千巻家のリビング。帰ってきたありさと、絵理華とシルクを迎え、全員集まって、お互いにかくかくしかじかと情報を交換する。
「かくかくしかじか」
大和たちは、今までの事を大雑把に説明。
リリムとリリスとエステル。悪の魔法少女3人を従える大和に、絵理華はジト目を向けた。
「はー。男の子ってこんなものねー」
女子高に通っている絵理華。中学までは共学だったが、やはり同じ年頃の男の子というものは、こんなものと認識したらしい。すなわちケダモノ。
「かくかくしかじか」
今度は絵理華から、今までの事を話す。友人の葵が行方不明になった事から、先日の黒いピラミッドでの戦いまで。
「はー。つまり、魔法天使の力を封じ込められて負けちゃったと」
説明を受けて、大和は腕を組んで唸った。
「しっかし、何も考えなしに全員で突入するなんて、魔法天使も阿呆だよな」
「ふええええーん」
いきなり泣いたのは黒髪おかっぱ天使のシルク。
「いきなり泣かすな!」
「いきなり泣くなー!」
絵理華と大和がお互いに怒鳴りあい、シルクはぴたっと泣き止む。
「まあ、でも。魔法天使って役立たずだよな」
「ふえええええーん」
「だから、いきなり泣かすな!」
「だから、いきなり泣くなー!」
また怒鳴りあい、ぜーぜーと肩で息をする。シルクはもう泣き止んでいた。
「それで、だ。その黒いピラミッドには、天界の兵器があったって?」
「はい。ジャッジメントと言いまして。通称、破壊神と呼ばれる、神罰執行用の最終兵器です」
ピラミッドの中心の本殿。その壁にめり込まれていた巨大な女神像。それこそがシルクの語る破壊神。
「なんでそんなもんが日本に?」
「分かりません。天界に問い合わせましたが、先代のジャッジメントの一体が行方不明になってるとしか」
「はー」
おかっぱを揺らして頭を振るシルクの前髪を、大和はじっと見ていた。揺れるおかっぱも可愛いなと。
「それで、ダミアンとかいうのをぶっとばして、捕まった魔法少女を解放すればいんだな」
「そうよ」
不機嫌を隠そうとせず、絵理華は口を尖らせている。捕まった魔法少女の中には親友の葵もいる。
「まあ、いいけどね」
大和は、サラサラ金髪の絵理華と、黒髪おかっぱのシルクを見て、うんと頷いた。
絵理華は学校の制服、シルクは白い修道服を着ている。
「ま、疲れたろ。今日はここに泊まりなよ」
「お世話になります」
ぺこっと絵理華はお辞儀する。ありさに。
「いいの。昨日はありさがお世話になったんだから」
「家の人はいいの?」
「うちの親は引っ越しの準備で家を空けてるから」
と言う絵理華の横では、シルクがふらふらと頭を揺らしていた。
「シルクさん、疲れたでしょ? ありさの部屋で休んでいいよ」
「はい〜」
シルクと、それにエステルは、明美先生の車に入りきらず、空を飛んでここまで来た。
疲れ果てたシルクはありさと一緒に二階の部屋に上がり、エステルも自分の部屋に引っ込む。
「絵理華さん」
「絵理華で結構です」
残された絵理華に、大和は優しく言う。
「僕の部屋に来る?」
大和の瞳はニヤニヤと笑っている。その笑みの奥のギラギラした欲望に気付きながら、絵理華は頷いた。
というわけで、リリムとリリスを一階に残し、二階の大和の部屋に。
「うわぁ」
部屋に入った途端、絵理華は思わず顔をしかめた。
ベッドに勉強机、物置棚に本棚にTV。
棚にはガンプラやトランスフォーマーやゾイドや超合金が並び、
本棚にはテーブルトークRPGのルールブックやリプレイや雑誌が並び、
TVの前には、セガ・マークVやメガ・ドライブ、セガ・サターン、ドリームキャストなどの各種ゲーム機。
うむ。どこをどう見てもごく普通の男子高校生の部屋。
カーテンは閉められ、夏の昼間から薄暗い部屋は、湿気でむんむんと匂っていた。
