「さあ、どうした。海に行くぞ」
 ウォディックの言葉に、固まっていたヤマトたちがはっと目を覚ます。
「いや、あの、その。なんで海に?」
 ヤマトの疑問に魚が前ヒレを突きつける。
「分からん奴だな。俺は魚。海でなければ戦えぬ」
 ここは黒の神殿の内部。下は石の床で壁に覆われた広い部屋。魚が戦うには確かに不向きだろう。
「でも、海は遠いよ」
 黒の神殿があるのは奈良県はにはに市の山の中。
「奈良県て海はあったっけ?」
「ないわよ」
 地元のエリカが答える。ちなみにヤマトたちの住む埼玉県に海は無い。
「遠いか。ならば急いで行くぞ」
「一人で行け」
「愚か者め。一人では戦えぬではないか」
「僕は海に行く暇は無いの。妹を助けに来たんだから」
「ふむ。そうか」
 びちびちと飛び跳ね、魚が告げる。
「では、先に海に行って待つとしよう」
「……え? ここを通ってもいいの?」
「好きにしろ。ここは海ではないからな」
「いや、でも。ダミアンの服従の呪いにかかってるんじゃ」
「ふっ、笑止。この俺が、ダミアン如きの呪いにかかるものか」
 どうやら魚は自由意志でダミアン軍団に参加していたらしい。
 唖然とするヤマトたちの横を、ウォディックはびっちびっちと飛び跳ね、通り過ぎて行った。
「ひとつ聞きたい」
 部屋を出るところで魚が聞いてくる。
「海はどの方向だ?」
「ここを出て真っ直ぐ進めば海だよ」
 嘘は言ってない。
「そうか。この世界の海がどんなものか楽しみである」
 びっちびっちと魚は飛び跳ねながら進み、やがて見えなくなった。
「えーと。進もう」
 がっくりと脱力しながら、ヤマトとエステルとエリカは前に進む。
 見事にウォディックを突破。これでダミアンに一歩近付いた。
「なんだかな。試合に勝って勝負に負けたような気分」
「しっかりマスター」
「がーんば」
 励ますエステルとエリカの声もか細い。
「はー。こんなことでダミアンに勝てるのかな」
 ヤマトが呟いていた頃。アケミ先生たちは大ピンチに陥っていた。

「わ、わんー」
 突撃して来る魔物の軍勢を前に、ルゥが飛び上がる。
 牛男ディバイソンがパワフル突進し、左右をサイクスとケーニッヒの高速魔物が固める。。
さらにカノントータスBCとブラストルが後方から砲撃支援の準備をしている。
隙の無い陣形。ミャアはにゃーにゃーと鳴いていた。
「フォームチェンジ」
 アケミの頭にぴょこんと犬耳が生えて別形態に変わる。
「ナイトメア☆アケミ、わんわんフォーム」
 ずどどと突撃してくるディバイソンを、アケミは犬の俊敏さで回避。

