、更に動きが容赦なくなった。螺旋が回転しはじめ、奥へ奥へと不規則にうねりながら進んでいく。
「うあ、が、あ、はが、あああああぁぁぁ!!!!!」
 絶叫。苦痛で背中が弓なりに仰け反る。
 螺旋は子宮口でも止まらなかった。更に奥へ、奥へ。
「あがががが…く、ん、ぎぃ、ああああああああ!!!!」
 これ以上進みようが無い所に達した。そこからまだ上へ捩じ上げようと動く。
「まだ、あごあああ゛あ゛あが゛あ゛あ゛……!!!!」
 目を白黒させてもがく魔法少女。
 螺旋の動きが変わる。一度引いて、突く動作。
「ぐへっ……!」
 肺腑から空気を押し出されるような感覚。
 もう一撃。今度は子宮の奥を叩くと同時に、螺旋が膨らみお腹を押し上げる。
「ぉっご……!!!」
 ぼん、とお腹が膨れた。そして引くと同時に元へ萎む。
 もう一撃を加えた瞬間、苦悶の呻きを吐き出した口腔内へも影が侵入する。
「おぼぼうごぉ……!!」
 喉の奥も陵辱されはじめた。
 下が突き上げると同時に喉奥へも突き込まれる。
 綾乃は満足に呼吸することもできず、意味のない喘ぎを漏らし続けた。
 やがて、瞳の焦点がブレはじめた頃、ずるりと上下を犯していた影が引き抜かれていく。
「……ぉ……ごは………がはっ!!げほっ、げほっ…ま、待って…………」
 少女は引き下がっていく影に手を伸ばす。
「…遠慮……しなくて、いいんです。私は、大丈夫だから……貴方の衝動が治まるまで、私を、使ってくださ」
 言いきらない内に、また影が殺到した。

 今度は粘体が秘口から子宮までをみっちりを満たしていく。明らかにもう入りきっているのに、風船に空気を吹き込むが如く、更に、更に。
「あひぃやあがはああああああああ!!!!」
 柔らかなお腹が妊娠したように膨れている。その奥で、粘体となった影がパチパチと弾けはじめた。最初は少しずつ、やがて胎内全域で。
「あぎゃ、ひぎ、ぎゃん!が、おが、や、ぎぃ、がおががああああああ!!!」
 微動だにできない手足が僅かに暴れている。
 身体の中での責め苦が一段落した。
「ま……まだ、だいじょう……ぶ……」
 息も絶え絶えなのに無理をして笑顔をつくろうとする綾乃。
 影が一本の太い棒ちなり、一直線に膣口から最奥までを貫通する。
「おがっ!!!!!」
 そして大きく引き、また突き殺すような勢いで叩く。
「がはっ!!!!!」
 何度も何度も最奥を叩いて責める。その度に、綾乃の細い体が痙攣する。
「……ま…だ……だいじょ……ぶ……れす………」
 虚ろになりかけた瞳で呟く。そしてまた影は主の身体を嬲る。
 それでも、その魔法少女はうわ言のように呟きながら彼を受け入れ続けた。

 夜が明ける頃。
 人間の姿に戻った須藤の腕の中にいる黒崎綾乃。
 犯し尽くされた秘所も口もだらしなく開いている。目の焦点は合っておらず、ひゅーひゅーと呼吸音のみが聞こえている。
 やがて攪拌された意識が少しだけ繋がり、少女は辛うじて笑顔を作り、彼に語りかけた。
「……ほら、大丈夫…だったでしょ……私は、生きてる…若菜さんも、生き残っていたみんなも……」
 僅かに残った力を振り絞って、掌を須藤の頬に優しく添えた。
「……ありがとう……」
 彼は犯し殺す寸前だった少女の身体を掻き抱き、その胸の中で泣いていた。少女は彼の頭を優しく抱き締めていた。


 ━To Be Continued━