うららかな6月の日曜日。梅雨の季節だが本日は快晴。
 その平和な日常に、
「ナイトメア☆ヤマト、邪悪に参上」
「マジカル☆アリサ、ちゃきちゃき行くよ〜」
 悪魔と正義の魔法少女が降り立つ。誰も居ない山中の野原に。
 本当に人っ子一人居ない山奥。誰も見ていないが、ヤマトとアリサは正面から対峙し、
「ふははっ。よくきたなアリサ。今日こそお前の最期だ」
「平和を乱す悪い悪魔は、正義の魔法少女マジカル☆アリサが許さない」
 くるくると魔法のバトンを回すアリサ。ワイツに壊されたバトンは完全に修復していた。
「みんなー、正義の魔法少女、マジカル☆アリサを応援してね」
 そして誰も居ない野原に、ぱちっとウィンク。
「そうはいかないぞ。ウィングカッター」
 ばさっとヤマトの黒い翼が広がり、風の刃を放つ。レイズに破られた皮膜も完全修復。
 びゅーんと空を切り裂き、風の刃は空に飛んでいく。
「よくぞかわした。これならどうだ。デビルファイヤー」
 続いてボーと口から炎。アリサの居るのとは反対方向に。
「負けないわ。マジカル☆シュート」
「デビルサンダー」
 アリサがバトンから魔法の光を放ち、ヤマトは額の二本角から電撃。それぞれ明後日の方向に。
 ……
 技を出すだけ出すと、ヤマトとアリサは周囲に気を配り、
「誰も来ないな」
「来ないねー」
「やっぱ山奥すぎたんじゃない?」
「でもでも。街でやったら迷惑かかるし」
「あー。しかし誰も来ないなー」
「来ないねー」
 この兄と妹は、『魔法で戦ってるように見せて、誰か来たら襲っちゃおう』作戦の実行中なのである。
ぶっちゃけ、魔法天使か魔法少女が来たら、犯して魔力を奪い、強くなろうという作戦。
 しかし悪魔のヤマトはともかく、アリサちゃんは正義の魔法少女でしょ?
「仕方ないよ。智子ちゃんの仇を討つためだもん」
 そうですか。それなら仕方ない。
「あー」
 悪魔の姿でぼんやりと空を見上げながら、ヤマトは想う。
「リリムとリリスは今頃どうしてるかなー」
 犯されてる。
「うーん。エッチなことされてなければいいけど」
 瞳が光を無くして虚ろになるぐらい犯されてるって。
「お兄ちゃーん」
 ヤマトが連れ去られたリリムとリリスのことを考えてると、アリサが駆けてきて、
「とうっ」と勢いをつけたままジャンプ。足をこちらに向け、
「アリサちゃんスクリューキック!」
 ぐるんっと空中で体が回転し、ぎゅるるーんと紅い弾丸となってヤマトの横を通り過ぎた。

 どかーん


 そのまま山の木々を粉砕し、とことことアリサは戻ってくる。
「どう?」
「うん。なかなかいいんじゃない」
「へへー」
 前回、格闘であっさりとレイズに負けたアリサ。必殺のアリサちゃんキックも全く効かなかった。
パワー不足なのである。女子小学生なのだから仕方ない。
 そこでアリサが考えたのが、回転を加えたアリサちゃんスクリューキック。
当たると痛い。
「しかし、アリサはどんどん格闘が強くなっていくな」
「えへへー」
 無邪気な笑みを悪魔の兄に向けるアリサ。
「だって。お兄ちゃんにくっつく泥棒猫を、片手で殴り殺すんだから」
「あー。ほどほどにな」
 それからヤマトは自分の左腕をぶんぶん振り回す。レイズに切断された左腕。
エンジェル☆オーロラに治してもらい、こちらも完全修復。
「ところでアリサ。お兄ちゃんは左腕を大砲にすると、キャノンフォームになるだろ」
「うん」
「この今の基本フォームにもなんとかフォームって名付けようと思うんだ」
 決して名付けるのを忘れてたわけではない。思い付かなかっただけだ。
「んー」
 アリサはこくんと小首を傾げ、栗色の長いツインテールを傾け、
「いいんじゃないかな。基本フォームで」
「うん。じゃあ基本フォームでいいや」
 というわけで、基本フォームの名称は基本フォーム。
「今度はドリルフォームとかがいいなー」
 悪のドリル魔法少女の処女を奪えばそうなるかも。
「平和だなー」
 ごろんと野原に転がり、青い空、白い雲を見上げているうちに、ヤマトはのどかな気分になってくる。
「そうだねー」
 同じくごろんとなり、ヤマトの腕に頭を乗せるアリサ。
 ぽかぽかとお日様を一身に浴び、身も心もほかほかに。
「平和だなー」
「そうだねー」
「ナイトメア☆ブラストル、とらとらとらと参上!」
「あっ、なにか来たよお兄ちゃん」
「わー。黒い虎男だ」
 背中に小さな黒い羽の生えた黒い虎男が降りてきた。その虎男が訊いてくる。
「お主ら。リリムとリリスを知っておるか?」
「知ってるよー。僕は二人のご主人様だもん」
「おおっ。では今何処に」
「知らないよー。レイズとワイツが連れてったもん」
「なんと。レイズとワイツめが。承知した」
 しゅっ、と黒い虎男は姿を消し、何処かへと去っていく。
「なんだったの、今の?」
「さあ?」
 ヤマトは悪魔の首を傾げ、
「ていうか、せっかく来たんだから、あいつを犯して魔力を奪えばよかったんじゃ?」
「お、お兄ちゃん? そっちもOK?」
「いやOKじゃないけどさ。アリサはどうよ」
「あたしは正義の魔法少女だもん。魔力を奪う能力なんてないよ」
 抱いた相手の魔力を奪うのは魔界の住人か悪魔のみ。
「そっかー。なんだか不公平だねー」

