金城 智子(小学6年生)は魔法少女マジカル☆トモコである。
 魔法天使エンジェル☆アクアの手によって魔法少女になった智子ちゃんは、
今日も悪と戦い続けるのだ。

「ただいま〜」
 その日、智子は上機嫌で家に帰ってきた。
 メガネにおかっぱのおとなしそうな女の子。今日はとってもいいことがあったらしく、
軽い足取りで自分の部屋へと入っていく。
 バッグを降ろすと、椅子に座り、にへへとつい顔が緩む。
 と、部屋の押し入れのふすまが開き、「ふわ〜」と大きなあくび。
「あ、智子ちゃん。おはよう」
「おはよう、じゃないよ〜。もう学校終わっちゃったよ」
「ごめんごめん」
 押し入れの上の段の布団で寝ていた女の子が、すたっと降り立つ。
 見た目の年齢は智子ちゃんよりちょっと上ぐらい。中学1年生といったところでしょうか。
 青みがかった黒髪は智子と同じようなおかっぱ頭、前髪もきっちりと切り揃え、
撫でると気持ちよさそう。
大きな瞳は爛々と輝き、小柄で華奢な体をスクール水着のような服で包んでいる。
背中にはなぜか亀の甲羅を背負い、その甲羅からは白い翼が出ている。背中から生えた翼が甲羅の通し穴から出ているらしい。
 少女の名はエンジェル☆アクア。智子を魔法少女にした張本人。つい一週間前ばかりの話である。
それ以来、アクアはこの押し入れの中に居候していた、
「もう。今日は大変だったんだから」
「え? 何かあったの?」
 きょとんと聞き返すアクア。ベッドに腰掛けると、ずしっと布団が沈む。甲羅の重みだろうか。
「うん。学校でね、ナイトメア☆ドロイドと戦ったんだよ」
 そのときを思い出し、ぽわわんと智子の瞳が夢心地になる。
「あのね、それでね。マジカル☆アリサと一緒に戦ったの!」
 おとなしい智子にしては珍しく、興奮した様子で拳まで握って。
「そっかー。ごめんね寝てて」
 マジカル☆トモコのピンチに魔法天使が現れなかったのはこれが原因。寝てた。
「うん、大変だったんだよ」
 プールで閉じ込められ、水の手で胸やあそこをぺたぺた触られたときを思い出し、
ぶるっと智子は身震い。
「でもでも、アリサちゃんと一緒に頑張って勝ったの!」
「そう。偉い偉い」
 立ち上がり、アクアは智子のおかっぱの頭をよしよしと撫でてやる。
「マジカル☆アリサはね。とっても可愛くて強かったよ」
 頭を撫でられながら、アリサの姿を思い出し、智子はさらに瞳を輝かせる。
キラキラと。でも。
「なんだか、マジカル☆アリサはありさちゃんにそっくりだった」
 友達の千巻 ありさちゃん。髪を伸ばしてツインテールにして、同じ衣装を着せれば、
マジカル☆アリサと全く同じ。すごい偶然。
 窓の外を見上げ、ぼんやりと智子は呟く。
「でも、マジカル☆アリサの正体は誰なんだろう?」

 その日の夜。
 千巻家では、兄の部屋にみんな集まり−
「はああぁんっ! お兄ちゃん! お兄ちゃん!!」
 しきりにお兄ちゃんと呼び続ける妹のありさに、兄の大和はガンガンと腰を叩き付け、
幼い膣に突っ込んだ肉棒をかきまぜる。じゅくじゅくと淫らな音が響いた。
 ありさが身に付けていたちょっと小さなスクール水着はあちこちが破られている。
特に胸と股間が大きく裂かれ、淡い胸はよだれまみれで乳首は勃ち、股間は兄のモノをしっかりと受け止めていた。
 まだ小学6年生だというのに、兄の手によりありさはすっかり開発されていた。
その自らが開発した青い肢体を、大和は存分に貪っていく。
「ありさ! はぁ、ありさ!」
 スクール水着を破いてのプレイにいつも以上に興奮し、大和は腰を振り、ベッドの上の妹を揺さぶっていく。
「ああぁん! いい! いいよぉ! お兄ちゃん! お兄ちゃん! お兄ちゃん!」
 肉の欲求を存分に肉親にぶつけ、絡み合う兄と妹を、リリスとリリムの姉妹が、
これまた床の上で裸で絡み合いながら見ていた。
 二人とも、大和がなかなか相手してくれないから、お互いで慰め合うことにしたらしい。
 姉妹のピンクの髪が絡み合い、豊かな乳房が合わさり、パンパンと肉がぶつかる音が響いた。
 頬を染めて裸で抱き合い、大和とありさの近親の情事をしっかりと瞼に刻む。
「うううぅん! お兄ちゃん! ありさ、もう! もうだめっ!」
「ああっ。いっしょに行くぞ」

