春とはいえ夜は冷える、はずなんだが、少しも寒くない。
 悪魔になったせいか、暗視は利くし体も軽い。でも心理的にはやはり抵抗あるわけで。
「ただいま〜」
「あ、お帰りなさーい」
 家に帰ると、お風呂場から妹のありさの声がする。お風呂に入っているらしい。
「遅かったねお兄ちゃん」
「ちょっとな」
 気絶してた悪の魔法少女の出くわして、犯したなんて言えやしない。まして処女を無理矢理奪った呪いで悪魔化したなんて。
「もう。遅いから心配したじゃない」
「悪い」
 その割にはお風呂に入ってるんだな。
 ついお風呂に入ったありさを想像してしまう。小学6年生の淡く膨らんだばかりの青い果実……。
そういや一緒にお風呂に入ってくれなくなったのはいつ頃だろう。
 ぶんぶんと頭を振って妄想を振り払い、階段を上がった。こうしてる場合じゃない。
ありさがお風呂に入ってるなら丁度いい。
 二階にある自分の部屋に入ると鍵をしめ、窓を開けて小声で呼びかけた。
「入っていいぞ」
 ぱたぱたと夜を切り裂く羽音が敏感になった耳に届く。五感全てが人間の頃よりもはるかに上がっている。
「はーい。ご主人様ー」
 窓からばっと抱きつくピンクの影。
「こら」
 柔らかく、そして甘い温もりを受け止め、すぐに窓を閉めた。さっとカーテンも閉ざす。
「わぁ。ここがご主人様のお館ですね」
「そんな立派なもんじゃないけどな。靴脱げよ」
「はーい」
 黒いブーツを脱いで、僕から離れてちょこんと床に立つのはピンクの髪をツインテールにした魔法少女。
 ナイトメア☆リリム。魔界から来た悪の魔法少女。そして魔王の娘。僕−千巻 大和−に処女を奪われ服従する魔法少女。
「はぁ」
 ため息を吐いて僕はベッドに腰掛ける。どうしたものか。
「もうご主人様たら」
 するとリリムも僕の横に腰掛け、
「いきなりベッドインなんて。積極的すぎですぅ」
「あのな」
 僕はぐいとピンクのツインテールを引っ張る。するとリリムは「いやーん」と鳴いた。
「あっ、そうだ」
 立ち上がってリリムはその場でくるっと回転し、
「おにさん、おにさん、とーりゃんせー」
と呪文を唱えると、ぱっと黒い闇が四方に散った。
「今のは?」
「結界です。これでこの部屋は外から感知されませんし、中の声も物音も外に漏れません。ご主人様が望む声や音以外は」
 リリムは口に手を当て、うふっと笑い、
「だから。どんなに激しくしても大丈夫です」
 それは便利。妹には聞かせられたもんじゃない。

「外から感知されないって、マジカル☆アリサにもか?」
「はい。例えマジカル☆アリサがすぐ側にいても感づかれません」
 マジカル☆アリサ。リリムと敵対する正義の魔法少女。その正体は謎だ。ただ妹のありさそっくりではある。
「そうか。よくやったな」
「えへへー」
 はにいかんだ笑みを見せ、もじもじと手を合わせるリリム。犯される前はあんなに叫んでいたのに、今ではすっかり従順になっている。
魔王の呪い恐るべしといったところか。
「で、だ」
 僕は腕を組んで確認する。リリムはちょこんと僕の前に正座した。
「僕はお前を犯して呪いにかかったんだな?」
「はい」
 魔王がリリムの処女にかけた呪い。人間がリリムの処女を無理矢理奪うと発動し、
その人間は悪魔となり、リリムは犯した相手に従順となる。
「なあ。無理矢理犯した場合に呪いにかかるんだよな?」
「はい」
「相思相愛の和姦の場合は?」
「何も起こりませんよ」
 すらすらと僕の疑問に応えるリリム。
 ……強姦は呪いで和姦はOKか。素敵な魔王だ。
「で、お前はこれからどうすんだ?」
「はい。この世界に破壊と混乱をもたらし、魔界の領土にします」
 リリムはぐっと小さな拳を握り、
「そして次代の魔王になりたいです」
「は?」
 そんな話は聞いていない。
「言ってませんでしたっけ?」
「聞いていない」
「では説明します」
 聞きましょう。

 リリムの説明。
「まず今回の侵攻ですが、次の魔王を決める選考にもなっています。
 候補は私も含めて百人の魔王の子供たち。あ、ちなみに私は百人目の末っ子です。
 期限は一年。その一年の間に、もっとも功績のあった者、または最後まで残った一人が次の魔王に選ばれます。
 天界も黙ってそれを見ているわけではなく、百人の魔法天使を送り込んできました。
魔法天使はこの世界の素質ある少女の中から魔法少女を選び、私たちを妨害します。
マジカル☆アリサもその一人ですね。
 分かりましたか?」
 リリムの説明終わり。

