レイズが明美先生を助けていた頃。
 ダミアンに操られた5人の正義の魔法少女‐アリサ、アオイ、ホナミ、ユイ、チヒロ-は、
グスタフに運搬されながら、頭を突き合わせて作戦会議を行っていた。
「大丈夫。アリサにお任せだよ」
 一番年下のアリサの言葉に、みんな神妙に聞き入る。敵のことを一番よく知っているのが彼女だから。
「まずはね」
 そしてアリサ立案のヤマト撃滅作戦が開始される。

「早く人間になりたーい♪」
 真っ暗な通路を悪魔の目で見通しながら、悪魔の姿のナイトメア☆ヤマトが歌いながらてくてく歩く。てくてく。
その左右に並ぶのは、どちらも金髪美少女のエステルとエリカ。
「うーん。今頃、リリムや明美先生はどうしてるかなー。両手両足切断されて、公衆便所にされてないといいけど」
 てくてく歩きながら、ヤマトは分断された仲間の事を心配していた。
「それはないと思いますよ。ダミアンお兄さまはあれで優しい魔王を目指してるそうですから」とエステル。
「わからんぞー。アリサならそれぐらいはするかも」
「それはあるかもしれませんね」
 呑気に会話していると、通路の先にだだっ広い玄室が見えてくる。今までも何度か通ってきた玄室。
これまでは何もなかったが‐
「あ、誰かいる」
 マジカル☆エリカの言うとおり、その玄室には魔法少女が待っていた。

「マジカル☆ユイ、プリンで行きます」
「マジカル☆チヒロ、園芸で行きます」

 二人だけ。
 アリサよりも小さくてプリンの妖精のようなユイと、なぜか体操服に赤いブルマのチヒロ。
 小柄な魔法少女二人を見て、俄然ヤマトは目をギラギラと輝かせた。
「可愛い=。犯したーい」
 そんなヤマトに構わず、左右の金髪美少女は名乗り返す。

「マジカル☆エリカ、優美に行くわよ」
「ナイトメア☆エステル、美麗に参上」
「ナイトメア☆ヤマト、邪悪に参上」

 慌ててヤマトも名乗りを上げる。これは義務でありお約束でありこの世界の法則である。
「うわぁ。ちっちゃーい。かわいー」
 そしてヤマトは再び、魔法少女たちを見据えて瞳をギラギラさせる。特に小さいほうのユイを見ながら。
「ユイちゃんとやら。小学何年生?」
「が、学園の先生です!」
 ぷっくらほっぺを赤くしてユイは訂正する。
「へー。先生かー」
 ちっちゃいちっちゃい体に、長い栗色の髪。今は魔法少女特有のひらひらコスチュームなものだから、さらに幼く見える。
「うぅん。小学生じゃないのか。残念だが可愛いからいいや」
 この男、最低。

「そんなことより。アオイはどこ?」
 そんなヤマトを押し退けて、アオイが訊ねる。彼女は親友を取り戻しに来たのだ。
「え、ええと。ここにはいません」
 丁寧に答えてから、ユイはきっと可愛い眉を釣り上げて、精一杯胸を張って言う。ぺったんこの胸を。
「こ、ここを通りたかったら、私たちを倒してからにしなさい」
 ユイの横のチヒロも一緒になってこくこく頷く。青ざめた顔で。
「アリサもこの奥かな」
 妹がいないのを確認し、ヤマトも出た。ぎゅっと緊張するユイとチヒロの先生と生徒コンビ。
「それじゃ、倒して、犯して、壊して、魔力奪って、絶望させちゃうぞー」
 がおーっと、ヤマトは襲い掛かる。まさにケダモノ。悪魔だもの。

