サラは覚悟を決め、その手に残る最後の魔力を込めてケンゴに放つ。しかし、サラの攻撃はケンゴを掠めるだけだった。
それでもケンゴは衝撃に吹き飛ばされるが、無力化することは出来ない。ケンゴは反射的にズボンのポケットに手を入れ、警報の魔法水晶を取り出すと地面に叩きつけた。大きな音が辺りに響き渡り、ついで大量の足音が聞こえてくる。
「くそっ!!」
サラは自分の失態に舌打ちをし、何とかその場から逃れようと走り出した。もうモニカを助けるどころではない。なんとしても逃げなければ。
しかし、もう魔力は使い果たした。魔法を使えない魔法少女が屈強な大人の男達から逃げ切れるはずがない。
「がぁっ!!!」
やっと窓を見つけ、そこから外に出ようとしたサラを、電撃の魔法が横から打ち抜いた。
不意に脇腹から全身に駆け抜けた強烈な痺れにサラは呻き、そのまま廊下に倒れる。
「拘束しろ!」
男の低い叫び声が響いたかと思うと、サラは腕を後ろで捻り上げられ、床にうつ伏せに押さえつけられた。
「ぅぅぅっっ……」
体に残る痺れと捻り上げられた腕と肩の痛み、頬に感じる廊下の冷たさと自分のふがいなさにサラは唇をかむ。
後からやってきた一段と体格のいい男は、サラの両腕を片手で強く掴みそのまま髪を掴んで持ち上げた。
「魔法少女風情が城に忍び込もうとするなど、立場をわきまえていないようだな。」
「ぐ……」
サラは髪を引っ張られる痛みに反論すら出来ない。
「まぁいい。馬鹿なことをしたガキはそれ相応の罰を受けることになるだけだ。おい!誰かこいつを連れて行け!」
男はサラをさらに高く持ち上げると、そこから廊下に叩きつけた。
「うぁあああっっ!!!」
顔面から廊下に激突したサラは鼻を強く打ち、顔全体に響くような痛みに転げまわる。鼻血が廊下に点々と跡を残した。
サラは男の部下と思われる数人の男に体中を捕まれ、そのまま連れて行かれる。今サラを包むものは痛みと絶望だけだった。
(ごめんね、みんな…ヘマしちゃったよ…)


「こいつ、リストにないな。どういうことだ?」
モニカが拷問を受けていたすぐそばにある、地下の牢屋にサラを連れて行き鍵をかけた男は、魔法少女達のリストが載る紙を眺めながら呟く。
魔法少女達は全員がその行動を把握されている。魔法少女達を管理することで押さえつけようとするためだ。完全に魔法少女達を意のままに操り、道具のように扱おうとしていた。
しかし、両手両足を縛られ牢屋に入れられた少女はそのリストに載っていない。これは一体どういうことか。
男はすぐに闇魔法族という可能性に気づくと、目の色を変える。それは少しの恐怖と、多くは興奮によるものだった。
ヴァイスの手によってすべて死に絶えたと思われていた闇魔法族。その生き残りがいたということに老人達は激怒するだろう。しかし、これはあまりに重大な事実だ。それを自分が報告したとなれば、少しは老人達に取り入れるかもしれない。
男は嬉々として牢屋を出て行った。

一人残されたサラには何も出来ない。
手足が拘束されていてはろくに魔法を使うことも出来ないし、仮に手足が自由だったとしても魔力は枯渇している。それだけではない。ここは魔法使いのための牢屋なのだ。魔法を使えるものにただの牢屋など意味を成さない。
この部屋では魔法が使えなかった。ここで発動しようとした魔法はすべて打ち消されてしまう。サラは自らの調査でそれを知っていた。
「どうしよう…」
どうしようもなかった。ただ、自分がどんな目に遭うのかという不安に押しつぶされそうになりながら、ジッと待つしかない。

扉の開く音にサラが顔を上げると、老人が部屋に入ってくるところだった。
その目は鋭く尖りサラを射抜く。汚らわしいものを見る目だ。
「お前が闇魔法族の生き残りとやらか。」
しわがれた声はそれでも力強くサラを貫く。
ばれてしまっている。先ほどの男の呟きから覚悟はしていたが、実際にその事実を突きつけられると、とたんに恐怖が膨れ上がった。
「生き残りがお前一人だけということはあるまい。仲間がいるな?居場所を吐いてもらおう。」
やはりそうくるか。サラの悪い予想は当たってしまった。彼らは闇魔法族を心から嫌悪している。サラ達、闇魔法族の生き残りを根絶やしにしてしまうつもりなのだ。
どんな目に遭おうとも、絶対に何も話さない。サラは心に固く誓う。
しかし彼らの尋問という名の拷問は、サラの想像できる程度の行為であるはずがなかった。サラにはそれが分かっていないのだ。

