[人物紹介]
《芹川 杏(せりかわ あんず)》
人間界出身の魔法少女。中学生。
ごく普通の少女。明るく元気で、周りを自然と暖かい気持ちにさせる雰囲気を持っている。
正義感が強いが、それが原因でトラブルに巻き込まれることも多い。
行方不明になった幼馴染で姉同然の葵を探して夜の街を探索していたことから、戦いに巻き込まれた。
魔法の飲み込みが早く、魔法使いとしての素質がある。不思議な力を発揮したこともあるが、その力の源は謎。
少し茶色がかった黒髪のミディアムヘアで癖っ毛。背はやや小柄で胸もあまりない。それ以外の体つきは平均的といったところ。
戦闘はオールマイティタイプ。どのような魔法にもすぐに適応し、使いこなせる才能の持ち主。
スカートに上半身を包むノースリーブの服。その上から足の付け根ほどまである薄いジャケットを羽織っている。
足元はスニーカーのような靴。手には魔法に耐久性のあるグローブをはめる。
コスチュームのデザインは本人のイメージに左右されるため、そのまま街を歩いていてもさほど違和感はないようなものとなっている。
カザミよりはスカートも長く、ジャケットも肘ほどまであるため、魔法の威力や守備力などを増強する機能に優れる。

《カザミ》
魔法界出身の魔法少女。年齢は杏の二つ上。
杏の住む街を魔族の襲撃から守るためにやってきた光の魔法使い。
ヴァイスとの戦いを始めた初期から戦いに参加する魔法少女であり、カナタの姉。
人材不足のため、この街へとやってこれたのはカザミと妹のカナタとの2人だけである。
現実的で冷静な思考の持ち主だが、本来は温かい心の持ち主でもある。
昔はカナタのような和やかな性格だったが、戦いを潜り抜けるためにはそのままではやっていられなかった。
元来、確かな魔力の持ち主。激戦を潜り抜けてきたことで、その実力にはさらに磨きがかかっている。
薄いブルーのショートヘア。背は高めでスレンダーだが、標準程度には胸もある。
戦闘は近接・スピードタイプ。遠隔攻撃よりも、まるで殴りつけるような近接魔法を得意とする。
ミニスカートに、ノースリーブの服。上から羽織るジャケットもノースリーブで腕は完全に晒されている。
その靴は瞬発力を高める効果を持つ軽めのブーツ。手には杏と同じくグローブをはめている。
機動性重視のため、スカートは短い。ジャケットもノースリーブのため、守備力の増加量は少なめ。
その機能のほとんどを機動力上昇のためにあてている。

《カナタ》
魔法界出身の魔法少女。年齢は杏の一つ下
カザミの妹で、同じくこの街へとやってきた光の魔法使い。
魔族との戦いに参加するのはこれが始めて。しかしサポート役魔法使いとしての実力はかなりのもので、カナタがいるからこそカザミも心置きなく戦える。
心優しく穏やかな少女。戦いで役に立つため、姉のように冷静な心を持とうとするが、どうしても感情的になりやすい。
心が弱いともいえるが、その分繊細で人の感情に敏感。その優しさは、杏やカザミの心を癒す役割も担っている。
戦闘以外の雑務は全てカナタがこなしており、料理はそれなりの腕前。
薄いブルーでストレートの背中まで伸びるロングヘア。小柄で、まだ成長期を向かえていない柔らかな少女の体。胸も未発達。
基本的に戦闘には出ないサポートタイプ。回復魔法や防御の魔法、記憶操作や物体の構築・修復魔法などといったものが得意。
戦闘を想定していないため、とにかく魔法の効果を上げるための機能を持たせたワンピースのローブをまとう。
機動性は低いので戦闘に出るとしても後方支援が適任。一人で戦うことは無謀ともいえる。

《矢幡 葵(やはた あおい)》
人間界出身の闇の魔法使い。年齢は杏の一つ上
杏の幼馴染で、姉のような関係だった。ある日突然失踪する。ヴァイスに魔力を注入され、闇の魔法使いにされてしまったからだ。
人を襲わなければ生きていけなくなった自分を嫌い、自ら死を選ぼうとするが、その特殊な能力によって死ぬことすら許されなかった。
穏やかだが時に厳しい、杏にとっては理想の姉といった存在だったが、今はその境遇のため穏やかさは失われ、その目にも力はない。
黒髪で、以前は三つ編みだったが、今は後ろで一つに束ねているだけである。背は高くもなく低くもなく、胸は大きめで肉感的な体つき。
戦闘は特殊タイプ。攻撃よりも相手の動きを止めたり、捕獲したりすることに特化している。
全身を包む装飾の少ないドレスのような黒いコスチュームにブーツ。ロングスカートのため、スピードには長けていない。
ちなみにコスチュームには魔法少女達のように能力を増強する機能はない。
襲われ、魔力を奪われそうになった時に相手の魔力を消滅させてしまうという特殊能力を持つ。

