「ナイトメア☆ブラストル、とらとらと参上」
 昼過ぎの山奥。打ち捨てられた別荘前に黒い虎男が姿を現す。
「さあ。リリムとリリスを出してもらおう」

 しーん

 しかしブラストルの声に応える者は誰もいない。そこかしこに戦いの痕跡があるが、今はもう誰もいない。
「あれ? もう終わった?」
 一足遅く駆けつけたブラストル。彼の出番は今後。

「あー……」
「あ〜……」
 ぽかんと口を開けたまま、放心しきった表情で宙に虚ろな瞳を向けるリリムとリリス。
「ほら。シャワーだぞ」
 その二人に、大和は熱いシャワーをかけてやる。体の汚れは魔法できれいにしてやったが気分の問題。
「はぁ」
 壊れた表情でシャワーを浴びる二人を見下ろし、大和はため息を吐く。
 せっかく助け出したリリムとリリスは、言葉さえ失い完全に壊れていた。
 天井から吊るされていたリリムとリリスを発見したときは、衝撃で大和はしばらく動けなかった。
 全身を精液で白く染められ、瞳は虚ろで光を失い。
「おい。リリム、リリス。しっかりしろ」
 衝撃から立ち直って呼びかけても、返事すらない。
「リリム……リリス……」
 泣きそうになるのをぐっと堪えて二人を降ろし、エステルが魔法で癒してやる。
それで体は元に戻ったが、心までは戻らない。
 家に連れ帰った大和はまずシャワーを浴びせることにした。
 普段はツインテールに結んでいるリリムの髪も下ろし、真っ直ぐ背中に流す。
こうすると、リリムはリリスとよく似ていた。同じピンクの長い髪の美少女姉妹。
ワイツによってどれだけの辱めを受けたのだろう。
「リリム」
 シャワーを浴びせながら、同じく裸になった大和はリリムにキス。暖かく優しく。
「リリス」
 続いてリリスにもキス。
「あー……」「あ〜……」
 だが二人は虚ろな表情のまま、声なく呻くのみで。
 大和は何度も何度もキスし、リリムとリリスを抱きしめていく。

 じゃー

 そうやってシャワーを浴びながら何度キスしただろうか。
「……ご主人様〜」
 微かにリリスの瞳に光が戻る。
「ああ。僕だよ」
「ご主人様〜……」
 胸にしっかりとリリスを抱き、濡れる髪を撫でてやる。
「リリム」
 だがリリムは呼びかけても返事はない。

「エステル」
 リリスを優しく抱きかかえ、大和はエステルを呼んだ。
「マスター、なんでしょう」
 すぐにエステルが顔を出す。彼女はちゃんと服を着ていた。
「リリムを頼む。一緒に連れてきて」
「かしこまりました」
 リリムをエステルに任せ、大和はリリスを抱っこしてお風呂場を出た。
 しっかり体と髪をふき、裸のまま抱っこして連れ出す。同じようにリリムも、エステルが拭いてやっていた。
「お兄ちゃん……」
 心配そうに顔を出すありさ。虚ろな瞳のリリムとリリスを見たのがショックか、なんだか元気がない。
 最初は刺そうとしていたのも忘れ、今は泣きそうな目で兄に抱きかかえられるリリスを見ていた。
「大丈夫。僕がなんとかするから。一階の部屋使わせてもらうから」
「えっ?」
 大和とありさの部屋は二階。一階には今は誰も使っていない両親の部屋がある。
 八ヶ月前、事故で他界した大和とありさの両親。そのとき以来、部屋はそのままにしてある。
その部屋を大和は使う気なのだ。
「ごめんな。僕の部屋だと四人は狭いんで」
「うん……いいよ。仕方ないよね」
 仕方ないといった感じでありさも了承した。
 ありさもワイツに犯されたショックで虚ろな瞳をしてたけど。お兄ちゃんに優しく抱かれすぐに回復した。
 犯されたのが一回だけだったということもある。ずっと捕まっていたリリムとリリスはどんな酷い目に遭ったのだろう。
 かつての両親に入っていく兄とエステル、その二人に抱きかかえられた全裸のリリムとリリスを見ながら、ありさは小さく呟くのだった。
「でも……許したわけじゃないからね」
 その手には包丁がしっかりと握られていた。

 一階の両親の寝室はずっと掃除だけはしててきれいなままで。大きなダブルベッドもそのまま。
 そのダブルベッドにリリスを寝かせ、その横にエステルがリリムを寝かせてやった。
「ご主人様〜」
 涙を溜めた目で見上げてくるリリスに優しくキス。隣のリリムにもキスしてやるが、まだ無反応。
「ごめんな。リリス」
 とりあえず意識を回復させたリリスから。裸で抱く。
 優しく、優しく包み、口を重ねていく。ただ唇を合わせただけの軽いキス。
その唇に想いを込めて。
「ぅ〜」
 口を重ねたまま、リリスの目から涙がこぼれる。熱い涙。
「ふえ〜ん」
 口を離すと泣き出すリリスの濡れたピンクの頭を抱え、大和は何度も撫でてやった。何度も何度も。
「ごめんなリリス。助けるのが遅くなって」
「え〜ん〜。わ〜ん〜」
 泣きじゃくるリリスをしっかりと抱き、熱い涙が胸に染み込んでいく。
「はぁ」
 横で見ているエステルが熱くため息。微かに目が潤み、胸の前でぎゅっと手を握っている。
「ひくっ……ひくっ……。リリス、リリスは〜」