「わんわんぱーんち」
 左から突っ込んでくるサイクスをルゥが迎撃。ぷよぷよの肉球パンチをサイクスはさっとかわす。だがそれでアケミを襲えなかった。
「ミィル」
 右からのケーニッヒにはレイが牽制の闇魔法。ぎゅるんと渦巻く闇をかわし、こちらもアケミに飛び掛れない。
 前衛が離れた所に、今度は後衛から砲撃が来た。カノントータスの大口径ビームキャノンとブラストルのマグマ弾。
「わ、わんわんー」
 爆風の中、鳴きながら吹き飛ばされていくルゥ。軽い身がぽーんと宙に舞う。
「ルゥくん!」
 慌ててアケミが空中でルゥをキャッチした。その背後に、黒い影が迫る。
「迂闊だな」
 黒豹男のサイクスだ。背後からザッと爪を振るう。
「あがっ!」
 黒いドレスがさっと引き裂かれ、前のきつきつの胸までぽろんとこぼれた。
 着地すると剥き出しの大きな乳房がぷるんぷるんと揺れる。
「わんー。ご主人様ー」
「だ、大丈夫」
 いたたと顔をしかめながらもアケミは立ち上がる。背中には大きな引っかき傷が残っていた。
「あー、もう。肌に傷つけちゃって」
 胸をむねむね揺らしながらアケミはきゅっと眉間を寄せる。その胸に男どもは目を奪われていた。ルゥとレイも。
「みんにゃー。しっかりするにゃー」
 そしてミャアの言葉に男どもはハッとなる。
「やっぱり、あのおっぱいは危険が危ないのにゃー」
 ぷるんぷるんと揺れる豊かな乳房。先端の乳首は鮮やかな桃色に色付いている。
「やん、もう」
 両腕で隠そうとしても、隠し切れない大きな脂肪の塊り。男どもの視線はついそこに集中してしまう。
「ミャア」
 ただ一人、レイだけはミャアを見ていた。
「こっちに来い。お前は服従の呪いにかかってるだけだ」
「そうだにゃー」
「俺とマスターと一緒に来い」
「レイのお兄ちゃんも服従の呪いにかかってるにゃー」
「そうだ」
「そうだわん」
 二人の会話にルゥが割り込む。
「ボクとレイはご主人様に童貞を奪われて服従したわん」
「ひどいにゃー。ルゥくんとレイのお兄ちゃんを服従させるにゃんて」
 ちなみにルゥはレイより年上だが、何故かミャアはルゥはくん付け、レイはお兄ちゃんと呼ぶ。
「みんにゃ^。やっつけるのにゃー」
 あらためて、魔物たちが陣形を変えて攻め込んでくる。今度は距離を置いての砲撃戦。
 ディバイソンが背中の17門突撃砲を一斉射。
「わ、わんー」
 どかーんどかーんとあちこちで爆発が起きる中を、アケミとレイ、それにルゥが犬の俊敏さで回避していく。
 そこを射撃用スコープを搭載したケーニッヒが、ロングレンジスナイパーライフルで狙い打つ。
「狙い打つぜ」
 宙に跳んだルゥに正確な射撃が撃ち込まれる!

「わんー」
「危ない!」
 咄嗟にアケミが、ルゥをどんと突き飛ばした。代わってアケミが射線上に晒される。
10キロ先の中型魔物の装甲を突き破る魔力鉄甲弾が、至近距離でアケミの体に突き刺さる。
 わんわんフォームのスピード重視のアケミの装甲は強固とは言い難い。
「がはっ!」
 背中から命中した弾丸が、お腹から突き抜けた。貫通したのだ。
「ぐっ」
 崩れるようにその場に倒れ伏し、口から血が一筋流れる。貫通したお腹からも血。
「わんー」
 鳴きそうな、いや鳴いてるルゥの泣き声が耳に響く。近くのはずなのにどこか遠くに聞こえた。
「だ、大丈夫よ」
 どうやら背骨は折れていないし、内臓にもそんなに損傷はない。ただ貫通しただけ。
「大丈夫……だから」
 自分に言い聞かせるように呟き、立ち上がろうと足に力を込める。だが込めた力はすぐに抜け落ちた。
 ガクガクと膝が震える。立ち上がれない。
「ちょっと。そんな、酷くはないでしょう。立ちなさいよ」
 自分の体に叱咤するように呼びかける。だが満足に動いてくれない。
「今だにゃー」
 動きの止まったアケミに、集中砲火が飛んでくる。
「メガロマックスファイヤー!」
「ナイトメア☆ビームキャノン・フルバースト!」
 ディバイソンが17門突撃砲を一転集中発射し、カノントータスが最大出力でビームを発射。
「ノスフェラート」
 飛んで来る砲弾を、レイが闇魔法で迎撃。ミィル以上の闇の魔力が砲弾を飲み込む。だが完全ではない。
「わんー」
 アケミの前にルゥが立ちはだかり、両手を広げた。
「馬鹿兄貴!?」
 レイの声。だがルゥに避ける気はない。自分のせいでアケミは二度も傷付いた。だから今度は、
「ボクがご主人様を守るわん」
 どかーん。
「わんー!」
 ぽーんとルゥの身が宙に舞い、そしてぽとっと落ちた。
「兄貴!」
「ルゥ……くん」
 血を吐きながら、アケミは倒れたルゥに必死に視線を向ける。首を動かすだけで精一杯。
 霞む視界の中、うつ伏せに倒れたルゥがびくっと震えた。
 よかった。生きてる。
 安堵する間もなく、そのルゥの頭が持ち上げられた。ケーニッヒに。
「へっ。無理しやがって」
「やめて……」
 血と一緒にアケミの懇願が漏れる。
「おっと。てめえが大人しくしてれば何もしないぜ」
 ケーニッヒの言葉はアケミにではなく、レイに向けられていた。唯一立っている、そしてもっとも手強い相手に。
「くっ」