 どくん

 もう今日何発目か数えるのも忘れた射精。どくどくと幼い子宮を精液が満たし、
細い太ももにこぼれていく。
「はぁ」
 すっかり満足しきった声を出し、ぐったりとありさはベッドに沈み込む。
ずるっと肉棒がこぼれ落ち、絶頂の余韻に心地よく浸りながら、夢心地に眠りに入っていた。
 その妹を見下ろしながら、大和はふーと息を吐く。
 だがまだだ。体の奥から新たな欲情が沸きあがる。妹に散々中出ししながら、
大和はまだ性欲を満足させていない。
 高校一年生の盛り真っ最中ということもあるが、悪魔になって以来、性欲も増大しているようで。
 本人もそれは自覚しているが、沸きあがる欲情をとめられない。今は妹だけでなく、
美しい下僕が二人もいるのだから。
 ベッドから降りると、床で抱き合うリリスとリリムに向かう。二人同時に抱きしめた。
「きゃっ」「やーん」
 すりすりと二人のピンクの髪に埋まり、ちゅっちゅっとキスの雨。
 大和の性欲が収まるまでまだまだ掛かりそうだった。
 床で抱き合う三人に気付かず、ありさはくーと早速寝息を立てている。
 今日はもう起きそうもない。
 だから今夜起こることに気付かなかった。

 その日、昼間は快晴だったが、夜になると暗雲が立ち込めていた。

 6月の梅雨の時期。星空も月も見えない夜空の下で。
「がおーん」
 一匹の狼が吠えていた。いや、顔こそ狼のそれだが、しっかりと二本の脚で立っている。
 狼男。人が見れば真っ先にそう思うだろう。
 ふさふさの銀の毛並みに、大きな口に並んだ鋭い牙。まさに絵本で見るような狼男の姿そのものだった。
 唯一違うのは、背中に生えた蝙蝠のような小さな羽。
「ナイトメア☆ワイツ、わおーんと参上」
 ワイツと名乗った狼男が吠える。もっともその声を聞く者は誰もいなかった。
誰も居ない夜の河川敷。さらさらと川の流れる音だけが聞こえる。
「がおーん」
 構わずに吠えると、河川敷の地面からもこもこと何かが盛り上がってくる。
 夜闇に輝く赤い瞳。ワイツと同じ銀色の毛並み。大きさは虎や獅子ほどもある。
 それは魔の力を秘めた犬。狼にも見えるが犬。魔犬である。
 そして自らが召還した魔犬に、ワイツは命じた。
「さあ。人間どもをたらふく食おうぜ」

「智子ちゃん、智子ちゃん」
 寝ている智子を、揺り起こす手。まだ眠りに入ったばかりの智子はすぐに目を開けた。
「なーに? アクアちゃん」
 起き上がりメガネをかける。パジャマ姿の智子に、アクアは真剣な声で告げた。
「魔物よ」
「えっ!?」
 眠気がすぐに吹き飛んだ。暗くてアクアの表情は見えないけど、真剣な雰囲気が伝わってくる。
「変身よ」
「う、うん」
 そしてパジャマのまま、智子は手を挙げ、

「マジカライズ」

 呪文を唱えると、青い光が智子を包む。
 メガネが消え、おかっぱの髪を赤いリボンが飾り、パジャマはゴスロリ風の黒いドレスに変わっていた。
「行くわよ」
「う、うん」
 緊張した面持ちで頷くマジカル☆トモコ。変身すると暗闇の中でもはっきり目が見え、
アクアの真剣な表情も見えた。
 魔法少女は夜に戦う場合も多い。暗視は必須能力だ。もちろん天使も同様。
 窓を開けて、さっと外に出るアクアのあとをトモコも続いていく。きちんと窓を閉め、小声で呟いた。
「ちょっと、行って来ます」
 それはまだ起きているはずの両親への言葉。智子に兄弟はおらず、一人っ子。
魔法少女しているなんて知ったら心配するに決まってる。だから両親には秘密にしていた。アクアのことも。
 内心罪悪感を感じながらも、トモコは先を行くアクアの後に続いて走っていく。
 今は街を守らなきゃ。