「よしよし」
 頭を撫でる大和の胸で、リリスは泣きじゃくりながらなんとか言葉を繋いでいく。
「リリスは〜、ワイツちゃんの〜、およめさんに〜されそうに〜」
「忘れろ」
 きっぱりと大和は告げる。
「ワイツはもう死んだ。忘れろ」
 そして背中に回る大和の手がリリスのお尻まで下がる。
「忘れさせてやる」
「ひゃんっ」
 柔らかい尻に指が食い込み、微かな緊張が伝わってきた。
「怖い?」
 散々陵辱されたのだ。性行為自体が怖くなっていても不思議ではない。
「はい〜」
 だがリリスはしっかりと大和に抱きつき、
「だいて〜ください〜」
 自分から頼んできた。
「そっか。嬉しいよ」
 大和は素直に嬉しかった。女性に、それもリリスのような可愛い魔法少女に好かれているのだ。
 例えそれが服従の呪いによるものだとしても。
 だからこそ許せない。守れなかった自分が。これはその贖罪。
「リリス」
 ちゅーと口を重ね、ベッドに押し付ける。下にリリスの温もり、柔らかさを感じる。
特に豊かな胸がぎゅっと潰されるように胸の下に当たり、ぽよよんと弾力を感じさせた。
「んぅ」
 お尻を撫でたまま何度もキスするうち、腕の中でリリスがもぞもぞと悶えてきた。
「もっと?」
 潤んだ瞳に呼びかける。
「もっと〜」
 潤んだ瞳でリリスは応える。
 リリスの欲求に大和の手がお尻から前に回る。
「あん〜」
 手がさっと股間に滑り込み、縦筋にそって撫でた。肉ひだを指で掻き分け、熱い蜜肉を直に感じる。
「んんぅ〜」
 眉をきゅっと曲げてリリスは股をきゅっと締めた。指も一緒にきゅっと締められる。
「うん。いい感じ」
 散々陵辱されたにも関わらず、リリスの女性器は壊れてないようだ。使い込まれた分だけ具合が良くなっている。
 指を秘所に軽く挿れて掻き混ぜ、顔は胸に近づける。
 たわわに実った乳房に頬を当てぷるるんと揺らし、ぱくっとしゃぶりついた。
「はあ〜」
 深く熱いため息が漏れる。舌に触れる勃起した乳首をちゅうちゅうと吸い立て、指がぐちゅぐちゅと肉壷を掻き混ぜていく。
「んん〜。んんぅ〜」
 微かにリリスの背筋が仰け反り、下がる。腰がヒクヒクとひくつくのが直に感じられた。
「はぁ〜」
 ため息はますます切なく熱くなり、吸われる乳首はカチカチに硬くなる。そして指にはぬちょっと愛液が濡れてきた。
「んあ〜。んん〜。んんぅ〜。ん〜」

 ベッドの上で微かに身じろぐリリスを下に、大和も股間に血が集まるのを自覚していた。
 すでに勃起したペニスがリリスの太ももに刺さり、ぐいぐい刺激を伝えている。
 ぐちゅ、ぐちゅ、と肉壷を掻き混ぜる淫らな音を立てるたび、リリスの腰が小刻みに揺れ。
「んん〜。もう、もう〜」
 真っ赤な顔で訴えてくるリリスに、大和は微笑を浮かべ、尖った乳首にキス。
「もう欲しい?」
「はい〜。ください〜。リリスに〜」
「うん」
 リリスが自分から脚を拡げてくれる。大和はぐいっと腰を進め、抵抗なく肉ひだの中に分身を埋めていった。
「ん〜」
 リリスの手が背中に回り、しっかりと大和を抱きしめる。ぐにっ、と肉ひだが捲れ、大和の分身がずぶずぶと簡単に挿っていく。
「はあ〜」
 お腹の奥深くまであっさりと分身を埋め、リリスは切ない声を上げる。白い脚が上に伸び、大和の腰にしがみついてきた。
「リリス」
 しっかりとリリスに密着し、腕の脚に絡まれながら、大和も分身を根元まで埋め、リリスの胎内までも感じていく。
 ぎゅうぎゅうに狭く、熱く締め付けてくる膣肉を。
「リリス。リリス。リリス」
 一つに結ばれて抱き合ったまま、大和は動かずにただリリスを呼び、感じ続けた。彼女の外と内側、そして心を。
「ご主人様〜。ご主人様〜。ご主人様〜」
 大和を奥深くまで受け入れ、ぎゅーっと抱かれて抱き返すリリスも、ただひ
たすらに大和を感じ、貪る。
「はああ〜〜〜〜〜」
 長い長い、切なく熱い吐息。
「リリス」
 大和はその鮮やかなピンクの唇にキスし、舌を差し込んで、口内まで舐めていく。
「ん〜」
 リリスの全身がビクッと小刻みに震え、腰に絡む脚に力が入り、そして膣をぎゅっと締め付けた。胎内の大和の分身も。
「んっ」
 キスしたまま、導かれるままに大和は精を放つ。
「ん〜。ん〜。んんん〜」
 熱いモノが胎内に満ちるのを感じ、リリスはキスしたまま硬直した。
「んん〜!!!」
 目から熱い涙が溢れ、荒い鼻息が大和の頬にかかる。口はキスで塞がったまま。大和の鼻息もリリスにかかっている。
 どくんっと大和の子種がリリスの胎内に満ちていくのを、一つになった二人はしっかりと感じ取っていた。
 硬く抱き合いながらキスし、やがてその口を離す。
「はあ〜」
 ようやく口を離し、新鮮な空気を求めて深く呼吸。二人とも汗だくで、目を合わせてくすっと笑う。
 腰に絡んでいたリリスの脚が脱力してベッドに落ち、大和は腰を引いた。
「よかったよ」
 熱い肉壷から抜かれた分身は満足したように萎びれ、先端からポタポタと白濁液が漏れていた。
「はわわ〜」
 ふわふわした恍惚の表情でリリスは絶頂の余韻に浸り、涙を流していた。