「きゃー。きゃー!」
 悲鳴を上げるチヒロの横で、ユイはさっとプリンを掲げた。
「ぷっちんプリン、ぷりぷりプリーン」
 するとあら不思議。でっかいプリンが宙から落ちてきて、ヤマトの悪魔の巨体をずぼっと包み込む。
「しっかり。これも作戦です」
「は、はい」
 言われてチヒロもしっかりと植木鉢を構える。そう。この二人だけで待ち構えていたのは作戦なのだ。
「プリンは甘いわー!」
 飲み込まれてすぐさま内側からプリンを吹っ飛ばして自由になるヤマト。
「ふれー。がんばれー」
「マスター、がーんば」
 エリカとエステルは後方からのほほんと声援を送っている。ここはヤマト一匹に任せるつもりらしい。
「バインディング」
 チヒロの手にした植木鉢から蔓がするすると伸び、ヤマトの四肢に絡みつく。
だがこれも力任せにあっさりと引き千切った。
「きゃっ!」
「デビルファイヤー」
 怯んだすきに口から火を噴く。
「きゃー! きゃー!」
 火を見ると、チヒロは驚いて逃げてしまう。
「プリンさんお願い!」
 すかさずユイがプリンの壁を出して炎を遮断。だがそのプリンもすぐさま焼きプリンになってしまった。
「こんなプリンは美味しい悪魔ーっ!」
 どかーんと体当たりで焼きプリンを吹き飛ばし、ヤマトはユイのすぐ前方まで距離を詰めた。
「デビルサンダー!」
「きゃー!」
 角からの電撃に、びりびりとユイは痺れてしまう。
「くっくっく。苦しむがよい」
 小さな可愛いユイが電撃に撃たれて悶える姿に、ヤマトはキュンキュンに胸を高鳴らせた。
「あ、ああぁ……」
 電撃に痺れるユイの後方では、チヒロがぺたんと座り込んでしまう。
「う、ううぅ……」
 そしてとうとう、電撃でボロボロになったユイは倒れてしまった。
「ほーれ。そっちもデビルサンダー」
「キャアアアアアーッ!」
 今度はチヒロにも電撃。苦痛にのたうちながら、床に倒れてしまった。

「この二人……弱い」
 戦ってすぐにヤマトは気付いた。相手がよわっちいことに。
「捨て駒かな」
 余裕の足取りでチヒロに近付き、体操服にショートヘアの少女をねめつけるように見下ろす。
ケダモノの目で。
「ま、待ってください……」
 ハァハァ、と黒く煤けた魔法のコスチュームで、ユイがよろよろと立ち上がる。
「私の生徒には……手出しさせません……」
 小さな可愛らしい顔は、ただ生徒を案じる教師の顔。
「ほう」
 ボロボロのユイに向き直り、ヤマトは悪魔の爪をしゃきんと伸ばした。
「それじゃあ、先生が身代わりになるか?」
「私は……もう……」
 ゆっくりと両手を上げるユイ。その手に握られるのはプリン。
「生徒が泣くのは見たくありません」
 だから。
「見ててください。先生の必殺技!」
 祈りを、願いを込めて。マジカル☆ユイの魔力がマジカル☆プリンに集まっていく。

「マジカル☆プリン・ファイナルプリプリ〜!」

 それは、プリンの嵐。プリンの妖精が起こすプリンの奇跡!
「ぬ、ぬお〜」
 幾千幾万のプリンに飲み込まれ、ヤマトの巨体がどーんと吹っ飛ぶ!
「こ、これが……プリンの力!」
 ばたんきゅー。宙高く吹っ飛ばされたヤマトは、そのまま床に倒れ込む。
 そして立ち上がった。
「痛いよー」
 必殺技を喰らった感想がこれである。確かに擦り傷は出来て痛そうではあるが、
まだまだ元気。
「そ、そんな……」
 必殺のプリンでさえ仕留め切れず、ユイはがくっと膝をついた。もう魔力が残っていない。
「まだです!」
 そのとき、背後から力強い声。
 マジカル☆チヒロだ。ユイがそうであったように、勇気と魔力を燃やし、植木鉢の祈りと願いを込める。
「わ、わたしだって……!」
 魔法少女だから。みんなを守りたいから。例えダミアンに操られていても、その気持ちは変わらない。
 だから。
「みんなを守ります!」
 植木鉢の植物が花を開く。それは青いチューリップ。

「マジカル☆フォステリアナ・ファイナルブリザード!」

 青い……花びらが華麗に舞い、吹雪の如くヤマトを包み込む!
「お願い!」
 さらに巨大な青いチューリップが頭上からヤマトをぱくっと咥え、上半身を飲み込んだ!
「あ、食べられた」
「食べられたましたね」