「つまりなんですか? 魔王の子供百人で親父の後継者を決めるバトルロワイヤルやってると?」
「はい。そうです」
とピンクの髪をゆらして頷く、魔王の百人目の子供。
「それってさ。リリムのお兄さんやお姉さんも攻め込んでくると?」
「あっ。はじめて名前で呼んでくれました」
 ぱんと手を叩いて喜ぶリリム。
「はい。その可能性もあります」
 ありますって。魔法天使や魔法少女だけでなく、リリムの兄弟まで敵か。

「ところで。リリムの兄弟にも、同じ呪いはかかってるのか?」
「はい。処女のお姉様と童貞のお兄様には」
 うーむ。無理矢理処女を奪ったら悪魔になるのか。いや僕はもう悪魔だし。
「て、まさかこれ以上変化するのか?」
「うーん。そうじゃないんですか?」
「男の場合は?」
「やだー。そういう趣味ですか?」
 頬に手を当て、頭を振るリリム。ピンクのツインテールも真横に揺れる。
「いや、そうじゃなくて。聞いただけだ」
「お兄様たちの場合は……」リリムはこくんと首を傾げ、「やっぱり逆レイプの場合に呪いにかかるんじゃないんですか?」
 魔王の息子を逆レイプする人間の女。いるのか、そんな奴。
「百人ねえ」
 次期魔王の座を巡って争う百人の魔物。なんだかどこかで見た話だ。アニメにもなった漫画のような。
「それで、リリムは百人の中でどれぐらいの強さだ?」
「えへへー」
 曖昧な笑みを浮かべ、両手を広げるリリム。
「ほう。十番目か?」
「やだなー。私は百人目の子供ですから。当然強さも百番目です」
「最弱かよ!」
「だ、だから。幼稚園児とか、人間でも弱い人たちを襲ってたんです」
 それでマジカル☆アリサに返り討ちにあってたら世話ない。
「で、でもこれからはご主人様も一緒ですから」
 リリムははしっと僕の手を掴み、
「これからは幼稚園の送迎バスをジャックしたり、ダムに毒を投げ込んだり、
悪の限りを尽くしましょう!」
「誰がやるか!」
 思わず蹴飛ばしてしまう。
「いやーん。ご主人様たら亭主関白」
 しなを作ってもダメ。
「はぁ」
 ため息を吐いて再びベッドに座り、
「それで、この呪いを解くには魔力が必要なんだな」
「はい。魔王であるお父様以上の魔力があれば解呪可能です」
 魔王以上ねえ。着に遠くなるような話だ。
「魔力を高めるのは魔法少女を犯すのが一番です!」
 ぐっと拳を握って力説するリリム。
「そういやリリムも悪の魔法少女なんだっけ」
「やーん」
 また顔を赤らめてもじもじと身をよじる。
「ご、ご主人様が望むならー。いくらでもあげちゃいます」
「あー。その場合、魔力は回復するのか?」
「はい。一晩寝たら回復しますよ」
 戻るのか……。犯して、回復させて、また犯す無限ループも可能かな?
「でも、一度魔力を奪ったらもう同じ相手を犯しても奪えなくなります」
 あっ、同じ相手から奪えるのは一度だけか。ちっ、無限ループは無理と。
「お兄ちゃーん」
 その時、ドアの外から妹の声がして、ビクッと僕は飛び跳ねる。
「もうお風呂上がったよー」
「あ、ああ。分かった」
 なんとか平静を保って返事する。だ、大丈夫。鍵もかけてるし結界もある。
そして僕が伝えたい声と音だけは結界を通せた。
「早く入ってねー」
 小さな足音がこつこつと隣の部屋に入っていく。ありさは自分の部屋に入っていったらしい。

 ふー。隣にありさがいるかと思うと緊張する。
「あ、あの。今の方は?」
「ああ。妹のありさだ」
「妹さんですか。ではご挨拶は」
「しなくていい」
 ありさがリリムを見たら……卒倒するじゃないか。
「他にご家族の方は?」
「いないよ。お父さんとお母さんは事故で亡くなったし」
 途端にリリムの目がうるうると潤む。
「うぅ……。ごめんなさ〜い」
「泣かなくていい。気にしてないから」
「ご主人様……お優しいんですね」
 ぷいっと僕は顔を横に背ける。
「とりあえず。お風呂に入ってくるから」
 立ち上がろうとすると、
 リリムが僕の手を取り、ニコッと微笑みかけてきた。
「お背中お流しします」

