加速。多数の敵に囲まれていても、相手が攻撃態勢に入る前に分断する。 
剣の形に加工した鎌は、黄色い稲妻をまとって、振るわれるたびに光を撒き散らした。

 トニトルス。アリスが新たに作り上げた武器の、新しい剣の名前だった。

(敵、多いな……。此処のところ、魔族の動きが活発ね)
 雑魚であるために特に問題なく倒すことが出来るが、以前の武器のままならば倒されていてもおかしくない量だった。
 武器スタイルの変換は、上手くいったと確信していた。
(魔族の種類は主に死神族。虚神や機神も混ざってるわね)
 死神族の下位系は、死者などが揃っていたりする。上位になれば死神そのものが出てくる。
 虚神は意思のない存在で、ただ無差別に人を食らう存在だ。存在自体が虚ろで、本体は別世界に存在していると言われている。
 機神はその名の通り、機械の身体を持った魔族である。鋼鉄を集めて構成された存在に、何らかの意思が宿った物だと判断されている。
 今現在アリスが相手にしているのは、その機神である。
 電撃属性を付与されたトニトルスは、それらの機械の身体を綺麗に分断していく。鉄の身体を物ともしない速度と斬撃力だった。
 霞む様に移動するアリスは、上空に魔力の収束を感知。
 その場から距離を取ると、次の瞬間、

 キュゴッッ!

 純白の光が、無数に居た魔族を全て喪失させた。
 断末魔の悲鳴を上げることも出来ず、一瞬で蒸発させた。

「よっと」
 
 その一撃を放った少女は、軽い掛け声で地面に着地。金髪を風に揺らしてこちらに笑いかけてくる。
「伊万里、出来たら一声欲しいのだけれど?」
 とりあえずムスッとした顔でアリスは伊万里に言う。
「ごめんごめん、でも呼びかけたら塊が分散しそうだったからー。やっぱ敵は一網打尽がいいよねっ!」 
 くるくると身長よりも長い杖を回す伊万里。

 ウィントゥス。アリスが伊万里のために作り上げた、遠距離砲撃と、クロスレンジでの突撃能力を付加した突撃杖だ。
 攻撃力で言うならば間違いなく伊万里の方が上である。しかし、高威力であればあるほど身体に掛かる負担は大きく、
 無駄に乱発出来ない分、持久力はアリスの方が上だと言えた。

  ……

 二人の魔族を倒す速度は、尋常ではなく、当然魔族もそれに対抗するように二人に対する対策を練り始めていた。
 
 この二人を倒す為の条件は二つ。一つ目、二人を揃えないこと。二つ目、休ませないこと。
条件に含め、対策も練り始め、魔族たちの動きはより活発に、この二人の少女の捕縛に動いていた。
 一つ目の条件に対し、局所的に二箇所で二人を呼び寄せるような事柄を起こす。
 成功。
 そして、双方対して、今までに取った戦闘データに基づく相性の悪い相手を配置。
 長時間の戦闘を余儀なくされ、二人を休ませないという条件も達成。
 結果―――、二人の魔法少女は、完全に追い詰められていた。
 その様子を、エリスは名も無い少女をいつも通りつれて、眺めていた。
 気に食わないと言えば気に食わない。たった二人を相手にあそこまで徹底的に追い込むとは、と。 
「あれは、だめ、だね?」
 名も無い少女はエリスに普通の口調で言う。
 解っている。そんなことは解っているのだ。
 自分の持っている大鎌を構え、飛び降りるのは簡単だが、それは駄目なのだ―――。
 いや、完全に無理ではない。今見える魔族全てを沈黙させれば、それで問題ないはずなのだ。
 当然リスクも伴い、エリスにとって大切な存在も失われる。アリスよりも、大切な存在を。
 だから、―――、やはりエリスは動けなかった。

連れて来られた場所は腐臭の漂う肉の壁に包まれた空間だった。
 伊万里は多少回復し始めていた魔力を使い、咄嗟に目の前に存在する肉の球体に向かって杖を向けた。
 だが、
 ブンッ!