何も話そうとしないサラに、老人は無言で部下と見られる男に目を向ける。それだけで伝わったのか、男は部屋を出て行った。
「仲間を庇おうとするのも良いが、いつまでその気持ちがもつかな。早めに話したほうが身のためだぞ。地獄の苦しみを味わわずに済むかもしれん。」
老人の脅しの言葉に震え出しそうになる身体を必死に押さえつける。しかし、内心は恐怖に埋め尽くされていた。なんとか老人を睨んでやろうと顔を上げるが、その顔は恐怖に歪み、その目は老人をひるませることなど出来ない。
老人はただ薄い笑みを浮かべ、部屋から去っていった。

一人、牢屋の中に残されたサラは、体を冷やす冷たい空気に身を縮こまらせる。
サラは、この日の入ることのない地下の寒い部屋にいるにはあまりにも不似合いな格好だった。Tシャツとスパッツに似たような極々薄手の服を着ているだけだ。普段から魔力で衣服を補うサラ達は皆、簡素な格好をしていたのだ。
部屋を少しだけ明るくするほのかな明かりは魔法によるもので、火による照明とは違い、暖かさは微塵も感じられなかった。冷えていく体と、これから自分がどのような目に遭わされるのかという不安に、サラの心は暗く、深く沈んでいった。


扉が再び開くと、大柄な男が二人入ってくる。そのどれもがニヤニヤと下卑た笑みを浮かべていた。
それを見て、サラは自分の身に降りかかる悪夢の正体を悟る。同時に絶望感が自分の心の中で首をもたげているのを感じた。
サラは性的な知識に乏しかったが、光魔法族を調査するうちに性行為を目撃することや、魔法少女達が性的に酷い目に合わされているということを耳にすることがあった。そのたびに、未知なるものへの恐怖を感じていた。それがいま、自分に降りかかろうとしているのだ。しかも最悪の状況で。

男達は鉄格子の鍵を明けると、押し入るように中へと入り込んだ。
サラは逃げ出したかったが、両手両足を縛られ、動けないのではどうしようもない。
「やあぁぁっっ!!!」
男達はサラの身体を無理やりに掴む。腕や足、胸を無造作に掴む男達の手にサラは叫び声をあげた。
自分の欲望を隠そうともせずに群がる男達。その手が自分の身体を這い回り、自分を犯そうとしている。サラは怖くてたまらず、なんとかして逃れようと自由の利かない身体を出来る限りにひねった。しかし、そんな仕草は男達を悦ばせるだけの意味しかない。
男の一人はサラの腹の上にまたがり、別の男はサラの足を膝を左右に開くように押さえた。
「いぁっ!痛いぃっ!!!」
股間を裂かれるような痛みにサラは叫ぶ。身体を完全に地面に押さえつけられ、身動きが全く取れなくなっていた。股を大きく開くような格好になり、スパッツの密着した下腹部が丸見えになる。
「随分エロい格好してるじゃねぇか。なんにも穿いてないみたいだなぁ。」
サラの足をうつ伏せにのしかかるように押さえる男は、顔を近づけジロジロと股間を舐めるように見つめて言う。そして、サラの股間に浮かぶ微かな窪みに指を走らせた。
「や、やぁっ!!!」
股間からやって来るくすぐったいような、気持ちの悪いような感覚にも、サラは首を振って嫌がることぐらいしか出来ない。
「それなりに胸も膨らんでるってのに、下着もつけてないのか。こりゃ、犯してくれって言ってるようなもんだな。」
サラはTシャツの下には何も着けていなかった。普段会うのは仲間たちだけ。薄いシャツの下の身体が透けて見えようと気にすることなどなかったのだ。
男は透けて見えてしまっているサラの乳首の突起を摘む。
「ひぁっ!!」
サラは突然の刺激にビクッと跳ねた。
「ほらほら、気持ち良いだろ?」
「やっ!やだっ!!やめ、てぇぇっ!!」
男は乳首を摘んでサラの胸を上へ、左右へ、斜めへと引っ張る。そのたびにサラの胸は柔軟に形を変えた。
サラは快感を覚えることはなく、胸を無造作に引っ張られる痛みを覚えるだけだ。
「や…ぁぁ…くひぃっっ!!!」
サラの股間を弄っていた男は不意にその狙いを変え、スパッツの上からサラのアナルへと指を無理に埋め込んだ。
「なぁ…っ!!!なんで…そんなところ…っっ!!」
サラの乏しい性知識では、アナルを弄られるということが理解できない。胸を揉まれ、膣内にペニスを挿入され、子宮内に射精される。それがサラの考えの及ぶ全てだった。