「なんか、オタクくさーい」
はじめて見る男の子の部屋に驚きつつ、絵理華はベッドの下を覗き込んだ。
「いきなり何?」
「なにもなーい」
大和のベッドの下には何もなかった。
「男の子の部屋って、ベッドの下にはエッチな本とかあるんじゃないの?」
「無いよ。そういうのは、ありさが全部捨てるもん」
「そっか。ありさちゃん、まだ小学生だもんね」
「そういう問題じゃないと思うな」
大和の部屋にそれ系のエッチな本があると、どこに隠してもありさがすぐに見つけ出し、
「お兄ちゃんがあたし以外の女の人を見るなんてダメー」と、ハサミでちょん切るのである。両親が生きてた頃から。
だが中身は見ないので、ありさは性的なことは知らないままで成長した。兄に抱かれるまでは。
そんな事までは説明せず、大和はいろんな体液の染み付いたベッドに腰掛け、横をぽんぽんと叩いた。
「さ、交尾しよう」
「男の子ってやっぱりケダモノー」
ジト目でツッコミを入れるような声の絵理華に、大和はうんうんと頷く。
「そう。年頃の男はみんな性欲ボンバーなんだよ。だから気を付けなさい。特に、絵理華みたいな美人は」
「本当の事を言われると嬉しいけどさ」
薄暗い部屋の中、絵梨華は値踏みするように大和を見下ろす。
「断ると、ダミアンを倒すのに協力しないとか?」
「そんな事はしないよ。ただ、絵梨華が綺麗で可愛いから抱きたいだけ」
サラサラの長い金髪に澄んだ碧眼、西洋系の整った顔立ちに、可憐なスタイル、白い肌。
フランス人の母親の血か、絵梨華はまるで絵本に出てくるお姫様のように美しかった。
「本当に素直なのねー」
呆れながら、絵梨華は今度は自分の体を見下ろす。
確かに美しさには自信はあるが、こうも真正面から言われると、さすがに気恥ずかしい。
「……あのね。あたしの友達、葵って言うんだけど」
「うん」
突然語り出す絵梨華の話を、大和はじっと聞き入った。女を誘うのに焦りは禁物。
「一緒に魔法少女になって、でもダミアンに捕まって。この前の戦いで会ったんだけど……」
絵梨華の瞳が揺れる。その曇った眼差しを、大和は美しいと感じた。
「その……ダミアンに、レイプされたんだって」
揺れる瞳が大和を見据える。真っ直ぐに。
「あなたも、魔法少女をレイプしてきたんでしょ?」
「まあね」
あくまで正直に大和は言う。
「なんで、そんなことするの?」
「なんでって……」
思いもかけなかった質問に、大和はしばし考え、
「やっぱり、綺麗で可愛い女の子を抱きたいから」
「だったら、無理矢理じゃなくてもいいなない」
絵梨華の瞳に微かに怒りを示す。
「ま、そうだけどね」
目を逸らさず、大和は続けた。
「僕は、呪いを解くために魔力が必要だし。嫌だって言われても、やるしかないんだよ」
「私も? 無理矢理するの?」
「今はダミアンを倒すのが先決だから、無理はしないよ。ダミアンを倒すまでは協力できるだろ?」
「そうね」
こちらも、瞳を逸らさずに絵梨華は言う。
「私とシルク、エッチな目で見てたでしょ」
「うん。シルクさんも可愛いし」
「シルクは駄目よ。天使はヴァージンをなくしたら、天界に帰っちゃうんだから」
「処女を破らなければいいんだよ」
ふと、ありさを見守っていたオーロラを思い出す。彼女も捕まったのだが、どうしただろうか。
大和が知る由もないが、オーロラは今まさに「処女を奪わないように」犯されている最中だった。
「はぁ」
絵梨華が盛大にため息を吐く。諦めたように。
「そうね。葵を助けてもらうんだから、お礼してもいいかな」
早速身を乗り出す大和に指を突きつけ、
「ただし。私に勝ったらね。弱い男は嫌いだから」
「オッケー」
ニッと笑みを浮かべ、大和は小指を立てた。特に意味はない。