「きゃっ!? ……ああっ!」
 突然の風斬り音と共に伊万里の腕は強かに打ち付けられ、杖が弾き飛ばされてしまった。
 杖は肉の地面に落ち、飲み込まれるように消えていった。
 それを見て、背筋が凍りつく。杖がなくては、伊万里は単純に防御力が多少高いだけの、ただの幼い少女でしかない。
「……くっ」
 どうにかして逃げ出さなくては……、そう思っていた伊万里の目の前で、中央の球体が降りてきた。近づくだけでその異臭で吐き気すら感じられる物体。
「次はお前か。前のヤツは普通の存在で男だったから直ぐに潰れたが、お前は楽しませてくれるだろうな?」
 そう言いながら、その球体はびちょ、と気持ち悪い音を立てて何かを吐き出した。
 それは白く丸い物体で、長い同じく白い尾のついた、そんな物体。
 伊万里の主観ではそういう風に見えた。距離が遠かったのもあるが、それをなんだと判断することは伊万里には出来なかった。
 
 今その肉の球体が吐き出したのは、頭蓋と脊髄であると言う事を。

 遠目でみて、その白い物体は僅かに“動いた”。
 びちょ、びちょびちょ、と魚のようにうごめいた後、まるで安心するように停止した。
「な、なに……?」
 訳のわからない焦燥感を感じて、伊万里はその身を震わせた。
「精々楽しませろ。前の男は“五十年”しか持たなかったからな」
 ぞる、と何かが伊万里の足に絡みついた。
「な、なにっ!?」
 そしてそれは直ぐに伊万里を強く引っ張り挙げた。
「やっ、やぁああッ!」
 たった一本の触手が、軽いとはいえ伊万里を軽々と掴んで、球体……つまりは本体に引き寄せる。
「やだっ、はなせ、離してよぉッ!」
 足に絡みついた触手は、足首から螺旋を描いて伊万里のふとともまで進んで固定されている。それを両手で引き剥がそうとするが、それは鉄のように硬くてびくともしなかった。
 そんな無意味な抵抗をしている伊万里の目の前で、

 ぐぱぁ……っ。

 と、球体が開いた。
「う……臭い……ッ」
 あらゆる腐臭の匂いを感じさせた。
 中は薄暗く、生暖かい空気と、紫色の気体で満ちていた。
 伊万里の足を拘束している触手は、その穴の中に続いていた。
 彼女は理解した。
「や……うそ、や、やだ……っ、入りたくない、やだっ!」 
 自分がその中に放り込まれようとしている事実に。
「や、だ、……あ、や、やだあああああっッ!」
 ゆっくりと、まるで恐れさせるように伊万里を中に放り込んだ。
 