《馬木 透(まぎ とおる)》
人間界出身の闇の魔法使い。大学四年。
退屈な人生に嫌気が差していたある日の帰り道、突然ヴァイスに遭遇し、闇の魔法使いにされる。
ヴァイスが魔力を注いだ最初の人間。なかなかの魔法の素質を持っていたが、魔法少女とのバランスがとれないため、ヴァイスに力を奪われる。
今はこの街での魔族を統率している存在。杏たちの当面の敵といえる。
黒い短髪。背は高く、体格がいいというほどではないが、その体には充分な筋肉を備えている。
戦闘はオールマイティタイプ。どのような魔法も使いこなす才能を持つ。
ジーンズ姿の普通の大学生のような格好の上に、黒く長いコートを羽織る。
動きづらそうな格好ではあるが、その魔力のためになんの問題もない。機動力は高いが、動かずとも大抵の敵の攻撃はものともしない。
特殊な能力はないが、その才能のため特殊能力など必要としない。

《ヴァイス》
光魔法族と闇魔法族のハーフで、モニカの双子の兄。
光と闇のどちらにも属さずに両親とひっそりと暮らしていたが、三年前に突然暴走し両親を手にかける。
その魔力を感知して駆けつけた闇の魔法使いまでも殺し、闇魔法族を敵に回す。しかし容易く返り討ちにして、逆に闇魔法族を壊滅にまで追い込んだ。
現在は黒いフード付きのマントで身を覆っているため、その外見がどうなっているのかは分からない。
実はカナタよりも幼いが、その強大な魔力のためあまり年齢は意味を成さない。魔族を取り込むことで体も自在に変化させることが出来る。
戦闘はまさに全能。出来ないことは何もないといっても過言ではない。
カザミに対しては一定の執着を見せていて、この街でよくその魔力が感知されている。

《モニカ》
光魔法族と闇魔法族のハーフで、ヴァイスの双子の妹。年齢は杏の三つ下。
三歳の頃に両親のもとから光魔法族の集落へと一人だけ連れて来られた。その理由は不明。
ハーフという異端の立場から、光魔法族の中では迫害されてきた。連れて来られた祖父の家からも数ヶ月で放り出され、孤児院で引き取られる。
ヴァイスの襲撃後、妹ということで批判に晒されると同時に、ヴァイスに対抗するための戦力として期待を寄せられるが、全く力を発揮することはなかった。
そのために完全に見切りをつけられ、ヴァイスの手で殺されるという罰を科せられて戦地へ送り込まれる。
そういった環境にあったせいでいつも怯えたような目をしていて、体も小さく、やせ細っている。
本来なら輝くような金色の髪も、無造作に長く伸びたままでボサボサ。
カナタは綺麗にしてあげたいと思っているが、なかなか接することが出来ていない。
衣服も大して与えられてこなかったため、ボロボロのローブを着ていたが、カザミ達の家にやってきてからはカナタのお古のローブを借りている。
戦闘の能力はほとんどない。極々初歩の魔法を辛うじて使える程度で、本人も周囲も魔法の才能はないのだと判断している。

《サラ》
闇魔法族の生き残りの子供達の最年長でリーダー。杏と同い年。
光魔法族との共存を望む一部の闇の魔法使いの親達によって、他者から魔法を奪わなくても生きていけるように育てられた。
その代わり魔力は低く、戦闘には向いていない。
そのため戦闘を完全に放棄しており、その魔力は衣服を構成することや生活上で必要な魔法、諜報活動のための魔法へと費やされている。
この三年間、子供達をまとめて来たため、強気な姉御肌。子供達からはよく好かれている。
赤毛の跳ねる様な短髪。背は少し小さいが体つきは女性らしく、それなりに胸もある。
魔力の消費を最低限に抑えるため、その服装も簡素なもので、Tシャツにスパッツのようなスタイル。
周りにいるのはみんな仲間のため、服装にあまり気を使ってはいない。