 ぼんやり空を見上げると、
「あれ? また何か来た」
 来ない来ないと思ってたら、急によく来るようになった。

 ぴかっ ごろごろ。

 快晴だというのに、雷鳴が轟く。そして、見上げる空に竜が飛んで来た。
「ドラゴン!?」
 びっくりして起き上がるヤマト。ファンタジーのお約束が遂に登場するというのか。
 よく見ると、その竜の前を箒に乗った少女が飛んでいた。
「しつこいー」
「あれは?」
 見覚え上がる。輝く金色のツーサイドアップ。エステルだ。
 どうやらエステルが竜に追いかけられているらしい。
 ヤマトも翼を広げてびゅーんと空を飛び、アリサは地上で待つ。
「おーい」
 飛びながら呼びかけると、エステルと竜もヤマトに気付いたらしい。
 ぴたっと竜が空中で制止し、エステルはヤマトの背後に回り込む。
 間近で見ると、竜はそれほどの大きさでもなかった。せいぜいヤマトの二倍ぐらい。
ヤマトがおおよそ二メートルくらいだから、十分に大きいのだが。
 赤い肌に赤い翼の赤竜だった。翼の表面にはバチバチと稲妻が走っている。
さっきの電撃はこの竜のものだろう。
 鼻頭には刃のように長い角が一本生え、その鋭い牙が並んだ口が開く。
「なんだお前は」
 しっかりとした発音。野太い声で、喉の奥では稲光のような光が垣間見えた。
「ナイトメア☆ヤマト、邪悪に参上」
 ヤマトが名乗ると、竜も、
「ナイトメア☆デカルト、どらっと参上」
 どうやらこの竜も、魔王の子供らしい。
「また助けられたわね」
 背中から、箒にまたがったエステルが声をかける。長い金髪を手で撫で、セットしている。
前と同じ黒いとんがり帽子に黒マントの魔女ファッション。
「おい。ヤマトとやら」
「なに?」
 慎重に身構えるヤマトに、デカルトが訊ねてくる。
「リリムとリリスを知っているか?」
「また?」
 さっきのブラストルと同じ問い。
「知ってるけど、今の居場所は知らない。レイズとワイツが連れてった」
 そして同じように正直に答える。
「そうか。ではもう用はない」
 背中と長い尻尾を向けると、デカルトはばりばりと翼から雷鳴を出しながら、
飛んでいってしまった。
「なんなんだ?」
 二体の魔物から立て続けにリリムとリリスのことを聞かれ、ヤマトの頭は疑問符でいっぱい。
「なんなの?」
 後ろのエステルに訊くと、「さあ」と彼女も肩をすくめる。
「私も知らないのよ。いきなりリリムとリリスを知らないかーって追いかけられて」
 よくよく空中で追いかけられる魔法少女らしい。
「お兄ちゃーん」
 下からアリサが呼ぶので、すぐにヤマトは地上に降り立つ。