 向かった先は河川敷だった。
 その土手を、今にも大きな犬の群れが駆け上がっていくのが見える。

「行かせない」
 魔犬の群れを見かけ、すぐさまアクアがその前方に立ちふさがる。
「あ、あんな大きい……」
 一方のトモコははじめて見る魔犬に脚がすくんでいた。普通の犬だって怖いのだ。
爛々と赤い瞳を輝かせ「ぐるる」と唸る虎や獅子ほどの大きさもある魔犬。
それがたくさん。怖がりのトモコが怯えるのも無理は無い。まだ小学6年生。
「トモコ、しっかり!」
 トモコの怯えを感じ、アクアが檄を飛ばす。
「は、はい」
 そうだ怖がってなんかいられない。あの魔犬が街に出たら大変なことになる。
震える脚をなんとか動かし、前に出ようとして−
「がうー!」
「きゃっ」
 吠える魔犬にやっぱり脚がすくんでしまう。と同時に、魔犬が一斉に飛び掛ってきた。
「きゃー!」
「ウォーターバリア」
 アクアが手をかざすと同時、魔犬の前に水の壁が立ち塞がる。
 きゃいーんと鳴いて水の壁に跳ね飛ばされる魔犬の群れ。
「ウェイブ・ブレイド」
 さらにアクアの両手から波のような大量の水が横一直線に広がり、全ての魔犬を上下に切断!
そのまま川まで流してしまう。
「大丈夫?」
「はい。だ、大丈夫……です……」
 ふるふる震えるトモコは、上下にすぱっと切断され、血と内臓といろいろなものをぶちまける魔犬を目撃し、
「きゃー!」
 悲鳴を上げ、さらに震えてしまう。
 切断された魔犬は川に流され、黒い闇となって消えた。
「しっかり。まだこれからよ」
 アクアの言葉を証明するように、

「ナイトメア☆ワイツ、わおーんと参上」

 切断された魔犬が流された川より、狼男がその巨体を現す。ずぶ濡れで。
「やってくれたな。よくも俺の可愛い犬どもを」
 丁度そのとき雲が途切れ、月光が差し込み、ワイツを照らした。
「きゃああっ!」
 月光を浴びてキラキラと濡れた銀色の毛並みが輝き、その凶悪な狼の顔を浮かび上がらせ、
トモコは悲鳴を上げてしまった。

「エンジェル☆アクア、瑞々しく光臨」

 名乗ったワイツに、アクアも名乗ると、後ろにいるトモコに、
「ほら。トモコも」

「マジカル☆トモコ、おとなしく行きます」

 ほとんど反射的に、震える口でトモコも名乗った。
「へー」
 月が再び雲の奥に消え、周囲が暗闇に戻る。ギラギラ輝く赤い瞳で、ワイツはアクアとトモコを見比べ、
「どっちもなかなか可愛いじゃねえか」

 べろっと大きな舌で舌なめずり。
「可愛がってやるぜ。たっぷりとな」
 しゃきーんと両手の爪が長く伸びる。そして牙を剥いて襲い掛かった。
「まずはてめえからだ!」
 飛び掛ったのは天使のアクア。
「トータス・ガード!」
 慌てず騒がず、アクアは背中の甲羅に手足と胴と顔を引っ込める。
 ごろんと転がった甲羅に、ワイツは爪を立て、
「硬えー!」
 ビリビリ痺れる手を押さえた。
「このっ!」
 続いて大きな口で噛み付き。ぱくっ。
「硬えー!」
 だが結果は同じ。爪も牙も硬い亀の甲羅に弾かれる。
「ふんっ。この甲羅の前には、半端な攻撃など通じません」
 亀の甲羅の中からアクアの得意気な声。確かに攻撃は通じないが、
「それで、どう攻撃する気だ?」
 すぐにワイツは気付いた。亀の甲羅に引っ込んだアクアに攻撃する手段はないと。
「なら、こっちからだ!」
 後ろで震えているだけのトモコに目標変更。鋭い爪を向け、飛びかかる。
「きゃー! きゃー!」
 瞳を輝かせ踊りかかる狼男に、トモコは呆然と立ち尽くし、自分に降りかかる長い爪を、涙を溜めた瞳で見上げるだけで。
「させません!」
 すると、アクアを収めた亀の甲羅が猛スピードで回転し、
「トータス・スピン!」
 ぎゅいーんと甲羅が宙を飛び、背中からワイツに体当たり!
「ぎゃーっ!」
 甲羅を受け、吹き飛ぶワイツ。トモコの上を飛び過ぎていく。
「しっかりなさい! トモコ!」
 甲羅から顔と体を出して立ち上がり、アクアは今にも泣き出しそうなトモコに、
「あなたは正義の魔法少女なのよ。だれが人々を守るというの?」
「は、はい!」
 そうだ。泣いてるだけ、守られてるだけじゃない。
 私は、戦うために魔法少女になったんだ。
 あのマジカル☆アリサのように。
 それに、なんだかアクアのほうが強そうで。一緒だとすごく安心。
「て、てめえ!」
 背中をしたたかに打ちつけたワイツが、よろよろと立ち上がり、向かってくる。
「マジカル☆リボン」
 トモコの手に持った黒いリボンがぎゅーんと伸び、ワイツに絡みつき、胴体をぎゅっと締め付けた。
「な、こんなもん!」
 ワイツが大きな体で力を込めると、ギチギチとリボンが鳴る。あんまり長い時間は拘束できそうもない。
「アクアちゃん!」
「うん!」
 こくっと頷き、アクアは両手を上にかざす。その両手から水が噴き出し、巨大な渦潮が巻き起こった。
「なっ!?」
 さっとワイツの顔が青ざめる。だがもう遅い。リボンの拘束はすぐいは解けない。
「アクア・ブレス!」