サラにまたがる男は、乳首から手を離すと、今度は胸全体を押しつぶすように揉み始めた。
サラの年にしては多少大きな方であろうか。形のよい胸が男の指に潰され苦しげに形を変える。
「や…くぅ…っ……」
やはりサラは痛みを感じるだけだった。快感を感じることが出来るような状況では到底ない。
「へへ…柔らかくていい胸してるじゃねぇか。…よし!」
男は声を上げるとサラのシャツの胸を掴み、思い切り引っ張った。
「え…やぁぁっっ!!!」
男の手によってサラの胸をかろうじて隠していたシャツは引き裂かれ、サラの胸が曝け出される。
サラは恥ずかしさに顔を真っ赤にして叫んだ。男は満足そうに笑う。
改めて男はサラの胸に手を伸ばした。まるで乳搾りでもするかのように、根元を横から絞り上げる。
「いっ!!や…いた…っ」
先ほどよりも鈍く強い痛みにサラは呻いた。
しかし、そのまま男は胸を掴む手を上へと持ち上げる。サラの身体がほんの少しだけ地面から浮き上がった。
「やあああああああっっっ!!!!痛い!!!痛いぃぃっっ!!!!!!」
胸が根元からむしり取られる。サラは一瞬そう確信した。それほどのすさまじい痛みがサラを襲う。
もちろん、そう簡単に胸がむしり取られることなどあるはずもない。男がパッと手を離すとサラの身体はまた地面に着く。縦長に伸ばされていた胸が一度潰れ、少しプルプルと揺れた後、元の形に戻った。
「は……っ…!!はぁっ…!!」
あまりの痛みと衝撃に、サラは目をきつく閉じ、肩を大きく揺らしながら息をつく。やっとなんとか落ち着き、目を開けると男はズボンを開いていて、股間のそり立つペニスが目に入ってきた。
「ひ……っ…!!!」
サラは怯える。あれがペニスなのだ。今から自分の身体を貫くであろう物なのだ。
小さな子供の世話をしてその小さなペニスを見たことはあるが、子供のそれとは全く違う。子供のものはあんなに大きく赤黒くはなかったし、皮をかぶっていたはずだ。
男は腋から中央に寄せ集めるようにして、サラの胸でペニスを挟んだ。
「いっ!いや…やだっ!!!」
こんな男のペニスを胸で挟まされているなんて…。嫌だ。気持ちが悪い。じたばたと身体を揺するが、強引に寄せられた胸が痛むだけだった。
「ち、さすがに足りないな…」
男はサラの胸のサイズでは十分に快感を得られないと分かると、胸から手を離し、ペニスを乳首に直接擦りつける。
男の亀頭がサラの乳首を弾く。つられて胸も柔らかく揺れた。
「ひっ……」
敏感な性感帯に、男のペニスを擦り付けられるおぞましさに身体が震える。
男は左右の乳首を交互に何度も何度も擦り付けた。その度にサラは乳首から来るなんともいえない感触に顔をゆがめる
しばらくの間男はサラのその反応を楽しそうに見ていたが、やがてそれだけではこらえられなくなったのか、突然サラの胸の上に座りなおした。
「ぐぅっ……」
肺を圧迫されたサラが呻く。胸は男の体重で潰され、その開いた口には男のペニスが深く突き入れられた。
「んむっ!!!むぅぅぅっっっ!!!」
突然口の中にペニスが入り込んでくるという予期しない出来事にサラは一瞬頭の中が真っ白になる。一体何が起きているのかが理解できない。しかしすぐにやってくる独特の臭いが鼻を突き、ペニスの存在を認識させられてしまった。
「むぁっ!!むぁぁぁっっっ!!!」
男はサラの両手の後頭部を掴むと自分の股間に押し付けるかのように引き寄せる。男のペニスはサラの口を通り抜け、喉にまで達した。
「むぇぇぇっっ……うぁぇぇぇぇ……」
喉の奥まで入り込むペニスにサラは吐き気を催す。
「へへ……いいじゃねぇか」
男はサラの喉を犯すことに満足している様子だ。サラの頭を前後に動かしながら、サラの口を舌ペニスをしごかせる。
「ん……よし、行くぞ!全部飲めよ!」
そういった男はは思い切りサラの喉にペニスを押し込むと、その中に大量に精を放った。
「んぶっ!!!うむぉぉぉぉっっっ!!!!」
喉に流れ込んでくる精液、その未知なる液体の臭いや味にサラはむせ返る。今すぐにでも全て吐き出してやりたかったが、男のペニスが蓋をするかのように居座っていてそれも出来ない。
仕方なしにサラは精液をなんとか飲み込もうと試みる。しかし、なかなか上手くいかない。気持ち悪い。吐き気がする。全て飲み終えるまではゆうに一分以上の時間を要した。