「誰ですか?」
 ヤマトと一緒にエステルも一緒に地上に降りて来る。はじめて見る金髪美少女に、
アリサは露骨に顔をしかめた。お兄ちゃんと一緒だから。
「僕の妹のマジカル☆アリサ。見ての通りの正義の魔法少女」
「マジカル☆アリサ、ちゃきちゃき行くよー」
 ヤマトがまずアリサから紹介すると、アリサはバトンを回して名乗りを上げる。
「へー。悪魔の妹が正義の魔法少女ねー」
 半ば呆れながら、エステルは箒から降りて地に足を着けた。
「アリサ。こちらはエステルさん。よく知らない人」
 ヤマトが紹介すると、エステルも黒いマントをはためかせ、口上を上げる。
「ナイトメア☆エステル、美麗に参上」
「うわっ、この人自分で美麗とか言ってるよ」
「失礼だぞアリサ。美人じゃないか」
「お兄ちゃん、こういう人が好み?」
「綺麗な人はみんな好きだよ。
 ……! も、もちろん、一番はアリサさ」
 一瞬胸に突き刺さるような鋭い視線を感じ、ヤマトは慌てて付け足す。
 そんな兄と妹を、エステルに額に指を当てて見ていた。付いて来れない。
「ところで。さっき、リリムとリリスが連れ去られたって言ってたけど」
「うん。レイズに負けて連れ去られた。ワイツはアリサが勝ったけどな」
「うん。ボコボコに殴って蹴ってやったんだ」
 がしっと小さな拳を握るアリサ。
「その割には呑気ね」
 呆れたようにエステルはハァとため息。
「呑気じゃないよ。こうして魔法少女を誘い出して、犯して魔力を奪おう作戦を実行中なんだから」
「そうそう」
 こくこく頷くアリサ。そして兄と妹はびしっとエステルを指差し、
「というわけで、お前の魔力とついでに処女をもらう!」
「本当は嫌だけど! お兄ちゃんにエッチされろー!」
 一応作戦は覚えていたらしい。
「えー? 私? ていうか、なにこの変態兄妹」
 ジト目になってやれやれと肩をすくめるエステル。
「大体、なんで処女だって分かるのよ」
「分かるよ。経験無いんだろ」
 きっぱり断言するヤマト。エステルは黒いとんがり帽子を抑えて視線を隠した。
「そりゃーね。私の初めてはもう決めてる人がいるし」
 好きな人のために貞操を守ってきたらしい。
「だからごめんね。あなたに抱かれるのは無理なの」
「いいねぇ」
 心に決めた人がいる女を無理矢理犯す。処女を奪う。ヤマトの悪魔の心に嗜虐の火が点く。
「僕に処女を奪われれば、服従の呪いにかかるってわけだ」
 魔王が処女(童貞)の子供にかけた呪い。処女を無理矢理奪った人間を悪魔にし、
その人間に服従する。
「そうね」
 黒いとんがり帽子から手を離し、エステルが青い瞳を強く輝かせる。真剣な表情。
 ギラギラした瞳のヤマトに、欲情した雄の匂いを感じたから。隣のアリサもやる気満々。
「行くぜぇ」
 さっとヤマトが踊りかかり、戦闘開始の合図となった。

 悪魔の巨体で迫り、ザッと大きな腕を振るう。手には長い爪。
 エステルに魔法を使う暇を与えず、肉弾戦を仕掛けたのだ。
「ヘイスト」
 だがエステルの魔法はさらに早かった。
 振り下ろされる爪が当たる寸前、ひゅっ、とエステルの姿が消える。
「なっ!?」
 いや、猛スピードでかわしただけだ。残された箒がからんと草に落ちる。
「お兄ちゃん、後ろ!」
 アリサの声に振り向くより早く、後頭部に強い衝撃。
「がっ」
 前のめりに倒れそうになるのを必死に堪える。くらくらする頭を抑え振り向くが、
もうそこにはエステルはいなかった。心配そうに見るアリサがいるだけ。
「上!」
 アリサの声に今度はばっと前に跳ぶ。寸前までヤマトが立っていた場所に、
金色の輝きが落ちてきた。エステルの金髪のきらめき。
 すたっと着地し、黒いとんがり帽子を片手で抑え、エステルは不適に笑う。
「どうしたの? 全然遅いじゃない」
「いや、そっちが早いんだよ」
 今のスピードといい、蹴りの威力といい、あのエンジェル☆リーシャにも引けは取らない。
 リーシャと戦っても負けなかった、というのは本当だったのだ。
「見えた?」
 視線はエステルに向けたまま、後ろのアリサに聞いてみる。
「だめ。ちょっとしか見えなかった」
 ちっと舌打ちするアリサ。
「そうか。僕は全然見えなかったよ」
 魔法で加速してるにしても、エステルは早い。早すぎる。
 だがスピードだけなら勝機はある。リーシャにだって勝ったのだ。
 黒いとんがり帽子から手を離し、エステルは両手を前にかざした。
「シャープネス・クロー」
 膝まで覆う長い黒手袋。その上にしゃきーんと鋭い鉤爪が三本生える。
「なにっ」
「私ね」
 鉤爪を構えながら、エステルが言う。
「こう見えても、格闘タイプの魔法少女なのよ」
 黒いとんがり帽子に黒マントの魔女の格好に反して、戦闘スタイルは格闘。
 しゅっとその身が消え、ヤマトの眼前に迫った。
「お兄ちゃん、右!」
 アリサの声に右手をかざす。その腕にざっと鋭い傷が走った。
 ヤマトには全く見えないが、アリサにはかろうじて見えるらしい。
 ヘイストの呪文で加速し、シャープネス・クローの鉤爪で敵を切り裂く。
それがエステルの戦い方らしい。
「デビルフャイヤー」
 ぼーと口から火を吹くが、もうエステルの姿はなかった。
「どこ!?」
 周囲に視線を向けるが姿は見えない。アリサの声も聞こえなかった。

