寝静まった夜のビル街。
そのビル群の上を、高速で跳びながら渡っていく男が一人。
王とも竜王とも呼ばれる彼は、部下であるヴァルキナスの元へ向かっていた。
場所はわかっている。大きな魔力衝突のある所だ。恐らくは、あの山の向こう。
「プロフェッサーか」
いつの間にか、痩身の男が一人後ろについていた。アタッシュケースを持っている。
「我等が王、新しいベルトをお持ちしました」
嫌な予感がした王は、問い返す。
「念のため聞くが、デザインは何を参考にした?」
「いい質問です。今回はちょっと趣向を変えてみまして、メットを被ることで変身が完成いたします。すなわち、ライダーマ」
「持って帰れ」
即答した。
「ガンバッテツクッタノニ…」
「いい歳した魔物がメソメソするな鬱陶しい」
(´・ω・`)な顔をするプロフェッサーを叱りつける。時には厳しくすることも必要だろう。
「では、王は一体どのような……」
「もう前と同じ形でいいから、頼むから作り直せ」
「畏まりました。王もお好きなのですね、オルタナティ…」
「早よ去ね!」
プロフェッサーは恭しく一礼すると、引き返して行った。
王はすぐに意識を切り替える。
「魔物でありながら、人間の女性を襲わない一党か……若い魔物にそういった個体が増えているとは聞いていたがな」
彼自身も人間体でいる限りは普通の人間以上の性欲を持たない。
いや、と思い返す。
「……人間にも異常性欲者は数多くいる。我々も彼等も、そう変わったものではないのかもな」
決して共存はできないだろうが、とも思った。
人家の無い山中。
この場所を選んだのは、邪魔者が入るのを嫌ったためである。少なくとも、ヴァルキナスの方はそうだった。
今の彼は謹厳な壮年の男の姿ではない。額から角を二本はやし、赤く染まった鋼鉄の如き体躯を持つ、鬼人体となっている。
本来なら王に次ぐ実力を持つ彼だが、圧勝しているわけではなかった。
身に付けた着流しは所々が破れ、些か血が滲んでいる。
対する敵も、いくらかのダメージを負っているのは同様だった。
<驚いたぞ、よもや魔法少女でない人間でこれ程までにやれる男がいようとはな。若い女の方が魔力への親和性が高いと聞いていたが、卿のような存在もいるのか>
ヴァルキナスと互角に戦っていたのは、黒いスーツに身を固めた人間の青年である。
<魔導師か。とうの昔に絶滅していたと思っておったが……>
「貴方こそ、流石は竜王軍にその魔物有りと言われた鬼人ヴァルキナス。貴方でなければここで滅する自信はあったのだがな」
<違いない。認めよう、卿は強い>
互いに笑みを交わす。
男の右手に火炎が発現した。
「行け。チェイサー」
4発の火球となり、ヴァルキナスめがけて飛んでいく。ヴァルキナスは強大な金棒を振り回し、次々叩き落していく。
ざっと足音がした。すぐ傍に男が接近している。
「焼けろ、インフェルノ」
地に火炎が拡がる。鬼人は跳ぶ。
男は右手をグッと固め、そしてヴァルキナス目掛けて突き出した。
「インターセプター!」
光の矢が何本も放たれる。鬼人は金棒を水車のように振り回して弾いていくが、何発かは被弾してしまった。
<歳はとりたくないものだな。息が続かぬわ>
「貴方はまだ本気を出していない。待っているのか」
気配を探知したのはその直後だった。
「現れたな」
魔物達の王がそこにいる。
彼はヴァルキナスの隣に降り立った。
「ご苦労。遅くなって済まない」
<勿体無きお言葉>
「で、アレが噂の魔導師か。ああいう人種は魔法を弄る技術はあっても戦闘は不得手と思っていたが、毛並みが違うようだ」
一歩前に出る。
「バルバロスを翻弄しているのは彼の手腕に拠るらしいな。ここで潰しておくか」
「おいおい、竜王さんは擬似魔法少女を潰しに行ってたんじゃないのか。やっぱ狙いは俺の誘引かよ」