 のんきに観戦しているエリカとエステルが、その様子を直接的に表現する。
「もが−。もががー」
 ヤマトじゃ巨大な青いチューリップに上半身を飲み込まれ、じたばたもがく下半身しか見えない。
「お願い! 食べられて!」
 チヒロの願いに呼応して、青いチューリップはますます力強く輝き、ヤマトを飲み込もうとする力もぎゅいーんと強くなる。
「もがもがー」
 巨大植物に食べられようとするヤマト。飲み込まれながら、その口を大きく開いた。
「デビルファイヤー」
 ぼー。ぶしゅー。
 口から火を噴くと、青いチューリップは内側から燃えてしまう。
 内側からごうごうと燃え、もくもくと白い煙を吐き、ぷしゅーと撓れてしまうチューリップ。
その花弁から、食べられていたヤマトがすぽっと上半身を抜け出す。その悪魔の体も黒く煤けていた。
「ごほっ、ごほっ。そうだよな。植物なんだから燃やせばいいんだ」
 エリカとエステルがぱちぱちと拍手している。見てるだけ。
「そ、そんな……」
 必殺技が破られ、チヒロもまたがくっと膝をついた。
「デビルサンダー」
 そこにすかさずヤマトが電撃!
「キャアアーッ!」
 電撃をまともに浴び、チヒロの小柄な体が床の上をのたうつ。
「やめなさい!」
 そこにユイが割り込み、ヤマトは目標をそちらに変えた。
「きゃああああーっ!」
 小学生低学年にしか見えないユイが絶叫を上げ、可愛い顔を苦痛に歪め、痙攣して、倒れる。
「あ、ああぁ……。きゃーっ!」
 倒れてからもさらに電撃を浴びせられ、大きく飛び跳ねるユイの小さな体。
「きゃー! イヤー!」
 その悲惨な光景に、ヤマトはにやーと笑みを浮かべて、電撃を放ち続けた。
「わー。ヤマトったら悪魔ー」
「電撃責めがお好きなんですよ」
 エリカとエステルの冷めた視線を背に、ヤマトはようやく電撃を止めた。
 ぷしゅー。
 うつ伏せに倒れたユイの小さな体からは白煙が上がり、ぴくぴくと痙攣している。
プリンの妖精のような可憐なコスチュームはさらにボロボロで、見ているだけで痛々しい。
「や、やめて……。もうやめてください……」
 同じく倒れ込んだチヒロが弱々しく声を出す。自分ではなくユイを痛めつけるのはやめてと。
「助けて……。誰か……」
 そして必死に助けを求める。
 2人だけで戦ったのはアリサちゃんの作戦。だから助けてくれると思っていたが……。

 しーん。

 助けは来ない。
「そんな……」
 涙の溢れるチヒロの眼前に、ぶっとい足が踏み降ろされる。
悪魔の、ナイトメア☆ヤマトの足。

「あ、あぁ……」
 見上げればそこに悪魔の顔。
「きゃっ!?」
 ヤマトはチヒロの短い髪を掴み、強引に引き上げた。
「い、痛い……!」
 髪の毛を引っ張られ、溢れていた涙がぽろぽろと落ちる。
「可愛いな」
 いかにも弱気でおとなしそうなチヒロの可愛い顔を眺め、ヤマトはにたっと卑猥に笑った。
「いや……あぅ……」
 その悪魔の笑みを間近に見せられ、チヒロはがくがくと背筋が凍える。自分を犯し、嬲った魔物たちと同じ笑み。
「許して……。お願い……もう、いや……」
「そう言って許してもらったか?」
 そう。決して許してもらえない。それは分かっている。
 だけど。チヒロは震える声で呟いた。
「助けて……許して……」
「ふん」
 掴んでいた髪を離すと、チヒロはぺたっと尻餅を付いてしまう。
 だが安心する間もなく、悪魔の忌まわしい体が覆い被さってきた。そして鋭い爪が、チヒロの体操服を一気に引き裂く。
 ビリリッ。
「きゃああああーっ!」
 絹を引き裂く音と、絹を引き裂くような悲鳴を同時に間近で聞き、ヤマトの口元がさらに笑みを強くする。
「わー。無理矢理にエッチする気ですよ。ケダモノー」
「マスターはああいう悪魔ですから」
 エリカとエステルはさらに冷めた視線を送っている。エステルはともかく、
正義の魔法少女であるエリカも見ているだけ。