 リリスの涙をぺろっとふき取り、大和はそのピンクの頭を優しく撫でてやる。
「今日はもう休んでろ」
 囚われてずっと陵辱されていたのだ。今は休息が必要。
「はい〜」
 目を閉じると、リリスはすぐにすーすーと寝息を立てる。寝つきがいいのがリリスの長所。
「お休み」
 眠りに就くリリスをダブルベッドの横にずらし、その横のリリムに視線を向けた。
 すぐ隣で熱い情事があっても、無反応で虚ろな瞳を宙に向けるだけのリリム。
 大和は困った顔で、ベッドの横に立つエステルを見た。熱い情事を見せ付けられた彼女は、赤い顔でもじもじと指を絡めている。
「エステルも服を脱いで」
「はっ、はい!」
 待ち遠しかったのだろうか。スカート丈の短い黒いドレスをすぐに脱ぎ、エステルも裸になる。
 サラサラの長い金色の髪に、豊満な肢体のエステル。その裸を見ただけで大和はきゅっと股間が熱くなり、射精したばかりの分身に力が戻るようだった。
「リリムの上で四つん這いになって」
「は、はい……マスター」
 虚ろな瞳で放心するリリムを下に四つん這いになると、豊かな乳房が重なり、むにっと揺れた。
「うんうん」
 リリムの股間の上のエステルの白い尻を間近に眺め、大和は満足そうに何度も頷く。
 そしてエステルの白い背中にちゅっとキス。金色の髪が流れ、小さな黒い羽が生えた白い背中。その中心の背骨に。
「んっ」
 ぴくっと揺れる背筋を感じ、お尻を撫で撫でと揉み、指を食い込ませる。
 お尻を撫でながら顔を下げ、丸いお尻にぱくっと噛み付いた。
「きゃんっ」
 引き締まったお尻を直に口にして、その柔らかさを味わう。ジューシー。
 リリムの胸に重なる乳房もぷるるんと揺れ、下になるリリムにも直接振動を伝えていた。
 自分の上で重なるエステルと大和を、リリムはただ虚ろな瞳で見上げている。
 変化のないリリムを目で確認し、大和はちゅうちゅうとエステルの美尻をしゃぶっていった。下へ下へと。やがて割れ目までしゃぶっていく。
「んんぅっ!」
 敏感な箇所を舌が触れ、尻がぷるっと揺れた。薄い金色の陰毛に覆われたヴァギナを舐めたのだ。
「んんぅ」
 美しい眉がきゅっと曲がる。
 ふりふり揺れるお尻にしっかりと口を付け、舌にザラザラした陰毛を感じ、その下の柔らかく熱い割れ目を味わっていく。目はリリムのピンクの割れ目を見ながら。
「あんぅ。あふぅ、あんっ。あうっ。あうっ」
 切ない喘ぎが自然に漏れ、四つん這いのエステルは下にいるリリムをぎゅっと抱きしめた。胸がさらに重なり、押し潰される。
「んんぅ」
 ハァと熱いエステルの吐息がかかってもリリムは無反応のまま。
 舌で股間を舐めているうちに、じゅるっと湿り気が帯びてくる。内側から濡れてきた。
 ずずーっと音を立て愛液をすすると、エステルの腰がさらにばたつき、思わず口を離してしまう。
「んんぅ。はんっ。マスター、マスター、マスター」
 お尻を振りながら自分を呼ぶエステルに、大和の頬が緩む。