ゆらり、と周囲の空気が歪む。王は人間体のままでも強大な魔力を発揮できる。
それが、爆ぜた。
地響きと衝撃。
王の拳打を受け止める魔導師。
「驚いたな。人間が、私の拳を生身で受けられるものなのか」
「生憎、俺は武闘派でね」
魔導師の回し蹴り。王は下がる。
「確かに人間にしては手強い。しかし、私に勝てるとは思ってないだろうな?」
「人間では竜王とまともに戦って勝てるワケがない。だから」
「だから?」
「悪いが、俺は逃げる」
素早く懐からサングラスを取り出してかけ、地に魔力を叩き付けた。眩い光が溢れる。
<発光弾!?小癪な……>
ヴァルキナスが視界を取り戻した時、魔導師と王の姿が消えていた。
「やっぱ簡単には逃がしちゃくれないか」
逃げる魔導師、追跡する王。ヴァルキナスは追ってこない。
2、3発火球を撃って見たが、王は回避どころか防御すらしない。一瞬の時間稼ぎにもなっていない。
「……調子に乗って王を引っ張り出したのは流石にまずかったか?」
さてどうしたものかと思案する顔が急に険しくなった。
もう一つの大きな魔力反応が前方から急速接近しているからだ。
「……あちゃー……」
程なくして姿を現す。
悪魔のような翼を持った、外見13歳くらいの未だ年端もいかない少女。瞳が夜空に赤く輝いている。
王も姿を認めて足を止めた。
やがて、その少女の姿をした魔物が魔導師の傍らに立つ。
「姫様」
「帰るぞ、破焔」
破焔と呼ばれた魔導師が恭しい態度で頷いた。
姫と呼ばれた少女は、王を見る。
「はじめましてだな、魔人の姫君」
「そなたが」
「竜王と呼ぶ者もいる。君の婚約者だった男さ、ティート嬢」
「……会うのは初めてのはずじゃ」
「破談にされてしまったからね」
「何ぞ、フラれた男がまだ追いかけてくる気かや?」
くっくっくと笑う王。
「いや、やめておこう。姫君と魔導師二人を相手にするのは骨が折れそうだ。……破焔と言ったな、人間の本名ではなさそうだが?」
魔導師が答える。
「今の俺の名前は破焔でいい」
「……人間でありながら魔物に尽くす魔導師か。奇妙なものだ」
やがて姫君と従者は立ち去った。
魔人の姫君は別の街に根拠地を持っている。
帰還した二人は奥の私室にいたが、様相は先程とは大きく異なっていた。
「だーかーらー、何で出てきたんだよ!君自分の立場わかってんのか!?戦闘は俺がやる、君はここでドンと構えてていいんだ!」
怒鳴っているのが破焔。魔導師は敬語を全く使っていない。態度もデカイ。
「私は貴方の力量を信頼してるけど、王を相手するのは厳しかったんじゃない?」
「俺なら逃げ切れてた!」
「どうだか」
つーんとしてるのが姫君。二人っきりの時に限り、言葉遣いは完全に歳相応の女の子のものである。
実際、魔人の証である翼を引っ込めた彼女は、普通の可愛らしい少女にしか見えなかった。
「……いいかよく聞けよティート、君は確かに強い魔力を持ってる。いずれはあの竜王に匹敵する存在になれると俺は確信している。だがな、今の君はまだ子供、人間で言うと中学生くらいだ。はっきり言って現状では俺の方が強いんだよ」
「……むー」
「むくれるな!」
ギャンギャン吠える破焔。
「大体、万が一捕まったらどうするんだ!連中が女の子をどう扱うか……し、知ってるだろ!」
言いながら、思わず囚われたティートが魔物達によって大変な目に遭わされる情景を想像してしまい自己嫌悪に陥る破焔だったが、必死でそれを隠した。
「破焔さんが護ってくれるから、大丈夫」
「〜〜〜!!!」
暖簾に腕押し、悶える魔導師。
「あのなあ、俺は君の父上から、君を護るように託された。その為なら死んでもいい。竜王との婚約を破棄して敵対したのも、娘を想うが故の親心だろう。だが肝心の君がそんなフラフラしてたのでは護るものも護れない」