 頭上の渦潮を前に向け、アクアの必殺技がワイツを包む!
「ぎゃー!」
 渦潮に飲み込まれ、ワイツが叫ぶ。それは断末魔の叫びになるはずだったが−
「レイズ・クロー!」
 ぶしゅっ。
 不意に大きな影が頭上から渦潮に飛び込み、真っ二つに切り裂いた。
「えっ?」
 そしてアクアは見た。
 ずぶ濡れの河川敷に、新たに立つ青い魔物を。
 ワイツを狼男とするなら、それは青い虎男。ワイツより一回り大きく、青い毛並みをしている。
 精悍な虎の顔は闘志に満ち。両肩と両膝には青い宝玉が輝いていた。背中にはやはり小さな黒い羽。

「ナイトメア☆レイズ、とらとらと参上」

 名乗り、がおーと夜空に吠える。地の底から震えるような雄叫び。
「くっ」
 新たに現れたレイズに、アクアの表情に陰りがよぎった。ワイツよりも明らかに上。
 トモコもまた、ガタガタと震えが戻っていた。レイズの大きな全身から感じる強烈な圧迫感に、胸の底から凍えそうで。
「レ、レイズの兄貴!」
 レイズの足元に倒れていたワイツがようやく顔を上げる。
「みっともないぞワイツ」
「へへ。すまねえ。助かったぜ」
 狼の顔でワイツは愛想笑いを浮かべているように見えた。
 魔王の座を目指す魔王の百人の子供。手を組む者もいるということだ。
「トモコちゃん」
 二体の獣人に視線を向けたまま、後ろのトモコにアクアは言う。悲壮な決意で。
「逃げて」
「えっ?」
「足手まといはいらないのよ」
 辛辣な言葉だがトモコにもすぐ分かった。アクアが身を挺してトモコを逃がそうとしていることに。
「ウェイブ・ブレイド」
 魔犬を一層した波の刃。
「ふん」
 だがレイズが長い爪を一閃するだけで、波は跡形もなく消えてしまう。
腕力が、そして爪に込められた魔力がワイツとは段違いなのだ。
「逃げて」
 もう一度アクアが言うがトモコは動けなかった。いや動かなかった。
 確かに怖い。すっごく怖い。でも−
「逃げるなんてできないよ」
 震える声で言い、震える手でリボンを構える。だって、
「私だって、魔法少女なんだから」
 えーいとリボンを伸ばす。だがレイズを包むより早く、細切れに刻まれた。
「えっ?」
 トモコには、リボンを切り裂くレイズの動きさえ見えなかった。
 暗闇のせいじゃない。明かりがなくてもはっきりと見えている。あまりにも早過ぎたのだ。
 じろっ、とレイズの虎の瞳がトモコに向けられる。
 目が合っただけで「ひっ」と怯え、心臓が飛び出そうだった。
「戦士で無い者が戦場に来るんじゃねえ」

 虎の口で言い、今度はアクアに、
「お前もだ。こんなガキを戦いに巻き込んで」
「くっ!」
 ぎりっと歯を噛み締めるアクア。彼女にも分かっていた。智子が戦いには不向きな性格だと。
 それでも巻き込んだのは自分。だから守る。守りたい。
「だが」
 レイズが一歩踏み出す。それだけで空気が震えるようだった。
「戦いになった以上は容赦しない」
 そして青い虎男が牙を剥く。
「タートス・ガード」
 ワイツのときと同じように甲羅に体を引っ込めるアクア。
 長い爪が甲羅に突き刺さるも、カキンと弾かれる。構わずにレイズは大きく口を開けて噛み付いた。
 その牙も甲羅に阻まれたように見え、

「ナイトメア☆ファング・フルクラッシュ!」

 大きな牙が青く光ったかと思うと、膨大な魔力が牙から直接流し込まれ、

 ばりーん!

「きゃああっ!」
 甲羅が粉々に砕け、中からアクアの小さな体が飛び出した。
 スクール水着に包まれたおかっぱ頭の小柄な少女が、河川敷の野原に倒れ伏す。
甲羅に半ば包まれていた背中の小さな白い翼もはっきりと見えていた。
「アクアちゃん!」
 駆け寄ろうとするトモコの前に、突風が巻き起こる。青い巨体が突如として前に立ち塞がったのだ。レイズだ。
「あ、ああ……」
 またも目に見えないほどの超スピードで目の前に現れたレイズを、トモコは震える瞳で見上げる。
 レイズはじっとそんな哀れな少女を見下ろし、
「どうした? 仕掛けないのか?」
「えっ?」
「あの天使を助けたいのだろう? お前の全力を見せてみろ」
 そうだ。アクアちゃんを助けないと。今助けられるのは私だけ。

