「だから少尉、ムサシ、カオン只今帰還しました」
魔法省外敵対策部魔法課第六機動隊を率いる高島だからは大気に蔓延る魔力を体内に吸引できる
エンジェリックカースと呼ばれる心肺器官を持つ杞憂な存在。なかでも同じエンジェ
リック達と比較しても類を見ないような即胎蓄積力が認められたので10才にして特SSSランクまで上り詰めて
しまった天才魔法少女だった。そして18才になった今は新しい魔法少女を養成する為の教官を最年少の
赴任記録を塗り替えると同時に着手していた。
「おかえりなさい、おふたりとも」
ムサシとカオンは魔法官試験を3回落ちているので二人とも二十を越えていた。幼い少女の顔をした教官に
最初は戸惑いと疑念から教えを聞かない事も多々あったのだがあの事件の際、
魔法省最高権力者・最上魔法法皇をもはるかに越えただからの特SSSS+級オーバーの魔力を見てしまって
からはまるで借りてきた猫のように従順に変わってしまったのだ。無理もない話だ。
「今日の成果です」
背負ったカバンをだからのデスクの上に乗せると、二人は中から手の平サイズにあたる透明な結晶体を
机いっぱいに広げた。だからは手に取って背中の窓ガラスに結晶体をかざしながら夕日の光で真偽を確かめた。
「よくやったわ、これで全部かしらね」
「いえ・・・」
「?」
「まだ満月城のダルコバ神殿のぶんが未回収です・・」
「ダルコバ・・、あそこは誰が城主だったしら・・」
「ま、まさか・・」
年上の訓練生がたまらずハンカチで顔を拭う。
「はい、だから少尉の旧友であり同僚、アネスト・ミランダ少尉の管轄であります」
「ミランダ・・」