「ふー。小さくて可愛いお風呂でしたー」
 うるさいやい。
 結局、僕の後で(ありさにばれないように)リリムには一人でお風呂に入らせた。
僕が一緒にお風呂に入るのは妹のありさだけ。
「んもー。ご主人様、遠慮しなくていいのに」
 くすっと口元に笑みを浮かべながら、バスタオル一枚をまとってリリムはベッドに腰掛ける。
ツインテールに結んでいたピンクの髪もほどき、背中にまっすぐ流れてかすかに濡れていた。
 こうして見ると……。
「どうしたんですか?」
「いや。髪をほどいたところも可愛いなと」
 マジカル☆アリサもツインテールをほどいたらこんな感じなんだろうか。
「やーん、ご主人様たら」
 きゃっきゃっとベッドの上で飛び跳ねるリリム。結界があるとはいえ、すぐ隣に妹がいるかと思うと緊張する。
「お兄ちゃーん。もう寝るから」
 その妹が隣の部屋から声をかける。リリムの存在には完全に気が付いていないらしい。
「ああ、僕もすぐ寝るから」
という僕の声は『妹に伝えたい』と思っているので結界は素通し。便利だ。
「おやすみー」「おやすみー」
 妹とおやすみを言い合う僕を、リリムは長い髪を揺らし目を細めて見上げていた。
「仲良いんですね」
「ああ」
 僕はすっと指を突きつけ、
「いいか。ありさには迷惑かけるなよ」
「はい」
 突きつけた指をちゅっと舐めるリリム。敏感な指の先端を口に含んでねっとりとしゃぶっていく。
それだけでゾクゾクと背筋が震えた。
 僕はリリムの口から指を引き抜くと、ばっと体を覆うバスタオルを剥いだ。
「やーん」
 リリムの白く細い裸身に目が奪われる。
 中学生程度の小柄な体に不釣合いな豊かな胸。くびれた腰。細い小枝のような手足。そしてベッドに流れる長いピンクの髪。背中には小さな黒い羽。

「ふふ」
 微笑を浮かべ、ベッドに寝そべりながら見上げ、手を伸ばしてくるリリム。
 僕はパジャマのボタンを外しシャツを脱ぎ、パンツごとズボンを脱いだ。
「きゃー」
 恥ずかしそうな声を上げ、頬を染めながら、リリムは僕の裸身から目を逸らさない。
「ご主人様の……もう大きくなってます」
「ああ」
 僕のペニスはもう天を向いていた。若いから仕方ない。
「やるぞ」
「は、はい」
 一声掛け、僕もベッドに上がり、裸のリリムを裸で横抱きしする。
「きゃん」
「わぁ」
 リリムの肌は柔らかくてすべすべで。僕は思わず歓声を上げた。
 そのままベッドの上でぎゅっと抱きしめ、腕に包み込むようにリリムを抱きしめる。
 お風呂上りのリリムからはほんのりと甘い香りがした。ミルクの匂い。
 長いピンクの髪に鼻を埋め、甘い香りに満たされながら、ぴったりと肌を密着させた。
勃起するペニスはリリムの太ももに当たっている。そしてリリムの豊かな膨らみは僕の胸に触れていた。
「ご主人様ぁ……」
 腕の中でもじもじと悶えていたリリムも、やがて静かに密着して肌を重ねる。

 ドクンドクン。

 こうして裸で抱き合ってるだけですごくドキドキする。そして熱い。お互いの鼓動がはっきり聞こえた。
「はぁ」
 腕の中、熱く吐息を漏らすリリム。緊張が解け、力が抜けるのが肌越しに伝わった。
 長いピンクの髪をかきわけて撫で、背中に手を回す。手に小さな羽が触れた。
「羽、小さくて可愛いな」
「は、はい……。嬉しいです」
「ふふっ」
 つい笑みが漏れる。僕に釣られてリリムも微笑を浮かべた。
 その口に僕はそっと接吻した。
 甘い香りが口いっぱいに広がり、喉の奥まで満たしていく。
「んっ」
 間近で大きく見開かれるリリムの紫の瞳。すぐに閉じられ、静かにキスを受け入れた。
 そのまま唇を重ねながら、じっと抱き合い。
「ぷはー」
 どちらからともなく口を離し、息を吐いた。
「リリムの肌……すごくすべすべしてる」
 その肌は今では紅潮して赤味が増していた。
「ご主人様ぁ……」
 潤んだ瞳を開き、切ない声で僕を呼び、今度はリリムからちゅっとキスしてきた。
「リ、リリム……もう」
 リリムの太ももがすりすりと擦り合わされるのが伝わってきた。密着した僕のペニスも刺激を受け、ビンビンに震える。
「ああ」
 横抱きにしたリリムをベッドに押し付け、上に覆いかぶさる。体重をかけないように。

「羽、痛くないか?」
「は、はい。頑丈ですから」
 とりあえず仰向けにしても大丈夫らしい。
 ちゅっと唇にキスすると、そのまま口を肌に這わせ下に移動し、細く白い首筋にしゃぶりついた。
「あんっ」

