「ねえ、ああやって手をかざすだけで魔力って補充できるの?」
「はい、正価を支払っていただく方にはそうしております」
「今日は何単位?」
「4単位を先ほどの方にお支払いいただきました」
「そう・・・」

 失った魔力を充分に補充され、輝くような生気を取り戻した舞さんは、気の強そうな顔のぱっちりした目を伏せ、唇を噛みしめて部屋を出て行った。
 礼儀正しく見送った俺は、予約の団体さんを順番に招き入れた。

 2時間後、俺は心身ともに心地よい疲れに包まれていた。『ホーリー・エンジェル』ほどではないが、中堅のチームの一つが団体で見えたので、魔力を量り売りし、そのうち2名ほどは個人的に魔力の補充を行った。
 うら若き正義の魔法少女たちは、魔物と戦うときの凛々しさとは打って変わり、俺の魔力を受け入れるときはうっとりと瞳を閉じ、まるで全てを俺に委ねているようだ。
 個別補充のお二人には、たっぷりと魔力入りの精液を注ぎ込んだ俺はすっきりとして試験勉強に励んだ。

(今日は魔物さんは出ないみたいだな)

 すっきりとして試験勉強をしたせいか、試験のできは上々だった。魔物さんたちも魔法少女の皆さんが試験勉強に忙しいのをわかってくれているようだ。
 試験勉強をしながら店番をしたが、お客は来なかった。

(今日は魔力付与しとくか)

 セルフ方式のお客が来ないので魔力入りの精液が余ってしまう。俺は客の魔法少女が置いていった(残念ながら)新品のセーラー服をベッドの上に広げた。
 好みの魔法少女がセルフ方式をするときの顔や感触を思い出しながら自家発電にいそしむ。
 存分に高まったところで(せめてもの気持ちを込めて)セーラー服の内側、それも胸の部分に魔力入りの精液をぶちまけた。
 続いてスカートも肌に触れそうな部分にぶちまけてから魔力の処理を行う。
 これで一見普通のセーラー服に魔力が付与されて高い防御力、そして戦闘で激しく動いてもみだりに肌や下着が見えなくなる。

『○○様、お仕立てが終わりました』

 依頼していた魔法少女に魔力付与の完了を知らせるメールを打った俺はモヤモヤしたまま眠りについた。

 起きるとセーラー服への魔力付与を依頼してきた魔法少女から登校前に取りに来るとの返信が来ていた。
 俺はトイレ・洗顔・朝食を手早く済ませ、身だしなみを整えて魔法少女が来るのを待ち構えた。

「ごめんなさい。でも、少しでも早く魔法のセーラーが着たくて」

 魔法少女というよりは繁華街で夜遊びしてそうなタイプだったが、魔法少女であるからにはキスすらしていない清純な少女のはずだ。
 セーラー服を押し上げる胸が大きすぎておへそが簡単に見え、わずかに動いただけでショーツが除けそうなミニからは健康的な太ももが美味しそうに根元近くまで見えた。

「お着替えをされるならばそちらに更衣室がございます」
「うん! ちょっと借りるわね」

 たしか由(ゆう)という名前だった魔法少女はスキップしながら更衣室に向かった。
 チラチラとピンクのショーツが見えるのだが、魔力付与されたセーラー服に着替えればそのような事はなくなる。
 デパートなどの更衣室とは違って、万引きを警戒する必要がないので当店の更衣室のカーテンは床まで届いている。
 カーテンを閉めた魔法少女由さんは更衣室に鏡がないのを不満に思いながら着替えを始めた。遊んでそうなルックスとは裏腹に可愛いピンクのブラとショーツだった。
 鮮やかなピンクの上下、白いレースの縁取りが可愛らしい。ブラの肩ひもやショーツの縁に指をかけて下着の位置を直し、ブラのカップの中に手を入れて寄せ上げる仕草が可愛い下着とは裏腹に成熟途上の魅力をまき散らしている。
 屈んでスカートを履くときに突き出された美味しそうなお尻、二の腕に挟まれて突然現れた胸の谷間。コダワリがあるらしく、スカートの高さを何度も調整し、見えそうで見えないと言う絶妙な位置を探っていた。
 ようやく満足できる位置を探り当てたのだろう。いったんスカートをまくり上げ、カーテンに向けてショーツをむき出しにしてから手を離して着てきたセーラー服はかばんに押し込んだ。