「マジカル☆リボン・ファイナルフラワー!」

 手に持ったリボンが長く伸びてレイズを包み、黄色い魔力の光が花びらの形になる。
「ええぇい!」
 そして光の花びらがレイズの巨体に向かい−
「えっ?」
 ぱっと消えた。
「そんな……」
 正確には吸収されたのだ。レイズの両肩両膝の青い宝玉に。
「所詮この程度か」
 つまらなそうに呟き、レイズが拳を振り上げる。トモコの頭よりも大きな手。
「あ、ああ……」
 涙が溢れ、頬にこぼれた。
 ここで……私、死んじゃうんだ。
「やめて!」
 アクアの叫びを聞きながら、レイズの爪が振り下ろされる。

「ひっ!?」
 ぴたっ、と爪はトモコの眼前で止まる。
 へなへなと崩れ落ちて草むらに座り込んだトモコの股間から、じょーと音が漏れた。
「ちっ」
 おしっこを漏らした魔法少女に舌打ちし、レイズは背中を向ける。
「ワイツ、こいつは好きにしていいぞ。俺はいらんからな」
「へい!」
 すぐに満面の笑みを向け、ワイツが飛び掛ってきた。
「きゃあっ!」
 細い肩を押さえられ、草むらの上に押し倒されるトモコ。
「へへっ、おしっこ漏らしやがって。ここまで臭うぜ」
 狼だけあって鼻は利くのだろう。こんなときなのに、恥ずかしさでトモコは赤くなる。
「きゃああっ!」
 だがすぐに悲鳴に青ざめた。アクアの悲鳴だ。
 トモコと同じようにレイズに押し倒されたアクアが、そのスクール水着を破られていた。
「いやっ!」
 淡い胸元が無惨に晒され、レイズの虎の舌がべろりっと舐めていく。アクアは
ただおかっぱの頭を振り乱し、悔し涙を流すだけだった。甲羅を砕かれた亀に何が出来よう。
「ア、アクアちゃん……」
 トモコの目からもさらに涙が溢れる。
「へへっ。じゃあこっちも」
 ワイツもしゃきーんと爪を走らせ、
「きゃああーっ!」
 黒いドレスがいとも簡単に裂け、アクアよりもさらに小振りの乳房が晒された。
「小ちぇえなぁ」
 それでもワイツは大きな狼の舌でべろっと胸を舐めてきた。
「ひっ!?」
 ザラザラした舌の感触に、トモコはただ気持ち悪くて青ざめる。
「やだ……やめてぇ……。ママァ!」
 大人しい正確で性的な知識はほとんどないが、それでも自分が何をされようとしてるか悟り、トモコは泣き叫ぶ。
「へっ。ママーかよ」
 泣き叫ぶ少女に愉快そうに顔を歪め、ワイツは小さな乳首をぴちゃぴちゃと唾液をまぶすように舐め、味わっていく。
「嫌ぁ……嫌あ……。やめて、やめてください、もう許してぇ……」
 乳首をコロコロと転がされ舐められ、気色悪さと恐怖にただ泣き声だけが大きくなっていく。
 ぺちゃぺちゃと胸は唾液にまみれながら、先端の乳首はまるで変化しなかった。
「ちっ。本当にガキかよ」
 なんら性的な反応を示さないトモコに、ワイツはつまらなそうに口を開いた。
押さえつけた手を離し、一旦身を離す。
「はぁ……」
 トモコがホッとしたのも束の間。
 ワイツは唯一身に付けていた腰のズボンを脱ぎ去る。毛皮に覆われた体に衣服は必要ないが、
そこだけは決して破れないズボンを履いていた。魔界にパンツを履く習慣はないので、
下は何もなし。
 そしてズボンを脱ぐと、ずーんと天を向く醜悪な肉の塊りが飛び出す。

