「がおー」
 猛々しく吼える蒼い虎男レイズに気圧されたかのように、ブラストル、サイクス、
ディバイソン、ケーニッヒ、そしてミャアの五体の魔物は後ずさりしてしまう。
「あなた……」
 レイズの背後、全裸で倒れている明美が弱々しく頭を上げた。輪姦されて痛ましい姿だが、瞳にはまだ力がある。
「どうしてここに」
「か、勘違いするなよ」
 前を向きながら、レイズは鋭い牙の並んだ虎の口でまくしたてる。
「俺はただ借りを返しただけだ。べ、別に、お前を助けたわけじゃないんだからな!」
「はいはい」
 とりあえず助かったらしい。ホッとしたら、体のあちこちが痛い。
「もう……乱暴にするんだから」
 きゅっと手で裸を隠し、明美はレイズの逞しい背中を頼もしく見上げた。
「誰かと思えば」
 レイズと同じ虎男のブラストルがにやっと笑う。こちらの体色は黒。
「ダミアンにケツの穴掘られてぴーぴー泣いてたレイズじゃないか」
「うるせー!」
 血管を浮かび上がらせて突撃するレイズ。
 そこに、牛男のディバイソンが背中の17門突撃砲を一斉射撃。
「メガロマックス・ファイヤー!」

 どかーんと爆発。

「きゃっ」
 座っている明美が後方に流されるほどの爆風。
 だが爆発の中心地にレイズの姿はなかった。
「上だ!」
 狼男のケーニッヒが叫ぶ。
 はっと見上げると、大きく翼を拡げたレイズが天井すれすれを飛んでいた。
 ナイトメア☆ジェットレイズ。その翼を畳むと、一気に急降下。ディバイソンの背中に。
「も、もー」
 突撃砲の並んだ背中にしがみ付かれ、ディバイソンがぶんぶんと走り回って振り落とそうとする。
だがそんなことでレイズは離れない。そして他の魔物も手出しできなかった。
「レイズクロー」
 虎の鋭い爪がガッとディバイソンの背中に食い込んでいく。
「もー! もー!」
 どったんどったんと暴れ回るディバイソンだがそれでもレイズは離れない。
今度は鋭い牙で首筋に噛み付く。
「エクスプロードバイト!」
 そして牙を通して、直接体内に魔力を流し込んだ。
「もー!」
 レイズの魔力が直接ディバイソンに送られ、内蔵をずたずたに焼き尽くし、ぶしゅーと体内から白煙が上がる。
 口と鼻からも白煙が吐き出され、ディバイソンはばたっと倒れた。その背中で「がおー」と吼えるレイズ。
「これで二体」
 最初のカノント−タスと合わせて二体目を撃破。ディバイソンの巨体は真っ黒な闇となり、徐々に消えていく。
 この世で死んだ魔物は死体を残さない。

 残るはブラストル、ケーニッヒ、サイクス、そしてミャアの4体。
「にゃーにゃー。みんなでやっつけるのにゃー」
 二体やられたとはいえ、まだこちらのほうが数は多い。猫耳魔法少女のミャアがお魚ステッキを振り回して、指示を出す。
と、その足をがっちりと誰かが握った。
「にゃー?」
 見下ろすと、魚の骨ミサイルでやっつけたはずのレイがいた。金髪の犬耳魔法少年。
「リザイア」
 ぎゅいーん。掴んだ手を通して直接魔法を叩き込む。
「はにゅーん」
 ミャアの生命力が奪われ、その分だけレイが回復。
 倒れ込むミャアを支えるようにして、逆に立ち上がるレイ。
「ミャアはここで寝てな」
「にゃうーん」
 ぐるぐる目を回すミャアを優しく横たえ、レイは毅然と立ちはだかる。残る3体に。
「これで2対3だな」
 とりあえずレイズは味方らしい。
「ぬう」
 最初の状況とは大きく変わった戦況に、ブラストルとケーニッヒとサイクスは顔を見合わせて唸った。
 この3体ならまだ戦えはするが、被害も大きいだろう。そしてこれ以上の損害はできるなら出したくない。
そしてこの3体とも、ダミアンの服従の呪いで操られているわけではなく、自由意志で参加している。
「逃げる、いや一時撤退するか」と切り出したのはケーニッヒ。
「うむ」と黒豹男のサイクス。
「そーれ、退却、退却〜」真っ先にブラストルが逃げる、もとい退却。
 高速魔物の3体は後方の通路に駆け込み、あっという間に見えなくなった。
「はぁー」
 レイは追いかけようとせず、安堵の息をついた。あのまま本気でやりあってたらどうなってたか。
「むう」
 一方のレイズも追いかけはしないが、不満そうに歯を噛み締めている。そして後ろを振り返り、すぐまた前を向いた。
「その格好をなんとかしろ」
「あら。照れてるの?」
 くすっと微笑み、明美はやれやれと立ち上がった。まだあちこちずきずきと痛む。
犯され、魔力を奪われ、これでは魔法による治療もできない。
「ほらよ。マスター」
 その明美にレイが自分の黒マントをかけてくれた。
「ありがと」
 明美の微笑みにレイは頬を赤く染めてぷいっと横を向き、ぐるぐる目を回すミャアを見る。
 さて。この猫耳少女をどうしよう。わんわん。