そして夜。
「ありさが起きてると怒られるから」という理由で、全員で夕食を摂り、お風呂に入り、ありさが寝入ってから、大和と絵梨華は外に出た。
さすがにありさも疲れてたのだろう。早々に自室に上がって眠りに就いた。
大和が案内して来たのは湖の上公園。夏休みだが今は誰もいない。
「ここなら誰も来ないと思う。へんしーん。
ナイトメア☆ヤマト、邪悪に行くぜ」
早速、悪魔の姿になる大和
「マジカライズ」
ぴかっと赤い光が身を包み、絵梨華も瞬時に正義の魔法少女に変身。
「マジカル☆エリカ、優美に行くわよ」
長い金髪をピンクのリボンが飾り、白とピンクのドレスが身を包む。腰にはレイピア。
「僕が勝ったら、抱かせてもらうよ」
あらためて、約束を確認するヤマト。
「ええ。でもそのその代わり、私が勝ったら、もう魔法少女を襲うのはやめてもらうから」
「え、えー!?」
「あら。私だけ身体を賭けるのはずるいじゃない。ヴァージンなんですから」
「分かったよー」
勝てばいいんだ、力が全てだ。ヤマトは自分に言い聞かせ、先に仕掛けた。
「ウィングカッター」
大きな黒い翼が羽ばたき、風の刃を放つ。
空を切り裂いて迫る風刃。さっと跳躍してエリカはかわした。
「デビルサンダー」
宙に飛んだ所に、今度は二本の角から電撃。
「ローゼスビット」
ピンクのスカートが舞い上がり、赤いバラが幾つも飛び出す。
「シュート」
バラの花弁から放たれる赤いビームが電撃お迎え撃ち、互いに中和されて消えた。
「むむっ」
すたっと華麗に着地してレイピアを構えるエリカに、ヤマトも油断無く身構える。
昼間のレイとの戦闘は、ほとんど一方的にやられて、ちょっと自信喪失気味。
でも今度は負けない。勝ってエリカを抱く。
「フォームチェンジ。ライガーフォーム」
「がおー」
右腕が丸ごと大きくなり、右肩に獅子の顔が生え、右手が根元から巨大な鉤爪に変化。
「ローゼスビット」
俊敏な動きで近付こうとするヤマトの前に、エリカのスカートの中からさらにバラが飛び、壁となって立ち塞がる。
「シュート」
そして赤いビームを一斉射。ごろごろ転がってヤマトはなんとかかわしたが、これではエリカに近づけない。
「フォームチェンジ。キャノンフォーム」
立ち上がると右腕を元に戻し、今度は左腕を大砲に変化。
ドカンと闇の魔力弾をバラの壁に発射。さっと四方に散ってかわすバラ。その奥にエリカはいなかった。
「なにっ!?」
再びバラが固まって壁となる。その向こうから、エリカが飛び上がって来た。
「はっ」
そしてレイピアで突いて来る。
「ぬおっ」
咄嗟に左腕の大砲を振り回すが、これでは接近戦は出来ない。分厚い胸板をレイピアが浅く突く。
咄嗟に後ろにごろごろと転がって逃れたが、胸からは血が一筋流れている。
「むきー」
左腕も元に戻し、ヤマトは立ち上がってエリカを見据えた。レイピアを構え、ローゼスビットを周囲に展開するエリカ。死角なし。
ライガーフォームで接近戦を挑もうとすれば、ローゼスビットに阻まれ、
キャノンフォームで砲撃戦を挑もうとすれば、向こうから近付いてレイピアで突かれる。
ヤマトのフォームチェンジの長所と短所を見抜いた見事な戦法。昼間のレイとの戦いはエリカも見ていたのだ。
「ぐぬぬ」
進退窮まってヤマトはぎしぎしと歯を鳴らした。そうやっても戦局は好転しない。
ぴきゅーん。
そのときヤマトは閃いた。両方いっぺんにフォームチェンジすればいいじゃない。
「ダブルフォームチェンジ!」
ぎゅいーん。両腕が同時に闇に覆われ、一回り大きくなる。
「ナイトメア☆ヤマト・トリニティフォーム!」
右腕は巨大な鉤爪と肩に獅子の顔。左腕は丸ごと巨大な大砲。これならどの距離でも戦える!
