うちの姪は魔法少女である。
 である、と言うと堅苦しい気がしないでもないが、
 「です」や「だ」よりもしっくり来るのであえてそう言っておく。
 うちの姪は魔法少女である。
 もう一度言っておく。
 同じことを繰り返し言うのは、自分を含め、ヒトを納得させるための方法と言われる。
 そう。その通り。
 ちゃんと呪文を言って変身するし、決めポーズはあるし、定番の決めゼリフもある。
 戦っているらしい相手もいるし(オレら普通の人間には見えないらしい)、
 苦戦したときはちょっぴりケガして帰ってくることもある。
 うちの姪は魔法少女……なのだが、
 正直言って、「なんで?」という疑問を抱かずにはいられない。


 姪についてのことを話しておこうか。
 姪の父である兄貴はロリコンである。
 奥さんは同い年なのではあるが、身長は150センチ無い。
 兄貴が海外にいるときに出会い、結婚したそうだ。
 姿は写真、声は電話でしか見たことも聞いたことも無い。
 ま、興味も無いが。オレはふくよかな女性をこよなく愛している。
 但し、FATな女は嫌いだ。
 うちの家にいる経緯も複雑だ。
 現在オレはその姪っ子と二人暮らし。
 両親である兄貴と義姉はというと……離婚協議中だったりする。
 まぁ、離婚はしないと思うがね。
 何しろ、この子が生まれる前から協議中だからな。
 姪っ子は今年12歳になるから、もう15年近く協議中ということになる。
 泣きたくなるような本当の話だ。
 兄貴は学者ロードを歩んでいるので、教授になるまでは金無しだ。
 義姉はその兄貴の僅かな食い扶持に縋って生き延びているタフな女性。
 別れればいいのにと思うのだが、何故か別れない。
 兄貴は兄貴で、義姉に別れてくれと言っているらしいが、
 「イヤだ付いてく」と言われると断らないらしい。
 ……断れよ!
 こんなワケのわからん両親のもとではまともに育たん!
 と強権を発したのが、うちの親父とお袋だ。
 ロクに稼げない兄貴夫婦に多額の資金援助をしてきた過去がある上に、
 この現状なので、兄貴も義姉も文句は言えなかったと見える。
 幼い姪っ子は無事祖父母に育てられましたとさ。


 ……っと、ここまでが、あらましだ。
 孫をかわいがりまくりながら育てた親父とお袋だったが、
 去年お袋が体を壊してからは、どうもいけない。
 元々面倒そのものはお袋が見ていたから、男の親父中心では、手に余るのは火を見るよりも明らかだった。
 頑固なくせに孫には超アマアマだからな。
 心配したお袋が、今後どうしようかと考えた挙句、オレにお鉢が回ってきたというわけだ。
 兄貴か義姉が引き取るという案もあったが、親父は二人の行動にブチ切れ寸前であり、
 「離婚を成立させるか和解するかはっきりせんうちに帰ること罷りならん!」
 が口癖のようになっていたからたぶんどちらが帰ってきても、今の状態では引き取りは許可されなかっただろう。
 その次の候補は、兄貴とオレの真中にいる姉だったが、
 既に結婚して自分の子供がいる上に、夫が大の子供嫌いで、
 姉がムリして(つか、騙して)作ったので、探りを入れたら速攻で断られたそうだ。まぁそうだろうなぁ。
 オレは兄貴と余り仲はよくないし、義姉に関しては知らない人同然だから、
 オレが引き取った後もほとんど連絡を取ったことがない。
 一度義姉から電話があったが、要領を得ない話だったので、
 親父かお袋を通してくださいと言って切るとその後何もなし。
 わけわからん。
 ただ、確かにこの夫婦じゃあまともな子育ては出来んわ、と思う。