「わんー」
 そのとき、目を覚ましたルゥが、申し訳なさそうな今にも泣きそうな顔で、明美にとてとてと歩み寄る。
「ルゥくん。良かった。
「わんー。ごめんわんー」
「どうして?」
「だってー。ボク、ボクー。足手まといわんー」
「あはは。そんなことない」

 ぎゅーとルゥを抱きしめ、その柔らかな金髪と犬耳を撫で、明美は屈託なく笑った。
「ほら。こうしてみんな無事なんだから」
「わんー」
 ふりふりと尻尾を振るルゥ。
「ほら。ミャアちゃんも取り返せたし」
「わんわん。ミャアちゃんがいるわん」
 明美に言われてようやく気付いたのか。ルゥはミャアに向かってわんわん鳴く。
だがぐるぐる目を回すミャアは気付かない。駆け寄ろうろしたルゥだが、明美がぎゅっと抱きしめて止めた。
 レイがじっとミャアを見下ろしているからだ。
 ピンクのおかっぱ髪からぴょこんと生えた猫耳。可憐な肢体。まるで子猫のように可愛らしいミャア。
 ミャアはずっとレイを探していて、レイもミャアを探していた。だが出会う前に、
それぞれ犯され、服従させられ、敵対した。
 今のままでは、再開を喜ぶこともできない。
「犯せ」
 唐突にレイズが言う。レイはぎっと鋭い視線でレイズを睨み上げた。
「今のそいつはダミアンに服従させられてる。犯して魔力を奪わないと危険だ。
お前がやらないなら俺がやる」
「いや。いい」
 淡々と、レイが告げる。
「ミャアは、俺が犯す」
 二人の会話を聞いて、明美はぎゅっと抱きしめるルゥに、
「わあ。犯すですって。ケダモノー」
「わんわん」
「マスターが言うなー!」
 思わずツッコむレイ。そもそも彼とルゥの童貞を奪ったのは明美だ。
「にゃうーん」
 その大声で、びくっとミャアの猫耳が動く。
「それじゃ、私たちは隣に行ってるから。ほら、虎ちゃんもいらっしゃい」
「レイズだ」
 ルゥを連れて、明美は部屋から通路に出る。レイズも一緒。
「ルゥくんはいいの?」
「なにがだわん?」
「ミャアちゃんにエッチしなくても」
「ボクはいいんだわん。ご主人様がいるんだわん」
「やーん。嬉しいこと言っちゃって」
 ぎゅーとルゥを抱きしめる明美。こうしてると体の痛みも忘れてしまう。
 そんな明美を見下ろしながら、レイズはやれやれとため息を吐いた。
「ところでレイズくん。良いタイミングで助けに来てくれたわね」
「レイズでいい。俺はずっとここにいただけだ」
「ふーん。一人で突入して、ただ迷子になってただけじゃないんだ」
「そ、そそそそ、そんなことはないぞ! 一人で突入したはいいが、道に迷って、
迷子になってたとか、そういうことじゃないからな!」
「うん。道に迷ってたわけじゃないのね」
「そうそう。迷ってたわけじゃないぞ」
 にこやかに笑う明美と、脂汗を流して笑うレイズ。そんな二人を、ルゥはにこにこと見上げていた。