男はサラの身体から離れる。しかしサラにはもう逃げようとする気力が残っていなかった。
(ジタバタしたところで、どうせ逃げられやしない…)
少しずつ、サラの心に諦めが蔓延し始める。穢されてしまった。男に胸を揉まれ、ペニスを加えさせられた。そして、口内に出された男の精液を自分は飲み干してしまったのだ。
(汚い…)
自分の身体が、存在すらもが酷く汚らわしいもののように思えてきた。
もう駄目だ。もう元の生活に戻るなんていう希望は残されていないのだと確信する。
男はサラの頭の上に立ち、かがみこむようにしてサラの顔を見つめた。逆さに見える男の顔はなんとも憎らしい。
「なぁ、どうだ?話す気になったか?話さないならこのまま続けさせてもらうけどな。」
男は笑みを隠しきれない様子だ。
サラは男の思い通りになるのが悔しくてたまらないが、どうしようもない。答えは決まっていた。サラは男から顔を背け、目を閉じる。
サラの無言の拒絶を理解した男は、サラの腋に腕を入れると、羽交い絞めのような形でサラを持ち上げた。
「あ…っ!!!」
男の背は高く、サラの足は地面に付かずブラブラと中に揺れている。
サラの尻には男のペニスの感触があった。今度こそ、自分は本当に犯されるのだ。サラはもう完全に諦めていた。
このまま、犯されつくして死ぬのだろう。自分に出来る最後の抵抗は、仲間のことを一言も話さずに死ぬことぐらいだ。
先ほどまでサラの足を押さえていた、もう一人の男が立ち上がる。サラを羽交い絞めにしている男と同じように反り上がったペニスを顕わにしていた。
男が一歩、また一歩と近づいてくる。その足音にあわせ、サラの心臓は胸を突き破りそうなほどに跳ねた。
処女を奪われると言うのはどれほどの痛みだろうか。哀しみだろうか。あるいは喪失感?着実に近づく悪夢にサラの心は捉えられていた。
男はサラのスパッツと下着を掴み、同時に引き裂く。サラの未開の割れ目が姿を現した。
「どうせ、大して濡れやしないんだから、愛撫なんて意味ないだろうな。」
男の言葉がどういう意味なのか、サラには十分に理解することは出来なかったが、すぐさま犯されるのだということは分かる。
サラの想像通りに、男はサラの秘所に手を触れることもせずにペニスをあてがった。
身体がガクガクと震える。抵抗をするべきなのかもしれなかったが、サラにはもうそんなことにすら考えが至らなかった。
(来る…!!)
迫り来る悪夢に大して出来る限りの抵抗をと、サラは身構える。歯を食いしばり、やってくるであろう痛みや哀しみに備えた。
「ひっ!!!!」
しかし、サラは完全に不意を突かれる。サラを羽交い絞めにしていた男がペニスをサラのアナルに押し当てると、一気に挿入したのだ。
「いっ!!!いああああああっっっっ!!!!」
全く意識していない方向からの責めに、サラは叫ぶ。アナルに入り込むペニスはどう考えても規格外で、サラのアナルを強引に押し広げた。
その痛みは想像を絶する。ほぐされてもいないのだ。アナルを裂かれたかと思えるほどの痛みだった。
「あがああああぁぁぁっ!!!ひぐっ!!いぎぃぃっ……く……あがっ!!!!」
サラがアナルを襲う痛みに苦しんでいる隙を衝き、もう一人の男のペニスがサラの膣内に入り込んだ。思い切りサラの処女膜を引き千切る。
「あぎぃぃぃっ!!!うぁぁっ!!!ひぃぃっっっ!!!!」
あまりの痛みに、処女喪失の哀しみを感じる余裕もなかったのはサラにとって不幸中の幸いだっただろうか。
サラの膣内からの出血が、押し込まれたペニスを赤く染める。
「あうっ!!!くはっ!!!ひぎっ!!!あがぁっ!!!!」
男達は交互にサラの身体を突き、その度にサラの苦しげな声が漏れた。
サラは痛みに耐えることで精一杯で、やめてくれと懇願することすらできない。ただサラの苦しみを示すように、涙が瞳から零れていくつかの筋を作った。
「おらっ!!そろそろいくぞっ!!!」
男達はピストンのスピードを上げる。射精が近づいていた。
「あぐっ!!!あっ!!!ぎっ!!!がぁっ!!!」
サラはその言葉にも反応できない。耳には入っているのだが、その意味を理解できなかった。
「はぐっ!!!いっ!!!ああぁっ!!!ふぐぅっ!!!……うあああああぁぁぁぁっ!!!!!」
男達が同時に奥までペニスを潜り込ませた時、二人の精液がサラの中へと放たれる。
精液が体内に放出された感覚に、サラは身体を大きく揺さぶった。
「ぁ……ぁぅ……ぅ……ぅああああああああああっっっ!!!!」
突然止んだ痛みに、現状を理解するだけの余裕が戻ってくると、サラは心を埋め尽くす絶望に嘆いた。処女を喪失したショックと、体内に射精されたショックが同時にやってくる。
「うぐっ!!!」
男はサラをそのまま放り投げた。地面に投げ捨てられたサラは哀しみの中で泣き叫ぶ。
「ぅあああああああっっっっ!!!!!ああああああああああっっっっ!!!!!」
サラの悲痛な叫びだけが響く牢屋の中、男達の目が怪しげに光った。まだ悪夢は終わらない。