 幸いだったのは、何度か帰省した折に姪っ子と遊ぶことも多かったせいか、すぐにオレに慣れたことかな。
 さすがに最初は友達と離れてしまったのを寂しがっていたが。
 今では、めんどくさがり屋なオレの生活を、よく我慢して手伝ってくれている。
 姪の学費や生活費などは親父とお袋がかなりの金額を出し、
 そこに兄貴夫婦・姉夫婦・オレの寄付金が少しだけ含まれている。
 親父によると兄貴夫婦の出している金額とオレの出した金額は大差ないらしい。
 どれだけ貧乏なんだよ兄貴……。
 去年、小学5年で転校してこっちにやってきて、今年6年になった。
 ランドセルはもちろん既に卒業済みで、小学生にありがちな、ちょっと背伸びしがちなお年頃だ。
 基本的に親父達と違って放任主義だから、関与しすぎをしないところも気に入られているのかもしれない。
 オレもそういう関係でいいと思っているし、困ったときは力になってやるつもりだ。
 そんな付かず離れずの関係で姪を見つづけてきて、彼女のことも理解できているつもりではいた。
 ただ――、魔法少女であることを除いて。

 さすがにこればっかりはわかんねえ。


 おかしいな、と思い始めたのは、6月に同居するようになり、
 ようやく落ち着いてきたかと思い始めた10月頃。
 夜中に突然服を着替えて出て行ったり、学校からの帰りが遅かったり、
 あるいは、一応連絡はあるものの急な外泊をするようになった。
 新しい友達と新しい関係を築く努力をしているのだろうと良心的に受け止めていたが、
 もちろん心配もあってよくよく注意して見ると、
 どうも擦り傷や持ち物の破損などが度々見受けられたので、
 事件かイジメなどに遭っているんじゃないかと結論づけ、
 冬休み前にかなりキツイ口調で問い質してみた。
 何か困ったことが起きているなら、オレに言えと。
 オレとおまえは親子じゃないが、一緒に暮らしている以上は親子と同じだ。
 言いたくないことは言わなくてもいいが、オレが納得できる理由が無ければ勝手は許さんと。
 そうしたら……変身したんだよ。目の前で。
 思わずムンク状態になったさ。
 10歳のガキんちょが、変身したらかわいこちゃんになったよ。
 中高生ぐらいの。5歳ぐらい成長した感じ。
 格好はあれだ、よくあるファンタジーっぽい鎧みたいなのを着てる。
 但し、露出度は低めで二の腕や太ももはチラリ程度。その分なぜか背中は丸見えだったが。
 姪も姪でオレに疑われていることにうすうす感じていたらしく、
 問いただされたら正直に答える、とソッチの方面に説明していたらしい。


 変身する前の名前は東堂香奈子なんだけど、変身した後の名前は
 「まじかるウィッチ」というらしい。
 平仮名と片仮名が混じるので正しいそうだ。
 まじかる…魔法の、ウィッチ…魔女。まじかるウィッチ…魔法の魔女? んなアホな。
 一応マスコットキャラみたいなのもいるようだが(姪によると監視も兼ねてるんじゃないかとも)、オレには見えない。
 ただ、触られてるのは何となくわかるので、イヤな感じだ。
 結論としては、姪が魔法少女であることを黙認すること、
 その存在を他人に漏らさないこと、
 また敵についての情報も一切口にしないこと、
 の三つを条件を守ることで、秘密共有が許可された。
 それでオレの生活が変わるわけじゃないけど。
 ただ、それから確実に姪っ子の行動は変わった。
 オレに隠す必要が無いからか、
 変身(呪文というか、一瞬だけ言うセリフはマジカルコンヴァージョン……らしい。魔法の変換?)は家でやっていく始末。
 なんかくそでかい羽を生やして飛んでいく。
 戻るときはたいていテレポート。
 変身時にドアを開けて帰ってくることはない。
 変身解除(呪文はアジャスト。
 なんで呪文系は英語なんだろうな)も同じくうちで済ませる。