「がおー」
右肩の獅子が吠える。
「えー。そんなのあり」
「ふっふっふ」
不敵な笑みを浮かべ、ヤマトは一歩踏み出し−
すってーん
ころんと転んだ。
「はう〜」
立ち上がろうと両腕をぶんぶん振り回すがなかなか起き上がれない。右手は鉤爪で左手は大砲。この形態だと指が無いのである。
それに体のバランスもなんだかおかしい。必死によろよろと立ち上がっても、あっちにふらふら、こっちにふらふらとよろめいてしまう。
「なんじゃこりゃー」
格闘と火力の同時強化。無茶なパワーアップで、体のバランスが崩れたのだ。
左右どちらか一方に偏っていた今までよりも、さらに扱いにくくなっている。
「ローゼスビット」
ふらふらするヤマトを赤いバラの花が取り囲む。上下左右全方位に。
「悪いけど、これで決めさせてもらう。ローゼスハリケーン!」
そして全方位からビームを一斉射! 逃げ場なし!
「ぬおおおおーっ!」
ガッと地面に右手の爪を打ちつけ、ヤマトは無理矢理体を固定し、
「ライオトルネード! デビルファイヤー! ナイトメア☆キャノン!」
右肩の獅子の顔から竜巻を吐き、自身の口からは火を吹き、そして左腕の大砲を連続発射。
三つ同時に放ちながら、地面に突き刺した右手を中心にぐるぐると回転し、全方位ビームを弾き、バラの本体も吹き飛ばす!
花びらを竜巻が吹き飛ばし、悪魔の炎が燃やし、闇の魔力弾が撃ち落とす、
そしてバラの竜巻を跳ね返すと、黒い翼を広げ、ヤマトの巨体が宙に飛んだ。
「うおおおおーっ!」
「がおー!」
ヤマトと獅子の顔が同時に吠え、その巨体が黒い魔力が満ちていく。
「戻って」
魔力を集中させるヤマトに、エリカは残っていたバラを呼び戻すと、レイピアに集め、こちらも魔力を高めていった。
「いっくぞー」
右手の鉤爪、左腕の砲門が黒い闇を集め、さらにヤマトの体を黒い球が覆った。
「ナイトメア☆トリニティスパーク!」
三つの力を一つに合わせ、黒い球に覆われたヤマトが突進!」
「マジカル☆レイピア・ファイナルローズ!」
そのヤマトを、エリカのレイピアが迎え撃つ。その先端は大きな赤いバラ。
どっかーん! 必殺技同士の激突に、周囲に白い閃光が走った。
「うおおおっ!」
ヤマトを包む黒い球が、光り輝く赤いバラを食い破り、散らせて行く。そしてエリカ本体も闇に呑み込もうとし−
「はっ!」
ヤマトはエリカの眼前に落下した。
「キャー!」
爆風で煽られ、ピンクのスカートを捲り上げて吹っ飛ぶエリカ。咄嗟に体勢を立て直すと、地面にぽっかりと大穴が開いていた。
「ふー」
その穴の中から悠然と這い上がってくるヤマト。エリカの前までとことこと歩いて来ると、その身が人間の姿になる。
「僕の、勝ちだね」
「はぁ」
どっと脱力してため息を吐き、エリカは乱れたスカートを正した。
「あ、あのね」
それから、上目遣いに恐る恐る言う。
「私、はじめてだから……。最初は、ベッドで、優しくするのが、いいな」
「うん」
こくこくと頷く大和。そんなわけで、二人は大和の家に戻った。
家に帰ると、みんなすでに寝てて、しんと静まり返っていた。
「この部屋、結界が張ってあるから。大きい声出してもいいよ」
先に入った大和が、電灯のスイッチに手をかけ、
「あっ、あの。暗いままのほうが……」
エリカのか細い声でその手を止める。どの道、暗くても悪魔の大和には関係ない。姿は人間でも暗視は利く。
「え、えーと」
部屋の前に立ったまま、もじもじと指を突付いているエリカ。彼女は魔法少女のままだ。大和がその方がいいと言ったので。
「どうぞ」
部屋の中から大和が手招きする。それでもエリカは動かない。動けない。脚が棒になったように。
「さ、先にシャワー浴びてから……」
「そういうのは終わったあとでするんだよ」
緊張しきって固まるエリカが可愛くて、大和は苦笑して、自分から先に抜いだ。