 ばくんっ、と閉じて漆黒に閉ざされた。



しかし、直ぐに鮮明に周りが見え始める。明るくなった周り。それは先ほどよりも狭い肉の世界が広がっているだけ。伊万里の身体一つぎりぎり収まる程度の、脈動する肉の壁の世界。それが発光して周りを鮮明に見せているのだ。
「このッ、このこのっ! 出して、出してよぉッ!」
 伊万里は中で暴れるが、肉の壁はある所は柔らかく衝撃を緩和し物ともせず、ある所は鉄よりも硬くてビクともしなかった。
「これからお前を“オカス”あらゆる意味でだ」
「何言って、ひゃうぅ!?」
 ぞるん、と両足が落下した様に肉壁に落ちた。膝辺りまで肉の壁に飲み込まれ、伊万里は両足の自由を奪われた。
「何するのッ!」
「聞こえなかったか? お前の身体を弄ぶといったのだ。だがその前に処置させてもらおう」
「処置……? ……くあっ!」  
 どすん、と後頭部に何かが当った。
 否、突き刺さった。それは痛みを感じさせなかったが、長い針のような物だった。それが伊万里の脳髄にまで突き進んだのだが、伊万里はそれを理解できなかった。
「あ……く、う……っ」
「融合完了だ。どうだ、魔力が回復したように感じないか? 体力も」
「……え? ……ぁ」
 確かに、身体が健康状態に戻ったような気がした。身体が軽い。魔力も充実しているような気がする。しかし伊万里には杖がなければ魔力を攻撃力に変える術がなかった。アリスならば光弾の一つでも撃って見せるだろうが。
「では、叫ぶがいい」
「え? ひがああっ!?」
 何が起こった、訳ではない。伊万里の身体は何処にも何も触れていない。
 そう思っていた。痛みが何処から発生したかわからなかっただけだった。
 痛みの発信源は足。伊万里の足はいま、見えない場所で砕かれようとしていた。ジワリジワリとつま先から。まるで租借するように。
「いだっ、いだいぢああいあいああぅっあああっ!!?」
 狭い肉の世界で伊万里は大声で叫ぶ。
「あ、ああ、あし、足、あががあああッッ!」
 大粒の涙を流して顔を振り、髪の毛を揺らして絶叫し続けた。
 痛みが膝辺りまで到達すると、痛みは一旦停止した。
「ひっ、ひぁ、……は、あ……はあっ…」
 伊万里は痛みが終わった瞬間、痛みだけで支えていた身体を前に倒した。
 ぞり……と、音を立てて伊万里の足はそこから切断されていた。
「ぁ……あぁっ、あああああああぁッ!!?!?」
 倒れたいまりの腕は、付いたその場所の肉壁に飲み込まれた。
「ひ、ひぃっ!!! や、やめてぇッ!! やだっ!」
 腕を食われる。そう思った伊万里は、腕を抜こうと力を込めたが、ビクともしなかった。
「安心しろ、腕はまた今度だ。次は此方だ」
「え? ひ、ひぎぃぃぃあああああっ!?!!?」
 伊万里の股間に、何の前触れもなく、肉壁の天井からぶら下がって現れた触手に突かれた。
「ひッッ! いっ、い、いた……ッ!! いっつッたあぁぁいッ!!!! あぐ、うぐっ!?」
 触手は容赦なく伊万里の膣道を通り、そのまま子宮壁をまで貫いた。
 そして、まったく躊躇もなく出し入れが開始される。
「うぐっ、ひぐっ、あ、ぎッ、あぎっ、あっ、あッ! い、やっ、やだッ! いだいッ、いだあああああああぁあッ!!」
 捕らわれた腕をピンと張り、上半身を反らして絶叫する。
 逸らした事で伊万里の平たい胸の乳首が惜しげもなく晒され、そこを触手の針が正確に無慈悲に貫いた。
「くぅああぁああぁああああッッッ!?!?! ひぎぃいぃぃあっ! だめえぇぇええッ!?」

 ぎっちゅぎっちゅぎっちゅッ!


それらのストロークは全て同時にシンクロし、伊万里の身体を強く揺さぶっていく。小さく幼い伊万里には、当然許容できる陵辱ではない。しかし伊万里は叫び続ける事が出来た。不思議な事に。
「出すぞ、受け取れ」
「ひっ!? あ、あぁあぁああぁ!? …やめッ…てぇっ…ッ! いっ、いやっ嫌ぁ!! いやぁあぁぁあッッッ!! 」
 突然下半身に感じた熱い感触は、伊万里の中を暴力的に広げていく。
「あ、くっ、い、……ぎ、が……っ、も、もう、はいら……ないぃッ!」
 伊万里がそう言っても、膣、子宮奥深くに入り込んだ触手の吐き出す物は一向に収まらない。
 彼女のお腹が苦しみに比例して大きく広がり、破裂しそうなほどに―――いや、今まさに破裂しようとしていた。
「ああああああああッ!? やぐぅ、い、ぎ……ひがああああああああああっ!!」  
 
 ぶち―――。そんな音を聞いたと感じた瞬間、伊万里ははじけるような感触と共に意識が飛んだ。

「一度目だ」

 ……そんな声が聞こえ……。

 伊万里の意識はまた浮上した。
「ぁ……う……っ」
 目を開けると、自分が生きている事に不思議な気持ちになる。先ほどまでの暴力的な陵辱はなんだったのだろうか。
 目線を落とすと、お腹はべつにどうにもなっていなくて、夢だったような錯覚を覚える。だが身体はあの痛みと恐怖と絶望を覚えている。
 伊万里は間違いなくいま、死んだのだ。
「二度目だ。今度は撲殺させてもらおう」
「え? うグッ!?」
 突然硬い触手に殴られた。顔を、身体を頭を胸を足を腕を水月を眼窩を、あらゆる場所を殴られた。始めは簡単な場所で徐々に殴られるのに弱い場所、痛い場所、嫌な場所、延々と殴り続けられた。