「エステル。お前は誰のものだ?」
「は、はい。マスターのものです」
「よろしい」
 最初に襲ったときは本気で嫌がり、恋するお兄様に助けを求めていたエステル。それが今や自分の忠実な下僕。
 それが服従の呪い。本人の意思とは関係なく主人に身も心も捧げる呪い。
 大和は背後から手を回し、重なるエステルとリリムの乳房を同時に揉んでやった。
「やんっ」
「……」
 敏感に喘いでくれるエステルと何をされても無反応なリリム。その対比にさらに心躍る。
 リリムの虚ろな瞳を見ながら、エステルに愛撫するうちに、萎えていた分身もすぐに硬さを取り戻した。
 その勃起したペニスがふるふる揺れる美尻の肉に突き刺さる。
「んぅ! マスター……そこじゃなくて……」
 エステルは自ら腰を上げ、濡れそぼった金色の花弁を晒してくれる。
「ほしいか?」
「はい。ほしい。マスターがほしいです」
「いくぞ」
「くれてやる」
 くっくっと愉快に笑い、ずぶっと分身を突き刺す大和。だが先端が入った瞬間、びりっと脳が快楽に痺れ、すぐに余裕を失う。
「くうぅ。いいぞエステル!」
 エステルの膣は狭く、挿れた瞬間から大和をぎゅうぎゅうに締め付ける。もう慣れたリリスにはない新鮮な刺激。
「はああっ! マスター……マスター! マスター!」
「エステル。エステル。エステル」
 ずぶっと欲望のままに一気に奥まで貫き、バックからガンガンと腰を叩きつける。
 パンパンと肉と肉がぶつかる音が響き、仰け反る白い背中と乱れる金の髪、ばたつく黒い羽を大和はしっかりと見下ろしていた。
「はがああっ! はぐうぅ、はんっ!」
 エステルの手が下にいるリリムの頭をぎゅっと抱きしめ、官能に悶える声が耳を打つ。
「んんぅ!」
 ぷるんと揺れる美乳がリリムの乳をも揺らし、勃起した乳首がリリムの乳首と擦れ合い、さらなる刺激をもたらした。だがリリムの乳首は普段のまま。
「あああっ! あああううぅ!」
 そして深々と肉棒が突き刺さる尻は縦に横へと揺れ、飛び散る汗がリリムにもかかっていく。
「ああああっ! ハアアアアッ! はっ! ハッ! はあぁ!」
 頭が真っ白になる。エステルも大和も。
 リリムが虚ろな瞳で見上げる中、二人はひたすら高みへと駆け上がる。
「だすぞ!」
「きて! だして! ナカに、ナカにいぃ!」
 あんなに中出しを嫌がっていたのに、今は自ら求めている。
「はあああああぁっ!」
 エステルの背筋が仰け反って硬直し、同時に大和も達した。
 どくんっと熱いシャワーが胎内に降り注ぎ、結ばれたエステルの腰がガクンガクンと激しく揺れ、リリムの股間にも当たる。
 そして結合部からこぼれる白濁液がリリムの股間にもこぼれていった。
「はぐうぅ……はあっ、はぁ……」
 大和の精を受け、仰け反ったまま硬直していたエステルががくっと脱力し、下のリリムに覆い被さるように抱きついていく。
 さらにその上に大和が覆い被さった。

 一番下にリリム、真ん中にエステル、一番上に大和の三段重ね。上に二人も乗り、リリムの瞳がびくっと震える。
「んん……」
 その口が微かに動く。ハァハァと熱い息を吐くエステルと大和は気付かない。
 そのとき、ばーんと部屋の扉が開き、
「マジカル☆アリサ、ちゃきちゃき行くよ〜」
 何故か変身したアリサがバトンを振り回している。
「アリサも、アリサもー」
 そしてぴょーんとジャンプし、リリムの上のエステルの上の大和に乗ってきた。
「ちょ、ちょっとアリサ」
「重いじゃない」
 交尾の直後で脱力していた大和とエステルが抗議するがアリサは聞いていない。
 汗を浮かべる大和の背中にすりすりと頬擦りし、エステルの股間に繋がったままのちんこをぽんと引き抜いた。
「お兄ちゃん!」
「は、はい」
「アリサが一番だよね」
「うん」
 頷く兄にキャーと喜声を上げ、すりすり全身をすり寄せるアリサ。魔法少女のコスチュームのまま。
「重いってば」
 四段重ねの下から二番目のエステルがさっきより強い調子で言う。一番下のリリムは、ぎゅーと眉を曲げ、唇は苦悶に結ばれていた。
「あ〜」
 すぐ横で寝ていたリリスが目を開け、四段重ねの四人を見て、
「リリスも〜」
 何を考えたのか、立ち上がってアリサの上に重なっていく。
 リリムの上のエステルの上の大和の上のアリサの上にリリスが重なりこれで五段重ね。
「……んぅ」
 リリムの口が苦しそうに呻くが誰も聞いていない。
「重いってば」
「アリサ降りてー」
「お兄ちゃんー」
「たーのーしーいー」
 ダブルベッドの上、エステルと大和の苦しそうな声、アリサとリリスの楽しそうな声が重なっていく。服を着てるのはアリサのみ。
「なにさ、このサンドイッチ状態」
 下にエステル、その下にさらにリリム、上にはアリサ、さらにその上にリリスと、大和は魔法少女サンドイッチの真ん中に挟まれていた。
 イタリア語でいうならパニーニ。魔法少女パニーニ。
「ううぅ……」
 その魔法少女サンドイッチの一番下、リリムの虚ろな瞳にキラッと光が宿り、