「きゃっ」
大和が半袖のシャツをいきなり脱ぎ、その上半身を露にしたものだから、慌ててエリカは顔を伏せる。
「恥ずかしがることないよ。これから抱き合うんだから」
するするとズボンとパンツまで一気に脱いで、たちまち大和は全裸になった。そしてベッドに腰掛ける。
「さ、交尾しよう」
「うー」
唸りながら、エリカは思い切って顔を上げた。
薄暗い部屋の中。ベッドに男の子が裸で腰掛けている。今日知り合ったばかりの男の子。
正義の魔法少女も暗視は利く。その目が、腰に生えているものもはっきりと見えた。
ビクビクと蠢く肉の剛棒。ピンと上を向き、根元には二つの玉と、縮れた怪毛がびっしりと生えている。
「やーん」
思わず目を閉じてしまった。あれが、あれが男の子のあそこ。
(葵も……あんなの、触ったんだよね。挿れちゃったんだ)
(でも葵は無理矢理されたんだ)
(私は……恵まれてるのかな)」
ちらっと薄目を開けて、大和の顔を見る。股間は目に入らないように。
まあ、顔は悪くない。性格はケダモノ。よく言えば素直。ありさちゃんのお兄さん。
はあ、と大きく深呼吸して、エリカは部屋に一歩入った。そっとドアを閉める。
ばたっ。静かに閉めたつもりだが、ドアを閉める音はやけに大きく聞こえ、ドキッと心臓が高鳴る。
落ち着け、私。
もう一回深呼吸。それから、スカートに手をかけ、思い切って脱いだ。どさっと落ちるピンクのスカート。ローゼスビットを内蔵してるので重いらしい。
「服はそのままでいいのに」
全裸で待つ大和が言う。だがエリカはドレスの上にも手をかけ、躊躇わずに脱いだ。
「いいの。はじめては、もっとムード満点が良かったな」
「そりゃどうも」
口調は軽いが、大和はギラギラした瞳でエリカを見上げている。白い肌を。
大和の視線に気付いてるのかどうか、エリカは白い肌着も脱ぎ捨て、ソックスを脱ぎ、ブラジャーを外していく。
小さすぎず大きすぎず、形の良い乳房がぷるるんと揺れ、見ている大和は股間に血が集まるのを意識した。
ソックスも脱ぎ、最後に残ったショーツに手をかける。そこでエリカはじっと見詰める大和を見返した。
「スケベ」
「エリカが綺麗だからだよ」
ふんと鼻を鳴らし、やけになった感じでエリカは白いショーツも一気に脱ぎ捨てた。
身に付けているのは頭を飾るピンクのリボンのみ。
「うん。綺麗だよ」
闇夜に浮かぶ白い華に、大和は素直に賞賛を送る。
白い裸体をキラキラと輝かせるサラサラの金色の髪。きゅっと引き締まった腰に小さなお尻。
程好く膨らむ乳房、その先端の上を向く乳首。
微かに生えた金色の恥毛が可憐な陰唇を彩り、飾り付けている。
西洋人形のようなエリカが、こうして裸になると、確かな生命美を感じさせる。ほのかに花咲く純潔の乙女。
その純潔を今から奪う。そう思うだけで、大和の股間はギンギンに活気付いた。
「おいで」
ベッドから手を伸ばす。顔を伏せたエリカは反射的にその手を取った。
触れた手はなめらかで、しとやかで。それを全身で感じたい、味わいたい。
握った手を大和は即座に引き、エリカを抱き寄せた。
「きゃっ」
小さな悲鳴が上がる。乱暴な扱いに。それが男の本能を思わせて、エリカは恐怖に身震いした。
白い裸身を腕の中に抱き寄せ、大和は彼女が震えているのに気付いた。
「怖い? いんだよ。怖くて」
そっと囁き、エリカをベッドに寝かせる。
「あっ……」
視界がぐるんと回り、背中に柔らかい布団の感触がして、エリカは横になったのに気付いた。
そして男の生暖かい体が全身を包んで来る。
「んっ」
ベッドの上、裸でぎゅっと抱きしめられ、エリカは極限まで緊張した。
固い。臭い。息苦しい。これが……男に抱かれるということ。
抱きしめながら、大和の手がベッドに広がる金色の髪を撫でていく。
