「先生がまさかアンバームーンだったなんてね」
「俺らに偉そうなことを言っておきながら裏で泥棒してたんでしょ?」
「おまけにこんな大勢の前でエロい姿晒しちゃってさぁ」

自らの欲望を吐き出し終えた警察官達が観客席へと戻った後の
野外ライブスペース「アメジスト」のステージでは、
若い男達が一人の女性を取り囲んで罵りの言葉をかけていた。
女性にかける言葉の辛辣さに比べ、顔立ちにはまだどこか
幼さが感じられ、そのギャップが会場の混沌ぶりに拍車をかけている。
それもそのはず、彼らは制服を脱ぎ捨てたラフな私服姿ではあるものの、
れっきとした名門私立アイオライト学園の生徒達なのである。
そして彼らが取り囲んでいる、床に座り込み震えている女性こそが
そのクラスの担任教師、怪盗アンバームーンこと宝月香織その人なのだった。

「はぅッ……違う、違うの……私は、あふぅッ……みんなを守りたくて……」

弱々しく床に座り込みながらも必死に誤解を解こうとする香織。
美しい眉を寄せたその顔は紅潮し、玉のような脂汗が浮かんでいる。
それもそのはず、先ほどの警察官相手には奉仕するだけ奉仕して
結局自分自身は達することができなかったのだ。
依然として媚薬の刺激が下半身を苛み続けており、高められた性欲は
空気を入れ続けられる風船のように膨らみ破裂寸前になっている。

これが飯綱父子による責めだけであれば、とうに色欲に屈服して
卑猥な言葉を吐きながら彼らのモノにむしゃぶりついていたことだろう。
それをなんとか理性にしがみつかせたのは、これまで教師として
学校で築いてきた愛弟子との絆に他ならない。
だがそれすらも狡猾な飯綱父子の計算の内であった。
簡単に快楽に堕ちた者は、また簡単に希望を見出し快楽から脱却する。
堕ちたかに見えたところで、自分達ではなく警察官や愛弟子に責めさせることで
理性を呼び覚まし、そしてさらなる深い絶望と快楽を与え続ける。
これを悪魔の所業と言わずして何と言えばよいのか。

簡単に堕ちることを許されず理性と本能の狭間で揺れ動き続ける苦しみに、
それでも香織は抗い続けようとした。
しかし、体の疼きに必死で堪えながらの弁明も、瘴気に狂った
生徒達の目には、艶っぽくしなを作り牡の本能を刺激する姿としか映らない。

「じゃあ先生、俺達に性教育をしてくれよ」
「……ッ!? な、何を言ってるんですか……」
「だってさ、さっき警察官の人たちにはやってたじゃないか。
 それで俺達には出来ないってのはサベツだよな」
「うっ、く……そ、それは……」

あまりに身勝手な牡の論理。
それを吐いているのが愛する生徒だという事実が、また香織の心を深く抉る。
授業態度は不真面目ながら、「俺、絵が好きなんだ」と目を輝かせながら
言って描きかけのキャンバスを見せてくれた美術部の二宮が。
試合でミスをして、それでも女性である自分に涙を見せまいと必死で
顔を拭って笑顔を見せてくれたサッカー部の後藤が。
今や欲情を剥き出しにした獣となって自らの前に立っている。

「……そんなこと……できるわけ……はぅッ、んぅ……」

学校での大切な思い出が頭を巡る一方で、そんな彼らにさえ「男」を感じ
正直に反応してしまう自分の浅ましさに気づき、香織は打ちのめされた。
その時、様子を下卑た笑みを浮かべながら見ていた剛蔵が香織に近づくと、
しゃがみ込んでそっと耳打ちした。

「ふふ……楽しんでおるようじゃのう、アンバームーン」
「た、楽しんでなんか……んんッ……いるわけないでしょう……」
「そうかそうか、それではもっと楽しんでもらわないとの」

含みを持たせた言葉を言い残し、剛蔵は立ち上がると指をパチンと鳴らす。
その瞬間、香織を取り囲んでいた生徒達の体がビクンと跳ねた。
ビデオデッキの一時停止ボタンを押したかのように彼らの体は動きを止め、
表情の失われた顔は虚空を見つめている。