「い、いや……イヤ……あ……」
 ふるふると瞳が恐怖に揺れ、寒さで震えたようにガチガチと歯がかち合って声は言葉にならない。
引き裂かれた体操服。小振りの乳房が丸見えだが、腕は震え、隠す余力もない。
 すっかり怯えきった様子のチヒロに、ヤマトはぎゅんぎゅんと股間を熱くした。
「いいねー。その反応」
 必死に戦い、それでも無惨に敗れ、怯える魔法少女を力尽くで犯す。陵辱する。嬲る。
 これ以上の愉しみがあろうか。
「可愛いおっぱい」
 晒された可憐な膨らみを鋭い爪でつんつんと突付くと、チヒロの胸がびくっいと小刻みに震え、
口から「ヒッ」と怯えた声が出る。
「いや……いやぁ……。ひどいこと、しないで……ください……」
 むせび泣きながら漏れ出る哀願に、ヤマトの愉悦はさらに高まる。
「ひどいことっていうと」
 乳房をつつく爪を上げ、チヒロの眼前でギラッと輝かせ、
「この爪でその綺麗な目ん玉を抉るとか」
「ひっ……!」
「それとも、おっぱいを引き裂いて、中身を見てやろうか」
「っ……!」
 びくんっとチヒロの腰が揺れ、その下半身を見て、ヤマトはにんまりと笑った。
「あーあ。漏らしちゃった」
 赤いブルマがじっとりと濡れている。鼻をつくアンモニアの匂い。

「いやぁ……。やめ、やめてください……」
「ごめんごめん」
 すっ、と悪魔の爪が濡れたブルマの中央部を引き裂く。その下は何も穿いていない。
パンツは没収され、可愛らしい恥毛が生えた秘所が剥き出しで。
「う、ううぅ……」
 チヒロの眼からさらに濁流のような涙が溢れた。
 その涙を悪魔の長い舌で拭うと、しょっぱい味がした。その舌を、ブルマに開けた穴に入れてみる。
「いやっ!」
 チヒロの股間がきゅっとしまる。漏らしたばかりのそこはおしっこの味がした。
そして熟す直前の果実の甘い味。
「じゅ〜すぃ〜」
 軽く触れただけでも乙女の青い味が堪能でき、ヤマトはさらに恥ずかしい割れ目をなぞろうと、舌を走らせる。
「いやっ……いや……イヤーッ!」
 恐ろしい容貌の悪魔に、もっとも恥ずかしい部分を舐められ、チヒロはおぞましさに全身を緊張させた。
だがその反応はヤマトを悦ばせるだけ。
「ブルマを履かせたままでヤッてみたかったんだよね」
 それは男の子が必ず見る夢。だが夢は呪いでもある。
「あ、あぐぅ……。助けて……たす……」
 そのチヒロの掠れた声に応える者は……
「やめて……ください……」
 いた。
「生徒に……手を出さないで……」
 電撃を散々浴びせられ、ボロボロになったコスチューム。小さな体はまだ痺れてろくに動けない。
 それでも。
 ユイは立ち上がる。生徒を、教え子を守りたいから。
 何故なら。
 魔法少女マジカル☆ユイは、先生の野ノ原 結だから。
「私が……代わりになります……。だから……」
「ほほう」
 ボロボロの身でよたよたと立ち上がるユイに、ヤマトは目を細めた。少しばかり感心していた。
「代わりに、ね」
 健気な姿に試したくなる。どこまで耐えられるか。
「あうっ」
 泣きすするチヒロを放り出し、ユイに迫る。
「それじゃあ、代わりになってもらおうか」
 ユイの長い栗色の髪を掴むと、無造作に持ち上げる。
「あぐうっ」
 軽いユイの身は簡単に持ち上がった。
「デビルサンダー」
 そこに再び電撃。
「はうっ! きゃっ!」
 今度の電撃は出力を落としている。だからこそ簡単には失神しない。
「はうっ。はうっ。はううっ!」
 髪の毛を掴まれてぶら下がるユイの小さな身がびくんびくんと飛び跳ねる。
眼から涙がこぼれ、大きく開いた口からはよだれが溢れてきた。
「どうだ」
 電撃をとめ、ヤマトは訊ねる。
「まだ続けるか?」
「う……」