 伊万里は死んだ。



「三度目だ」
「ひ、ひぅ……っ」
 何が起こっているのかわからなかった。ともかくも、目の前に触手があるだけで伊万里の身体は震えた。精神外傷が出来てしまったのかもしれない。それだけ延々と殴り続け殺されたのだ。その所要時間は三日を要していたが、今の彼女に時間の経過を知る術などない。
「今度は快楽を与えてやろう。死ぬまで」
「ひ、やっ……ん…」
 先ほどまで自分を殴り続けていた触手が、伊万里の頬を優しく撫でる。
 伊万里の身体は今何処も拘束されていない。相変らず狭い肉壁の部屋で転がされているだけ。先ほどまでの撲殺の恐怖に、その身体を小さく震わせているだけだった。
 触手はそっとその身体を押し倒し、彼女のみを包んでいる強固な守護闘衣の隙間から触手を忍ばせた。
「あ……くっ」
 つかむ事も用意ではない薄い胸を、ぬめった触手は両方掴んで形を変えていく。
「あはああんっ く、や、やめてよぉ……っ、や、だぁ……」
 ただ触れられ撫でられているだけなのに、伊万里の身体は熱く火照り始めていた。その場の空気が伊万里に催淫効果をもたらしていることはわからない。
「は、んっ、く……んぐっ」
 強くではなく、優しく、グロテクスな触手が伊万里の唇を奪った。中が管状になっており、無数の繊毛のような物がびっしりと。
「い、いあ……うぐっ」
 腐臭と気持ち悪い感触に伊万里は涙を流して首を振るが、次第にその動きも遅くなる。
 管状の触手は伊万里の舌を飲み込み、緩やかに刺激し始めたのだ。喉の奥を突きかねないほど進んで、

 ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、

 何度も伊万里の舌を刺激し始めた。
「やぁうぅああっ、あぐ、うんぁああっ! あああッ!」 
 彼女の性感を高める液体を分泌しながら、口の中を蹂躙する。
 伊万里は身体を硬直させて、その口内陵辱を受け止める。
(なに、なんなの、……なにこれっ)
 伊万里の幼い縦筋は、その行為に愛液をを垂れ流し始め、緩み始める。
 大粒の涙を目尻に溜めながら、
「ん、んっ、んんッ! んーーーーっ!」
 一度目の絶頂を感じた。
 桃色に染まった伊万里の身体の上、捲りあげられたスカートの上にドッと、太い触手が落下した。
「んっ!?」
 臍の辺りに落下してきたその触手は他の物と違い、色々な物が突き出ていた。先端はとがっていて無数の細い触手が踊っており、その周りは小さい突起物が脈動していた。
 その触手は臍から下腹部へゆっくりとすすみ、分泌される液体で尾を引きながら、伊万里の幼裂に到達する。
「ふあああっ!?」 