「か、彼らに何をしたの!? 手を出したらただじゃおきませんから!!」
「なに、いたいけな青少年に大したことはしておらんよ。
 ただ、1時間以内に射精しないと死ぬってだけじゃ」
「なッ、し……死ぬ!? ……それに、その、しゃ、射精って……」

とんでもないことをあまりにさらりと言ってのけた剛蔵に対し、
香織の顔からはみるみる血の気が引いていった。

「ほら、ぼーっとしておっていいのかのう?
 大事な生徒を守りたいなら、さっさと奉仕して射精させてやらんとの」
「うっ……く……」

剛蔵は香織の肩をポンッと叩くと立ち上がり、再び指を鳴らした。
再生ボタン代わりのそれを合図に、生徒達の体に動きが戻る。

「さあ、先生、俺達にも奉仕してくれよ」
「あふぅッ……ん、んくぅ、い……いいですよ……」
「……え? え?」

羞恥心と愛弟子の命を天秤にかけ、苦汁の決断ながら腹をくくる。
男子生徒の数は1,2,3,4,……5人。
1時間というタイムリミットはその気になれば決して短いものではない。
あとは自分がその気になれるかどうか、その一点に彼らの命はかかっている。
意を決した香織は唇をキュッと噛むと、生徒達の顔を見上げた。
その決意に満ちた表情は皮肉にもあまりに色っぽく、思わず生徒達はたじろいだ。
無理もない。
強気な言葉を吐いてはいても、所詮性的経験に乏しい男子高校生達である。
瘴気による感情の麻痺と集団であることの強みを取り除いてしまえば、
そこにあるのは不安と臆病。
紺の手袋に覆われた香織の滑らかな手が股間にあてがわれただけで、
男子生徒の体を緊張と困惑が支配していくのがわかる。

「……ん、はぅくッ……さ、さぁ……脱いで…はうんッ…ください……」
「ちょ、ちょっと、先生……マジでいいのかよ……?」

いつしか立場は逆転し、積極的に迫る教師と誘惑に戸惑う男子生徒達。
いや、彼らだけではなく、観客席で傍観している男達も同様に戸惑っていた。

「お、おい……今まで嫌がっていたのに、なんだあの変わり様は?」
「アレだろ、所詮好き者だったってことだろう」
「見てみろよ、子供っぽいようで、なんかすげえ色っぽいぜ?」

ザワザワとどよめく観客達を尻目に、女教師は教え子の股間に縋り付いている。
その様子を見て剛蔵は密かにほくそ笑んだ。
それまで性欲の炎に身を焦がされながらも、生徒達との密事という
越えてはならない一線に二の足を踏んでいたアンバームーン。
それが「生徒達の命を救う」という大義名分を与えてやっただけで、
これほどまでに蠱惑的な表情を見せるとは。
思えば、この1時間という絶妙なタイムリミットがミソなのだ。
これが短すぎれば、生徒達の命を救わんがため必死になり過ぎてしまい、
ショーとしてははなはだ興醒めだったろう。
とは言え逡巡している暇を与えるだけの余裕を与えてもまた興醒めである。
思いのほか面白くなった見世物に、剛蔵は今度は邪悪な笑みを隠すことなく浮かべた。

ステージ上ではカチャカチャとベルトを外す音が響き、
一人、また一人と男子生徒のズボンが取り払われていく。
現われた黒のボクサーパンツの上から、香織の唇が生徒のモノに触れる。

「ふむっ、おむ……ふあッ……んふぅ……」
「せ、先生……すげえエロい顔してる……」
「お、俺のも、その、触ってくれよ……」

辛抱しきれなくなった周囲の男子生徒がチェック柄のトランクスを下ろし、
剥き出しになった怒張に香織の右手をあてがう。
それを見ていた別の男子生徒も促されるままに青い縞柄のトランクスを下ろして
同じように香織の左手を自らのモノにそっと誘う。
それまで舐められるがままだった生徒もボクサーパンツをおずおずと下ろすと、
力強く天を指した肉棒が香織の口に吸い込まれた。

「んむぅ……あっ、んん、んうぅ……んちゅ……」
「うっ……せ、先生、気持ちいいよ……」
「お、俺も……先生うまいんだな……」

そこにはもう、教師と生徒の姿など微塵もなくなっていた。
ただ、牡と牝の交わりがあるだけだった。
香織は生徒の肉棒を一心不乱に唇で舐め、しゃぶり、両手でしごく。
愛撫を受けている生徒達もようやく落ち着いたのか、空いている手で
女教師の微かな乳房を弄び、背中を摩り、髪を撫でる。
手持ち無沙汰となった他の二人もその光景を見ながら自慰を始めた。