「よお、そろそろ話す気になったか?」
男はサラを見下しながら訊ねた。
「ぁぐ……ぅぅぅっ…」
サラはまだあふれ出す涙と嗚咽を止められずにいる。男はそんなサラの髪をぐいと引っ張った。
「泣いてちゃ分かんないだろ。どうする?話さないなら、次はもっと酷い目に遭うことになるぞ?」
「ひっ!!!!」
サラはその言葉に全身を震わせながら怯える。目の前が真っ暗になってしまった。これ以上の陵辱を受けることなどサラには想像も出来ない。
それでも…。それでもサラは首を横に振った。自分のミスに仲間を巻き込むわけにはいかない。
男はその答えに、期待通りとばかりに笑みを浮かべる。
「よし。」
そして頷くと、扉の外に向かって話しかけた。
「あいつのところに連れて行ってもらいたいそうだ。準備は出来てるんだろ?」
扉が開くと、先程老人から命を受けた男が立っている。
「ああ、もう大丈夫だ。まだ吐かないのか。」
男は無表情に言う。その温度のない言葉にサラは寒気を思い出した。
身体は陵辱のせいで嫌に温まっているというのに、地面の冷たさは変わらない。身体の震えが止まらないのは寒さのせいなのか、恐怖のせいなのか、それともその両方か。
(あいつ…あいつって誰…?)
サラは疑問に思うが、それが誰であれサラにとってよい人物ではないのだろう。
おそらく、とても恐ろしい人物なのだ。そして、自分はその人物に犯されてしまうのだ。
サラは暗い想像にさらに震えを酷くする。

しかし、サラの想像は間違っていた。サラはどのような人物にも犯されることはなかったのだ。
サラとモニカが苦痛を味わっていた部屋よりもさらに何回も降りた地下。明かりすらもほとんど灯されていないような階層へとサラは連れてこられた。
そこにはまた牢屋があり、サラを連れてきた男はサラを中に放り込むと鍵を閉める。そこには既に人の影があった。
「…っ……」
その姿を見て、サラは言葉を失う。それはモニカだった。
ボロボロのマントのようになったローブを辛うじてまとうだけのその身体は、ローブ以上にボロボロだ。多少の治療は受けたのか血は止まっているものの、体中に無数の傷がついている。
股間からも血が流れ出しており、巨大な何かを無理やり挿入されたとしか思えなかった。
気を失っている。この小さな身体で、どれほどの陵辱を受けたのだろう。
これが自分が助けようとした少女の姿なのか。結局モニカを助けることも出来ず、逆に自分が捕まり仲間までも危機に追いやっている。自分の弱さにほとほとあきれ果てるばかりだ。
しかし、今のサラにはどうすることもできない。出来るのは、ひたすらに口をつぐむことだけだ。

ふと、部屋が震えた。ドン!ドン!という低い音が響く。
「何…?何なの…?」
この振動はどこからやってくるのか、不意に意識を向けたサラは後悔した。
それはサラたちが捕らえられた牢屋の壁を叩く音に違いない。何かがサラたちへと向かってきている。それを確かに感じた。得体の知れない恐怖にサラの心は縮み上がる。
壁を叩く何かの力は次第に強まり、硬い石の壁にヒビが入り始めた。
サラは必死で這い、壁から少しでも遠ざかろうとする。その頬が冷たい鉄格子に触れた次の瞬間、壁が大きな音を立てて崩れ落ちた。

サラは目を疑う。そこにいたのは巨大な魔族だった。
そのおぞましい身体にサラは本能的な恐怖を覚える。迫り来る死の恐怖だ。
魔族の身体はドロドロと溶け出しそうな赤黒い皮膚をしていた。サラの身体十人分はあろうかと言う本体から、無数の触手が伸びている。

「どうだ?話す気になったか?」
鉄格子の向こう側から男の声がした。サラをここに連れてきた男だ。
「こいつは昔捕らえられた魔族fs、魔族の生態を研究するためにここに入られていたんだ。大したことはわからなかったが。しかし、こいつを飼いならすことには成功した。今は我々に従順だ。だから、今こいつをどうにか利用してヴァイスを倒す方法を模索している。」
サラは怯えながら魔族を見上げる。身体の中心に大きな穴のように開いた目がサラ達をジロリと見つめていた。しかし、襲い掛かってはこない。命令を待っているのだろうか。
「だが、こいつ一匹ではどうしようもないのだ。数を増やしたいんだが、あいにく我々は魔族との契約を禁じている。だから、お前達に苗床になってもらおうと思っているわけだ。」
「苗…床……?」
サラはその言葉のショックに、呆然とする。
(苗床…それって…まさか…まさか……!!!)
「そう、苗床だ。お前達の胎内に卵を植え付け、孵化させる。そう時間はかからないらしい。便利で良い。」
男が非情にも軽い調子で話すその恐ろしい言葉にサラは取り乱した。
「や…やだっ!!!お願い!!!やめて!!!やだよっ!!!そんなの嫌あああっっ!!!」
床をのた打ち回りながら必死になって叫ぶ。喉が張り裂けそうなほどに。
「嫌なら、仲間の居場所を吐け。俺に言えるのはそれだけだ。そいつに命令を下すのは俺じゃない。俺に何を言われても仕様がない。」
「ぅぅぅっっっ………」
サラの心は大きくぐらついていた。こんな大きな魔族に卵を植え付けられる。その恐怖が仲間を思う気持ちを覆い隠そうとしていた。
それでも、サラは首を縦には振らない。目から大粒の涙を流しながらブンブンと首をがむしゃらに横に振った。
それを見た男は右手を軽く上げる。すると、いつの間にか男の後ろにいた男が一歩前に出た。潜んでいたのか、ただサラの目に入っていなかっただけなのか。
「やれ」
サラにも辛うじて聞き取れるほどの小さな呟き。それが悪夢の終わりの始まりだった。