「にゃーん?」
 目を開けると、そこにはレイの顔。
 金髪に鋭い目つきの犬耳少年。

「にゃー。レイのお兄ちゃんにゃー」
 すぐさまばっと立ち上がり、きょろきょろと周囲を見渡す。レイと自分しかいないにゃー。
「みんなどうしたにゃー」
「ああ。ダミアンの手下なら逃げて行った」
「ふーん。レイのお兄ちゃんの仲間はどうしたにゃー」
「どっか行ったよ」
 気を利かせて二人きりにした、とはとても言えない。
「ふーんにゃー」
 ミャアは宙を見上げて、なにやら考え込み、
「ミャアも、ダミアンのお兄ちゃんの所に戻るにゃー」
「わー。ちょっと待て」
 慌ててミャアの尻尾を掴んで引き止める。
「なんだにゃー」
「だからなー」
 言えない。これから犯すなんて。

『犯せ』

 レイズの言葉が耳によみがえる。
「あのな。このままダミアンの所になんか返せないんだよ」
「なんでにゃー」
「なんでって……。ええい」
 ままよ。
 レイはミャアの尻尾を引き寄せると、ぎゅーと抱きしめた。背中に手を回して、その華奢な体を。
「にゃ、にゃー!?」
 突然抱きすくめられ、ミャアは目を白黒させる。驚きで尻尾がぴーんと上に伸びた。
「にゃー! にゃー! にゃー!」
 にゃーと叫ぶその可愛い口を、レイの口が重なって塞ぐ。
 すべすべで柔らかいミャアの唇。キスしながら、レイは舌を伸ばし、ミャアの唇をこじ開けてねじ込んだ。

 ぺろ

 舌で舌を舐めると、びくっと腕の中のミャアが身震いする。びくびく。

 ぺろぺろ

 最初は怯えたように震えていたミャアだが、すぐにぞくぞくと歓喜に震え、頬を赤く染め、瞳を熱く潤ませた。ぞくぞく。

 ぺろぺろぺろ

 そしてミャアも一緒になって、舌を舐めてくる。

 ぺろぺろぺろぺろ

 ミャアの舌をレイが舐め、レイの舌をミャアが舐める。ぺろぺろと。

 ぺろぺろ
 ぺろぺろ
 ぺちゃぺちゃ
 ぺちゃぺちゃ
 ぺちゃぺちゃぺちゃ

 いつしか唾液が混じりあい、ぐちゅぐちゅと淫らな音が響いていた。キスした口からよだれがぽたぽたと漏れてしまう。
「ふにゃー。ふー」
 ぺちょぺちょと落ちるよだれ。真っ赤になったレイとミャアの顔。それでも二人はぺちょぺちょと舌を舐め合い、抱き合いながら倒れ込んでしまう。
 床に転がり横抱きになりながらも、ぺちょんぺちょんと舐め合う。

 ぺちょんぺちょん
 ぺちょんぺちょんぺちょん

 床にこぼれるよだれが滴となって溜まっていった。それは犬と猫の汁。犬猫汁。
 溜まったよだれがほっぺまでぐちょんぐちょんに濡らす頃、ようやく二人は口を離す。
 真っ赤な顔、潤んだ瞳で見詰め合い、共に濡れた口を開いた。
「わんわん」とレイ。
「にゃーにゃー」とミャア。
「わん」
「にゃー」
「わんわん」
「にゃーにゃー」
「わん」
「にゃー」
「わんわん」
「にゃーにゃー」
「わん」
「にゃー」
「わんわん」
「にゃーにゃー」
「わん」
「にゃー」
「わんわん」
「にゃーにゃー」
「わん」
「にゃー」
「わんわん」
「にゃーにゃー」
「わん」
「にゃー」
「わんわん」
「にゃーにゃー」
「わん」
「にゃー」
「わんわん」
「にゃーにゃー」
「わん」
「にゃー」
「わんわん」
「にゃーにゃー」
「わん」
「にゃー」
「わんわん」
「にゃーにゃー」
 わんこのわんはわんわん。
 にゃんこのにゃーはにゃーにゃー。
 とっても素敵。