ちゅくり、と触れた秘所に、その触手は直ぐに入ろうとせずに前後に動き始めた。
「ひあぅっ、ひぁっ、ひあああっ!」
 一度イったことで敏感になった秘所を、触手はその腹で延々とすり続けた。
「ひんっ、ふあっ、あんっ! ん、きゃうっ、ん、はうっ、はっ、はっ、はあぁあっ!」
 首を何度も降り、襲い掛かる快楽を否定しようとする。
 だが触手の勢いは強く早くなり、伊万里を絶頂に追い込んでいく。
 しかし、ぎりぎりで止まって、伊万里の秘所にその先端をあてがった。
「だ、だめぇ…いれちゃ、っぁあ!」
 ず、ず、……と、本来ならば入るはずもない極太の触手が突き進んでいく。
 幼裂は広がり、その暴力を難なく受け入れてしまう。
「か、はっ……んっ!」
 一番奥に到達すると、その先端から出ていた細い触手が子宮の奥へ張り込んでいく。
「んあぁああっ、も、だめ、やだっ、そんなにおくまで、もうはいって―――んんんっッッ!!」
 敏感になりすぎた粘膜を刷り上げながら、その触手が回転し始めた。緩やかに。
「んああああっ、あんっ、んあっ、あ、ひああああっ! や、やだああっ、駄目駄目駄目駄目ぇッ!」
 両手でその触手を掴むが、そのぬめった触手を止める事は出来ず、体内で回転する触手を受け入れざるを得なかった。
 両足を畳んで、身体を小さくして必死にその回転に耐える。
 痛みはなくて、ただただ気持ちよかった。
「知らないっ……こんなのっ! 知らないよぉッ!」
 涙を流しながら首を振る。
 ぐるぐるぐるぐるっ!
 突然速度を上げた回転に、伊万里は縮めていた身体をぴんっ、と張って絶叫する。
「んあっああああああぁぁんんんっ!! ああっ! あんっ! ひうんっ! ふぅんっ! あああああぁぁんッ!」
 びくんびくんっ! と身体を震わせて二度目の絶頂。
 
 だが、回転は止まらない。

「うはあッ! ひぃうんッ! やだっ! こわ、こわいっ、やだっ! ふぐッ! ぅはああんッ!!」
 目を大きく見開いて、伊万里は悶える。身体をどれだけ暴れさせても、伊万里の幼裂に入り込んだ触手は抜けづにしっかりと奥に入り込んだままだった。
「はぐぅっ!! はぁッ!! ひあぁッ! うぐぅッ!!! はぁああッ! ふわっ! やっ、やめっ! もうとめっ、くぅああッ! あああああ―――ッ!!」
 三度目。
「はひっ、ふあっ! くあああッ! ふあぅッ! やっやああぁッ! ぅああッ! はうぅッ!」
 息をもつかせぬと、まさに言葉どおりに伊万里は侵され続ける。
「こん、なッ! ああァあああッ! んあッ! くはぁッ! やだぁ、やだぁぁぁッッ!!」
 四度目。

 伊万里は更に連続で行かされる。

 ……五十八回目。
「くはぁああ―――ッッッ!!?? あはッあああッ! ふぅんっああああああッッ!! や、ひあ、ふあッ!!!」
 イけばまた次。快楽は与え続けられ、叫びながら絶頂し、息すらも苦しくなっていた。
 吸おうとした瞬間、そんな余裕もないほどに強い快感を打ち付けられる。
「かはあッ! はあッ! かはっッ! うぁんッ! あくぅッ! ひゃあああぁあぁあああ―――ッッ! 」
 五十九回目。そこで変化が訪れた。
「なかなかしぶといな。なら此方もだ」
 そんな宣告と共に、伊万里のアナルにもまったく同じ触手が突き入れられた。
「ッッッ!?!? あぐぅはははぅぅぅああッ!」
 もう意味のある言葉など発する事が出来ず、伊万里は絶叫した。
 