 ちゅー。

 強く、強く吸い、離す。首にしっかりとキスマークが残っていた。自分のものであることを証明するように。
「リリム……」
 そっと名を呼ぶ。僕の魔法少女。
「は、はい」
 上半身を挙げ、リリムを見下ろす。長いピンクの髪をベッドに散らし、赤い頬、潤んだ瞳で僕を見上げている。
 僕は上から覆いかぶさるように豊かな胸を両手で包んだ。
「あんっ」
 白い乳房は抵抗なく潰され、手の平には勃起してしこった乳首が感じられた。
「なんだ。もう勃ってるのか」
「だって。だってぇ」
 指を口に入れ、はぁと切ない声を漏らし、リリムはびくんと胸を弾ませる。
 乳房に籠める力を緩めると、反動でぽよよんと胸が飛ぶように震えた。
「はんっ。はうぅん」
「可愛いよ」
 胸に置いた手を開いて閉じて、その度に指が乳房に食い込んでいった。もみもみ。
「はっ……。はうっ。はんっ。あっ、あうぅ」
 指の動きに合わせ、胸もぷるるんと揺れ、リリムが喘いだ。
 もっと聞きたくなるような扇情的な喘ぎ声。
 ピンとしこった乳首を指に挟み、しこしことすりあげる。
「はああぁ!」
 かすかに浮かび上がるリリムの腰。
 左の乳首をしごきながら、右の乳首はちゅっとキスし、口に含んで吸う。
「あああぁ! んんぁああっ!」
 さすがに母乳は出ないが、リリムの乳首はそれでも甘くミルクの味が口いっぱいに広がる。
「んっ。んんぅ。んはー」
 眉間に皺を寄せ、悶えるリリムが上目に見える。
 尖った乳首を舌で転がし、もう片方の乳首もきゅっと指で挟んだ。
「はうんっ!」
 ビクッとリリムの体がベッドの上でバウンドしギシギシと揺れる……。
結界がなかったら間違いなくありさにばれてたな。
 胸から口を離すと、リリムは腕を目に当て、「はぁはぁ」と荒い息を整えていた。
 赤くなった長い耳にちゅっとキスすると、またビクッと震える。
「脚、開いて」
「は、はい……」
 腕をどけると潤んだ瞳をリリムは向ける。唇にキスしてから、そっと開いたリリムの股に僕は顔を寄せた。
 まだ毛も生えていないリリムの花弁。鼻を寄せると爽やかな薔薇の香りが漂ってくる。
そっと指で触れると、硬い肉ヒダの感触がした。かすかに濡れている。
「ひゃうっ」
 太ももに緊張が走る。僕はその間に顔を挟み、直接肉ヒダを舐めた。
「あううっ!」

 舌が肉の割れ目を上下するたびにリリムの緊張が太ももに走り、びくっびくと揺れていく。
「あうっ。あうっ、あうっ!」
 首を上げて喘ぎながら、手はシーツをぎゅっと握る。花弁の内側から溢れる蜜液をじゅじゅと吸ってみた。
「アアーッ!」
 背筋が仰け反り、そして硬直するリリム。
 口を離すと、ふーと羽の生えた背中がベッドに降り、大きく胸が上下した。
「はぁ……。ああっ」
 真っ赤な顔を見ながら、僕はリリムの太ももを撫でていく。細い肉付きの薄い脚。
「リリム。背中向けて」
「は、はい……」
 ピンクの髪が大きく回転し、小さな黒い羽の生えた白い背中をこちらに向ける。
そして小振りのお尻も。
 僕はそのお尻を持ち上げ、自分の腰を合わせていった。
「はあぁ!」
 入り口に僕の肉棒を感じ、きゅっとリリムの膣口が狭まる。
「大丈夫……。僕に任して」
「あぁ……んぅ」
 ぷるぷると横に揺れるリリムの白いお尻。やがて覚悟を決めたか、ぴたっと停止し、僕を待った。
「ど、どうぞ……。ご主人様……」
「ああ」
 そして。四つんばいになったリリムの背後から腰をしっかり抱え、僕は狙いを付けて、腰を叩きつける。

 ずぶっ、と肉棒が何の抵抗もなくピンクの花弁を貫き、埋まっていった。

「アアーッ!」
 白い背中が仰け反り、ピンクの髪が縦横に揺れる。髪の合間から見える小さな黒い羽はぱたぱたとはためいていた。
「はぁ、あっ。リリム」
 艶かしく揺れるリリムの白い背中と黒い羽とピンクの髪を見下ろしながら、
突き刺さった肉棒に意識を集中する。
「ああんっ! あうぅ! あぐうぅ!」
 狭く熱い膣肉を抉る度、リリムは仰け反り、口から涎とともに喘ぎが漏れた。
 ぎゅっとシーツを握る手に汗がこぼれる。
「ああっ。はああっ!」
 やがてペニスの先端が丸い穴に触れる。リリムの花園の最奥。密着させたまま腰を前後に振ると、パンパンと肉と肉がぶつかる音がした。
「ああぁ! あがああぁ!」
 ピンクの髪を振り乱し、こぼれる涎がベッドに落ちる。
 僕は手をリリムの前に回し、背後から胸をわしづかんだ。
「はぐうぅ!」
 ビクンとリリムの全身が硬直し、膣内までぎゅっと締め付けた。
 たまらず僕の頭に閃光が走る。