 キン

 と、後ろから金属音。
「へー。よく受けたわね」
 振り向くと、エステルの鉤爪をアリサがバトンで受け止めていた。
 目標をヤマトからかろうじて見えるアリサに切り替えたらしい。
 鉤爪を受け止めたバトンがじりじりと押され、鉤爪の先端が目に向けられる。
アリサの可愛くも強気な眼差しに。

「やめろ!」
 ザッとヤマトが駆け寄り、背中の黒いマントに爪を振り下ろす。そのマントがはためいたかと思うと、サッと消えた。
「くっ」
 慌てて腕を止めるヤマト。アリサの頭上でギリギリ止める。
「すまん」
「お兄ちゃん後ろ!」
 声に振り向くよりも早く、足元をすくわれた。
 そして悪魔の巨体が転ぶよりも早く、ドンと強い衝撃。連続蹴り。
「どわっ」「きゃっ」
 吹っ飛ぶヤマトに巻き込まれ、アリサも一緒に草むらに倒れた。
「ごめん」
 すぐに立ち上がり周囲を警戒。エステルは鉤爪を装備した腕を腰に当て、余裕で待っていた。
「もう終わりにする?」
「まだまだ」
 ぺろっと唇を舐めるヤマト。横ではアリサもくるくるとバトンを回している。
「デビルサンダー」
「マジカル☆シュート」
 電撃と魔法の光を同時に発射。しゅっと消えるエステル。
「右!」
 アリサの声に電撃を右に向ける。電撃が草を薙ぎ払い空を切り裂いていく。
「上!」
 ヤマトには全く見えないが、アリサの声に翼をはばたかせウィングカッターを上空に。
風の刃が空を切り裂いていくが、手応えはまるでない。
「そこっ! マジカル☆シュート」
 するとアリサがバトンを向け、前方に赤い光を放った。
「きゃっ」
 ばしゅっと光弾が命中し、エステルは両手を交差して防御。微かに体が後ろに下がり、
その頭から黒いとんがり帽子が落ちた。はらっと金色の髪が宙に舞い、陽光を反射してきらめく。
「やるじゃない。私に帽子を落とさせるなんて」
 両手を交差させたまま、命中させたアリサにエステルが視線を向ける。微笑を浮かべているが、目は笑っていない。
「あなたこそ。しっかり防ぐなんて」
 くるっとバトンを回して、アリサも微笑む。こちらも目は笑っていない。
「えーと」
 二人の魔法少女を交互に見て、ヤマトは置いてきぼりの気分を感じていた。
超スピードに全く付いていけない。
「そのマントも取ったほうがいいんじゃないですか?」
「取ってみなさいよ」
 アリサの言葉をエステルは挑発で返す。落ちた帽子は取ろうとしない。
「お兄ちゃん。援護よろしく」
「えっ? あっ、うん」
 かすかに腰を下げるアリサ。ヤマトは止めようともせず、左腕を変化させた。
「フォームチェンジ」
 ぎゅるんと左腕が闇に包まれて一回り大きくなり、黒い大砲に変化。
「ナイトメア☆ヤマト・キャノンフォーム」
 左腕が変化した大砲を見て、エステルが独り言のように呟く。
「当たらなければ、どうということはない」
 逆に言うと、当たれば痛いということだ。
 サッとエステルの姿が消える。
「右45度」
「角度で言われても分からん」

 とりあえず右斜めにドカンドカンと大砲から闇の魔力弾を連射。
 どごーんと土が吹っ飛び、木がへし折れ、土煙が上がる。
「そのまま砲撃を続けて」
「えっ?」
 ヤマトに指示し、アリサは自ら砲撃の中へと飛び込んでいく。
 妹の背中を見ながら、ヤマトは言われたとおりに砲撃を続ける。一応は当たらないようにしているが、動きまわられてはどうなるか分からない。
「当たるなよ」
 願いながらドカンと砲撃を続ける。
 その砲撃で巻き起こる土煙の中、砲撃音に混じってカキンカキンと金属音が聞こえてきた。
 どうやらアリサとエステルがやり合っているらしい。だがヤマトにはおぼろげにしか見えない。
「お兄ちゃん! ここに撃って!」
 妹の声のした方向にどかんと発射。
「きゃああっ!」
 するとアリサの小さな体が宙に飛び、ヤマトは慌てて砲撃を止めた。
「アリサ!」
 どっと地面に倒れるアリサ。だがすぐに立ち上がる。手に黒い布を持って。
「へへっ。取ったよ」
 それはエステルの黒いマント。
 砲撃がやみ、土煙が収まると、あちこち穴が開いた地面の上にエステルは立っていた。
 黒いマントを取られ、背中の小さな黒い羽がはっきりと見える。
「ふーん」
 感心したようにアリサを見るエステル。その金色の髪には埃一つない。
「ヘイストのスピードに付いてこれるなんて。やるじゃない」
 帽子もマントもなく、裾の短い黒いドレスのみになったエステルはやっぱり綺麗で。
裸も見たいものだとヤマトは股間を疼かせていた。
「大丈夫かアリサ」
「うん」
 駆け寄るとアリサはニコッと笑みを見せてくれる。その小さな体のあちこちに切り傷があり、血が滲んでいた。
 手に取ったマントを離し、バトンを構える。
「休んでろ」
 その前に出て、ヤマトは左腕の大砲をエステルにむけ、
「フルバレル」
 がしゃんと大砲が前後に伸びる。砲門の中に膨大な闇の魔力が渦巻く。
「当たらなければ大丈夫て言ったわよね」
 ヤマトの必殺の一撃を前に、エステルは腰を沈める。いつでも動ける体勢。
 当てる自信があるのかどうか、ヤマトは特大の魔力弾を発射した。