「ほーら。見てみな」
「きゃあっ!」
 見ろと言われて直視できるはずもなく。トモコはすぐに目を逸らした。ただ銀の陰毛に包まれた赤黒い肉棒だけが脳裏に刻まれる。
「そう。嫌がるなよ」
 目を閉じて涙を流すトモコの頬を、つんつんとワイツは肉棒で突付く。
「これが、お前の中に入るんだぜ。入るかなー?」
 大柄な狼男ののワイツの性器は、大人の男よりもはるかに大きく逞しい。
一方のトモコは小学6年生でも小柄なほう。
「嫌ぁーっ!」
 頬に触れる感触が何か悟り、トモコは嫌々と首を振る。おかっぱの頭も揺れ、
切り揃えた髪の端が肉棒を撫でた。
「はー。いいぜ」
 思いもよらぬサラサラの髪の感触に腰を震わせ、ワイツはドレスのスカートに手をかけた。
 ビリッ、と簡単にスカートが腰まで裂け、細い脚が晒される。あまり運動したこともないような華奢な脚。
「いやぁ……。助けて! 助けてアクアちゃん!」
 その頃のアクアは、貧弱な胸をレイズにしゃぶられ続け、小さく身悶えていた。
「くぅ……、。ト、トモコちゃん……。はぁ」
 トモコの悲痛な声を聞きながら、熱い吐息が漏れる。
 虎の舌で徹底的に舐められる胸は赤くなり、小さな乳首はツンと尖っていた。
その乳首を転がすように大きな舌がコロコロと舐めていく。
「あっ……んっ……」
 すりすりと細い太ももが擦り合い、緊張で力が籠もる。
「こんなぁ……嫌っ……」
 魔物に嬲られ、魔法少女は助けを求めているのに、何も出来ずに感じている。
そんな自分がどうしようもなく恥ずかしく、悔しく、涙が滲む。
「お願い……。トモコちゃんだけでも助けて……」
 乳房を舐める舌をとめ、レイズは残酷に言い放つ。
「駄目だ。敗者は勝者に従うもんだぜ。それが嫌なら戦うな」
「お願い……」
「恨むならお前自身の弱さを恨め」
 涙を流すアクアを見下ろしながら、レイズの手が股間に伸びる。一気にスクール水着の
腰の部分を引き裂き、乙女の大事な部分が晒された。水着なので下着は無し。
「嫌ぁっ!」
 アクアの叫びを聞きながら、トモコもまた股間を晒されようとしていた。
「あー。しょんべんくせえ」
 破いたスカートの中に手を入れ、おしっこで濡れたパンツを長い爪でびりっと切り裂く。
「やめて! やめてください!」
 言われてやめるはずもなく、ワイツはじっと脚の付け根を視姦する。
 アクアもトモコも毛はまだ生えておらず、びしっと固く閉じた一本の縦筋が丸見えで。
 見られながら、羞恥と恐怖でトモコはひたすら叫んでいた。
「助けて! 助けてマジカル☆アリサ!」

 一方その頃、マジカル☆アリサこと千巻 ありさは。
「すー。すー」
 お兄ちゃんのベッドでぐっすりと眠っていた。
 破かれたスクール水着の上から毛布を被り、ぐっすりと兄に抱かれ火照った身を休ませている。
 その横では、まだまだ元気な大和が、リリスとリリムを相手に姉妹丼。
 マジカル☆アリサもナイトメア☆ヤマトも今夜は出撃不能。

「嫌ぁ やめて、もう嫌ーっ!」
「やめて! お願いですから、もうやめてください!」
 真っ暗な河川敷に少女の叫びが響き渡る。だがそれを聞く者は襲っている本人のワイツとレイズだけ。
 トモコとアクア、おかっぱの少女二人は、晒された股間を大きな口でしゃぶられ、
泣き喚いていた。
 ワイツの狼の口がトモコの秘所をしゃぶり、レイズの虎の口はアクアの秘所をしゃぶっていく。
「やぁ……やだぁっ! 助けて! だれか助けてよぉ! ママ! ママァ!!!」
「うっ、くぅん……んっ、はぁ……。お、おねがい、トモコはたすけてぇ……」
 気持ち悪さにただ泣き叫ぶトモコに対し、アクアの声には明らかに甘いモノが含まれていた。
しゃぶられる腰がもぞもぞと動き、それでもトモコの助命を願う。

 ぺちゃ、ぺちゃ、ぺちゃぺちゃ。

 ワイツとレイズの舌の動きがより早くなり、貧弱な少女の割れ目を舐め、唾液をまぶし、
濡らしていった。
「嫌ぁ! もう、もう嫌ああぁーっ! こんなの嫌ーっ!」
 恥ずかしい所を舐められる羞恥で泣き叫びながら、トモコの心はこんなはずじゃないと叫んでいた。
 あのマジカル☆アリサのように、かっこよく悪い魔物をやっつける。そのために正義の魔法少女になったのに。
 それなのに。
 現実は、魔物に無惨に敗れ、エッチなことをされている。
「やだああぁーっ!」
 理想と現実のギャップに、トモコの目から大粒の涙がこぼれ、顔をぐしゃぐしゃに濡らしていく。
「ごめんね……。ごめんねトモコ……。ううぅんっ……」
 レイズに秘所を舐められ、未知の官能に困惑しながら、アクアは泣き叫ぶトモコに、
やはり泣きながら謝っていた。
 おとなしくて優しい、戦いには不向きな性格の智子を巻き込んだのは自分。
 だからこそせめて一緒にいて守ろうとした。昼寝してて学校で戦ってたときには来れなかったけど。
 それなのに。
現実は、守ることも出来ず、一緒に魔物に嬲られている。
「ああっ……んあああっ……はっ……」
 高まる官能に自然と腰を揺らし、喘ぎを漏らし、アクアの瞳からも大粒の涙がこぼれていった。
「やめてぇ……やめてよぉ……」
「ごめんね……トモコ……。はっ」
 おかっぱの少女二人の泣き声を聞きながら、レイズがゆっくりと顔を挙げる。
「そろそろいただくぞ」
 じゃーとズボンを脱ぐと、やはり虎のペニスは隆々と勃起していて、乙女の花弁に向けられる。
 アクアの秘所は唾液で濡れそぼり、内側からも愛液が漏れていた。
「へへっ。じゃあこっちも」
 先に脱いでいたワイツも、勃起した狼のペニスを、破いたスカートの中に進ませた。
「ああっ……いやぁ……」
 トモコはまだ少しも感じていないが、秘所は唾液で濡れている。
 おかっぱの少女の処女を、醜悪なケダモノの肉棒が貫こうと近付いていく。