 そこで話を今に戻そう。

 オレと姪が住んでいるのは、普通のアパートだ。マンションでも文化住宅でもない。
 玄関のドアを開ければ、視界に入るのは一部屋だけ。
 一応台所と居間の間に戸があるといえばあるが、もうずっと開けっ放しなので無きに等しい。
 なので、当然ここで変身やら変身解除やらすれば、オレの目にイヤでも入ってくる。
 子供の姿のときはまだいい。姪っ子だし、肉親だからという自制がまだ働く。
 だが、中高生バージョンはマズイ。
 背はずいぶんと伸びちゃってるし、脚もスラリと綺麗なおみ足に育ってて、
 おまけに胸はボインだし腰はくびれてるし、なにより幼い表情がまったく失せてしまっているのには参った。
 変身後の姿は露出度が低いとは言っても、変身中や解除中は裸同然だ。
 変身のしかたはキューティーハニーのそれに似ていて、着ている服が一度全部脱げて全裸になったあと、
 マジカルコスチュームが急に現れるという感じだ。
 姪の説明では、着ていた服をコスチュームに変換し、その間は裸に見える、ということだ。
 ちびっ子バージョンは一応恥ずかしそうにするし、オレも十分理性が働く上、
 オレが兄貴と違ってロリコンではないので興奮することはないのだが……。
 中高生バージョンはアレだ。ヤヴァイ。
 どれぐらいヤヴァイかというと……。

 今オレのちんぽをしゃぶってるほど、ヤヴァイ。


「ねーねーねーねーねー」
「なんだよ」
「きもちいい?」
「……」
 まじかるウィッチの頭に手をかけ、そのまま引き寄せる。
 自然、ウィッチの喉奥にオレの一物が突っ込まれることに。
「んん!」
 苦しげな息が漏れる。
 だが、けして彼女は噛んだりはしない。息が苦しくなることそのものを、「歓んで」いるらしい。
 ポニーテールの後ろを乱暴に掴むことも、彼女にとっては一種の快感だった。
 いわゆるイラマチオ――無理矢理観の強い口交も、彼女が最も好むところなのだ。
 数秒間彼女の頭を寄せて、また離してやる。
「ぷはッ……!」
 粘液を引いて、彼女の口が離れる。
「……気持ちよくないわけないだろ」
「はー、はー、……そ、そう?」
 嬉しそうに、にまーっとする。
 その上ずった目が、妖艶だ。かわいらしい、を通り越しすぎる。
 奥に突っ込ませている間に、彼女が何をできるわけでもない。
 ただ、官能の色を湛えた嗚咽に咽ぶのが精一杯だ。
 もちろん、舌を使ってくれてはいるが、苦しさのほうが前に出てしまい、動きはストップする。
 だが、それ以上に、彼女の表情は堪らない。
 扇情。
 エロティシズム。
 この上なく、いやらしく、淫らなカオ。
 彼女はキス魔のように熱い肉棒に口付けをする。
 竿のてっぺんから、カリも、裏筋も、横も、袋も。
 彼女がここまでお口が好きだとは思わなかったが、
 しかし好きなことはオレにとっても好都合だった。
 何しろ、やはりたとえ今は「まじかるウィッチ」でも、元はオレの姪っ子なのだ。
 全然そうは見えないが。いや確かに面影はあるが。でも性格がかなり違ってるし。あ、声は似てるか。
 いや、とにかく。
 自分のモノを彼女に挿れる、ということには抵抗がある。
 といっても、彼女にはそれがぜんぜん無いらしく、しょっちゅうねだられるが。
 一応最後の線だけは守っているものの、いつまで持つかはわからない。
 何せ、気持ちいいからなぁ。