「ちょっと待って、今なんて言ったの?」
「んあ?いや、フラフラすんなって」
「その前」
「……君のお父上が婚約を破棄…」
「もっと前」
「君の為なら死んでも……あ」
「ソレもう一回言って」
「真面目に聞けェーッ!!」
からからと笑う姫君に絶叫する魔導師。
「確かに、彼等に捕まったら貞操の危機なのよねー。……私は、その……破焔さんだったら、奪われてもいいんだけど……?」
「ば、バカなことを言うのはやめなさい!もっと自分を大切にするんだ!」
言いながら、思わずティートを押し倒して犯してしまう情景を想像してしまい自己嫌悪に陥る破焔だったが、必死でそれを隠した。
「なによう、『ちゅうがくせいだって立派なおんなのこです』って言うんじゃないの?」
「そんな人として終わっとるロリコン哲学、どこで憶えたんだよ……」
また頭を抱える。
「……わかりました。今回は、勝手に出てきたことを謝ります。ごめんなさい」
充分遊んだティートは態度を変える。
「……いや、俺も言い過ぎた。ともかく、危ないことは勘弁してくれ」
「うん、わかった」
「じゃあ俺は擬似なんとかの情報を整理してくる。脳筋野郎との戦闘で損害が出たようだしな」
扉の方へ歩いて行く。その背中へ、姫君は聞こえるか聞こえないかの声量で言葉を投げかけた。
「……心配してくれてありがとう」
その言葉が、破焔に底なしの力を与えている。
つまるところ、彼もまた紳士的なロリコンなのです。
場所は変わって竜王サイド。
プロフェッサーの手術室から、人間体のバルバロスが姿を現す。
外見は以前と変わらない。
「よっしぁあ!腕もアレもなんかスゲエことになったぜ!見てろよ青のメイガス、次に会った時はコイツをブチ込んでヒィヒィ言わせてやるぜぇ!!……逃げた先知らねえけどな」
本拠地を襲撃された擬似魔法少女達は姿を眩ましている。別の拠点に移ったのだろう。
続いてプロフェッサーも出てきた。
「心配ありませんよバル殿。前回お渡しした薬は飲みましたよね?」
「おう、アレすげえ効いたぜ」
「実はですね、こんなこともあろうかと、精液から微弱ながら特殊な電波を発信させる成分を入れておいたのですよ」
「お前、段々何でもアリになっていくな……」
「報告では一人を犯しはしたものの、死なせてはいなかったようですね?うまくいけば残留精液から追跡できるかもしれませんよ?」
「ぉっしゃあ!だったら早速……ダメだ、王の許可が要る」
「我等が王は先見の明がおありです。先程、擬似魔法少女達の潜伏先が分かり次第、王自ら出陣されるとのご命令がありました」
「オオ」
「その前に、敵の戦力を減らす作戦を提案したところ、認められたのですよ。バル殿も戦っていいそうですよ?」
「オオ!流石は王だぜ!」
狂喜するバルバロス。
「ああそうそう、お渡しするモノがあったのです」
プロフェッサーは首飾りを一つ手渡した。
「今度は何だ」
「魔力の発散を抑える効果があります。バル殿は潜入が苦手のご様子。奇襲効果を高めるためにも、お使い下さい」
「……なんか、俺を実験台にしてねえか?ま、もらっとくよ」
受け取ると、バルバロスは去って行った。
「ほんとに実験台なんですけどね」
病室で傷ついた少女をずっと見つめていた。
彼女がこのような目に遭ったのも、他二人が死んだのも、全て自分のせいだ。
黒崎綾乃はそう思っている。それがトップである自分の在り方なのだ。自分が全責任を負わねばならない。
竜王サイドの推測通り、擬似魔法少女達は三つある拠点の内の一つに移っていた。
前回の襲撃に際し、ここはなんの被害も受けていない。なので彼女達はここの場所はまだ割れていないと思っている。
「お嬢様」
滝川主任が遠慮がちに病室に入ってきた。綾乃は立ち上がり、二人で席を外した。