「いやぁ……。やだぁ」
 ギラギラ光る狼の眼差しを見上げ、トモコは呆然と呟き続ける。狼の腰が自分の腰に近付き、なにか硬いものが割れ目に触れた。
 それが何か、何をされるか本能で悟り、小さな口が精一杯の悲鳴を上げる。

「イヤアアアアアアアアアアアァァァーッ!!!」

 ずしゅっ!

 肉の槍が幼い秘裂に突き刺さり、盛大に血の花を咲かせ、細い貧弱な脚に流れていった。
「トモコオォォォーッ!!!」
 狼男に貫かれるトモコに、必死に手を伸ばすアクア。その天使にも、蒼き虎男のペニスが突き刺さる。

「ひぐううぅぅぅっ!」

 太い異物が細い腰に突き刺さり、血を噴き出させながら、埋まっていく。その痛みと感触に、アクアは背筋を仰け反らせて叫んでいた。

「やめてぇぇぇーっ!!!」

 ずしゅずずっ。
 幼く狭い膣を虎の凶悪なペニスが貫き、一気に奥まで突き進む。
「ひぎいいいぃぃぃ!」
 今までの官能は一瞬で吹き飛び、痛みだけがアクアを支配していた。
「ぎゃああああーっ!」
 そしてトモコの叫びに、罪悪感がぶり返す。
「ああ、トモコ……」
 レイズに犯されながら、アクアは目を逸らすことなくトモコを見た。狼男に
無惨にも処女を散らされるおかっぱの少女を。
「ああっ! あがあああっ! いたい! いたいよおおぉぉ!」
 ワイツのペニスはまだ先端しか入っていない。それでも身を引き裂かれるような痛みに、トモコの全身がのたうっていた。
 だが体が動くと同時に、膣に突き刺さった肉棒が刺激に慣れていない幼い膣肉を抉り、
さらなる痛みとなる。
「いだああぁっ! ぬいて! おねがいだからぬいてぇええぇっ! いたい、
いたいよおおぉっ!」
「へへっ」
 痛みで泣き叫ぶ少女に愉悦を漏らしながら、ワイツはなかなか埋まらないペニスに焦っていた。
トモコの割れ目はあまりに小さく、大きな肉棒は硬い幼肉に阻まれ、ちっとも進まない。
 気持ちだけが先行し、性欲を満足させられず、ただ腰に力を込める。
「いたいいぃ! ぬいて、ぬいてっえたらぁぁーっ!」
「うっせーぞ!」
 苛立つワイツは怒鳴りながら、ぐいぐいと腰を押し付ける。だが血が噴き出すだけで、
肉棒は少しも埋まらず、ワイツ自身も痛いだけで少しも気持ちよくならない。
「はああっ! あがああっ!」
 一方のアクアは、レイズのモノを深々と突き刺されながら、腰を揺らして喘いでいた。
 ワイツよりもさらに大きなペニスを突き込まれながら、いつしか痛みは和らぎ、
子宮を刺激する疼きが生まれている。

