「……やっぱ凄えよな、警視は」
「ああ、あの歳で、しかもあんなハンデあって、それでも俺達の中で最高のエースなんだからな」
5年後、そこには夫になった少年がいた。
「あ、ごめん! そろそろ渚緒迎えに行かなきゃいけなかったんだ!」
『ええ、分かりましたわ。また、お電話しますわね』
5年後、そこには妻になった少女がいた。
「おとーさん、おかーりなさい!」
「……うん、ただいま、渚緒」
5年後、そこには一家の団欒が、確かにあった。
「高原、日本の大山警部から連絡だ」
「……? はい」
『……里緒……』
「一美?」
……しかし。
「……君が、高原渚緒ちゃん?」
「うー。おねーさん、だれ?」
……しかし。
「涼人! 渚緒が……渚緒が!」
始まりは、いつも突然。
「そ、そんな……一美!?」
「大山のおじさんが!? そんな……そんな!」
幸福は終わり、絶望が始まる。
でも、絶望の中にはきっと希望もあって。
「……顔を上げてください、騎士涼人」
「俺達に出来る事なら全部やるよ。涼人君、君のためにね」
「里緒ちゃん、これ、一美が作って貰ってた物だったんだ。……出来れば、これを使って欲しいと、おれは思ってるよ」
「私達もやれるだけの事はやるよ。でも……最後は、里緒ちゃんに決めて欲しい。これは一美も望んでる事だから……」
……そして、妻となった少女は、ある意志を固める。
「その格好……!何を考えてるんだよ、里緒!」
「涼人……。私、涼人の力になりたいの、涼人の代わりに動いて、私の手で渚緒を助け出したいの!」
……そして、妻となった少女は……。
「……私は、『レインボーキャット』!」
恋するキャットシーフ最終章〜猫は、もう一度〜
鋭意構想中