「ナイトメア☆キャノン・フルバースト!」

 どごっと周囲の光が吸い取られ、一瞬暗くなる。巨大な魔力弾は真っ直ぐエステルに直進。
その射線上からエステルの姿が消えた。
「甘い」
 フルバーストを余裕で避け、エステルはヤマトの眼前に出る。
 両手の鉤爪がぐさっとお腹に突き刺さった。

『痛がる暇があったら反撃しろ』

 レイズの言葉が脳裏に甦る。
 ヤマトは無意識のうちに、お腹に鉤爪を突き刺す右手をつかんでいた。

「えっ!?」
 鉤爪を引き抜こうとしても、悪魔の右手がしっかりつかんで離さない。
「アリサ!」
 そしてヤマトはエステルを掴んだままアリサに叫ぶ。
「うん」
 だーっとアリサはエステルを掴むヤマトに駆け、飛び上がり、

「アリサちゃんスクリューキック!」

 伸ばした右足に赤い魔力の光が集束し、猛烈な勢いでその身が回転。
 魔力に回転の勢いが加わり、ヤマトが掴んだエステルの背中にぶち当たる!
「きゃああー!」
 スクリューキックをまともに受けたエステルの背中がみしっと軋み、ヤマトと一緒に吹っ飛んでいった。

 どかーん

 重なった二人は森の中に飛び込み、木々をへし折りながら、なおも止まらない。
やがて大きな音がして、地面にでっかい穴を開け、重なるように倒れた。
「うー。いてて」
 左腕を大砲から元の腕に戻し、ヤマトは腕の中のエステルを確認する。
 背中は煤けているものの、まだ意識はあるようだ。
「くうぅ」と苦しそうに呻き、ヤマトのお腹に突き刺した鉤爪を引き抜く。
 ごぼっとお腹から血がこぼれた。だがレイズのときのように内臓は飛び出ない。
傷が浅いのだ。
「ま、まだ……」
 まだ立ち上がろうとするエステルを、両手でしっかり抱きしめ、
「デビルサンダー」
「きゃあああああーっ!」
 電撃を浴び、腕の中で悶えるエステル。その苦悶の表情にヤマトの胸がどきんと高鳴った。
「きゃああああっ! ま、まだ……この程度で……きゃああああああーっ!」
 電撃を浴びせ続けても、まだエステルは爪を立ててくる。だが力が入らないようで、悪魔の皮膚を貫くことは出来なかった。
鉤爪は虚しく胸板の表面だけをなぞっていく。
「大丈夫ー?」
 電撃を流し続けてると、アリサがやって来た。
「ああ。もうすぐ終わる」
「きゃああああっ! アアアアアァアアアっ!」
 悪魔の電撃を受けながもら、必死に爪を立てようとするエステルを見て、アリサは
「がんばれー」と声をかける。どっちを応援してるのか。
「ああぁ……はがぁ……」
 やがて白目を剥き、口から泡を吹いてエステルはがっくりと脱力した。
 一度電撃を止め、ヤマトはすぐにまた電撃を放つ。念のためだ。
「はうっ」
 軽く電撃を受け、エステルの体がビリッと飛び跳ねる。だがそれだけだった。
「勝ったー」
「やったね」
 戦利品のエステルを抱え、ヤマトが勝利を宣言すると、アリサもバトンを高々と回す。
「マジカル☆」
 そしてウィンクして勝利の決めポーズ。
 マジカル☆アリサは正義の魔法少女です。