「ねえ、先生の乳首、立ってきたぜ?」
「おむっ、じゅぷっ……い、いやぁ……恥ずかしい……」
「こっちも濡れてキラキラ光ってる……すごい奇麗だよ……」
「んむぅ……んんんッ! な、舐めちゃ、嫌ぁ……」

右手でしごかれていた生徒が不意に後ろから香織の両脚を抱えると、
それまで自慰に甘んじていた生徒の一人が股間に舌を伸ばす。
左手で愛撫を受けていた生徒は手を開くと香織の胸に押し当て、
洗濯板のように高速で上下に擦り始めた。
微かな膨らみはぷるぷると震え、掌がしこり立った乳首を弾く。

「んああぁぁッ!! それ、それだめぇぇ……」
「おっと、胸が小さい人は感じやすいって噂、本当かもしれないな」
「おい、それは先生に失礼だぞ」
「だって、本当のことじゃないか」
「い、嫌……ふぁうッ、んんんぅ……そんなこと、言わないで……」
「うわ、先生……ココ、なんだかすごいことになってるぜ?」
「あはあぁぁ……ゆ、指ぃ……入って、入ってくるのぉ……」

意図せざるとは言え、コンプレックスである幼児体型を材料に
言葉責めを受けた格好になった香織は、被虐的な快感に襲われた。
じっくりゆっくりと性感を煮詰められ火照った体を遠慮ない言葉と
愛撫が襲い、立ち込める牡の匂いとあいまって脳を揺らす。
与えられる快楽に負け「生徒の命を救う」という当初の大義名分すら
忘れそうになり、首を振ってなんとか意識を繋ぎ止める。
だが生徒の旺盛な性欲と好奇心は留まることを知らなかった。

「うわっ、このビラビラしたところ……見てみろよ?」
「なんだかヌメヌメと光ってて……お、これがクリトリスじゃないか?」
「マジで? あっ、初めて見たけど本当に大きくなってくるんだな」
「お前、初めてなのかよ……」
「悪いかよ? そういうお前は見たことあんのか?」
「いや、俺も初めてなんだけどな……」

大勢の観客席の前で、しかも自らの生徒達によって、まるで検診を
受けるかのように秘部を露わにされた挙句その様子を詳細に描写され、
あまりの羞恥に顔を手で覆ってしまうアンバームーン。
そのとき、敏感な突起を生徒がいささか乱暴に弾いた。

「ふぁ!? ひ、ひあああぁぁっぁあぁぁッーー!!」

ビクッ、ビクビクゥッ!!

散々焦らされた末に与えられた刺激で、香織は軽い絶頂を迎えた。
ますます流れ出た愛液の雫は腿の辺りまで垂れてきて、
晃により引きちぎられた黒タイツの残骸を湿らせる。

「うわ、すっげ」
「先生、もしかして……イッたの?」
「……んん……く……はぁっ、はぁ……ん……」

目を閉じ、ピクリピクリと体を震わせながら切なげな吐息を漏らす
美貌の女教師の姿を見せられては、男子生徒達はもはや我慢できなかった。

「せ、先生ごめん……俺、もう挿れたい……」
「んっくぅ……い、いいですよ……来て、ください……」

もはや、教え子との性交という行為に対する躊躇など打ち砕かれていた。
誰でもいい、媚薬により延々と体を苛み続ける性感を、男の手によって
満足させてほしかった。
許可が出るやいなや、男子生徒はわっと香織の体にむしゃぶりついた。
初体験による畏れがあったとはいえ、もともと瘴気により理性を抑えられた
男子生徒達である、女教師の扇情的な姿を見せられては我慢ならなかった。
男子生徒の一人が香織を押し倒し、いわゆる正常位で自らの欲望を挿入せんとする。

「じゃあ、いくよ……うっ……くぅ……キツい……」
「んんあぁぁ……入って、入ってくるぅ……中に入ってくるのぉ……」
「先生の中、うっ……とても熱い、よ……動かしてもいい?」
「うん、はい……ふあぁぁッ! ちょ、ちょっと激しッ」
「だって我慢できねえんだもん……うううぅッ、くあああっ」
「んんあぁぁ、はうぅぅうッ!! ひぃぃ……んんんんッ」