伸びる触手に身を硬くするサラは、しかしやって来ない衝撃にソロソロと顔を上げる。
そこに映ったのは、触手に縛り上げられたモニカの姿だった。未だ意識を取り戻していないモニカの腕は巻きつく触手の間からダラリと垂れている。
触手はモニカの体中を這い回り、隙間がないほどに覆い隠す。そして、モニカの身体を締め上げた。
「…ぅぎっ!!!!ああああああああぁぁぁぁっっっ!!!!」
激痛に目を覚ましたモニカは何が起きているのかも分からないまま絶叫する。
モニカの意識が戻ったことを確認した魔族は締め付けを緩めた。
「あがっ…い…がぁ……」
一体何があったのか、瞬時には理解できていないモニカはぼんやりと周囲の様子を眺める。
そして、すぐに悟った。自分はこの巨大な魔族のヌメヌメした触手で犯され尽くすのだと。
モニカはもう諦めていた。叫ぶこともしない。これ以上の恐怖で壊れてしまわないように、心を閉ざした。
「おい!」
男の声が響く。
「一応お前にも言っておこうか。犯されるのが嫌なら、知っていることを全て吐け。もっとも、お前よりも重要な情報を持つ女が捕まったのだ。お前の情報などもうどうでもいいがな。」
そんな言葉も、心を閉ざしたモニカには聞こえない。
沈黙を拒否と理解した男はもう一度手を上げる。再び後ろの男が何かを呟くと、魔族が行動を再開した。

「ひぃぎいいぃぃっっ!!!!」
モニカを覆い尽くす自らの触手の隙間を縫い、二本の触手がモニカの乳首を捕らえ、先に生えた口で噛み付いた。
「あああぁぁっっっ!!!あぎぁぁぁぁっっっっ!!!」
もう既に傷だらけだった胸にさらに新たな傷が刻まれる。それはそれまでのものよりも深くモニカの幼い胸に食い込み、傷をつけた。
さらに触手は伸び、モニカの口を塞いだ。喉に入り込まれる触手の衝撃に、モニカの手足はピンと伸ばされ、その指が大きく開く。何かを掴もうとするかのように、もがいていた。
そして、触手はすぐさまモニカの下半身に伸びる。
おそらく、現在の彼らの真の目的はサラなのだろう。モニカへの陵辱はサラへの恐怖を煽るための意味しかないのだ。
その証拠に、モニカの膣とアナルへと伸びた触手はあまりにも非常識なものだった。
どう考えても普通の人間のペニスよりはるかに大きなサイズの触手が幾本も束になっている。
こんなものを挿入したなら、相手が魔法少女だろうがただの人間だろうが殆ど関係はない。すぐさま死んでしまうのではないか。
「んんんんんんんんんんっっっっっっっっ!!!!!!!!!!」
悲痛な叫びが響いた。触手がモニカの膣とアナルの両方に同時に入り込む。その数は三本ずつ。合計六本の触手がモニカを貫いていた。
「んぁぁああああああっっっっ!!!ぅぐううううぅぅぅぅっっっ!!!!ふむぅぅぅぅっっっ!!!!」
モニカの腹は触手に中から突かれ、大きく盛り上がってしまっていることが身体を覆う触手の上からでさえ分かった。
モニカの身体はガクガクと痙攣するかのように大きく震える。それが触手によって揺さぶられているのか、モニカが身体を揺らしているのかは分からない。

突然、モニカの膣内に挿入された三本の触手の根元が不自然に盛り上がる。そしてそれは触手の中を移動していった。
卵だ。身動きがとれず、目をそらすこともできずにいるサラはすぐにそれを察した。
モニカの子宮内に産卵しようとしているのだ。想像するだけでもおぞましい。
しかし、その想像は今目の前で繰り広げられ、モニカ次にはサラに対して行われるのだ。

卵は触手を通り抜け、モニカの子宮内に放たれる。
「ぅごぉぇぇっっ!!!」
触手の口から勢いをつけて飛び出た卵はモニカの子宮の内壁を打ち、衝撃にモニカは呻く。
「がぁぁっっ!!!うぎぃぃっっっ!!!」
続いて、二つの卵がモニカの子宮内に産み落とされた。
それだけでは終わらない。最初に卵を放った触手の根元にはまた卵のものと思われる膨らみがあった。
「ぁぐうぅぅぅっっ!!!!ぅごぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!」
最終的に、九つの卵がモニカの子宮の中に納まることになる。それはモニカの子宮を内側から酷く圧迫した。
「ふむぅぅぅぅっっ!!!!おごっ!!!えぇぇっ!!!んむぅぅっっ!!!」
触手はなおもモニカを犯し続ける。卵を損傷させないためか、膣内の触手の動きは比較的おとなしくなったものの、アナルを犯す触手はさらに激しく動き始めた。
アナルにさらなる触手が迫る。もう限界まで拡張されているはずだったアナルにさらに三本の触手が挿入された。
「むごぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!!」
モニカは喉を触手に犯されながら苦しげに雄たけびを上げた。
すでに括約筋は引き裂かれてしまっているのだろう。挿入された六本の触手はどれも別々のペースで動き続ける。