《長》
魔法を使えない側の光魔法族の代表だった。
現在は魔法を使える者の多くがヴァイスに敗れたことにより、光魔法族全体の代表となる。
本来その立場は中立で、どちらかに偏ってはいない。ただ、他のトップに立つ者達は圧倒的に魔法を使える者を嫌悪する者が多く、その意見に流されがち。
魔法少女達に厳しい現状を心苦しくは思っているが、現在の光魔法族全体のことを考えるとどうしようもなく、他の者達と同じように振舞う。
しかし、心の奥底ではいつか光魔法族全体を本当の意味で一つにしたいという思いも持っている。



[設定紹介]
《世界》
この世界には人間界とは別に魔法界・魔界があり、魔法界は光魔法族・闇魔法族が、魔界には魔族が住んでいる。

《光魔法族》
光魔法族の特徴は、大気中に含まれている魔力を体に取り込むことが出来ること。
その代わりに魔力には上限があり、それを増やすには相当な修練が必要となる。
なお、光魔法族の全てが魔法を扱えるわけではなく、現在では全く魔法を扱えない者達が半数を占めている。
魔法を使える者達と使えない者達の一部では何度も対立が起こったため、各々が別々に社会を作り、統治されていた。
しかし、魔法を使える者達の多くがヴァイスに敗れた現在、魔法を使える者達はは少女とそれよりも幼い子供、
そして家庭に入った女性しかいないため、魔法を使えない者達が両方をまとめて統治している。
そのトップに立つ者の多くは魔法を使える者を憎んでいる層で、魔法少女達をよくは思っていない。特にモニカに対しては強い憎しみを抱いているものが多い。
なお、女が生まれることが多い。

《闇魔法族》
闇魔法族の特徴は、大気中の魔力を直接体に取り込むことは出来ず、他者から奪うことでしか魔力を得られないこと。
その代わりに魔力には上限がなく、肉体の限界を超えない限りどこまでも強い力を得ることが出来る。
基本的にその犠牲となるのは光魔法族。まれに人間界に出向き人間を襲うこともあるが、その魔力は微々たるものなので、好んで行うものはいない。
小さな子供には親が魔力を分け与える。しかしいつまでもそれではやっていけないため、小さな頃から魔力の使い方を学び、戦いに参加する
現在はヴァイスの襲撃により壊滅状態。なお、その数は光魔法族の約三分の一と少なく、男が生まれることが多い。

《光魔法族と闇魔法族》
光と闇の魔法族は種族が誕生した時から対立を続けている。
闇の魔法族は光の魔法族から魔力を奪わずには生きていけない。光の魔法族は闇の魔法族の襲撃に対抗するために、より強い力を身につけようとする。
そして強い力を身につけた光の魔法使いに対抗するため、闇の魔法族はより多くの魔力を奪わなくてはいけなくなる。
こういった悪循環が続き、三年前まで一時たりともこの戦いが止んだことはなかった。

《魔族》
魔族の特徴は闇魔法族に似ている。他者の魔力を奪うことで自らの魔力を高めていく。魔力の上限はない。
奪った魔力を数日かけて自分の中に還元し、進化する。体や能力など、全く異質なものへと変化する者もいる。
普段は魔界に住んでいる魔族は、契約によってのみ魔法界や人間界に現れる。
契約とは、主から一定の魔力を提供されることと引き換えに一定期間仕えるというもの。
中には、仕えるのではなく知識や情報を与えることで魔力の提供を受ける者もいる。
契約を結んだ魔族が誰かを襲って奪った魔力の半分は主の元へと自動的に送られる。
強力な魔族との契約には、それに見合うだけの魔力が必要となる。
また、契約とは別に魔法使いの体に融合することも出来る。融合によって魔法使いはその肉体を変化させることが可能。
契約を結べるのは闇の魔法使いだけではなく、光の魔法使いでも可能。しかし、光魔法族の間では魔族との契約は禁忌とされている。

《ヴァイスと魔法少女達との戦い》
光魔法使いが半壊滅状態になった時、ヴァイスは突然戦いの手を止める。そして、魔族を人間界に送り込んだ。
ヴァイスは残された魔法少女達に、魔族の手から人間界を守って見せろというゲームを提案する。
その提案を受けなければヴァイスに滅ぼされるしかない魔法少女達はその提案を受け、先の見えない戦いに身を投じることとなった。
魔法少女達は必死に戦うが、魔族の戦力はヴァイスが調整しており、ほぼ均衡するようにされている。
ヴァイスはそれをゲームバランスの調整と認識しており、魔法少女達は完全にヴァイスの手のひらで踊らされている状態。
それでもヴァイスの期待に沿うような戦いをして見せないと光魔法族全てが滅ぼされてしまうかもしれない。その可能性に怯えながら戦いを続けている。