 歯を食い縛り、ヤマトを見上げ、ユイは涙目で、しかし、はっきりと告げた。
「お願いです……。生徒は……許して……」
「よかろう」
 感心しながら、ヤマトは髪の毛を離した。崩れ落ちるユイの小さな体。長い髪が床に広がる。
「きゃっ!?」
 その小さな可愛らしい顔を、ヤマトの、悪魔の大きな足が踏んづける。
涙でくしゃくしゃになった顔が歪み、口と鼻から血が流れ出た。
「ひぐっ……あぐうぅ……!」
 ぎしぎしと頭蓋骨が悲鳴を上げる。それでもヤマトはぐいぐいと踏みつけた。
「やめ……やめて……」
 涙で震える声。チヒロだ。彼女は床にうつ伏せになり、動けないながらもユイを見ていた。
自分の身代わりになった先生を。
「ちょっと。やりすぎ」
 さすがにエリカも非難めいた声を出す。
「黙って見てろ」
 憮然としたヤマトの低い声。チヒロとエリカ、両方に言ったのか。
「ぅ……」
 口からの流血が床にまで流れ、涙で濡れる瞳が焦点を失うと、ようやくヤマトは踏んづけてる足を上げた。
「あ、あぁ、あうぅ……」
 上からの重圧から解放されたユイは、口と鼻から血を流し、痛ましい姿でうつ伏せに倒れている。
 そのユイの横っ腹を、ヤマトは無造作に蹴り上げた。サッカーボールのように。
「がはぁっ!」
 口から血反吐を飛ばし、宙に舞うユイ。
「きゃーっ!」
 自分のとき以上に泣き叫ぶチヒロ。
「ヤマト!」
 もう見ていられなくなり、駆け寄ろうとするエリカを、エステルが制する。
「大丈夫」
「どこが!?」
とは言ったものの、エリカはそこで止まった。ヤマトを信じたか、それとも単に見捨てたか。
 ボロ雑巾のように蹴飛ばされ、ユイの小さな体はコロコロと面白いように転がり、仰向けで止まった。
「ぐっ……くっ」
 上を向いた視線は焦点が合っていないように虚ろで、口はもう中まで血でいっぱいで、鼻も鼻血で詰まっている。
 その血で薄汚れた顔を見ながら、ヤマトが告げる。
「どうだ。まだ代わりになるか?」
「あ、あぁ……」
 血で濡れた唇で、血を流す口で、それでもユイは、はっきりと告げた。
「はい……。私にしてください……」
 ここで挫けたら、生徒が、大事な教え子が酷い目に遭う。そのほうが辛いから。
「お、お願いです……。生徒は、許してあげて……」
「上等」
 ヤマトはボロボロになったコスチュームを無造作に引き裂いた。痛めつけられ、それでも綺麗なユイの白い裸身が晒される。
 これ以上痛めつけると、取り返しのつかないことになりかねない。
「大したもんだよ」
 ここまで痛めつけられても、なお生徒の身を案じる。ユイの優しさにちょっとだけ心打たれていた。

 でもやることはやる。
 もう立派な大人のはずだが、どう見ても子供にしか見えないユイの裸身に、ヤマトは心躍らせた。
 ぺったんこの平坦な胸。見事なまでに一本筋の縦筋。
「さすがにこのままじゃ入らないか」
 ヤマトの悪魔の身がしゅるしゅると縮み、人間の千巻 大和の姿に変わる。
悪魔のままじゃ大きすぎると思い、人間の姿になったのだ。それでもユイには大きいだろうが。
 さっとズボンとパンツを脱ぐと、にょきーと勃起したちんこが上を向いている。
ユイを痛めつけてる間に、自然に興奮して勃起していたのだ。
「いきなりだけど、我慢してね」
 どうせダミアンたちに犯され、処女ではあるまい。それに一応は大人なんだし。
 ヤマトは愛撫は省略して、すぐさまちんこを挿れようとしていた。
「やめて……」
 ぐったりしたユイに、ちんこを出した大和が近付く。その光景を見ていることしか出来ないチヒロは、必死になって、それでも小声で呼びかけた。
「たすけて……だれか、助けて……」
 だがその願いが叶えられることは‐