「重いって言ってるでしょー!!!」

 不意にリリムの全身からバリッと電撃が走り、上に乗る四人全員を吹き飛ばした。
「もう! リリムを潰してどうする気ですか! 怒りますよ!」
 ベッドの上でぷんぷんと頬を膨らませるリリム。床に投げ出された四人は、目を丸くして見て、
「リリム!」「リリムちゃん〜!」「リリムちゃん」「リリム」
 大和とリリスがリリムに抱きつき、アリサとエステルはほっと息をつく。
「はわわ〜」

 大和とリリスに抱きつかれ、ベッドの上に押し倒されたリリム。ピンクの長い髪が広がっていく。
「ご主人様ー」
 そしてリリムもしっかりと大和を抱き返す。
「ごめんな。ごめんなリリム」
「もう。みんなでリリムの上に乗ってひどいですよー」
「いや、そういうことじゃなくて」
 腕を伸ばしてリリムを見下ろす大和。ピンクの髪の悪の魔法少女。
 その唇にそっと口を重ね、そして瞳を閉じた。
「……」
 リリムもうっとりと潤んだ瞳を閉じ、頬を赤らめ。
 ベッドの上でキスする大和とリリムを、リリスとエステルは優しく見守り。
「はい、そこまでー!」
 アリサが割って入り、兄を引き離した。
「お兄ちゃん!」
「はいはい。アリサも」
 そしてアリサもぎゅーと抱きしめてキス。
 ベッドから身を上げたリリムは、キスされた唇に手を当て、そんな兄妹を暖かく見守る。
 そして気付いた。
「はわわ。エステルお姉様がいます!」
「あ〜。エステルちゃんだ〜」
 リリスは今頃気付いたらしい。
 エステルはやれやれと肩をすくめ、アリサから口を離した大和が説明する。
「ああ。エステルも下僕にしたから。仲良くするんだぞ」
「はーい」
「は〜い〜」
 リリムとリリスは素直に頷き、にこにこ笑顔でエステルに手を伸ばす。
「はいはい。よろしく」
 エステルも手を上げて、リリムとリリスと手の平を重ね、リリムとリリスもお互いに手を重ねた。
 裸のままの悪の魔法少女3人が手を合わせ、三角形を作る。そして口を開き、
「リリムリリムリリムリリムリリムリリムリリム」
「リリスリリスリリスリリスリリスリリスリリス」
「エステルエステルエステルエステルエステルエステルエステル」
 なぜか自分の名前を連呼し、ガタガタと肩を揺らして笑う。魔界の挨拶だろうか。怖い。
 すると大和の膝に乗るアリサも、
「アリサアリサアリサアリサアリサアリサアリサ」
 一緒になって笑い出す。
「アリサまでーっ!」
 不気味に笑う四人の魔法少女。大和はもう頭を抱えるしかない。
「なんなの? なんなのこれ?」
 なんでしょうね。
「リリムリリムリリムリリムリリムリリムリリム」
「リリスリリスリリスリリスリリスリリスリリス」
「エステルエステルエステルエステルエステルエステルエステル」
「アリサアリサアリサアリサアリサアリサアリサ」
 ともあれ、四人の魔法少女がここに集結したのだ。
「もういいから」
 ベッドに上がった大和が、リリムに手を伸ばす。
「ほら。おいでリリム」
「は、はい……」
 やや緊張した面持ちでベッドに上がるリリム。ほどいたピンクの髪がサラサラ流れる。
「アリサもー」

 するとアリサも魔法少女のコスチュームのまま、さっとベッドに上がる。そしてツインテールに結んでいる黄色いリボンをほどいた。
 さらっと長い栗色の髪が背中に落ち、アリサはにこっと微笑む。
「どう?」
「うん。可愛い可愛い」
 ツインテールもいいがこうして髪をおろしたところも可愛い。
「リリムはー?」
 リリムも普段はツインテールだが今はおろし、ベッドにピンクの髪を広げていた。そこにアリサの栗色の髪も重なる。
「うん。リリムも可愛い可愛い」
 横に並ぶ二人の魔法少女に見下ろし、大和はうんうんと頷く。
 リリスとエステルが見守る中、ちゅっとリリムとアリサに交互にキス。
「ご、ご主人様ー。リリム、リリムはー」
 何か言おうとするリリムにまたキスして口を塞ぐ。
「いいから、今は僕だけ見てろ」
「でもー。でもでもー。リリム、いっぱいいっぱいエッチされちゃったんですー」
「いいから」
 ちゅっとキスし、その口で潤んだ瞳からこぼれる涙を舐め取る。
「リリムちゃんだけずるーい」
 アリサが横から抱きつき、一緒になって涙を舐めた。
「きゃー。アリサちゃんも」
 大和とアリサ、兄と妹に涙を舐められ、くすぐったさにリリムは笑顔になる。
本当はくすぐったいだけでなく嬉しいから。
「ねえ、お兄ちゃん」
 涙を舐めると、くすっと笑ってアリサは四つん這いになり、尻を上げて見せた。
「アリサね、下は穿いてないんだよ」
 確かに、ふわっと広がる緑のミニスカートの中は何も着けていない。毛のない桃色の縦筋が丸見え。
「リ、リリムもー」
 裸のリリムも四つん這いになり尻を上げて見せる。アリサ同様のパイパンの秘裂。何度も陵辱されたけど、そこは鮮やかなピンクのままで。
「うん」
 二人の魔法少女の見せ付けるあそこに大和はうっとほっぺたが赤くなり、股間がむずむずと疼き、血が集まるのを自覚した。
 射精してもすぐ回復するのは若さのおかげ。その青い性を妹とリリムにぶつけていく。
「ほーら」
 背中から二人いっぺんに抱きしめるように手を回し、乳房を掴んだ。右はアリサ、左はリリム。
「あんっ」
「やんっ」
 アリサの小学6年生の小振りの乳房と、リリムの華奢な体の割りには豊かな乳房。その両方を同時に味わい、大和はわきわきと揉んでいく。
「ん〜」
「んふー」
 乳房を捏ねられ、四つん這いの二人の白い美尻がゆらゆらと目の下で揺れる。
「お兄ちゃん。お兄ちゃん。お兄ちゃん」
「アリサ。アリサ。アリサ」
「ご主人様。ご主人様。ご主人様」
「リリム。リリム。リリム」
 何度も何度も名前を呼び合い、ふりふり揺れるお尻がたちまちじゅっと熱を帯びて濡れるのがわかった。
「お兄ちゃん」
「ご主人様」