と、触手が急に動きを止めた。そして、モニカの身体に刺すように挿入された全ての触手の根元が膨れ上がる。
(あぁ……)
サラは絶望的な心の中で感じた。終わるのだ。この凄惨な陵辱が。そしてこの幼い少女の命が。
触手の中を走りぬけた精液は、ほぼ同時に全ての触手からモニカの中に注ぎ込まれた。
「むぐぉぉぉおおおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!!」
サラは何かが弾けてしまったのかと思った。モニカの体中を精液が満たす。
モニカの口からは精液が噴出していた。その勢いで喉を犯していた触手は抜け落ちる。
それは、喉を犯していた触手から放たれた精液だったのか、それともアナルを犯す触手から放たれた精液が上り詰めたものだったのか…。
それはすぐに明らかになる。噴出はなかなか止まらない。まるで奇妙な噴水がミルクを吐き出すかのようだ。これは明らかにアナルを犯す触手からのものだ。
膣内に挿入された触手も未だ精液を放ち続けていた。もちろん子宮はとうに限界まで膨らんでいて、注ぎ込むのと同等の精液が触手の隙間から流れ出ていた。

魔族はモニカの身体を投げ出す。
「ぅぐ…っ…」
地面に叩きつけられたモニカは小さく呻くが、それはただ肺が圧迫されて空気が漏れただけのようにも聞こえた。
モニカは苦しげに咳をする。その度に喉から精液が飛び散った。アナルと膣からは滝のように精液が流れ出している。
しかし、膣からの精液の流れは止まったというのに、モニカの腹は異常に膨らんだままだ。それどころか、逆に膨らみ続けているようにさえ見える。
モニカの子宮内の卵は魔族が放った精液を吸収し、膨張していた。ただの球体だったものが、次第に形を成し始める。
「ああああああああああっっ!!!!ぎぁあああああああっっっっ!!!!」
モニカは突然叫び始めた。モニカの子宮内で命を得た魔族が子宮から抜け出そうとしているのだ。胎内で大きく育った魔族は、モニカの子宮口から出てくるにはあまりにも大きすぎた。
「いやああぁぁぁっっっっ!!!いたいっっ!!!!!死んじゃう!!!しんじゃうよぉぉっっ!!!!」
これまで心を閉ざしてきたモニカも、あまりの苦しみと痛みに耐え切れなくなっていた。
女性がいつしか経験する出産の痛みとは比較にならないであろう程の激痛。しかも、魔族を出産すると言うおぞましさ。それはモニカの閉じた心さえもこじ開けた。
「やだぁぁっっ!!!!なんでわたし…こんな目にぃぃっ!!!!もぅやだよぉっ!!!!」
こじ開けられたモニカの心からは、溜め込まれた苦しみがあふれ出す。それは陵辱によるものだけではないのだろう。
サラはその悲痛な叫びに心がギリギリと締め付けられた。自分がもっとうまくやっていれば、この子を助け出せたのかもしれないと思うと、自分が憎くてたまらなかった。
「いぎぃぃああああああああああああああああっっっっっ!!!!」
一際大きな叫びが響き渡った。六体の生まれたての魔族がモニカの子宮口を裂き、飛び出したのだ。
「ぁぁぁ……わたし……うんじゃった…魔物を……」
モニカの目はもう何も見ていなかった。心がガタガタと崩れていく。心が、視界が絶望で真っ黒に覆われ、何も見ることが出来ない。
モニカはまだ生きていたが、心はもうすでに息絶えていた。そんなモニカが産み落とした魔族たちはのそのその地面を這っている。
丸く赤黒い体から、親と同じ小さな触手をいくつも自在に出し入れが出来るようだった。
彼らはモニカの股間の下に広がる精液と血液の海に身を浸し、再びモニカの股間に接近する。
そして小さな触手を伸ばし、モニカの膣内に挿入した。それはあまりに小さく細いものだったが、六体分全ての触手はかなりの量になった。
モニカが声を漏らすことはもう無く、身体だけが生理反応としてビクリと跳ねた。
彼らはモニカの身体に残るわずかな魔力すらも搾取し尽くそうとしているのだ。モニカの身体から魔力が奪われていく。
それにつれて、少しずつ魔族たちの身体は大きくなった。そして、モニカはついに全く動かなくなる。ついにその短い人生の終わりを迎えたのだ。