(遊んでそうな感じだけど、やっぱり清純な魔法少女なんだなー)

 自分のメガネに射精するという情けない事をするのには抵抗があったが、更衣室のカーテンを透視できる力を付与させた自分にGJ!

「よーし、これで私もホーリー・セイントに入れる!・・・かも」

 魔法少女由さんは上機嫌で店を出て行った。

 試験期間も無事に終わり、俺の出来もまあまあだった。
 最後の試験が終わり明日は休み。何故だか知らないが魔法少女が自由に活動できるようになると魔物の活動も活発になる。
 もっとも魔物が活発に活動するのは暗くなってからなので、俺は食料を山のように買い込んで自宅兼用の店に帰った。
 夕方まで昼寝をした俺は薄暗くなった街に出かけてお客様の様子を見て回った。
 魔物の数は多いが、ホーリー・セイントを始めとする実力派チームの活躍で街は平和だ。

 一般人に混じってホーリー・セイントの活躍をギャラリーしていた俺は、同じくギャラリーをしていた魔法少女舞さんに声をかけられた。

「なんであの人たちはあんなに強いの?」
「地道にレベルを上げたんでしょうね」
「私だって頑張ってるのに!」
「私に言われましても」
「強くなりたい・・・ホーリー・セイントよりも! 美姫よりも」

 普段、学校での勉強でも、男子の人気でもわずかに美姫様より劣る魔法少女舞さんは美姫様に対するライバル意識が強い。連日の試験勉強でストレスをためていた俺は、そのライバル心を悪用する誘惑に勝てなかった。

「彼女よりも強くなる方法が無いわけでは・・・多大な犠牲の上ですが」
「どうやるの! どんな犠牲でも払うわ!」
「では、お店にいらしてください」

 俺は答えを待たずに魔法少女舞さんと一緒に店の前に瞬間移動した。

「さあ、どうぞ」

 わざとらしくドアにかけてある札を裏返して『不在』にしてから魔法少女舞さんを店内に招きいれ、ドアをロックした。
 魔法少女舞さんは店内で立ち尽くす。勝気な美少女が不安げに立ち尽くす姿はいいものだ。
 俺はゆっくりと紅茶を用意しながら魔法少女舞さんを眺めた。

「どうぞ、落ち着きますから」

 薫り高いダージリンをテーブルに置き、椅子に座らせた。無言で俺もダージリンを楽しむ、俯いている魔法少女舞さんが緊張に耐えかねたようにカップに手を伸ばして一口飲んだ。
 緊張して渇いた喉に温かい紅茶が染みとおり、ダージリンの香りが緊張を解いていく。
 ほっとした表情でダージリンの味と香りを楽しみ、寛いだところに話しかけた。

「初めて魔力を・・・された時のことを覚えていますか?」
「え・・・はい」

 散々迷い、じらされた時のことは俺もよく覚えている。俺に目を閉じるように言い、泣きながら汚れない唇で咥えられたときには俺もかなり興奮したからだ。

「あの時、魔力が補充されると同時にレベルが上がったのはわかりましたか?」
「・・・」

 唇がかすかに動くが声は出ない。空になったティーカップに目を落として俺の言葉を聞いている。

「そういう事です。どうされますか?」
「私は・・・」

 黙りこくった魔法少女舞さんのカップにダージリンを注いでやり、自分も2杯目のダージリンを飲んで魔法少女舞さんの答えを待った。

「そうすれば美姫さんより強い魔力が得られます」

 ダージリンを飲み干した俺は店の奥のドアを開けて魔法少女舞さんを振り返った。