「うぅん……」とエステルが目を開けると、青空が見える。眩しさに目を細めた。
「起きたー」
 上から、見知らぬ人間の少年が見下ろしている。
「誰?」
 体を上げようとして気付いた。後ろ手に縛られている。
「くっ」
 山腹の野原。自身の黒いマントの上にエステルは寝かされていた。
「僕だよ」
 言うと大和は悪魔の姿のヤマトになる。傷は魔法で治した。
「あっ」
 それでエステルは気付き、そして思い出した。電撃に痺れて気を失った事を。
 すぐに人間の大和の姿に戻り、エステルを上からじっくりと見ろしてくる。
いやらしいギラついた視線で。エステルはきゅっと体を緊張させ、視線から目を逸らした。だが体は視姦されたまま。
「あっ、目が覚めた?」
 声に顔だけ向けると、アリサが箒にまたがっている。こちらは変身したままで、
エステルが乗っていた箒にまたがり、ぴょんぴょんジャンプしていた。どうも飛ぼうとしているらしい。
「ねえ、これ飛べないんだけど」
 使い方が分からないらしい。訊ねるアリサにエステルは無言を顔を背ける。
 縛られた両手に力を籠めるがビクともしない。当然、鉤爪は外されている。
エステルの手を後ろ手に縛っているのは、彼女自身のドレスの胸元の布。
「きゃああっ!?」
 当然、豊かな乳房は丸見えなわけで。それに気付いたエステルは、頬を赤くして身をよじった。
隠そうとしても、両手は後ろに縛られて動けない。
 その横からするすると衣擦れの音がする。大和が服を脱いでいるのだ。
「きゃっ!?」
 一瞬目に飛び込んだ赤黒い肉棒に慌てて目を閉じた。
「わー。お兄ちゃんもう大きくなってる」
 呆れるようなアリサの声。
「アリサは後でな」
 まずはエステルから。目を閉じ、胸を晒したエステルの上に覆い被さっていく。
「やめて!」
 上に大和の重みと温もりを感じ、エステルははっと目を開けた。そして豊かな胸を揉む大和の手を感じながら、
「きょ、協力するわ。だから、もうやめて」
「協力?」
 むにむにと胸の弾力を愉しみながら、聞き返す大和。
「え、ええ。レイズとワイツを倒して、リリムとリリスを助けるんでしょう。
私も協力する。だから離して」
「うーん」
 手に触れる胸の柔らかさをたっぷり感じながら、大和は涙目になるエステルを見下ろし、
「ちゅー」と、口を尖らせて近づけた。
「!」
 不意の事に、エステルは避けられなかった。ぶちゅっと唇に暖かくて濡れたものが触れてから気付く。
 キスされたことに。
「いやあっ!」
 咄嗟に横を向いて口を離すエステル。その視線の先に、箒にまたがり、黒いとんがり帽子を被るアリサの姿があった。
 わくわくした様子で、エステルに覆い被さる大和を見ている。

「ね、ねえ。あなたからもやめるように言ってよ。正義の魔法少女なんでしょ」
「うーん」
 サイズの合わないぶかぶかのとんがり帽子を手で抑えながら、アリサは欲情した兄の目を見て、股間がきゅんと疼くのを自覚していた。
「でも、あなたは悪い子の魔法少女だし。まあお仕置きだと思って」
「そんな……」
 正義の魔法少女からも助けてもらえず、エステルは呆然となる。その口に、再び大和の口が重なった。
「いやっ!」
 嫌々と顔を振って口を振りほどき、長い金髪が乱れ、大和の目を愉しませた。
 キラキラ輝く金色の髪を掬い上げ、大和が言う。
「キスも初めてか?」
「く〜」
 涙を溜めた瞳に怒りが籠もる。屈辱に顔が赤く染まった。
「協力するって言ってるでしょ。今なら許してあげるから」
「許しは要らない」
 金色の髪を撫で、サラサラの感触に胸を高鳴らせながら、大和は顔を胸に近づけていく。
「今はエステルが欲しい」
 言うと、その口でピンクの乳首をちゅっと含む。
「やっ」
 口に含んだ乳首は舌触りよく。母乳は出ないが甘くて美味しくて。ちゅうちゅうと強く吸う。
「うんぅ」
 唇を噛んでエステルは耐える。痛みと屈辱と、もっと別の吸われる胸の奥からくる疼きに。
「わー。お兄ちゃんだけずるーい」
 すぐ近くにアリサの声。箒と帽子を置き、ドキドキと顔を赤らめている。
「アリサも吸ってみろ」
 胸から顔を上げ、大和はアリサに譲る。
「うん」
 自分よりもはるかに豊かな少女の胸にドキドキしつつ、アリサはそっと乳首を口に含んだ。
大和が吸い、唾液にまみれた乳首を。
「やっ。んぅ」
 兄の唾液を舐めるように乳首をしゃぶり、歯を立て、軽く噛んでみる。
「ひゃっ!?」
 ビクッとエステルの豊かな胸全体が震えた。ニヤッとアリサの目が笑い、ちゅうちゅうと吸い立てていく。
「はっ……。だめ、やめなさい……。やめなさいってばぁ……」
 妹に胸を吸われ、きゅっと眉を寄せて身をよじるエステル。悔しさだけではなく別のものが声に含まれてきた。
「アリサもやるなー」
 ここまで協力的とは思わなかった。
 胸は妹に任せ、大和は黒いドレスの短いスカートをめくりあげる。
 魔界にパンチを履く習慣はない。エステルもノーパンで、薄暗闇の中に金色の花園が広がっていた。
 うっすらと生えた薄い金色の陰毛。その下の桃色の割れ目。指で触れると、
ビクッと腰が浮き上がった。
「だめっ!」
 瞳からツーと溜まっていた涙がこぼれる。
 乳首を吸うアリサがもう片方の胸にも手を伸ばし、もみもみと揉みだした。
大和と違う、女の子の繊細な揉み加減。
「ううっ……だめ、だったらぁ……」
 ハァハァと、年下の少女の愛撫に、息が荒く、そして甘くなっていた。
 そしてスカートの中では、大和の指が花弁に触れ、ぐりぐりと撫でてくる。