 揺れる白いお尻を見せつけながら、アリサとリリムが同時に求めてくる。真っ赤になった縦筋は濡れそぼり、勃起したペニスを待ち構えていた。
「うーん」
 アリサとリリム、どっちに挿入しようか悩み、
「えいっ」とまずはアリサに突っ込む。
「んぅ! お兄ちゃん! 好き! 大好き!」
 小学6年生の魔法少女の妹が白い背筋を仰け反らせ、栗色の髪がサラサラと揺れる。
 まだまだ幼いヴァギナは限界まで拡がり、兄の性器を受け入れ、呑み込んでいた。
「アリサ」
 妹に挿入した快楽に痺れながら、そっと呼びかけ、腰を引く。
「えっ?」
「リリム」
 唖然とするアリサの横、リリムに続けざまに挿入。
「あうんっ」
 予想もしていなかった一突きにリリムは白い背筋を仰け反らせて、悶えた。たちまち肉壷に大和の肉棒が埋まり、熱く脈動する。
「ご主人様ぁ!」
 ぽろっと涙がこぼれ、白い背中にピンクの髪が揺らめき、小さな黒い羽がばたついた。
 またこうしてご主人様に抱いてもらえる。愛してくれる。それが嬉しくてリリムは快楽を感じながら泣いた。
 例えその嬉しさが服従の呪いによるものだとしても。
 すると大和は痺れるほどの快感を股間に感じながらも、すぐに腰を引いてリリムから抜き、
「アリサ」
 すぐまたアリサに挿入。
「あんっ」
 軽く挿れると今度もすぐに抜き、
「リリム」
 リリムに挿入。
「うんっ」
 そしてまたすぐ抜いてアリサに。
「んん〜」
 挿入される度に、背筋が仰け反り、お尻が大きく震える。
 大和はその二人の魔法少女の背中を見ながら、何度も抽出を繰り返す。
「アリサ」
「あんっ!」
 妹に挿れて抜き、
「リリム」
「はんっ!」
 リリムに挿れて抜く。
 徐々にその抜き差しの早さが上がっていく。大和もアリサもリリムもすっかり汗にまみれていた。
 裸で黙って見ているリリスとエステルも頬を赤く染め、ぎゅっと手に汗が滲んでいた。
「んんぅ! お兄ちゃん! お兄ちゃん!」
「はふぅ! ご主人様! ご主人様!」
 四つん這いになったアリサとリリムが何度も交互に挿入を受け、抽出を繰り返された秘所はすっかり赤くなる。肉が擦り切れるようだった。
「いくぞっ!」
と、不意に大和の腰が二人の上で止まる。
 上を向いたペニスからどばっと白濁液が飛び、二人の栗色とピンクの髪、白い背中に掛かっていった。
「お兄ちゃん!」「ご主人様ぁ!」

 背中に精を浴びながら、二人の背筋が仰け反って硬直し、高く上がったお尻も硬くなる。
「は〜」
 そして大和が脱力すると、アリサもリリムもぺたっとベッドに沈み込んだ。
 ハァハァ、と乱れた息が合わさり、落ち着いていく。
 うつ伏せでベッドに沈み込んだアリサとリリムの目が合わさり、
「へへっ」
「ふふっ」
 お互いに笑い合う。同じ男を愛する戦友同士。
「ご主人様〜」
「マスター」
 すると、リリスとエステルが大和の背中に抱きついてきた。背中にぽよぽよの柔らかい膨らみを感じ、
「こ、こら。リリスは休めって言っただろ」
「大丈夫です〜」
「マスター」
 エステルの手が背中から射精したばかりのペニスを握る。しなやかな手で包んで二度三度ごしごししごくと、すぐにまた大きくなった。
「マスターもまだ大丈夫なようですね」
「ええっ!?」
 唖然とする大和の股間にアリサとリリムが顔を近づけ、左右から舌を出して大きくなった竿を舐めてきた。
「んん〜」
 たちまちむず痒さで腰を振る大和。
「お兄ちゃん」
「ご主人様」
 顔を上げ、ニヤッと笑うアリサとリリム。その笑顔に、大和の背筋がゾクゾク震える。
「ご主人様〜」
「マスター」
 そして震える背中に豊かな乳房を押し付けるリリスとエステル。
 四人の魔法少女が大和を挟み、そして一斉に言う。