そして上から優しく見下ろし、顔を下げてきた。
ちゅー。
臭い息が口の中に広がる。それで気付いた。キスされたことに。
なんの感慨もわかない。ただ気色悪いだけ。つーと涙が頬を伝う。
「キス、初めて?」
口を離し、大和が優しく訊く。不思議。さっきまではあんなにギラギラしてたのに、今はとても優しい眼差し。精一杯労わるように。
「男の子とは」
葵が知ったらどんな顔するだろう。怒るかな。
「大和は、たくさんしてるんだよね」
「うん」
悪びれもせず言い、また唇を重ねてきた。
ちゅーと唇を合わせ、今度はそのまま抱きしめる。やっぱり優しく。
甘い。なんだろう。触れた唇がほんのりと甘くて、胸がドキドキする。でもやっぱり息苦しい。
「はぁ」
口を離すと、自然に息が漏れた。大和からも。お互いの息がかかり、ねっとりと絡みつく。
大和の手が形の良い乳房を揉み、潰す。
「痛っ」
微かに身じろぐエリカ。手の力を弱め、口を寄せてちゅっとキス。乳首に。
「んっ」
今度はむず痒さ。そのまま、口に含んだ乳首を強く吸う。
「やだ……」
むず痒さが広がって行き、甘酸っぱくなった。切ない息が漏れる。
ちゅっ。ちゅう。
口の中で舌で乳首を転がし、先端を突付く。その舌の動きがはっきりと伝わってきた。
「うぅん……」
はぁと熱い息。それでエリカは気付いた。汗をかいていることに。
熱い。熱いよ。汗でべとべと。大和も汗びっしょり。
頭の中がクラクラする。胸がドキドキする。きっと暑さのせいだ。
「夏休み……の思い出かな」
ふと呟く。そして恥ずかしくなった。今日逢ったばかりの男の子にヴァージンをあげるなんて。
「うんっ」
また身じろぐ。乳を吸いながら、大和の手が下半身に伸びた。股間に。
「こら……」
恥ずかしい所を指が撫でていく。むずむずする。おしっこしたいときよりも、もっと強烈で鮮烈な感じ。
「あっ……。嫌……」
「声、出してもいいよ」
乳を吸っていた口を離し、大和が声をかける。そして今度は白い首筋に強く吸い付いた。汗の流れる首を。
「あんっ」
ちゅーと強く吸い、何度も首にキス。キスマークが残っちゃうじゃない。
「嫌……嫌ーっ!」
そして大和の言うように、エリカは遠慮なく声を張り上げた。股間を撫でられ、首を吸われ。ひたすら叫ぶ。
「嫌! 離して! やめ……やめてってば!」
でもやめない。エリカも本気でやめてほしいとは思っていなかった。初めての行為に恐怖しているだけ。
「んんんっ。んー」
エリカの腰が微かに浮き、左右に揺れ動く。痛みとそれ以外のむずむずに。
大和の指が割れ目の中心を強く押し、のめり込もうとするから。
「やっ、そこ、そこだめっ」
潤んだ瞳からぽろぽろと大粒の涙がこぼれていった。
大和は指で押すのをやめ、首にキスしていた顔を下げ、今度は股間を覗き込む。
「見ないで……嫌ぁ……」
「きれいだよ。ここの毛も金髪だね」
「言わないでよぉ」
金色の陰毛のうっすらと覆われた陰唇。その下の唇にもちゅっとキス。そしてちゅーと強く吸う。
「やっ! 嫌ーっ!」
エリカの背中が仰け反る。ガクガクとお腹の奥から揺さぶられるような強烈な熱さに。
「いやっ! や……ふぁ……あふぅ……」
切ない息が断続的に漏れ、大和はしっかりと股間に顔を埋め、舌を伸ばして、鮮やかなピンクの秘唇を舐め、しゃぶる。
「あっ、あああ……。あうっ」
舌が、あそこを舐め、這いずり、しゃぶっていく。
「アアーッ!」
エリカの顔が仰け反り、腰ががくがくと揺れた。大和が顔を埋める股間が。
その股間の動きに顔を合わせ、大和はびちょびちょと舐める。内側から溢れる蜜を。
「はーっ……あうっ! あうっ! あがあっ!」
じゅーと蜜を吸う音がエリカの耳まで聞こえ、さらに羞恥心を増す。
「やああっ! もう、もう……」
頭の中が真っ白になる寸前、不意に股間からの熱さが消えた。