「アリサちゃんスクリューキック!」

 不意に。全く不意に、奥の通路から小さな影が踊り出て、大和に飛び掛かる。
 栗色のツインテールをはためかせ、回転しながら、蹴りを繰り出す魔法少女。

「ぎゃあああああああああああああああぁぁぁぁーっ!!!」

 この世の終わりのような絶叫。股間に蹴りをまともに喰らった大和の断末魔の声。
勃起していたちんこがぼきっと折られ、曲がっている。

「マジカル☆アリサ、ちゃきちゃき行くよー」

 そして回転飛び蹴りを喰らわした張本人、アリサがゆらりと立ち上がる。魔法のバトンを手に可愛らしく。
「むぎゅー」
 捜し求めていた妹を確認する間もなく、大和は後ろ向きにばたっと倒れた。
白目を剥き、口から泡を噴いて。へし曲がったちんこからは血がびゅーと噴き上がっている。
ちんこが勃起するのは血が集まるから。そこを傷つけられるとたくさん血が出るのだ。
「大和!」
「マスター!」
 呆然と見ていたエリカとエステルが、ようやく事態を飲み込んで動き出す。
 だがそこに新たに二人の魔法少女がさっと飛び込んできた。

「マジカル☆ホナミ、幼馴染で行くよ」
「マジカル☆アオイ、しゃきっと行くよ」

「アオイ……」
 捜し求めていた親友の姿に、エリカは固く魔法のレイピアを握り締める。
「作戦、大せーこー☆」
 きゃっと飛び上がるアリサ。そう。全てはアリサの作戦だった。
 ユイとチヒロだけを戦わせたのも、犯されそうになっても助けなかったのも。
 大和が人間の姿になってちんこを出す、その一瞬の隙を突くための。

 ちんこを粉砕され、もはや大和は戦闘不能。というか、男として再起可能はどうかも不明。
 そして。
「残ったのは、あなたたちだけね」
 エリカとエステルにバトンを向け、アリサは高々に宣言する。
「ふふふっ。あなたたちも、お兄ちゃんに抱いてもらったんだっけ。
 リリムちゃんと同じように、両手両足切断して、目玉突いて、内臓引きずり出してやるんだから。安心して☆」
「わー。怖い」
 エステルは肩をすくめておどけて見せたが、エリカはそれどころではなかった。
 彼女はただアオイをじっと見ていた。
「アオイ……」
「よっ、エリカ。元気そうね」
「うん。おかげさまで」
「今日はもう逃げ場ないよ」
「いいよ。逃げる気ないから」
 そう。逃げるためにここに来たんじゃない。
「アオイ。私もね。もうヴァージンじゃないんだよ」
「へっ?」
 突然の告白に、アオイは目が点。
「抱かれたの」
 ちらっと横目で見る。ぶくぶくと泡を噴いてぶっ倒れる大和を。
「もう、しっかりしてよ」
 それは無茶ってもんですよ。ちんこが完全にへし曲がってるんですから。
「へー。そうなんだ」
 かすかにアオイの声が低くなる。それに気付いてエリカは嬉しいような悲しいような気持ちになった。
「アオイ。私ね。アオイのこと、大好きだよ」
「あたしもだよ。エリカ」
「そう。それじゃ」
「うん」
「決着を」「着けましょう!」
 エリカのレイピアとアオイの刀が、真正面からぶつかる。
 それを合図に他の3人も動いていた。

 そして。
 ちんこを粉砕された大和は倒れたまま。

 ぎゅいーん。ぎゅいーん。

 だがまだ誰も気付いていなかった。
 粉砕されたちんこに、魔力が集まっていることに。

『ナイトメア☆ちんこ、発動承認』

(つづく)