「ああっ……。だめ、こんな、だめなのにぃ……」
「ひぎいいいぃっ!」
 トモコの叫びが耳を打ち、アクアをさらなる罪悪感が打ちのめす。だが一度火照った身体はどうしようもなかった。
 アクアの狭い膣を奥まで貫きながら、レイズはじっと腰を止めて泣きながら喘ぐ天使を見下ろす。
「くうぅ……あっ……アッ……アァ……」
 アクアの腰がわずかに上下し、お腹の中に埋まったペニスに刺激を与える。、
レイズは動いていない。アクアの腰が勝手に動いているのだ。
「いやぁ……もう、もう、イヤアアアアアアアアアーッ!」
 犯され、感じている事実に、アクアはおかっぱの髪を揺らして絶叫する。
 ぽつり、と涙の流れる頬に雨が落ちて来る。
 暗雲からぽつぽつと雨がこぼれ、すぐにザーと大降りになった。
「ひぎいいぃ! ひぎゃあああーっ!」
「ああっ……アアアアーッ! イヤアアアアーッ!」
 その大降りの雨に打たれながら、おかっぱに少女二人が泣き叫ぶ。トモコは痛み、
アクアは官能に。
「ちいぃ!」
 ぐいぐいと腰を進めながら、血が溢れるだけで、ワイツは相変わら先端だけを挿入し、
そこから進めないでいた。
苛立ちが頭の中を真っ赤にし、得られない快感にさらに苛立つ。
「くそったれがぁ!」
「ひぎゃあああーっ!」
 先端だけ挿れたペニスで狭い幼膣を無理矢理に抉り、ワイツは獣欲を爆発させた。
華奢な肩口にがぶっと噛み付き、同時に射精する。
「いたあああーっ!」
 鋭い牙が胸に食い込み、同時に射精を受ける。上半身が血に、下半身は血と白濁液に染まり、トモコは意識を失っていった。
 そしてマジカル☆トモコの魔力がワイツへと吸収されていく。
 抱いた相手の魔力を奪う能力。それは魔界の住人ならば全て持っている。
 マジカル☆トモコの変身が解け、顔にはメガネがかかりおかっぱの髪からリボンが消え、
破かれたドレスはパジャマへと変わっていく。
「トモコオオオオオオォォォォーッ!!!」
 肩から胸を食い千切られ、射精を受けて変身が解ける智子を、アクアはカッと目を見開きながら見ていた。
 その彼女にも、虎男の精液が注がれる。
「アアアアアーッ!」
 屈辱と後悔、痛み、そして初めての絶頂。様々な感情がアクアを揺さぶり、
ドクドクとレイズの射精が子宮を満たし、結合部から溢れ、細い脚にまで流れていく。
「アアァ……アァ……」
 そしてアクアの魔力もレイズに奪われ、ペニスが引き抜かれると同時に、
その体が白く光る。
 処女を失った魔法天使は天界へと帰っていく。
「ごめんね……智子……」
 最後に呟いたのは智子への謝罪の言葉。無念を残し、エンジェル☆アクアは光の球となり、
雨を降らす暗雲へと飛んで行った。
「ふー」
 一息つき、レイズはズボンを着る。雨はザーザーと降り注ぎ、青い毛皮を濡らしていた。
「へへ。すまねえ兄貴。つい殺っちまった」

 同じくズボンを履きながら、ワイツが謝る。その足元では、元の姿に戻った智子が血を流して倒れていた。
 引き裂かれたパジャマ、噛まれた肩から胸元まで大きく裂け、血で染まっている。
ぱっくりと脚は開かされ、股間からは血と精液がこぼれていた。メガネの奥の瞳は光を失い虚ろで、もう何も映していない。
 小柄な少女の体にザーザーと雨が降り注ぎ、血を流していく。それでも血はとまることはない。
 見るからに智子の傷は致命傷だった。魔法でも使わない限り、すぐに死に至るだろう。
「構わん。俺はいらぬと言っただろ。行くぞ」
「へい」
 ばっとその場から飛び立つレイズとワイツ。背中の小さな黒い羽をはばたかせ、
雨の中を飛んで行く。今日はもう帰るだけ。
 あとにはただ、血まみれで横たわる智子だけが残される。
 血まみれの胸が微かに上下し−すぐに動かなくなった。

 翌朝。
「ふわー」
 あくびしながら二階から降りてくる大和に、ありさがいつものように声をかける。
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう」
 昨日はあんなに激しく交わったのに、ありさは朝から元気。大和より早く起き出して朝食を作っている。
 テーブルの椅子に腰掛けながら、大和はTVを付ける。
『おはようございます。今日、最初のニュースです。
 本日未明、埼玉県あけるり市の河川敷で、少女の惨殺死体が発見されました』
 あけるり市といったらここじゃないか。大和は眠気を吹き飛ばして、TVに見入る。
『発見された遺体は、金城 智子さん小学6年生とご家族が確認されました。
智子さんは昨夜より行方不明となっており、遺体には肉食獣に噛まれたような傷跡があったということで、警察では付近の住民に注意を促がしています』
「ええっ!?」
 台所でニュースを聞いていたありさが飛ぶように駆け込んできた。
 そしてTVを見ると、すぐにどこかに電話する。
「あ、もしもし。あたし、智子ちゃんの同級生でありさと言います。
 ……えっ!? そ、そうですか……。はい、分かりました……。はい」
 受話器を置き、その場にぺたんと座り込むありさ。信じられないと言った様子で。
「どうした? 知ってる子か?」
 言いながら、大和は思い出した。ありさと一緒に遊んでた、智子という女の子を。
「そんな……智子ちゃんが……智子ちゃんが……」
 ありさの目に見る見るうちに涙が溜まっていく。大和はどうすることも出来ず、
ただ胸に抱きしめてやった。
 その兄の胸に顔を埋め、ありさの涙がこぼれる。
「智子ちゃんが……わああああああああぁぁぁーっ!!!」

(つづく)