獣のような咆哮を上げ、まるで犯すかのように乱暴に腰を打ちつける。
その一打ち、一打ちに反応しないではいられなくなり、
香織はあられもない喘ぎ声を上げ続ける。
肉の宴は、男子生徒の一際大きい咆哮で第一幕を終えた。

「はぁッ……はぁッ……んんぁ……」
「先生、休んでいる暇はないよ。俺らの相手もしてくれないと」
「んん……え? ちょ、ちょっと……だ、ダメです……んあぁぁ!!」

がっしりとした男子生徒は有無を言わせず香織の腰を掴んで裏返し、
四つん這いにさせるとやや強引に後ろから突き入れた。
たまらず体を跳ねさせる香織に、男子生徒は追い討ちをかけるかのように
激しく自らの体を香織の白い尻に打ちつける。
パンッ! パンッ!
肉と肉がぶつかるややくぐもった破裂音が一定のリズムで続き、
時たま男子生徒の荒い息と香織の嬌声がアクセントとなって会場に響き渡った。

「んんん! くあぁぁ……ふ、深い……奥まで入ってますぅ……」
「先生は後ろから……うっ……つ、突かれるのが好きみたいだ、ねッ!!」
「んんんああああぁッ!! だ、だめぇ……どうにかなっちゃいます……」
「お、俺ももう……そろそろやばい……うっ、くぅぅぅッ!!」

欲望を吐き出した男子生徒が香織の中から肉棒を抜くと、混ざり合った
互いの愛液が糸を引いてしたたり落ちる。
力を失い床にぺしゃんと這いつくばった香織だったが、続く男子生徒が
またもや休む暇を与えない。
力まかせに香織の体を持ち上げると、そそり立った自らのモノに跨らせた。

「はぁ……はぁ……も、もう……ゆ、許して……」
「ダメだよ先生、あと三人いるんだから平等に満足させてくれないと。
 どうしてもって言うんなら両手と唇も使っていいから」
「んっ! んっ! んっ! こ、こんな格好……い、嫌ぁ……」

床に寝ころがった男子生徒に跨り、下から上へと突き上げられるたびに
頭の奥がぼうっと真っ白になり、徐々に高みへと持ち上げられていく。
だが意識を失うことは許されず、両手で男子生徒二人の性器をしごかされ、
交代交代に口に頬張らされる。
呼吸の苦しさに時たま吐き出すものの、それでもまた含み直すことを
続けていると、男子生徒が呻きだした。

「んっ、ちゅばっ……じゅぽッ……んくぅッ! はぁッ、はぁッ……」
「あふっ、せ、先生の手……細くて滑らかで……気持ちいい……」
「ああっ、そ、それやばい……その舌は反則だって……」
「俺、俺……もうイキそう……あぐっ、で、出るッ!!」
「んっ、んっ、あはぁ……ひ、ひああぁぁぁあぁッ!!」

どぷっ!! びるるるっ!!
若い男ならではの粘度の高い濃い白濁液が、香織の黒髪を、顔を白く染めた。
与えられたあまりの快楽と、力が抜けていくような虚脱感に、
香織は感情を失いしばらくそのままでぼうっとしていた。
そんなまるで木偶人形のような香織に、剛蔵が近寄り賞賛の言葉をかける。

「やったではないか、アンバームーン。愛する生徒達の命はこれで救われたの」
「んん……あふぅ……はぁ……はぁ…………え?」

そうだ。
今までの痴態はすべて、教え子達の命を救うためにやっていたのだった。
だが、不思議と安堵の感情は浮かんではこなかった。
その代わりに芽生えた感情は、目的を果たした達成感でも、
剛蔵に対する憤怒でもなく。
そう、それはつまり。

「おや、そんなことすっかり忘れておったという顔じゃの。
 おおかた快感に溺れておったのじゃろう。どうじゃ、違うか?」
「……はぁ……んっ、くぅッ……は、はい……」
「ふははは、威勢のよかった女怪盗もずいぶん正直になったものよの。
 どうじゃ、まだ足りぬか? まだ快感を与えてほしいか?」
「……は、はい……お、お願いします……か、体が……熱くて……」
「ふ、ふは、ふははははぁッ! よかろう、思う存分イキ果てるとよい!!」
「……あっ……んあぁぁ……」