「氷哲はマギアに入れておいたままでよろしいので?」
「今はまだ。細かい調整は後でかまいません、私のマギアの開発を急いで下さい。でなければ、竜王に対抗できない……」
人間体の状態でも勝てそうな気がしなかった。かつて、自分が魔法少女として戦っていた頃の戦闘力を以ってしても危ういレベルだろう。
「それともう一つ……」
「はい?」
「若菜さんのマギアを近接特化にチューンして下さい。彼女はそちらにかなりの適正があるようですから。……できますか?」
「そちらでしたらすぐにでも可能です。今夜中にはお渡しできるでしょう」
「……すみません。彼氏さんとのお約束も破ってしまったのでしょう?」
「お気になさらず。……ひと段落したら、休暇でも頂いて二人で旅行しようかと思うんです」
技術開発陣にも多大な負担を強いている自覚はあった。しかし、命じなければならない。
滝川主任は持ち場に帰り、綾乃は明日香の病室に戻った。
ベッドの明日香は、半身を起こしている。
「明日香さん……意識が……」
「お……嬢…さま……?」
魔物に陵辱された少女の瞳は、暗いままだ。
綾乃は駆け寄り、明日香の細い身体を抱き締めた。
「ごめんなさい、辛い目に遭わせてしまって、本当にごめんなさい……」
辛い目に。そうだ、自分は魔物に犯されて……。
「私、汚されたんだ……」
抱き締める力が少し強くなった。
「どうやって謝ればいいのか、どう責任を取ればいいのかわかりません、ごめんなさい……」
少しずつ少女の瞳に光が戻る。
「お嬢様、どうか、自分を責めないで……」
抱き締め返す。
「……私がこうなったのは、私が弱かったから……」
「そんなことは」
「お嬢様、また、擬似魔法少女として戦ってもいいですか……?」
身体を離す。綾乃を見つめる真っ直ぐな瞳には、力が宿っている。
「私思ったんです。あいつらを放置していたら、自分みたいな……いえ、佳澄ちゃんや涼子ちゃんみたいに殺される人だって次々出てくるんだって」
「それは……」
「そんなの許せないじゃないですか。だったら、私達みたいに戦える人達が戦わなきゃならないんです」
強い決意だった。綾乃にはそれが崇高で侵し難いものに見えた。
「わかりました。……私も躊躇しません、今後は陣頭に立ちます」
「お嬢様がいてくれたら、どんな相手だって戦える。そんな気がしてきました」
微笑みあう二人の少女。固い誓いを胸に、新たな戦いへ思いを馳せる。
その夜のこと。
人気の無い廊下を大男が忍び足で歩いている。
(俺は、こういうのは向いてないんだが……)
バルバロスである。
どうもプロフェッサーは楽しんでやってるんじゃないかという気がしてきたが、ともかく王に与えられた大切な任務である。手は抜けない。
「こちらバルバロス。擬似なんとかのアジトに潜入成功……連中は寝ている。繰り返す、連中は寝ている、たぶん」
小声で通信機で報告する。失笑が聞こえたような気がした。
『バル殿、発信源はそのまま真っ直ぐです』
「ドアがあるぜ。部屋になってるようだ。で、どうすんだ?」
『まずは目立たないように…被害を広げておいて下さい』
「了解。被害、ね……」
舌なめずり。
静かにドアをあける。病室のようだ。ベッドで少女が一人寝ている。
「ビンゴ……」
発信源は残留性液、すなわち、そこで寝ているのは前回犯した擬似魔法少女である。
バルバロスは少女の前に立つと、牛頭の異形へと変化した。それでも魔力の発散は抑えられている。
毛布を剥ぎ取る。
「……?え、何、キャッ…むぐ!」
<おっと>
気がついて声をあげそうになった明日香の口を左手で塞ぐ。
そして、右手で無造作に服を裂いた。
「むぐ、ふぐぅ!?」
肥大化した右腕、不気味にウネウネと、のたうつ下半身の生殖器が目に入る。
(嘘、なんでこんな所に……これって夢!?)