 どくんっ、と欲望が白い液となってリリムの胎内に流れ込んでいく感覚。

「アアアアアーッ!」
 膣内に射精を受け、リリムは背筋を仰け反らせ、そして脱力しベッドに沈み込む。
「くぅ」
 同時、僕の中にも熱いモノが流れ込んできた。

 これが魔力を『吸収』するということか。
 繋がったままの性器を通して、熱いエナジーが僕に流れ込むのを、はっきりと感じた。
「ふー」
 魔力の流れが止まるのを感じ、僕はベッドに沈み込むリリムから肉棒を引き抜く。
 ぴゅっと白汁が先端からこぼれ、リリムのお尻を濡らした。そのお尻もずるずると下がっていく。
「はぁ……あぁ」
 赤い頬で精も根も尽き果てたようにリリムは放心している。
 僕は横から彼女を抱き、ちゅっと口にキスし、
「大丈夫か?」
「は、はい……。明日になれば戻ってるはずです……」
 魔力を吸収され、疲弊しきったのだろう。考えてみれば今日はマジカル☆アリサとも戦ったのだ。
 急速に冷めるリリムの体温を感じながら、汗で濡れた肌を重ね、僕は告げる。
「まあ、やるだけやってみるかな」
「えっ」
「一緒に、戦ってもいいぞ」
 萎えていたリリムの表情にさっお英気が戻ってきた。
「そ、それじゃ……」
「ああ。マジカル☆アリサと一緒に戦おう」
 そしてアリサを倒したら……。
「えへへ」
 僕の胸に頬を預け、笑みを浮かべるリリム。
「ご主人様……大好きです」
「ああ」
 例えそれが呪いによる服従の為だとしても。今は素直に嬉しかった。
 乱れたピンクの髪を撫で、僕は彼女の頭を優しく抱えた。
「僕も大好きだよ。リリム」
 妹の次だとしても。なんだかリリムが愛しい。僕も呪いにかかったのだろうか。
「ご主人様ー」
 口を尖らせて僕に向けるリリム。求められるままキスして唇を吸った。
 それから僕とリリムは眠りにつくまでの間、裸で抱きあったまま何度も何度も唇を重ねた。

「ご主人様ー」
 朝。目覚めると、リリムはすでに服を着ていた。黒いタイトなワンピース。
背中の小さな黒い羽とよく似合っている。ピンクの髪もツインテールに結んでいた。
「おはようございます」
「おはよう」
 なんだか照れくさくてお互いに苦笑してしまう。閉じたカーテンからは微かに朝日が差し込んでいた。
「もう魔力はいいのか?」
「はい、ばっちり回復しました」
「そうか」
 手招きしてベッドにリリムを招きよせ、
「なんですか?」
 寄ったところを抱きしめてキスした。
「お兄ちゃーん。朝ごはんできたよー」
 ありさの声にすぐ口を離す。リリムは名残惜しそうにキスした口を押さえていた。
「それじゃ、学校行ってくるから」
「はい。ご主人様」

 こうして僕の学生と悪の魔法少女を従える悪魔という二重生活がはじまる。

 その日は何事もなく(普通はそうだ)放課後。
 いつものようにありさと一緒に手を繋いで家に帰ると、部屋では言われ通りにリリムが待っていた。
「ご主人様ー」
 ドアを閉じるとすぐにリリムが抱きついてくる。
「寂しかったですぅ」
「ああ。悪い」
 とりあえずベッドをリリムを座らせ、
「お腹すかないか?」
 昨日からリリムが何か食べるのを見たことがない。
 目をぱちくりさせるリリム。
「私は魔界の住人ですから。魔力があれば基本的に栄養の摂取は必要ありません」
「そうか。食事の必要がないのは便利だな」
「でもでも、食べようと思えば食べれますよ」
「ま、そのうちにな」
「わーい」
 何がわーいなんだか。
「排泄物はどうなんだ?」
「はいせつぶつ?」
「おしっことかうんことか」
 カーと赤くなるリリム。
「やーん、もう。ご主人様たらー」
「照れなくて良い。大事な事だから正直に答えろ」
「えーと……」
 リリムはなぜかモジモジして、
「で、出ます……」
 出るのか。
「今日はどうした?」
「は、はい。一階にあるおトイレを使わせてもらいました……」
「……まあ、ありさにばれないようにな」
 ここで漏らされても困る。
「今まではどうしたんだ?」
「そ、そのお外で」
「魔界に家があるんじゃなかったのか?」
「次期魔王決定戦の間は魔界には帰れない決まりなんです。帰ったら失格とみなされますので」
 なるほど。次は、
「マジカル☆アリサはどうやったらおびき出せる?」
「それは簡単ですよ。魔法使って暴れてたら向こうから勝手にやってきます」
「よし」
 こっちは僕とリリムの二人。二体一なら勝てるだろう。多分。きっと。
「マジカル☆アリサ捕獲陵辱作戦開始ー」
「おー」
 僕とリリムは右手を上げて作戦を開始した。なんだかなー。