「わかったにゃー」
 レイと会話して何がわかったのか。ミャアはやおら横になったまま、着ているピンクのワンピースを脱ぎだす。
よいしょ。よいしょ。寝ながら脱ぐのは大変。
「うん」
 レイも何かを決意したかのように、ズボンを脱ぎだす。ぽんと飛び出すのは犬少年のペニス。
もちろん勃起中。この状態で蹴られると、とっても痛い。でも大丈夫。ここにはそんなことをする正義の魔法少女はいません。
「にゃー」
 そしてミャアが晒した淡い膨らみに、さっそくレイは飛びついてしゃぶりだす。
 ピンと尖った乳首に薄い乳房。犬の舌がべちょべちょと走り、舐め、吸う。
「にゃー! ふにゃー! にゃにゃにゃー!」
 喉の奥から迸る猫の叫び声。交尾のシーズンに聞こえてくるあの声です。
「ふみゃー」
 切ないような、悲しいような、それでいて熱い嬌声。ミャアの声に尻尾とペニスをびんびんさせながら、
レイは少女の膨らみかけの乳房を自分の唾液で汚していく。
「みゃー!」
 ミャアが、猫耳をぴくんぴくんと揺らし、赤くなった細身の体もぴくんぴくんと揺らす。
愛撫で感じている。それが何より嬉しかった。
「ふみゃみゃー」
 不意にミャアが飛び跳ね、体を丸めてしまう。レイも思わず口を離した。
「にゃー。にゃー」
 息を整え、潤んだ瞳でミャアは見た。レイの裸体を。ずっと探してた魔物。
「にゃー」
 そのレイの股間から伸びた某がビクビクと動くのを見て、反射的にミャアは飛びつく。
「お、おい」
 レイが驚く間に、ミャアは両手でしっかりと脈動するペニスを押さえつけ、猫舌を伸ばす。
「うおっ」
 猫のざらざらした舌に敏感な棒を舐められた瞬間、レイの腰がびくっと動いた。
その反応が面白くて、ミャアはざらざらとしゃぶるように舐めていく。肉棒を。
「わんー」
 レイは止めなかった。気持ちよかったから。
「ミャア。お尻をこっちに向けて」
 レイの股間に顔を埋めながら、ミャアは素直に尻を差し出す。レイの顔の前に。
 ピンクの割れ目を眼前にして、レイはうっとりと息を止めた。まだ陰毛も生え揃っていない猫の秘所。
じっとりと濡れているそこに、レイは犬舌を伸ばした。
「ふにゃっ!?」
 ペニスをしゃぶっていたミャアの動きが一瞬止まる。だがすぐにまたフェラチオを再開した。
 その動きに負けないように、レイもせっせと目の前の割れ目に舌を走らせる。
「にゃー」「わんー」
 シックスナインの体勢で、互いに性器を舐め合う犬と猫。