<俺はフラストレーションが溜まってんだ、悪いが、殺すつもりで最初からクライマックスでいくぜ!>
ずぶりゅ、と下半身のモノが突っ込まれた。ごりゅごりゅ膣内を突き進み、子宮口を抜け、子宮内に達する。
「ふぉぐ!?…おぐ、うぐ、ウグう゛う゛う゛う゛!!!!」
口を塞がれ、悲鳴どころか息が満足にできない。悪夢ではなく現実だと認識した。
だがこれは始まりにすぎなかった。子宮内に潜り込んだ先端が、四つに割れて内壁を押し広げはじめたのだ。
「ぉおおおうぐうぅうう゛う!!!」
ボコリとお腹が膨れる。右腕が複数の触手に変化し、体中に絡み付いて腹をギリギリ締め上げる。その状態から、激烈な前後運動が始まった。
バルバロスは本当に容赦していない。ギシギシ悲鳴をあげていたベッドが壊れた。そのまま床に押し付け、全身を叩きつける。
<オラオラオラオラオラァ!!同じ相手に二回も犯される気分はどうだぁ?>
「ほぐ!お゛ぐ!うぅああ!おご、む゛う!んぐぅ!!」
引くと同時に子宮ごと引き下げる、奥を叩くと同時に子宮壁を内側から膨張させる。外側から触手がギリギリと圧迫を加える。
抵抗など無意味だった。胎内から全身を突き抜ける苦痛の暴風に、身体が耐えられない。
マギアの無い彼女は、つまるところ15歳の少女でしかないのだ。
(お嬢さま……助けて…………死、ぬ……)
一突きごとに、交わした誓いが音を立てて砕けていく。
<どうした擬似魔法少女、このままだとまた中に出されるぞォ!?>
「むが、はめ゛……ぎッ!!」
<オラアアアアア!!!>
潰されるのではないかと心配になるほどの一撃。同時に、最奥で射精。
(……ごめ…ん……なさ……い……………)
希望も何もかも失われていった。
少女の意識が漂白されていく。
ぐったりした華奢な身体を責め立て続けるバルバロス。不意に、扉の方から物音がした。
「明日香ちゃん、まだ起きて……な、何!?」
様子を見に来た看護婦だろうか。まだ20歳そこそこのようだ。
右腕の触手が素早く伸びて、全身と首に巻きつき、手元に引き寄せる。
「あが……がは……!!」
死なない程度に首を絞められ、声が出せない。
必死になってもがくが逃れられない。
バルバロスの股間から、もう一本の生殖器が伸びてきた。
「……あ、が、はがあぁあぁぁ……!!!!」
ストッキングを引き裂き、下着を破り捨て、目を白黒させている看護婦に捻じ込んだ。
<ヒャハハハ、これだからやめられねえぜ!>
化物と接したことが無い彼女は苦しみ、痛み、混乱と絶望とで無抵抗に陥っている。
バルバロスのモノは大きく、また先程同様下腹部が膨れ上がるほどに圧迫している。
首を締め付ける触手が緩む気配は無い。ギリギリ呼吸できるかできないかのラインで弄ばれている。
彼女はその時点で失神してしまった。しかしお構いなしでガンガン叩きつけまくる魔物。
バルバロスは二人の身体を思う様に嬲り続けていた。
夜明け前。
最初に異変に気付いたのは、渚である。不運という他ないが、寝つきが悪かった彼女は夜の散歩の最中だった。