 というわけでやってきたのは小学校。ありさが通っているのとは別。
 その前に僕も悪魔の姿に変身しておく。
「ナイトメア☆ヤマト参上!」
 僕の本名が大和だからヤマト。シンプルでいい。
 肌が黒くなって体が大きくなる。二メートルほど。破けた服は人間に戻れば一緒に元通り。便利。
背中には黒い大きな翼。額には二本の角。うーん、これぞ悪魔って感じの悪魔な姿。

 その悪魔の姿で、僕はどーんと小学校の校庭に降り立つ。空を飛んだのははじめてだがなかなか爽快。
「きゃー」「わー」
 放課後の学校にまだ残っていた小学生たちがわらわらと逃げていく。
 僕はその子たちに悪魔の力を振るった。
「ウィングカッター!」
 翼をはためかせると、風の刃がスカートを切り裂き!
「デビルファイヤー」
 口から吐き出される赤い炎は木製のブランコを燃やす!
「デビルサンダー!」
 そして角から放たれる電撃は女子小学生を痺れさせ、転倒させた!
「きゃー!」
 校庭にばたばたと倒れるスカートを切り裂かれる女子小学生。
 ふふっ。妹のありさと同じ年ぐらいの女の子をいたぶるのは快感。心まで悪魔だぜ。
「きゃー。ご主人様、さすがですー」
 僕の上空では小さな羽をはためかせ、リリムが飛んでいる。一応、マジカル☆アリサが出たときのために見張らせているのだが。
「ふっふっふ」
 僕は電撃に撃たれて痺れている女子小学生の一人に近付く。ありさと同じ6年生ぐらいの少女に。
「まずはお前だ」
 大きな爪でざっくりと服を引き裂く。もちろん肌は傷つけないように。
「あ、ああ……」
 淡く膨らんだばかりの小振りの乳房を外気に晒され、少女は痺れた口でなんとか声を出す。
大丈夫。優しくするから。でも今の僕は大きいから裂けちゃうかもね。
 その子の引き裂いたスカートの奥。白いパンツも爪で引き裂き、
「お待ちなさい!」
 突然の声に動きを止めた。実際に待つ必要はないが、お約束だろう。
「マジカル☆アリサ、ちゃきちゃき行くよー」
 校舎の屋上、フェンスにたなびく栗色のツンテール。こらそんな所に立ってたら危ないだろう。
「とう!」
 三階建ての校舎の屋上からばっと飛び降りるアリサ。緑のミニスカートがふわっと浮き上がるが、ギリギリでパンツは見えない。
くそっ、なんて鉄壁なスカートだ。短いのに。
「この悪魔! 小学生を襲うなんて許せない!」
 僕は襲おうとしていた少女からアリサに向き直り、鋭い牙の並んだ口を開いた。
「こんにちわ」
「こんにちわ」
とアリサも挨拶を返す。
「ふっふっふ。今日こそあなたもおしまいよ!」
 リリムも上空から降りてきた。
「今日はご主人様も一緒なんだからね!」
「ご主人様?」
「そう。私のご主人様の!」
「ナイトメア☆ヤマトです」
 自分で名乗ってぺこりとお辞儀すると、
「あ、どうも。マジカル☆アリサです」
 ぺこりとアリサもお辞儀した。
「ご主人様はとーっても大きくて硬いんだから!」
「な、なにが?」
 アリサが聞き返すと、
「もう! ちんこに決まってるでしょ、ちんこが」