「んんぅ! んぅ。 んっ、んんっ。んっ」
 グリグリと指が中心部を押し付けて回転し、浮かび上がるエステルの腰も一緒になって回転する。
 ちゅうちゅうと吸われる乳首が、尖ってくるのをアリサは口の中で感じていた。
「やっ! やああっ……いやっ、いやああっ!」
 妹に胸を吸われ、揉まれ、兄に股間を責められ、エステルの身がガクンッと悶え、
そして緊張が高まっていく。
 胸がドクンと高鳴り、股間が奥からきゅんと濡れる感覚。それが何かエステルは知っていた。
大好きなあの人を想う度に、同じような切ない気持ちになっていたから。
「いやっ……いやぁ……」
 もう恥も外聞もなく、涙がぽろぽろとこぼれる。
「お兄様……。助けて、お兄様ぁ……」
 股間を弄びながら、大和がニッと口の端を歪める。
「へー。好きな人ってのはお兄様か」
 乳首をしゃぶっていたアリサも顔を上げ、
「お兄様が好きなんだ。へんたいさんだねー」
 お兄ちゃんはいいのか。
 唾液で濡れそぼり、ぷっくりと勃起した乳首を指で弾く。
 大和も割れ目の上をなぞり、手に触れた肉芽をツンと指で弾いた。
「やっ、ああっ……。お兄様、お兄様……お兄様ーっ!」
 乳首とクリトリスを同時に責められ、エステルの腰がググッと持ち上がる。
「ね、ねえ、協力するって言ってるでしょ! なんでもする、するからぁ!
 だからお願い、これ以上は、もうこれ以上は、だめ、許して、許してください……!」
 涙と金髪を振り乱しながらエステルが必死に懇願する。魂の奥から振り絞るような声で。
「お兄ちゃん、もうあそこビンビン」
 兄の股間をしっかりと見据えながら、乳首を弄るアリサが言う。
「もうヤッたほうがいいんじゃない」
「しかしな」
 手に触れる秘所はまだあまり濡れていない。微かには濡れてるが、大和としてはじっくり愉しんでから処女を奪いたい。
「早くしたほうがいいよ。この人何するか分からないし」
「やだっ! やだ、いや、だめ、許して……!」
 エステルは後ろ手に縛られて泣き叫ぶだけだが、確かに何をするか分からない。
舌を噛み切って自殺することだってある。
 じっくり愉しむのは処女を奪って服従させてからにしよう。
 そう決めると、大和はエステルの太ももに手を置き、脚を開かせる。
「ひっ。いやっ、いやっ、お兄様、お兄様がいいの、嫌ーっ!]
 電撃で痛めつけられた体にはろくな力が入らない。簡単に脚は開かされた。
 短いスカートは捲り上げられ、隠すものは何もないしなやかな脚の付け根。
 金色の薄い茂みの奥、桃色の割れ目はうっすらと濡れ、鮮やかに色付いている。
「お兄様……。どうして、どうして助けてくれないんですかぁ……。助けてよぉ……お兄様ぁ……」
 ぽろぽろとこぼれる涙。悲しみに染まる美しい顔。ゆらめく金色の髪をしっかりと見下ろし、大和は腰を突いた。
「ひぎいいぃ!!!」
 みちみちと生暖かい肉の壁を裂き、赤黒い肉棒の先端が処女肉へと突き刺さり、
「いやあああああーっ!!!」
 一気に貫いた。