 ぐちゅぐちゅ

 聞こえてくる淫らな音。
 それは犬と猫のハーモニー。

 しゃぶられるレイの股間がびくびくと蠢く。
 限界が近いのを悟り、レイはさっと腰を引いた。
「にゃー?」
 物足りなさそうなミャアの声。口の周りをべとべとに濡らしている。その顔があまりにも可愛くて。
レイはミャアの股間から顔をあげ、その唇をぺろっと舐めた。そして猫耳に囁く。
「四つん這いになって」
「わかったにゃー」
 素直にミャアは四つん這いになる。猫のように。これから何をするか分かっていないような顔。
だが本当はわかっている。その股間はびっしりと濡れている。すでにレイにしゃぶられ、
体は出来上がっていた。そしてダミアンに犯され、ミャアはすでに女になっていた。
 それがレイには残念だが時は戻らない。だから今は。
「挿れるぞ」
「わかったにゃー」
 あっさりとミャア。ダミアンの服従の呪いも今は関係ない。
「うっ」
 軽く先端を挿れただけで、レイの脳に痺れるような快感が走る。固く狭いミャアの肉穴。
明美よりもずっと慣れてなさそうだが、それがまたよい。
「にゃにゃにゃー!」
 ミャアが甲高い声を上げ、床をがりがりと爪で削る。正常位で抱き合ってたら、
間違いなくレイの背中を切り裂いていただろう。
 やっぱりバックでよかった。これからもそうしよう。
 レイの冷静な思考はそれまでだった。完全に肉棒を埋没した途端、きゅーと固く締め付けられ、思考が真っ白になりもう何も考えられない。
「わ、わんー!」
 ただがむしゃらに腰を振り、ミャアの小さなお尻と胸と体を揺らす。
「にゃー! ふにゃにゃー!」
 ピンクのおかっぱも揺らし、ミャアは切なく甲高く鳴き続けた。雌猫の声で。
「みゃー! みゃー!」
 それは雄と交尾し、子供を作る雌猫の鳴き声。命を生み出す音。
「ふにゃにゃー!」
 がりがりと床を削り、しなやかに背筋が仰け反る。汗の流れるミャアの白い背中。
その背中の艶かしい動きを見下ろしながら、レイはぐっと下半身に力を込めた。
 射精を我慢するために。反射的にレイは耐えようとしたが遅かった。
「ふみゃみゃみゃー! にゃー!」
 ビクンっ、とミャアの背筋が限界まで仰け反り、そして止まる。ぎゅっと締まった膣に、レイの濃い精子が注ぎ込んでいた。
「ふにゃー!」
 限界まで喘ぎ、絶頂し、同時にミャアの魔力がレイに流れていく。
「くっ!」
 ミャアの魔力を吸収する感覚と同時に、レイは肉棒を引き抜いた。
 抜かれた肉棒からぴゅるっと飛び出した精液が、ミャアの背中と尻にかかり、射精はすぐに止まる。
レイ自身はかなり長いこと射精してたような気がするが、実際はそれほど長くはない。
若いときの無我夢中な交尾では、射精は長く感じるものだ。
「ふみゃー。ふみゃー」
 絶頂の余韻と魔力を奪われた虚脱感にぐったりと床にひれ伏し、ミャアは乱れた息を吐き続ける。

「終わったにゃー?」
「あ、ああ」
 呆然とレイは答える。あまりの気持ちよさ、そしてミャアと結ばれた喜びにひたり、放心しきっていた。
「よかったにゃー」
と、ミャアは脱ぎ捨てていたピンクのワンピースを着て、とことこと歩き出す。
「おい。待てよ」
 慌てて呼び止めるレイ。
「どこに行くんだ?」
「ダミアンのお兄ちゃんの所に帰るにゃー」
 レイに抱かれようが、魔力を奪われようが、ダミアンに服従させられているkとおに変わりはない。
そしてレイにはその呪いを解くことはまだ出来ない。
「まあ待て」レイは後方に向かって呼びかける。
「見てるんだろ。出て来いよ」
「えへへ」
 声をかけられ、明美先生がその綺麗な顔をひょこんと出した。顔が赤い。うっすらと汗をかいている。
若い情熱的な交尾に興奮したらしい。
「やるじゃないレイくん」
「わんわん。よかったわん」
 明美の後ろからはルゥ、それにレイズが続く。
「にゃー。ルゥくんにゃー」
「よかったわん。ミャアちゃんも一緒わん」
「ミャアはダミアンのお兄ちゃんの所に帰るにゃー」
「わかった」
 レイが重々しく告げた。
「俺たちもダミアンの所に行く。案内してくれ」
「わーい。一緒に行くにゃー」
 てくてく歩くミャアに続いて、レイ、明美、ルゥ、そしてレイズも進む。
「いいの?」
 明美に聞かれ、レイは憮然と答えた。
「ああ。どうせ決着は着けないといけないし」
 そしてミャアを取り返す。レイの瞳はそう語っていた。その瞳を見てそっと息をつき、明美は何も言わないことにした。
 男の子はがんばることも必要だと分かっているから。
「うむ。ダミアンの野郎は一度しめなきゃいかん」
 レイズも頼もしく頷いた。
「にゃーにゃー」
 ミャアの案内で明美先生チームは進んでいく。レイズを加えて。
「さて。大和くんたちはどうしてるかしらね」

 その頃、我らが大和は。
「むきゅー」
 ちんこをへし折られていた。痛い。
『やあ。僕はちんこの妖精』
 だがその脳内で呼びかける者があった。ちんこの妖精さんが。


(つづく)