 ぎりっと歯軋りするレイ。
「にゃーにゃーにゃー。お魚にゃー」
 そこにミャアがお魚ステッキを振って、お魚ミサイルを発射。
 飛んで来るお魚を、レイはあえて無防備に受けた。ミャアにやられるのも悪くないと思ったから。
「レイくん!」
 全身に魚を受け、ばたっと倒れるレイ。アケミの悲痛な声が響く。
「やっつけたのにゃー」
 倒れたレイをつんつんと猫手で突付いて、ミャアが確認する。生きてはいるが起き上がりそうにはない。
「へへっ」
 ルゥをぽいと放り出して、ケーニッヒがアケミに迫る。ブラストルとサイクスとディバイソンとカノントータスもだ。
 腹部から血を流したまま、倒れ伏すアケミ。その長い茶色の髪をケーニッヒが掴み上げ、ぷるんとおっぱいが揺れた。
「いい女じゃないか」
 べろっと舌なめずりし、狼の顔が好色に歪んだ。
「男はみんなエッチなのにゃー」
 レイの背中に座り、ミャアは見学することにした。
「あ、ああぁ……」
 血の気を失い青ざめるアケミ。その豊満な女体が優しく床に降ろし、男たちの視線が突き刺さる。
 艶っぽい大人の美貌。床に広がる長い茶色の髪。触れれば指が沈みそうな豊かな胸。おっきいちんこでも受け入れてくれそうなしっかりした腰。
青臭い10代の少女にはない、大人の魅力満載の色っぽい魔法少女がそこにはいた。
貫通されたお腹から血を流し、重傷なのも、さらに獣欲をそそられる。
「さて。ここは」
 ケーニッヒが爪を立て、長いスカートを引き裂いていく。しなやかな素足が晒され、男たちの目が赤く血走っていく。
 じーと根元まで爪が切り裂く。その股間に下着は無い。魔物の流儀に従い、変身するとショーツは消えるのだ。
「ほう」
 茶色の濃い陰毛に包まれた花園。麗しい割れ目に男たちの視線が注がれ、股間がもっこりと膨らんだ。
「う、うぅ……」
 股間にさっと外気が触れる感触がして、アケミが微かに身じろぎする。だが体は痺れて動けなかった。
 突き刺さるような男たちの視線を全身に感じる。ケダモノの視線。
 これから何をされるか悟り、アケミは悔しさに歯噛みした。それ以上にルゥとレイのことが気になる。
 倒れたままのルゥに、ミャアの椅子にされているレイ。どちらもまだ無事らしい。
「よかった……」
 ホッと呟く。そこに、魔物たちが欲望を素直にぶつけてきた。
 狼の大きな手がむにゅっと乳房を掴んでくる。
「ほー。これがダミアンのちんこを打ち負かしたおっぱいか」
 そして、亀がとことこと股間まで歩み寄り、舌を伸ばしてきた。
「あっ」
 濃い陰毛を押し分け、カノントータスの舌が割れ目に直接触れてくる。
「こら、やめ……」
 亀の分厚い舌がねとねとと茂みを濡らし、奥の秘肉までねっとりとしゃぶってきた。
「やめ……」
 腹部の痛みとは対照的な甘い官能がさっそく下半身に疼き、はぁと熱い吐息が漏れる。