《魔力》
大気中に溢れる魔力は、まず光魔法族によって取り込まれ、それを闇魔法族や魔族が奪う。
そして死ぬ時に、その人や魔族が持っていた魔力が大気へと溶けることで循環していく。
魔法族以外の普通の人間や動植物の中にも微かに魔力は存在する。

魔力には大きく分けて二種類の分類がある。
一つは所有者の奥深くに眠り、その生命の根源となるもの。闇魔法族や魔族が奪うのはこちら。
もう一つは根源となる魔力の量に比例して所有者の体に蓄積され、扱えるようになるもの。魔法として発動されるのはこちら。
ただし二つは質的には同一のもので、その用途が違うだけである。
普通の人間は根源となる魔力を微量しか持っていないため、魔法を使うことは出来ない。
また、闇魔法族と魔族の魔力にはこういった違いはないため、生命を削りながら魔法を使っているようなもの。魔法を使いすぎると死んでしまう。
光魔法族や普通の人間が魔法を使っても、普通は根源となる魔力までは失われないため死ぬことはほとんどない。
無理に根源となる魔力を魔法として使うことは出来るが、根源となる魔力は失われると回復が遅いため、滅多に使うことはない。

《魔力の覚醒》
本来その身に眠っている魔力を充分に使いこなせない者は多く、そういった力が何らかのきっかけで急に発現することがある。
これが魔力の覚醒である。多くの場合、強い感情がその起因となる。

《魔力のリンク》
カザミとカナタのような魔法使いの兄弟姉妹の間には魔力のリンクがある。
同じ血を分け合う者の持つ魔力は共鳴しやすく、その強い思いや感情が相手に届くことも。

《魔力の封印と解放》
光魔法族は普段から魔力を解放していると消費が激しいため、戦闘時以外は封印している。封印とは言っても、最低限の魔法は仕える状態。
戦闘時には触媒を使って魔力を刺激して解放する。同時にその人が戦闘をする上で最適な機能を持つコスチュームへと魔力を変換する。
それまでに着ていた服は、魔力を再び封印した時に元に戻る。
闇魔法族は光魔法族のように普段から魔力を激しく消費することはないため、魔力を封印する必要はない。
光魔法族は大気中の魔力をやり取りすることが出来るため、魔力が流れ出しやすいのである。

《ヴァイスとモニカの両親》
母親は光魔法族。父親は闇魔法族。光と闇のハーフというのは全く前例がない。
母親となる女性は、ある日突然光魔法族の集落から失踪した。光魔法族内では、父親となる闇の魔法使いに攫われたとされている。
女性の親は魔法使いを雇って娘を捜索させ、四年後、遂に発見。どういうわけかモニカだけが連れ戻された。
父親の詳細は不明。闇魔法族の間でも、特に情報はない。それだけ、大きな特徴のない平凡な人物であったともいえるかもしれない。

《ヴァイスの呪い》
ヴァイスは透と葵に魔力を注いで闇魔法族とする際に、普通よりも大量の魔力が流れ出す「穴」を作った。
同時に、魔力が枯渇し始めると人を襲わずに入られなくなるような呪いをかけている。
また、ヴァイスの魔力によって外傷で死ぬことはなく、傷を負った場合は魔力がそれを自動的に修復する。
死ぬことが出来るのは魔力が完全になくなった場合のみである。

《拠点》
魔法少女たちが拠点とするのは街の郊外にある家。森の中に不可知の結界を張り、その中に建てられている。
この街の家をモデルにして、カナタが構築した。二階建て。治療部屋やリビング、応接間は一階にあり、一人一人の部屋が二階にある。
結構広い家のため空き部屋も多く、他の魔法少女達が応援に駆けつけても収容できるようになっている。

透たちが拠点とするのは街外れの廃工場。一応簡素な結界は張られているが、本気で探索されればすぐ発見される。
魔族たちは食事の必要もないため、生活スペースなどは最低限寝る場所があれば充分。

《知識の注入》
魔力を使い、自分の中の知識を相手に注入することが出来る。
とても高度な魔法のため、あまり使われることはないが、ヴァイスにとっては大したことではない。
知識と代わりに魔力を得る契約をする魔族は、この能力に特化している。

《魔法武器・道具》
魔法を使えないものは、魔力が込められた武器や道具を用いる。
道具は、転移が可能になるものや、魔法を放つことができるものなど。主に小さな水晶玉が媒体として使われる。
武器は槍や剣などで、魔力によって威力が増強されている。
しかし、魔法使いが使ってもあまり意味がない。直接魔法で攻撃したほうが強いからだ。