サラはその場に張り付けられていた。目の前で繰り広げられた地獄の光景に衝撃を受け、身体が言うことをきかない。
「どうだ?」
男の声が響く。
大して大きな声ではなかった。それなのに、サラは怒鳴りつけられたかのように飛び上がる。
「こんな目に遭うと分かっていても、まだ何も話さないか?言っておくが、これはただのデモンストレーションだ。お前への行為はこんなものじゃ済まないぞ。」
サラは耳を疑った。
「…ぅ…ぅそ……だって…あんなひどい……あれ…より……?」
サラは上手く口を動かすことができずに、たどたどしく呟く。
「当たり前だ。こんなに簡単に殺すわけが無いだろう。六体程度じゃ数が足りない。二十体は欲しいところだな。簡単に死なないように傷も塞いで魔力も補充してやる。せいぜい沢山産んでくれよ。」
「ぃ…や……嫌ああああああああああああああっっっっっ!!!!」
ダムが決壊したかのようにサラは叫びだした。
「嫌っ!!!!お願い!!やめて!!助けて!!!!」
サラはプライドもなにもかもかなぐり捨てて請う。
「それなら方法はひとつだ。仲間の居場所を吐け。それでいい。」
「ぁ…ぅ…」
それでも躊躇うサラに、男は追い討ちをかけた。また手を軽く上げると、後ろの男が何かを呟く。
「ひっ!!!いやああああぁぁっっ!!!!」
魔族にサラを襲うよう命令を下したのだと思ったサラは叫んだ。しかし、魔族が襲い掛かる様子は無い。
男はサラに向かって、人差し指一本を立てた手を突き出した。
「一分だ。一分だけ猶予をやろう。それまでに仲間の居場所を言え。そいつには一分後にお前を襲うように命令した。命令を撤回してやらないと、お前は自動的に犯されることになる。」
「い…一分…」
それはあまりにも短いタイムリミットだ。男が話しただけでもう十秒以上経過しているはずだった。
「うぅ……」
サラは悩みに悩みぬいた。しかし、時間はもう無い。仲間を守りたい気持ちは確かに大きかった。だがそれを遥かに上回る恐怖がサラの心を真っ二つに折る。
「わかった!!!言う!!!言います!!!」
サラは悔しさと悲しさと情けなさに涙を零しながら叫んだ。
「森の中!!ここと、ここからずっと東の池の間に広がる森の中!!探せばすぐ見つかる!!!」
喉がヒリヒリと痛むほどに叫んでしまった後になって、サラの中には後悔が津波のように襲ってくる。自分は一体何をしてしまったのか…。仲間を売って、自分の身を守ったのだ。
「ふむ…あと20秒か。意外に早かったな。」
男は呟く。
「よし、それじゃあ止めてやろう。」
そして男はまた手を小さく上げる。しかし、後ろにいたはずの男の姿が見えない。
「おや?いないのか?」
サラの顔からサッと血の気がひいた。
(まさか……嘘でしょ……?)
「仕方が無いな、探してきてやろう。ちょっと待っていろ。」
白々しく言うと、男は背を向け歩き出す。
「嫌ぁあああああっっっっ!!!嘘っ!!!!私言ったでしょ!!?助けて!!!助けてええっっ!!!!」
サラはがむしゃらに叫ぶ。食い込むほどに鉄格子に顔を押し付けながら叫んだ。
部屋を出る直前、男は振り返る。
「せめてもの情けに、すぐに死なせてやろう。そこに転がっているやつと同じ程度で死ねるはずだ。」
そういうと男は再び振り返り、そのまま姿を消した。サラの叫び声だけが響く部屋に、重い扉が閉まる音が響く。

呆然と閉じた扉を見つめるサラの後ろで、魔族が蠢く音が聞こえた。
「ひっ!!!!」
気がつくと、サラは全身を触手に絡め取られている。すぐに触手はサラの股間に狙いを定めた。
「いや……お願い……お願いだから…」
弱々しい声で懇願するサラの言葉は魔族には通じるはずも無い。
モニカのときよりも多い、合計十本の触手がサラ目掛けて放たれた。
「ぎゃああああああああああああああああああっっっっっ!!!!!」


男は聞こえた凄まじい悲鳴に一瞬歩を止めて振り返る。
「ぃぎゃぁぁぁぁっっ!!!ひぃぎぃぃぃぃっっっ!!!!」
扉の向こうからはサラの悲痛な叫びが絶え間なく聞こえる。サラはこれからモニカと全く同じ道を辿るのだ。
男は扉から目を離すと、すぐさままた歩き出した。闇魔法族の生き残り。それを始末しなければならない。
サラの雄叫びが微かに聞こえる階段を昇っていく。昇りきった頃にはもう何も聞こえなくなっていた。


魔法界に駆けつけた杏達は、城の警戒態勢に足を止められていた。
闇魔法族が城の中に侵入したという。急ぎモニカを探そうとするものの、すぐに兵に見つかり邪魔をされた。
なんとかモニカが地下に捕らわれていることを聞き出すと、一目散にそこへ向かう。しかし、そこで見たのは凄惨な光景だった。
精液の海に沈むモニカ。そしてその隣に横たわり、何体もの小さな魔族に体中を蹂躙される見知らぬ少女。
間に合わなかった。そのことに絶望した杏達は一様に呆然と立ち尽くす。


サラは薄れゆく意識の中で、扉が開かれた音が聞こえたように感じた。
しかし、もうサラには関係の無いことだ。十四体。サラが産まされた魔族の数だ。
(二十って言ってたなぁ…あの子が産んだ六とあわせて二十か。はは、ちょうどだ…)
ぼんやりとそんなことを考えながら、サラの意識は闇に溶けた。