「良い表情じゃないか」
 胸を掴んでいたケーニッヒが、乳首をしこしことしごき、ピンと尖らせる。
素直に反応するアケミの体に、さらに目をぎらつかせた。
 コリコリと乳首をしごくたびに、アケミは「うん、んぅ」と小さく喘ぎ、大きな胸を揺らした。
「感じるか? 淫乱な女だな」
「はぁ……」
 ケーニッヒの言葉を聞きながら、アケミは体内に溜まった熱を吐き出すように熱い息を吐く。
「へたくそ」
 そしてうっとりと瞳を濡らせ、頬を赤くしながらも悪態をついた。
「なんだと?」
「へたって言ったのよ。もっと優しくなさい」
「この野郎」
 乳首を摘んでいた指が、思いっきり乳房を掴む。狼の爪がざくっと豊かな胸にめり込み、切り裂いた。
「痛っ!!!」
 ふくよかな脂肪が切り裂かれ、胸から血が溢れ出る。
「おいおい、殺すなよ」
 後ろからサイクスの呆れた声。ちんこギンギンにしながら。
「ふん。こいつのおっぱいは危険だからな」
 胸に食い込んだ爪を離すと、血で染まっている。その爪をべろっと舐め、ケーニッヒはズボンを下げた。野太い肉棒がぼんと飛び出す。
「どけ」
 股間を舐めていたカノントータスが首を引っ込め、のこのこと後退。代わって狼が腰を割り込ませ、狼のペニスを宛がった。
「あぐぅ!」
 股間の入り口に大きな肉棒を押し当てられ、アケミはぐっと歯を食い縛る。
「いただくぜー」
 べろっと大きな舌がアケミの美貌を舐め、ずぶっと鋭く熱いモノが股間に突き刺さった。
「はっ、あぐぅ!!」
 ぶるっと肉棒を突かれた股間が震え、衝撃が全身を駆け巡る。
「私が……こんな、男にされちゃうなんて……」
 濡れた瞳から涙が伝い落ちる。
「そらそら」
 ずぶずぶっとケーニッヒは腰を奥へ奥へと進め、秘肉を割り、あっさりとアケミを蹂躙した。
 アケミの一番奥まで狼のペニスが入り込み、ずっしりと肉壷を埋める。
「あ、ああっ……」
 溢れる愛液が肉壷を満たし、ペニスを優しく包み込み、アケミにも熱い充足感をもたらした。
 腹部と胸の激痛と、女芯からくる甘い刺激。痛みと快感がない交ぜになってアケミを責め立てた。
「ああっ、あうぅ」
 熱い汗が伝う頬。か弱い喘ぎにも甘いものが含まれる。だが顔色そのものは悪い。重傷なのだ。
「どうだ」
 傷付いた身で感じ、女の本能で甘く喘ぐアケミを体の下に感じ、ケーニッヒは激しくピストン運動。
 腰が前後に激しく動き、じゅぷじゅぷと肉と肉がぶつかり、肉壷をかきまぜ、秘肉を抉り、肉汁を飛ばした。
「ああっ! あがあ、あぐぅうっ!」
 いつしかケーニッヒに合わせて腰を揺らしながら、アケミの脚が上に伸びる。
 上に向けられた脚がピストン運動に合わせてゆらゆらと揺れ、ピンと硬直した。

「ああっ、アアアアーッ!」
「くっ、なんだ」
 不意に強烈な締め付けを受け、ケーニッヒはたまらずに達した。
「あぐううぅぅぅーっ!」
 熱い、灼熱の体液が子宮で爆ぜ、どくどくと流れ込んでくる。
 アケミの全身が硬直し、それから小刻みに腰を揺らし、がっくりと落ちた。
「ふー」
 脱力したアケミの全身から魔力が放出し、ケーニッヒに流れ込む。魔力を奪われたのだ。
 繋がったまま、アケミの変身が解け、人間の姿の明美になる。もっとも衣服は切り裂かれているのでほとんど変化は無い。犬耳が消えた程度か。
 いきなりの射精にもそれなりに満足し、ケーニッヒがモノを引き抜くと、ごぼっと精液がこぼれ落ちた。
「はー。はー」
 変身が解け、明美は荒く息を吐く。腹部を貫通され、胸を切り裂かれた重傷の身。
これ以上、激しい性交渉に耐えられるとは思えない。
 だが明美は見た。ぎらぎらと欲望に輝く魔物たちの瞳を。人間の姿になっても悪の魔法少女の明美は暗い部屋の中が見える。
「今度は俺だな」
 黒豹男のサイクスが覆い被さる。
「ま、待って。これ以上は……」
 上に熱い体温を感じながら、アケミが弱々しく哀願した。保険医だけあって自分の体調は分かっている。こんな重傷のまま犯され続けたら、身が持たない。
「いいから。死ぬまでに愉しんどけ」
 ケーニッヒが切り裂いた胸を舐め、サイクスが甘く乳首を噛んだ。
「はんっ」
 こんなときでも敏感に感じてしまう。自分の女体が恨めしかった。
「まったく。こんな良い胸を傷つけるなんて」
 乳首から胸に舌を走らせ、溢れる血を丁寧に舐めていく。その血がさらにサイクスを昂ぶらせた。
「やめ……やめて、これ以上は……」
 死ぬ。犯されながら、嬲られながら死ぬ。明美ははっきりと迫り来る死を感じ、恐怖した。
「いや……いやぁ……」
 逃れようにも体は麻痺して動かない。ルゥもレイも倒れたまま。
「こんな……こんなのって……。あうっ」
 サイクスのやはり野太いペニスが、花弁を貫いてくる。胸を丹念に舐めながら、挿入し、腰を前後左右に振ってきた。
「あうっ、あううっ。はっ」
 弱った体で、それでも甘い喘ぎを漏らし、悶えてしまう。それが体力を消費し、死を早めると知りながらも。
「ああっ。ああぁ……」
 ぺろぺろと舌で舐められる胸からは血が流れ続け、止まらない。貫通された傷穴も激しい動きに広がり、血がさらに噴き出し、赤黒い内臓が見えていた。
「ああぁ……」
 ぱんぱんと肉と肉がぶつかる股間が自然に激しく動く。動かされる。熱い肉棒が肉壷をかき混ぜ、抉り、明美を内側から揺らしていった。
「ああっ。あああーっ!」
 死ぬ。こんなに激しくされたら死んじゃう。
 死の恐怖を感じながらも、明美の体は性感を求め続け、淫らに悶えていた。
「んんーぅー!」
 ぐいぐりとサイクスが腰を回転させ、肉壷を激しくかき混ぜた。熱い肉汁がじゅーじゅーと股間からこぼれる。
「へへっ。こいつはどうだ」
 サイクスの鋭い爪が、お腹に触れる。魔力の弾丸が貫通した傷穴に。