「「「「 誰を選ぶんですか? 」」」」

「ええっ!?」
 そんなこといきなり聞かれても。
「うーん」
 大和は少し考え、
「えーい。とりあえず全員相手にしてやるから」
 四人の魔法少女にまとめて挑みかかる。
「きゃー。お兄ちゃんのへんたいー」
「ご主人様のエッチー」
「ご主人様の〜レイプ犯〜」
「マスターの強姦魔」
 アリサ、リリム、リリス、エステル、四人の魔法少女が笑顔で大和を包み込む。
「ぎゅむー」
 そして大和は四人の柔らかい体に包まれ、ペニスも四人の手に同時に掴まれるのだった。
「いたい、痛い。やめてー」
という大和の声は聞かず、四人はごしごしと手でペニスをしごき、ぱっと離す。
 続けてアリサが脚の裏でペニスを踏み付ける。
「どう、お兄ちゃん?」
「うん。いいよ〜」
 続けてリリムがペニスを胸に挟んでしごく。

「どうですか、ご主人様?」
「うん。いいよ〜」
 続けてリリスが胸に挟んでしごく。
「どうですか〜、ご主人様〜」
「うん。いいよ〜」
 続けてエステルが胸に挟んでしごく。
「どうですか、マスター」
「うん。いいよ〜」
 恍惚とした表情でビクンビクンと震える大和。もうペニスも限界。
「アリサだって胸でするもん!」
 自分だけ胸に挟めないのが悔しいのか。アリサがその小さな胸を押し付け、無理矢理にしごこうとする。
「はわわ〜」
 その途端、大和は限界に達し、どぴゅっとアリサの胸に出してしまった。
「きゃっ」
 胸にかかった精液を指ですくい、舐めてみる。
「苦ーい」
「あー。アリサちゃんだけずるーい」
 顔をしかめるアリサを他所に、リリムがペニスにしゃぶりついてくる。
 まだ垂れている精液を飲むために。
「リリスも〜」「マスター、私にもください」
 リリスとエステルも一緒になって一本しかない肉棒に手を伸ばすのだった。
「わー。待って待って。いーやーあー」
 魔法少女部隊に一方的に責められ。大和は涙目で、それでもガクガクと腰を振った。
「うーん。なにかちがう」
 それでもいいかと、大和はペニスをしゃぶられ、射精し、痺れる頭の片隅で思った。
 その日、大和が何度射精したかは記憶に残っていない。ただ朝になったらすっかり干乾びていたとだけ記しておく。

「へへっ。太陽が黄色いぜ」
 かつての両親の部屋でぐったりと大の字になる大和。
 その部屋の化粧台の前では、リリスがリリムの髪を梳き、リボンを結んでいた。
「ご主人様ー」
 ツインテールに結んでもらったリリムが、くるっと回転してみせる。タイトな黒いワンピースを着て。
「うん。可愛い可愛い」
 乾いた口でなんとか言う。
 破られた衣服は魔法で修繕しておいた。リリスもピンクのふりふりドレスを着ている。
「おはようございますマスター」
 きりっとした表情のエステルも魔女のような格好。
 そこにありさがエプロン姿で飛び込んで来た。朝から元気。
「お兄ちゃん、おはよう。さ、朝ごはん食べて学校行くよ」
「えーと。お兄ちゃんは『エッチのしすぎで腰が痛くて元気が出ない病』で休むよ」
「だーめ。昨日も休んだんだから」
 にこにこ笑顔でありさはお兄ちゃんをベッドから引っ張っていく。
 結局、その日は無理矢理に学校に行かされた。
「ご主人様、行ってらっしゃいませー」
「いって〜らっしゃい〜」
「マスター、留守はお任せを」
 リリム、リリス、エステルに見送られ、学校に行く大和とありさ。
 日常が戻ってきたのです。