 こら。女の子がちんことか言うな。ちなみに悪魔状態の僕のちんこちゃんとズボンの中に納まっている。
どんな激闘でも決して敗れない魔法のズボンだ。
「ち、ちんこ?」
 呆然と呟き、アリサはかーと顔を赤らめ、
「こ、このエッチ! へんたい! へんたい!」
 ああ。妹のありさと同じ顔、同じ声で罵られるとなぜか興奮する。
「ふん。あなたもご主人様に犯されて魔力を吸収されなさい!」
「おか……され?」
 きょとんと首を傾げるアリサ。本気で分かってないな。
「あー、あのな。女の人に無理矢理エッチなことをするってことだ」
 僕の説明にカーとアリサの顔がまた赤くなる。さっきよりも。
「こ、このエッチ! へんたい! へんたい! へんたい!」
 やっと分かったらしい。そういや妹のありさも性的なことには疎かったな。
「うふふ。もうご主人様と私はそういう仲なのよ。裸でお互いを愛し合うんだから」
「きゃー。きゃー。きゃー」
 真っ赤な顔でバトンをくるくる回すアリサ。
 しかしリリムはベッドの上とは性格変わってるな。悪事を働くときには悪の魔法少女になりきるんだろうか。
「あー、まあそういうことで」
 僕の目がギランと輝く。欲望で。
「お前を犯す!」
「きゃー!」
 ばっと翼をはばたかせ、高速で宙を飛び間合いをつめ、巨大な腕を振るう。
 先手必勝! 魔法を使う間を与えず、肉弾戦で片を付ける!
 僕の手が校庭を抉り、もうもうと土煙を上げる。だが手応えはない。
「上か!」
 見上げるとはためく栗色のツンテールが見えた。ジャンプして僕の先制攻撃をかわしたらしい。
「ウィングカッター!」
 上空のアリサに風の刃を放つが、バトンをくるくる回すとかんかんと弾かれた。
 あれ? そんな簡単に防がれちゃうの?」
「デビルファイヤー」
 着地するアリサに続けざまに口から炎を吐く。ぼー。
 アリサはまたもバトンを回し、赤い光でその身に覆う。僕の炎は光に防がれ、
アリサには火傷一つない。
「ぬっ。デビルサンダー!」
 まだまだ。今度は角から電撃!
「マジカル☆シュート!」
 同時にアリサのバトンからも赤い光が矢となって放たれる。
 赤い光が電撃を貫き、僕へ直接当たる。
「いてー!」
 思わず悲鳴を上げた。赤い光が当たった胸からじゅうじゅうと煙が上がった。
 さらに赤い光は周囲に飛び、僕が燃やしたブランコを瞬時に修復し、電撃で痺れていた女子生徒を回復させ、切り裂いたスカートを直した。
「みんな、今のうちに逃げて!」
 アリサの声に、逃げ送れた女子生徒たちもわーと校門から逃げていく。
 しまった。人質にでもすればよかったのに。いや、それよりも。
「うぐぐ」
 あらゆる技を防御され、僕は打つ手を失っていた。横のリリムをちらっと見ると、
「はわわ。ご主人様、どうしましょう〜」
 そっちも打つ手なしかい。
 いや、まだ手はある。

「リリム! 合体攻撃だ!」
「は、はい」
「同時に電撃!」
 声に合わせ、僕の角とリリムの手から電撃が放たれる。
「キャアアアアアアアァァー!」
 甲高い悲鳴。複合した電撃がアリサの赤い防御幕を貫き、直撃。アリサの細い体がピーンと硬直した。
ビクンビクンと飛び跳ね、そして歯を食いしばって耐える。ああ、可愛い顔が苦痛に歪むのを見るだけで興奮する。
「はぁっ、あうぅ……」
 合体電撃を受け、体か黒煙を上げながら、よろよろになりながらもアリサは倒れない。
だがもうボロボロだ。
「もう一度だ」
「はい!」
 もう一度電撃を繰り出そうとする僕とリリム。
「まだよ!」
 瞬間、アリサの体が赤い光に包まれ、宙に舞った。
 あれは!? アリサの必殺魔法か!
「同時に電撃!」
 僕とリリムが合体電撃を放つと同時、
「マジカル☆スパーク!」
 上空から舞い降りるアリサの全身から赤い光の球が放たれる。
 複合電撃と赤い球が真正面からぶつかり−

 どごーん

 校庭を白い閃光が包んだ。
「きゃー」「わー」「キャー」
 アリサと僕とリリム、三者三様の悲鳴。
 光が収まり、倒れていた僕はすぐに立ち上がる。
「リリム!?」
 いた。僕の横でぐるぐる目を回して倒れている。
「アリサは……?」
 もうもうと立ち上がる土煙の向こうにいた。
「はぁ……くっ」
 なんとか立っているがひどい格好だ。緑のスカートは切り裂かれ、素肌には細かい傷が走っている。
栗色のツインテールもしょぼんと垂れ下がっていた。
「ふ、ふふふ」
 お互いに魔力は尽きたらしい。だが僕にはこの強靭な悪魔の体がある。一方のアリサは見た目は小学6年生くらいの少女。
「勝った!」
「きゃあっ!」
 ボロボロぼアリサに飛び掛かり、細い肩を掴んで押し倒す。
「いたっ!」
 やっぱり。簡単にアリサは倒れ、大きく目を見開き、僕の体の下で震えている。
「さーて」
 大きな舌で舌なめずりして、
「犯すぞ」
 鋭い爪がアリサの胸を隠す赤い布を簡単に引き裂いた。
「きゃー!」
 風に飛ばされる赤い布。
 淡い小振りの乳房が外気に晒される。
「いやあ! イヤアアアァーッ!」