セミロングの少女は、明日香の病室の扉が開いているのを見つけ、訝しげに近づいていく。
中に入った。
つんと鼻を突く臭気。汚濁液の水溜りの上に、放り捨てられた少女と看護婦。
「え…ぉぶ」
変身する間さえなかった。
まず口の中に一本触手をブチ込まれた。太すぎて呻き声も出せず、噛むこともできない。そもそも、硬すぎて少女の歯では傷もつけられないだろう。
身体に衝撃が走る。当身を食らったと自覚した。薄れゆく意識の中、巨漢の魔物に四肢を拘束され、服を破られ、秘口に巨大なモノをあてがわれた感覚が、おぼろげに知覚される。
それが身体を裂くように侵入しはじめた時、激痛で意識が引き戻された。
「……んぶ、うぶぅぅぅぅう゛う゛!!??」
カランと音を立ててマギアが床に落ちる。必死に手を伸ばすが、届かない。
<ん?コレが欲しいのか?>
バルバロスはマギアを拾って目の前で見せびらかす。
(……変身………へんしん……しなきゃ……)
震える手を伸ばす。もう少しだ。
ごちゅっ。
「むぼぉう!?」
奥を突き上げられた。全身がビクンと震える。
<残念でした>
マギアが粉々に砕かれた。最後の希望を断たれ、絶望が広がり始める。
視界にピクリとも動かない仲間の身体が映った。その運命を悟った。しかしどうにもならない。
多数の触手が体中を蹂躙しはじめた。
膣内から子宮へ。子宮内、膣内で触手が割れて膨張しようとしている。
「ほぶ、ごぶ、おぶぅ……」
なすがままに犯される少女。
<ギャハハハハ!こういうのはどうだぁ!?>
柔らかなお腹を殴られた。
「がぶ」
遠くなりかけた意識が一瞬戻り、そしてまた薄れていく。
<夜明けまで時間が無ェ、遠慮なくいくぜええ!!!>
狂ったように少女を嬲る魔物。腹を何度も殴りつけ、胎内を抉りまわす。
その後の運命は、既に息の無い二つの亡骸と同じであった。
<あー、こちらバルバロス、擬似魔法少女2名を始末しといた。一般人も一人やっちまったが、まあいいよな>
3つになった遺体の横で一息入れている魔物。
『残る擬似は一名、それに青のメイガスでしたね』
<おー。あと男が一人いたが、ありゃタダの人間だろ。で、次はどーすんだ?>
『彼女達に発見させるのも面白そうですね。暫く放っておいてみてくれませんか』
<いい趣味してんなオイ>
バルバロスは人間体に戻って身を潜めることにした。
そして。
「……………………嘘…………なん……で……」
明日香の様子を見に来た綾乃が、変わり果てた三人を見つけた。
いずれも秘所がぱっくりと大きな口を開け、中から夥しい量の白濁液がこぼれ出ている。
捨てられた人形のように無造作に放置された三人。開かれた瞳孔が虚空を見つめていた。
綾乃は力なくその場に座り込む。
自らの無力さに打ちひしがれる魔法少女。
やがて駆けつけた若菜は怒りに震えていた。
そこへ、悲痛な空気を台無しにする声で出てきた男。
「おう、なかなかいい声で泣いてくれてたぜ?次に犯し殺されたいのはどっちだ?」
余裕のバルバロス。
殺意の視線が二つ、彼に向けられた。
━To Be Continued━