 オレの膝に手をかけ、頭を使ってのフェラチオを試みるウィッチ。
「あー、ん!」
 遊ぶかのようなかけ声で、オレのものにしゃぶりつく。
「ん、ん、」
 一心不乱だ。
「れろ〜れろ〜」
 いちいち舐めてるのを声に出さなくてもいいっての。
 性衝動を最初に誘ったのは彼女のほうだ。
 どうも大きくなるにつれソッチ方面の好奇心が伸びたらしく、
 「セックスは気持ちいいってホント?」とか「フェラチオってなに?」とか、
 「アナルセックスっていい?」とかを帰宅後に聞き始めた。
 変身前は、もちろんそんな話題はしないし、興味もなさそうなんだが……。
 つうか、監視役もいるなら止めろよ。
 インターネットで画像や動画も見たらしく、セックスに関してはうるさいっていうぐらいになった頃、
 「オレとおまえでセックスはできん!」と言うと、じゃあ「フェラチオってのは?」ってことになり、
 「そりゃまぁできるけど」の失言で堕ちてしまった。
 叔父と姪という近親相姦の背徳感と、親の欲目ではないが、
 魔法少女に選ばれるぐらいの可愛らしさを持つ香奈子を相手にすると、やはり一物の滾りは抑えきれないわけで。
 最初はおそるおそるだったものの、今では眠ってる最中でも舐め回すぐらいになってしまった。
 相当の好き者らしいが、これは一体誰に似たものやら。
 おまけに相変わらずネットで国内・海外のAVやらを見ているせいか、腕前もあげてきやがる。
「ん〜、ぷっ。ぷちゅ、ぷちゅ」
 口をすぼませ、わざと音を出して耳を刺激する。
 その後ゆっくりと咥えこみ、喉奥で感じるかのようにためる。
 このとき奥のほうへ突いてやると、苦しそうに「んぐ」とうめくのだが、それがまた、いい。


「今日もノドの奥に出してやるからな」
 軽く引いて、彼女の口を離す。
「っふぅ……。
 う、うん、いっぱい出してね。ぜーんぶ、飲んであげるから」
「顔にも塗りたくってやるから、全部はムリだな」
「あそっかぁ」
「おまえ、ほんと飲むの好きだなぁ」
「えへへ……。
 だって、雅樹、そのほうが嬉しそうなんだもん」
 雅樹、とはオレのことだ。お兄ちゃん……は正直こそばゆいし、
 おじさん……はショッキングだし、苗字は一緒だし、となると、
 あとは名前しかない。雅樹さん……はいくらなんでも他人行儀すぎだしな。
「じゃあ、そろそろ出すとしようかな」
 はい、と彼女の前に改めてさらけだす。
 あーん、と彼女は頬張り、それを受けてオレは彼女の頭を動かし始めた。
 彼女は能動的なフェラチオも好きだが、やっぱり、イラマチオのほうがいいらしい。
 オレも楽といえば楽だしね。
 じゅぷじゅぽと唾液の音を立てながら、オレは自分のものを突き入れる。
 彼女の全体――コスチュームを身にまとい、正義を守り悪を砕く
 魔法少女である彼女自身――を思いっきりオレの所有物にしている感覚が、昂揚にも一役買う。
「そろそろいくぞ、いいか?」
「うん、うん、」
 頭を動かす速度を早め、引き寄せると同時に腰を突き出す。
「お」とも「う」ともつかぬ喘ぎがリズムを早めながら定期的に鳴って。
「よし、飲めよ!」
 ぶるる。
 腰を震わせ、そのまま喉奥で射精する。
 びゅ。びゅ。びゅ。
「んんん〜〜〜〜〜〜!」
 涙目で、彼女はオレの吐き出す精液をすべて受け止めた。
 びゅ。びゅるる。びゅる。
「ん、ん、んむ、ん、んん」
 彼女は必死で空気の通り道を作り、鼻腔を楽にすべく喉と舌を絶妙に動かしていく。
「ンフー、ンフー、」
 ようやくまともに息が通ったらしい。激しく、そして大きな鼻息。
 ごくり。
 彼女の喉が鳴る。