「わぁ」
 ワクワクした赤い顔でアリサの眼は、兄の肉棒が突き刺さる結合部に一心に注がれている。
「血が出てる」
 肉棒の突き刺さった股間からは一筋の血が流れていた。
「あたしもあんなだったのかな」
 悪魔のヤマトに処女を奪われたときを思い出し、ぺろっとアリサは唇を舐める。
 見ているだけで胸がドキドキしてきちゃった。
「やああっ! 抜いて! 抜いて! 抜いてえええぇっ!」
 悲痛な叫びを聞きながら、大和は肉棒を包む柔らかさと狭さに歓喜して腰を突く。
「ひぐううぅ! 抜いて! お願いだから抜いて! 抜いてったら抜いてぇ!!!」
 肉棒が狭い膣肉を抉り、ばたばたと脚がばたつく。
「くぅ」
 肉棒から直接脳にまで刺激が伝わり、大和は夢中になって腰をガンガンと叩きつける。
 何度体験してもいいものだ。処女を無理矢理奪うのは。
「ああっ……アガアアッ!ひいっ、ヒイイィっ!!!」
 浮き上がった腰がガクガクと左右に揺れ、一緒になって大和の肉棒を締め付けられる。
「いい。出すぞ、出すぞぉ」
「いやあああっ! ナカは、ナカはやめてえええっ! ださないで! お願い!
 抜いて! 抜いて! 抜いてえええええぇぇぇっ!!!」
 泣き声に後押しされるように、大和は頭の中が真っ白になり、果てた。
「出さないでえええぇぇぇーっ! ダメーッ! ナカは、ナカは嫌ーっ!
 お兄様ーっ! お兄様! 助けて、助けてええええぇぇぇーっ!!!」
 そしてドロッと膣内に精液が注がれていく。
「アアアアアーッ!」
 絶叫を聞きながら、大和はドクドクと射精し、アリサは赤い顔で自分の体をきゅっと抱きしめていた。
 熱い。体が熱い。お兄ちゃんに慰めてもらわなきゃ。
「はぁ」
 切なく熱い吐息を漏らすアリサの見届ける中、浮かび上がった腰がぐったりと下がる。
「ふー」
 そして肉棒を抜く大和の中に魔力が流れ込んで来た。エステルの魔力。
「ぐっ」
 同時に、胸に突き刺さる鋭い痛み。呪いだ。
 その身に三度、悪魔になる呪いがかかる。
「お兄ちゃん? 大丈夫?」
「ああ」
 体を流れる流れる汗に冷や汗が混ざる。呪いの痛みはすぐに消えた。
「あぁ……。はあぁ……」
 体の下で、目から涙、股間から血と精液を流すエステルに訊く。
「エステル。僕はお前の何だ」
「は、はい……」
 さっきまで泣き叫んでいた口でエステルは大和を見上げて言う。
「私の……マスターです」
「マスターか」
 リリムとリリスはご主人様だが、エステルの呼び方はマスターらしい。
「うん。今日から僕がマスターだ」
 後ろ手に縛っていた布をほどいてやり、大和はエステルの金髪を抱きしめ、撫でてやった。
 サラサラでキラキラ輝く金色の髪。これがもう僕のもの。

「キスして」
 大和が言うと、エステルは頬を染め、やや躊躇いながらも自ら口を重ねてくる。
 ちゅっと唇を重ねるだけの軽いキス。
 さっきまであんなに嫌がっていたのに、今はキスまでしてくれる。
 服従の呪いは便利。そして非情。
「エステル。お前の好きなお兄様ってのは誰だ?」
「はい。カイトお兄様です」
 頬を染め、恥ずかしながらもエステルは口にした。服従の呪いにかかっても恋心が失われる訳ではない。
「ふーん」
と今度は大和からキス。好きな人を言った口に。
「僕とどっちが好きだ?」
「それは……」
「どうした?」
「ま、マスターです」
 逡巡したがエステルははっきりと告げる。
 ずっと想いつづけた愛しいあの人よりも、処女を奪った強姦魔を選ぶ。それが服従の呪い。
「お兄ちゃん」
 ぴょんとアリサが抱きついてくる。
「アリサも、アリサも」
「はいはい」
 キスしながらアリサを押し倒す。太陽の下、草の上に。
 今日はこのまま野外プレイだ。
「エステルの魔力が回復したら、レイズとワイツを探すからな」
「はい」
 青空の下で抱き合う兄妹を眩しく見守りながら、エステルが頷く。
「それまでは」
 腕の中のアリサに何度もキスし、大和は視線をエステルに向けた。
 お兄様に恋する金髪の美しい魔法少女。
「3人で愉しもうな」

 大和が妹とエステルを抱いてる頃。
 虎男に進化したワイツも、リリスとリリムを相手に愉しんでいた。
「へへ。いいぜぇ」
 床にあぐらをかいて座るワイツ。その股間に顔を寄せ、リリスとリリムが一心にペニスに舌を走らせ舐めている。
 もう何度も射精を受けたのだろう。二人とも顔は精液にまみれ。ピンクの髪も白く汚れていた。
 虚ろな瞳、壊れた表情で、ただワイツのペニスを舐めていた。股間からはどろくどくと白濁液が溢れ、脚を白く染めている。

 ぴちゃ ぴちゃ

 薄暗い部屋に淫らな音が響き、虚ろな表情の姉妹を、ワイツはよしよしと撫でてやる。
「あぁ……」
「あ〜……」
 リリムもリリスも言葉さえ失い、ただ壊れた声で呻くだけだった。

(つづく)