「ひぎいいぃー!」
 爪がザッと傷穴を押し広げ、赤黒い腸がぷるんとこぼれ落ちた。
「あ、ああがぁ。死ぬ、死んじゃう、やめてーっ!」
 小腸だろうか大腸だろうか。目の端にぷるんとこぼれる腸を見て、明美は取り乱して泣き叫んだ。
「死ぬ。死んじゃうの、やめて、もうやめてーっ!」
「どーれ」
 サイクスはずぶっとペニスを引き抜くと、明美の長い髪を掴み、その顔に勃起したペニスを差し出した。
 どろっと放たれる精液が、明美の顔を白く染めていく。
「あ、ああぁ……」
 顔に熱い体液を浴びながら、明美は朦朧としてきた目で下を見る。汗と精液で汚れた体。お腹からぷるんとこぼれる腸。引き裂かれたおっぱい。
「こんな……こんなので、死んじゃうの……やだ……」
 死ぬのなら、綺麗な体で死にたい。だが魔物に傷つけられ、汚され、それも叶いそうになかった。
 内臓をはみ出し、嬲られながら死ぬ。女として最低の死に方に、涙が溢れた。
 顔に射精したサイクスが掴んでいた髪を離すと、明美はどさっと床に落ちる。
もう顔を上げる余力も無い。
「亀ー」
 そこにカノントータスがのこのこと上に乗っかってきた。重い。傷口から内臓がさらにずるっとはみ出してくる。
「こんな死に方……いやぁ……」
 最後は亀に潰されて圧死。洒落にもならない。
「たすけて……」
 無駄と知りつつも、ぽつりと漏らしたとき−

 蒼い暴風が吹き荒れた。

「いかん。散れ!」
 ブラストルが咄嗟に叫ぶと同時、蒼い巨体が飛び込んでくる。
「亀ー?」
 反応が遅れ、アケミに乗っかったままのカノントータスの重い体がぽーんと宙に跳ぶ。蹴り飛ばされたのだ。
 そして宙に舞うカノントータスを、鋭い牙がガッと噛む。

「ナイトメア☆ファング・フルクラッシュ!」

「亀ー!」
 魔力を込めた牙が、カノントータスの重装甲をも一撃で食い破り、どかーんと爆発四散。
「えっ?」
 自分の頭上で起きる爆発に朦朧としていた意識がかすかに戻る。そして明美は見た。そこにいる蒼い虎男を。
 明美を守るように魔物たちを牽制しながら、誇り高い蒼虎はがおーと咆えた。

「ナイトメア☆レイズ、とらとらと参上」

(つづく)