 伊万里が絶頂で息すら出来ずに、叫び続けて死んでしまったのは百七十八回もの絶頂を極めた後だった。



伊万里蘇生四回目。
「あぐっ!」
 今度は四肢が肉の壁に埋め込まれていた。
(……な、なに……どう、なってるの……? もう、わかんないよぉ…)
 伊万里の目からは力が薄れてしまっている。
「今度は孕んで貰おうか?」
 言葉の意味は理解できなかった。
 ただ、
「ん、んんっ!!」
 伊万里の幼裂に太めの触手が突き刺さったのは解った。
 その触手は途中が太くなっていて、半透明なその中に小さいピンポンだま程度の何かが無数に浮かんでいた。
「……な、に……?」
「孕んでもらうと言ったのだ。まだ子供を作れるからだではないが、安心しろ。この卵に我の精液をかければ羽化する」
「……う、そ…」
 伊万里の顔が絶望に染まる。  
「嘘ではない」
「や、やだ……やめ、おねがい、そんなのやだ、化物のあかちゃんなんて……んんんッッ!!!」
 先端の触手が子宮口を押し開き、更に突き進んだ。これで女性にとって大事な子供を産む部屋を三度も犯された。
「では、行くぞ」
「やだやだやだやだやだやだーーーーっ! ンあッ!! あぎ、はい、……ってぇッ!?」
 ぼこん、と中に何か入ってくる気配。涙を流しながら唯一自由になる首を振りたくる伊万里。
「んぐぁっ! あぐッ! いぎぃッ! はっ、ふあ、ッ! うぐぁっぁ!あがぁッ! あっぁあッ!!?」
 連続で中に流し込まれる卵に、伊万里の腹部は膨らみ始めていた。卵の形がわかるくらいに、その輪郭を変形させて。
「がっ、ひっ、も、だ、め……っ、はいら、ないっ!」
「そうだな。今回はこのくらいでいいだろう。腹が裂けては出産が出来ない」
「や、だ……したく、ない……こわい、こわいよ、おねがい、ゆるして……も、わたし……だめ、こわい……アリス……母さん…助けて…」
「よんでも誰も来ない。諦めろ」
「アリス……きて、くれる、もん、絶対、きて、くれるもん」
「どうやって?」
「ここ、みつけて、たすけに、きて……いぎぃッ!?」
 伊万里の幼裂に別の触手が突き刺さった。それは先ほどの触手みたいに形はそれほど変わったものではない。真っ直ぐで段々になっている程度。だがそれも半透明で、中に真っ白な液体が詰まっているのだけが解った。
「無理だな。此処はお前の住んでいた世界ではない」
「……え?」
「此処は、虚神と呼ばれる存在だけが存在する世界。これる事が出来るのは、連れ込まれた存在と、“我ら”だけだ。決して入ることは叶わぬのだ。お前が死ぬまでは、我は外に出るつもりはない。つまり、お前は此処で一人だと言う事だ」
「嘘……嘘だよ、嘘だよね……? ねえ、私、ここで、ずっと……こんな、んくぁああああッ!」
 どくんっ! と音がした瞬間伊万里の中に白濁液が流し込まれ始めた。
「そう、ずっとお前は此処でこうされる。死ぬまで。まさしく骨の髄までしゃぶりつくしてやろう。前の男のように頭蓋と脊髄だけになるまで、その身体をむさぼり続けてやろう。お前が叫んで絶望しているうちは、蘇生し、何度でもお前を殺し犯し殺し犯し殺し犯し続けてやろう」
「はっ、はっ! やだ、死ぬの、やだっ!! もうやだっ?! もう殺さないで、犯さないでっ!」
「今回は我は殺さない。殺すのはこやつらだ」
 こやつら、の意味が理解できなかった。


だが、
「んぐあああああああッ!? いだっ、いたあああああああッ!? や、だめ、あばれないでッ! いぎっあぐっ、いだ、いだいいぃっ!!」
 自由になる顔だけを動かして、目を見開いて涙を流し、自分の腹部でうごめく存在を見つめる。
 伊万里のお腹の中で何かが動いている。細長い物体が、暴れているのが見えた。
「やだあああああああああああッッ!」
「そやつらは、まず生まれた瞬間近くの存在を食らう。自分と同じくらいの大きさのものからな、最終的には一匹になる」
「はぎっ、はぎぃっ! あばれ、ない、でぇええええっ! や、こわれ、わたし、お腹こわ、れぇ……ッ! 」
 説明が聞こえるが、激痛に苛まれている伊万里には理解できない。
「一匹になると、最終的には母体の身体を食い破ってでてくるのだ」
「あぎっ、あっ! くぅああああッ!!?」
 彼女のお腹の中で踊っている存在が、徐々に少なくなり、大きくなっているのが伊万里にでも解った。
「あっ、あっ、ああッ!」

 自分が壊れていくが解った。
 食い破られ、自分の身体が租借されていくのを見ながら、伊万里は死んだ。

 虚神は絶望を糧として生きている“個体”である。複数要るわけではなく、現界する存在はすべてその個体の精神の切れ端なだけなのだ。

 彼は取り込んだ人間を永遠となぶり続ける。
 
 だから伊万里は、その存在に何百年にもわたり、殺され続け、虚神の糧になったのだった。