 疲れててもなんとか学校に行き、大和はほとんどぐったりとして過ごした。
 放課後。
「大和くん大丈夫? 今日は元気なかったけど」
「うん。大丈夫」
 放課後になると少しは回復したようで。大和は帰路を一緒に歩く撫子さんに笑顔を向ける。
「ノートありがとう」
 昨日休んだ大和のために撫子はノートを取っておいたのだ。
「それでさ。今度、どこか出掛けない?」
「うん」
 大和の言葉に少し恥じらいがちに撫子は目を背ける。長髪の大和撫子な撫子がそんな表情をするとすごく似合っていて綺麗だった。
「遊園地とかは?」
「うん……。いいよ」
「それじゃ決まり」
 遊園地に下調べに行かないとな。大和の頭の中にみんなで行く計画が立ち上がる。
「それじゃ、僕はこの辺で」
 小学校の近くまで来ると、大和は足早になって撫子から距離を取った。
「うん、さようなら」
「さようなら」
 手を振って別れる二人。大和は小学校までありさを迎えに行く。
 撫子が付いていくと、ありさが蹴ってきたり、包丁で刺してきたり、バットで殴ってきたりするので、小学校近くで別れることにしたのだ。
 小学校まで来ると、他にも迎えお親が多かった。あんな事件があったばかろだろう。
「お兄ちゃーん」
 校門で待っていたありさが、兄を見つけて駆けて来る。
 兄の前でぴたっと止まると、急に顔をしかめ、くんくん匂いを嗅いできた。
「えっ? なに?」
「あの女の匂いがする……!」
 鋭い視線を周囲に向け、ありさは拳を構える。ファイティングポーズ。
「どこ!? どこにいるの。出てらっしゃい。スクリューキックをくらわして、内臓ぶちまけてやる!」
「どうどう。落ち着け。誰もいないから」
「えー。でも」
「ほら帰るぞ」
「その前に寄る所があるの」
 そう言ってありさが連れて来たのはお寺にある墓地。
 ここには大和とありさの両親のお墓もある。でも今日行くのは別のお墓。
「来たよ、智子ちゃん」
 同級生の親友のお墓を前に、手を合わせるありさ。大和も一緒に手を合わせる。
 目を瞑りながら何を想うのか。ありさと大和は智子ちゃんのお墓の前でじっと手を合わせ、やがて目を開けた。
「ありさちゃん」
 帰ろうとすると、丁度声がかかる。お花を持った女性から。
「おばさん……。こんにちわ」
 智子ちゃんのお母さんだ。ありさの脳裏に、小さな棺にすがりついて泣いていた姿が思い出される。
「こんにちわ。ありがとうね。智子に会いに来てくれて」
「いえ、そんな……」
 精一杯笑顔を浮かべようとするけど、どうしても暗くなってしまうありさ。
 すると智子ちゃんの母親は、ありさを眩しく見つめ、言った。
「もしよかったら。これからも、智子の友達でいて」
「は、はい……! 喜んで」

 泣きそうな目のまま、ありさは笑って言った。そしてありさと母親はお墓を見る。智子ちゃんのお墓を。
 その帰り道。
 手を繋いで無言で歩いていると、大和から声をかける。
「なあ、ありさ。これからも続けるのか?」
「なに?」
「魔法少女」
「続けるよ」
 ありさの瞳に確かな光が宿る。
「だって、マジカル☆アリサは正義の魔法少女だから」
 親友を失っても、その身を穢されても、ありさの意志は挫けない。いや、だからこそだ。
 もう誰にも悲しい想いはしてほしくないから。
「そうだな」
 それでも、と大和は想う。
 ありさを失ったら、お兄ちゃんは生きていけない。
「お兄ちゃん」
 そんな兄にありさは言うのだった。
「これからも頑張ろうね」
「ああ」

 そして。
 この街には魔法少女がいる。
 梅雨が開け、本格的な夏を迎える七月。よく晴れた日曜日。
「ナイトメア☆ヤマト、邪悪に参上」
 遊園地のイベント会場、そのステージに悪魔が降り立つ。
「ナイトメア☆リリム、ただいま参上」
「ナイトメア☆リリス、ゆっくりと〜参上です〜」
「ナ、ナイトメア☆エステル、美麗に参上……」
 さらに現れる3人の悪の魔法少女、観客席からわっと飛ぶ歓声。
 今日の作戦は、『遊園地のイベント会場を占拠しよう大作戦』。非道の極みである。
 以前はデパートの屋上で行っていたのだが、手狭になってきたので遊園地に場所を移動。
「ほら、エステル。笑って笑って」
 にこにこ笑顔のリリムとリリスに対し、エステルだけはがっくりとうな垂れている。恥ずかしいらしい。
「さあ、みんなー。悪ーい悪魔と悪の魔法少女が来ちゃったー」
 マイクで呼びかける司会のお姉さん。
「みんなー。どうしよー」
「アリサちゃーん」「アリサちゃんがくるよー」
 司会のお姉さんに、小さな女の子から返事が飛ぶ。
「うん、そうだね。それじゃあ、みんなで一緒に呼ぼう。せーの」
 司会のお姉さんに合わせ、小さな女の子と大きなお友達が一斉に呼ぶ。

『マジカル☆アリサー!』

「はーい!」
 みんなの声に応え、正義の魔法少女が元気よく駆けて来る!
 ステージに上がると、魔法のバトンをくるくる回し、
「マジカル☆アリサ、ちゃきちゃき行くよー」
「きゃー!」「アリサちゃーん!」「こっち向いてー!」
 わっと盛り上がる観客にウィンクし、アリサは言うのだ。
「みんなー。正義の魔法少女、マジカル☆アリサを応援してねー」

(つづく)