「えっ?」
安堵感と物足りなさがない交ぜになった声。下を見ると、顔の代わりに大和は腰を突きつけていた。エリカの股間に。
「きゃっ!」
そして股間の触れる硬い肉の感触。大和の槍のようなペニスが。
「や、いや……」
エリカの怯えた声は最後まで続かなかった。唇に愛液をつけ、瞳をギラギラ燃やす大和は、何の躊躇も合図もなく、腰を突いて一気に貫いた。
「ひぎいいいーっ!」
不思議と痛みはそれほどでもなかった。だが下半身を埋め尽くすような圧迫感と、異物が挿入されたというショックが、口から悲鳴となって出る。
「イヤアアアーッ! やだやだやだヤダーーっ! 葵! 葵ーっ!」
悲鳴を聞きながら、頭の中が真っ赤になった大和は、ギチ、ギチと処女肉を引き裂き、貫き、食い破る。
「ひいいいぃーっ!」
エリカの目から涙が濁流のように流れ、異物に貫かれた股間からは血が一筋流れていた。
「あがっ……ぐっ、いや……」
ぱくぱく開いた口から、また絶叫が迸ろうとする。だがその口が塞がれた。
大和が腰を曲げて、キスしてきた。正常位で一つになりながら、抱きしめ、口を重ねる。
「んっ」
上と下で一つになり、エリカは柔らかい温もりに包まれた。大和が口を離してからも、優しく抱きしめ、温もりは伝わってくる。
「ああっ!」
なぜか、泣きながらエリカは胸がきゅんと高鳴り、大和の背中に手を回した。
大和もエリカの背中に手を回し、金の髪を撫でる。
「ああっ。んっ」
股間に異物が挟まっている。奥深くまで。その圧迫感をしっかりと意識しながら、エリカはひたすら大和にしがみついた。抱きついた。
「ぐ、ううっ」
背中にしがみつきながら、お腹の中の圧迫感を意識を集中させる。
熱い。どくどくと脈打つひたすら熱い肉の塊りが感じられた。
「はああっ!」
内にあるモノを明確に意識すると、それをぎゅっと締め付け、逆に内側から跳ね返される。
「んっ」
エリカを抱きしめながら、大和もまた腰をぶんと振った。
膣肉が抉られ、肉ひだが捲くられ、お互いに思考が真っ白に染まる。
「はぐううぅ!」
ぎゅっとエリカの脚が大和の腰に回り、放たれる精子が膣を満たす。
さっぱりした爽快感とともに達した大和は、欲望のままに膣内に深々と精を放っていった。
「ん〜〜〜〜」
抱き合ったまま全身が硬直し、エリカは真っ赤な顔で全身で抱きついていた。
一体いつまでそうしていただろう。
大和が不意に力を抜き、涙と汗の流れるエリカの頬にキスする。ふっとエリカも力を抜き、腰からずぼっとペニスが抜かれた。
欲望を吐き出して、すっかり萎んでいる。
そしてエリカの金色の髪を飾るピンクのリボンが消えた。魔力を大和に吸収され、マジカル☆エリカがただの千堂 絵梨華に戻ったのだ。
「ふー」
ごろんと横になり、大和は横からエリカの金色の髪を掬い上げ、撫でる。
その背中は爪で引っかかれ、痛々しく血が出ていた。
「はー。痛ー」
絶頂の余韻と大和の手を心地よく感じながら、絵理華は股間に目を向ける。
精液と、それに混じって血がが流れ出していた。なんだかべっとりする。
「もう。中に出して。ちゃんと魔法で処理してよ」
「赤ちゃん産んでほしいな」
「ばかー。けだものー。女の敵ー」
「ははは。分かった分かった。ちゃんとするから」
真っ赤な顔で口を尖らせる絵理華ににこやかに笑い、大和はまた横から抱きしめた。
「きゃっ。や、やだ……」
「また、したいな」
「ばかー」
口ではそう言いながら、絵理華は大和の胸に頬を寄せた。少し逞しく感じる胸。
「ほんと。男の子って、エッチなんだから」
「絵理華が綺麗だからだよ」
金髪の美少女。何度でも抱きたくなる。大和は欲望の赴くまま、覆い被さっていった。
「あんっ、もう」
裸で肌を重ねながら、絵理華は大和の腕の中で甘い吐息を漏らす。
そして泣いた。
(つづく)