 泣いても叫んでも助けは来ない。校庭にいるのは僕とアリサと気絶したリリムのみ。
みんな逃げ出し、いたとしても悪魔の僕は止められない。
「メチャクチャにしてやるぞ」
 妹のありさと同じ顔、同じ声のマジカル☆アリサをメチャクチャに犯す。
待ちに待った瞬間に、否が応にも股間が盛り上がった。
「いやぁ! 助けて! 助けてお兄ちゃん!」
 栗色のツインテールを振り乱してアリサが泣き叫ぶ。マジカル☆アリサにも兄がいるらしい。
「無駄だ」
 僕の大きな手がアリサの小振りの胸を覆い、またアリサが叫ぶ。
「助けてローラちゃん!」

 瞬間、白い光が僕を包み、弾き飛ばした。

「がはっ」
 血反吐を吐き、僕は見た。
 アリサのすぐ側に白い光が光臨するのを。
「魔法天使エンジェル☆ローラ、華麗に光臨」
 そして光がやみ、金髪の少女が姿を現す。
 見た目の年齢はアリサと同じぐらい。つまり小学6年生くらい。
 肩まで伸びた蜂蜜色の金髪、後頭部には大きな赤いリボン。身にまとう白いワンピースの腰の後ろにも大きな赤いリボン。
すらっと伸びた手足は白く、瞳は青。白人の少女のようだった。
 だが決定的に違うのは背中に生えた小さな白い翼。リリムの蝙蝠の羽とは違い、
鳥のような翼。天使のような。いや、まさに天使そのもの。
「はわわ!」
 いつの間にか目を覚ましたか。リリムがその金髪の少女を見て、腰もぬかさんばかりに飛び上がっている。文字通り宙を飛んで。
「あ、あれは!」
「知ってるのか?」
「いいえ。初めて見ます」
「おーい」
「で、でも。あの翼、間違いなく魔法天使です!」
「はい。そう仰いましたよ。魔法天使のローラです」
 ローラと名乗った少女はスカートの裾をつまみ、優雅にお辞儀する。そしてアリサに向き直ると、
「よく頑張りましたね。リカバー」
 白い手から放たれる白い光が一瞬でアリサの傷を癒す。服も元通り。ばかりか、消耗した魔力まで回復するのを肌で実感した。
「ありがとうローラちゃん!」
 さっと立ち上がったアリサは以前よりも充実して見えた。溢れんばかりの魔力をひしひしと感じる。
「ずるっ!」「ずるーい!」
 僕とリリムの非難にもローラは優雅に首を傾け、
「これで二対二。対等だとは思いませんか?」
 そうだけどさー。こっちはアリサ一人にも手を焼いてたわけで。
「なあ。魔法天使ってあれか。天界から派遣されたってやつ」
「はい」
 僕はリリムの説明を思い出す。
 魔王選定を兼ねてこの世界を侵略しにきた百人の魔王の子供に対抗すべく、天界が派遣した百人の魔法天使。
その魔法天使は時に素質ある少女を魔法少女にするという。
「マジカル☆アリサを魔法少女にしたのが、あのロ−ラってわけか」
「はい。そうですよ」

 上品な顔でニッコリ微笑み、僕の言葉を肯定する魔法天使ローラ。
「それで、どうします?」
 向こうには頼もしい助っ人。こっちは二人ともボロボロで魔力もほぼ使い果たした。
「逃げよう」
「はい」
 そーれ、退却、退却〜。
「マジカル☆シュート」
「ディヴァン」
 アリサとローラ、二人が放った赤と白の光が背中を向けて逃げ出す僕とリリムを直撃した。

 どかーん

「おぼええてろー」
「あーれー」
 捨て台詞とともに僕とリリムは空の彼方に吹き飛び、ぴかっとお星様になった。

「負けちゃったなー」
「負けちゃいましたねー」
 ボロボロのまま、なんとか家に戻った僕(人間の姿に戻った)とリリム。
結界を張った部屋に篭もって反省会。
ちなみにありさは留守だった。
 あー。あのローラとかいう魔法天使が邪魔しなけりゃアリサを犯せたのに。
 でもローラもすごい可愛かったな。おしとやかで上品て感じで。うん。ローラもなんとか倒して犯そう。
「というわけで。当面の目標は打倒アリサとローラだ」
「がんばろー」
「おー」「おー」
 当面の目標が決まって手を挙げる僕とリリム。問題はどうやって達成するかだが、それは後で考えよう。
 それにしてもありさは遅いな。もう夜だというのに。
「ただいまー」
と思ったらありさが帰ってきた。
 僕はリリムを部屋に待たせ、すぐさま玄関に向かう。
「お帰り。遅かったじゃないか」
「うん、ごめん。ちょっと、ね」
 そう言ったありさはどこか疲れたようだった。
「大丈夫か? 何かあるならお兄ちゃんに言って」
「うん。大丈夫だから。ありがとう」
 しっかり者の妹が言うなら大丈夫なんだろう。でもやっぱり心配。
「お腹空いたでしょ。すぐご飯作るね」
 台所に駆け込むありさの後ろ姿に、僕はマジカル☆アリサを重ねていた。本当によく似ている。

 それにしても、マジカル☆アリサの正体は一体誰なんだろう?

(おしまい)